長野えびす講煙火大会(長野県・長野市)
全国から煙火業者が研鑽に集まる、玄人・通好みの超一級花火
開催日時 11月23日
打上場所 長野市犀川河畔
問い合わせ先 長野商工会議所 TEL0262-27-2428
長野商工会議所内「長野えびす講煙火大会」HP
概要
この煙火大会は、善光寺の行事である「えびす講」の一環として行われ、2005年度で第100回大会と歴史もある。もともとの名称は「善光寺えびす講煙火大会」であった。本来はえびす講開催日の11月20日であったが、花火客のいっそうの集客を考えてか数年前より祝日にシフトしている。現在の打ち上げ場所は長野市南部を流れる犀川河畔で、長野大橋、丹波島橋に挟まれた河川敷である。
河畔に立つ日本赤十字病院のあたりが大会中央部で、大会本部テントをはじめ、屋台などが軒を連ねている。花火はずっと川寄りで打ち上がるが、土手からみても比較的近いので尺玉が頭上で炸裂する迫力が味わえる。(写真・信州煙火工業打ち上げ場より日赤病院=中央=方面を望む)
アクセス
長野までのアクセスは長野新幹線ほか列車で。会場までは徒歩だと40分ほどかかるので、長野駅からタクシーか日赤行きのバスを利用する。車の場合、他府県からは上信越道路の長野I.Cを利用する。2005年度からは、渋滞解消のためかマイカーによる会場近辺への乗り入れを制限している。花火会場近隣には一般向けの駐車場を用意していない(主催者は駐車場は無いとアナウンス)。したがってマイカーの場合には会場から離れた場所にある指定駐車場にPしてそこからは専用のシャトルバス利用となる。
長野新幹線のおかげで東京首都圏にも日帰りできるし、長野駅周辺にも宿は豊富である。一泊するなら小布施や鬼無里、白馬あたりに足を延ばしてみるのもいいだろう。
プログラム(有料)は大会本部や長野駅の観光案内所(数量限定)などで手に入るし、進行はアナウンスされるほか、FMで実況中継がある。プログラムだてもこれまでは大型のスターマインなどは進行に関係なく決められた時刻に打っていた。これだとどこまで進行したか途中で見失うことが多かったが、1998年度から記載されている順に消費することで分かり易くなった。
1998年度からそれまでより30分ほど開始時間を早めて18時より開催された。これは長野新幹線を利用して首都圏へ帰る観覧客を配慮しての措置だという。とはいえ上り終電を利用する乗客は定員の3割程度であるらしい。会場の大部分は地元客だということだ。それはそうだろう。この時期の花火大会にまで他府県からやってくる一般客といえば相当の真のマニアか花火関係者に限られる。かつては地元の客でさえ、(寒いから)自宅から眺めるのが普通であったという。
花火について
花火野郎もまた愛好家の誰もがこの花火大会を、夏の大会のように観覧をあえて一般向けにすすめたりしていない。
それは時期はずれだからではない。それは花火を心から好きで、花火の真価がわかる(見極められる)人にだけ観てほしいからだ。近年はこの大会も“にわか花火マニア”の間でよく知られるようになり、噂だけで訪れる観覧客も増えてきた。しかも中には、「えびす講煙火大会を知っていること、そこに詣でて花火通を自認すること」がステイタスであるかのような、「花火マニア気取り」も多く混じっている。肉眼で観るその鑑賞眼も未熟でありながら、単なる蘊蓄や、気取るだけのために「やはり○○煙火店は違うねぇ」などという向きには、えびす講は「まだ相当に早すぎる」と言わざるを得ない。未熟なるが故に、真価がわからないどころか、自分が既に初心者にして頂点の花火を観てしまった事実すら理解できないだろう。
といってもインターネットをはじめとする情報化時代であるから、情報誌やグルメ本を片手に、高級店をはしごして食べ歩くように、えびす講煙火大会にいきなり、かつ安易に訪れてしまう観覧客も少なくないし、それを否めない。それでもそうしたビギナーがえびす講が今後数多くの花火大会を観覧するきっかけになればいいと思う。そして自らの観る目を高めたとき、再びこの花火大会に訪れると良いだろう。その時は最初に観ることができなかった真価を発見できるようになっているかもしれない。
以下の撮影ガイドでも記すが、この花火大会ではプログラムもアナウンスもあるが、記載され放送されるのは玉の大きさ、単発かスターマインか、次に打つのはどちらの煙火店か、だけで玉名や玉の種類についてはいっさい説明がない(15業者競演尺玉コンクールを除く)。したがって人に聞いただけでやってきた花火愛好家の初心者が、花火の種類や名前を覚えるのにはまったく適していないし、なにも理解できないだろう。
