花火野郎の観覧日記2007

観覧日記その15 8/25
第81回 全国花火競技大会 大曲の花火
     
秋田県・大仙市

大曲の桟敷争奪戦線………

 私は正攻法でC席の個人販売分を8月1日〜2日に電話で申し込もうとしたが、終日一度も電話が通じなかった。そして1〜2日後には商工会議所公式HPには「桟敷席は完売しました」と告知されてがっくりした。うあぁぁぁぁ……
 ところが、ところがである。こうして完売したはずだったが、8月8日付けで公式HPには「桟敷席ありマス」と告知がっ。しかもメールで申し込みを受け付けるとのこと。団体のキャンセルが発生したか何かと思うのだが、それ(メール受付)ができるなら対面販売分以外は数回線しか無い電話受付でなく、最初からメールで先着順で受け付てくれれば宜しかったのではないでしょうか?
  
                 _| ̄|○ リダイヤルに疲れました………
   
 翌8月9日に、再確認して掲示板で知らせようとしていたらいったん販売の案内ページがクローズし、売り切れかと思われて見合わせた。しかし再度午後になって販売案内が掲載された。その際にははっきり「キャンセル分の販売」と記載された。この時点でA桟敷は完売となっており、C席、P席のみの数量限定販売と明記されていた。P席は今年は当日売りが無いので稀少かと思われる。場所は選べないけれど、とりあえずC席ゲットできたのでヨカタ………。
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上流大曲橋からの会場の様子。手前の道は橋の直下の道
   
会場の状況とか 

 
 大曲の会場に立つと何度来ても感慨深い。今年は開催直前の大雨による増水で一部の桟敷席が被害を受けてピンチにたったからなおさらだ。
 1995年にやはり直前の大雨で順延に追い込まれた時のように、前の晩に降っていたら絶対に開催不能だったので中2日あったのは幸いだった。関係者による最前列桟敷の修復、コンパネの新規貼り直し、清掃、区域の全面消毒と懸命の復旧作業のおかげで無事に開催にこぎ着けたのだった。

 有料席エリアへの入場が13時からという事を考えても、有料席のチケットを入手しているならもう大曲は前日入りしたりする大会ではなさそうだ。前日入りは深夜や早朝に地元の人たちに交じって場所取りに参加するためだったが、いまは堤防斜面の自由席も本当に端っこに少ししかないし、徹夜で河川敷に行列してまで自由席の場所取りをしたいとは思えない。それでも大曲の気分を味わうには早めに会場入りして、これまた早くから営業している露天商や商店会のブースを見て回るのもおすすめだ。土産や花火関連グッズを買うつもりなら午前中に済ましておけば混雑も避けられる。
 観覧席の様子は、昨2006年度と大幅な変更はない。 A席16,000区画(定員6人)19,000円、C席3092区画(定員5人)10,000円、河川敷のP席1,248区画(定員2人)5,000円。F席96区画(定員40人)を設けた。これに約90人分のカメラマン席も加えた桟敷席の収用人数は約118,000人となっている。
 部分的に有料席が増設されていたりするが、一般席の事情が好転したわけでもないから特記することはない。昨年、図面に無い上流側増設部分の外側=上流側に団体専用F桟敷(写真右)が新設された。これは増え続ける団体旅行客ニーズに応えるとともに、団体に食いつぶされて個人販売分が減るばかりなのを救済するためだろう。F席は1マスが40人で団体ご一行様向けの専用販売席。しかしこの席は平場にコンパネを広大に並べたのみで造りはP席と同じ、しかし大曲橋から見るとその直下直ぐ脇に在り、打ち上げ場所中央まで750メートルほどの有料席の中では最も端っこの席になる。
 団体専用F席とA桟敷との間に広い空き地が設けられていた。これは「ヘリポート」であるらしく、緊急の際にたとえば急患をドクターヘリで運ぶとか?に使うらしい(まじっすか)。ヘリポート造るなら、橋の外側の駐車場潰して造ればいいのでは?これほどの何もない面積があるなら、一般席に戻して欲しいなぁ。
 お席よりも今年先ず特記しなければならないのは、花火の配置の変更だ。競技花火部門は例年と大差ない。大きく変わったのは昼花火の打ち上げ場所。これまでは打ち上げ場の最上流部にあったが、これを下流側の端に移動。これによりA桟敷全体から見れば中央から上がることになり、現在の長大なA桟敷では不公平感の是正ということが変更の目的もしれない。しかしどういう場合にも弊害はあるもので、今日の様な絶好の昼花火日和(快晴)となると