昨今はこうしたインターネットがらみの情報のおかげで、ミーハーな素人花火ファンが増えている。これらは花火といえばどこでも素晴らしかった。というし、誰かが難を示せばただちに非難する。これらは食べ物にたとえれば、日本食で一流の料理店が最高の素材でとった出汁も、そこらへんの食堂が化学調味料で作った味もどちらも美味しいですね。と言って絶賛しているようなものだ。要するに花火観が支離滅裂なのである。しかも2〜3回(2〜3年)も観れば一流気取りなのだから始末に負えない。
もし打ち上がった玉の玉名や種類が一目でわからない(ビデオなどに録って、後から繰り返し再生して分析するようなビデオマニアは論外。)ようなビギナーであるなら、えびす講に来る以前に、夏の他の花火大会で何年か十分観覧の経験を(各年度で20箇所程度観覧)積んで、見る目を養っておくのが順序というもの。
えびす講煙火大会を花火大会、として見れば、打ち上げの玉数や運営、そして開催時期いずれをとってみても夏場のそれと比しても特に優れたところがあるわけではない。
しかしこの花火大会には全国から煙火業者が集う。もちろん全国15業者参加の尺玉コンクールのせいもあるが、そのためではない。打ち上げ現場まで挨拶に来る業者に加えて、そっと来てしっかり観て帰る個人や団体の花火職人を含めたらどれほどの花火職人がこの大会を観ているだろう。季節はずれのこの時期に彼らが足を運ぶのはヒマになったから物見遊山では断じてない。プロの花火職人達が「勉強」しにきているのだ。設営から開く花火に至るまで、何かを学びとろうと、参考にしようと、真剣なのである。
打ち上げは花火どころ長野でも最高技能の紅屋青木煙火店と最大手の信州煙火工業を中心に行われ、その品質においてまさにトップ・オブ・ザ・ハナビワールドの内容だ。とくに名人・青木煙火店の花火をこれだけ集中して多量に観られる花火大会は、教祖祭PL花火芸術を除けば他に無く、花火職人はもちろん愛好家にとっても必見であるし垂涎の大会といわねばならない。
プログラムは7〜10号の単発打ち、段打ち、対打ち、一斉打ち。大小スターマイン。ワイドスターマイン。地元業者が一発ずつ出展する20号玉が2発(1999より廃止となり10号一斉打ちに変更)。全国15業者尺玉新作コンテスト。ワイド5個所一斉スターマインなどオーソドックスな構成で、日本の伝統的な花火大会と打ち上げのスタイルを保っている、といえよう。
地元煙火業者の凛とした花火の数々には、星の出来、芯物のキレ良さとビシッとキマるフォルムといい、千輪物の広範囲にまんべんなく散る見事さといい、感嘆の声が漏れるばかり。いくつかあるスターマインでもひとつとして同じ物はなく、いまだ見たこともない種類の玉が上がるのだからその工夫とアレンジに驚かされる。愛好家としては思わず居住まいを正し、背筋をのばして真剣に観てしまう、いずれの花火にもそんな「異次元の」凄みを感じるばかりである。
それは上がる花火だけではない。現場に立ち入ることはできない一般の客のために少しその様子をお伝えしよう。打ち上げ現場で一部の隙も無いその設営ぶりを見れば、優れた煙火業者の仕事が、出来の良い玉を作ることだけではないことがうかがえる。整然と並び揺るぎ無く固定された筒、整理された配線、打ち上げを待つばかりとなった現場はむしろ殺風景なほど整頓されているが、隅々まで目が行き届いているし、無用の人間を寄せつけない緊張感が漂う。そのような現場は、まさに花火師の仕事場としての聖域を感じさせてくれる。花火の向こうにそんな準備段階の様子もまた、オーバーラップしてうなづけるのである。
花火は気軽に無心に観るものだし、我々マニアの鑑賞領域のことは普通には理解されないから、申しても仕方がない。この花火大会にあっては、見る側の鑑賞眼と見識が試される。それが業者だろうと、花火好きを自認する一般客だろうと、花火を観てその真価がわからない人には、えびす講煙火大会はもったいないから教えたくないのが本音である。「良い花火は観る人を選ぶ」のである。
観覧の上で重要なのは防寒対策につきる。真冬というわけではないがじっとしての2時間は相当に冷える。真冬並の格好が必要だ。それだけに澄みきった冷気の中、最高の色彩で花火が咲く。
撮影ガイド
撮影には、長野駅側つまり大会本部のある河川敷と土手の上が一般的。レンズ構成つまりフレーミングは、大会正面である本部席近辺を大きく外しても、中央から丹波島橋側が間合いに自由度が高く(引きが多く取れる)フレキシブルである。使える焦点距離も近づけば広角、距離を置けば標準から上が主体で素直な映像となる。反対に、長野大橋側は28ミリから下のかなり広角目が中心となる。開花だけをとらえるにしても35ミリでギリギリだろう。下から撮ると28ミリでは10号は下3分の1も入らないくらいだ。当然風向きによっていずれかに決まる。
大会本部を中心に打ち上げ場所に向かって左、長野大橋側が紅屋青木煙火店。右側丹波島橋側に信州煙火工業がセッティングする。プログラムにも略図が記載されているし、進行アナウンスでも次はどちらの煙火店が打つかを言うので比較して見るのも面白い。コンクールの10号は両煙火店のほぼ中央から打ち上がる。
撮り進め方としては、やはり7号以上の割物はできるだけ単独でおさえたいところ。もちろん段打ちや対打ちなどほとんど間が無く上がるものは重なりを避けるのは難しいかもしれない。ここの場合は業者はともかく、例えば10号5段打ち、とプログラムに書いてあってもその5発の玉の種類までは記載されていない。したがってその玉が開くまでどんな内容かわからないところが緊張感に包まれるところ。とくに全ての割物の中で数える程しかない「八重芯」や運が(景気が)よければ入る「三重芯」などの特選超逸品を撮るつもりであればなおさらだ。スターマインにしても、スターマインか大スターマインかしか書かれていないので、これも打ち始めてからでなければ○○スターマインとはわからないのである。
したがって頭から丸撮りでワンカットも逃さないつもりの「テンション」と「集中力」が要求される。
昨今はビデオ撮影の花火マニアも増えてきたが、最初から記録媒体としてビデオを選んだ者は別として、スチルの写真撮影に挫折してからビデオを手にした輩も多い。近年はそうした連中は嬉々として動画クリップを作り、自分のHPにコレクションする事に余念がない。こういう写真挫折組ほど「やはり動画に限る」などというのだからお笑いである。そもそもビデオは最初から最後まで「丸録り=録りっぱなし」でいいのでずいぶんお気楽だ。とりあえず全部録画してしまえばOKということで、後は自宅でゆっくり検討だろうか。こうした方々はTV画面という箱庭的な花火観から終生抜け出せないだろう。さらに動画でもまともな絵を録ろうとすれば、花火に向けてカメラを固定して回しっぱなしではダメだから、打ち上げ中液晶ビューファーなどから目を離せない。花火を肉眼で観ていないのである。
割物をスターマインなどと組む時も、間違っても2つの業者をワンカットに混ぜないだけのセンスを持ち合わせて欲しい。どれを撮っても花火は花火、好きなように撮ればいいんじゃない?と考えているやはり花火を鑑る眼をもたぬ唯の写真マニア、カメラマニアは、撮りに来る場所を間違えている。二度と来なくてよろしい。
「良い花火(大会)は撮り手も選ぶ」のである。
他にはやや距離が離れるが、それぞれの橋の外側に位置する、というアングルもあると書いておこう。
この花火大会は観る者の目を選ぶ、プロの花火家を含めた求道者の聖域的花火大会といえるが、一般客の観覧を拒絶しているわけではない。興味がある方は誰でもご覧になることをおすすめする。一度ご覧になった上で、どこが凄いのか?何が一流なのか?普通に観ている夏の納涼花火とどこに違いがあるのか?これらが明瞭に思い当たらなかったとしたら、あなたにはまだ早すぎるのである。
人から「えびす講が良いらしい」「質の高い花火大会らしい」と口コミと噂だけ聞いて出かけ、皆さんが仰るように良かった。質が高かったでした。などと自己満足するというのは、自分自身では何もわかっていない、ずーっとレベルが遙か下の方の感想で、単なるブランド志向に過ぎない。
また仲間同士で、群れて観ることに喜びを感じ、共に大騒ぎするために集う、花火愛好家集団も騒ぐ場所をそこらへんの納涼花火大会と勘違いしている。二度と来なくてよろしい。こうした方々は、えびす講では、花火の何を鑑賞すればよいのか、永遠に分からないだろう。ただただもったいないだけである。
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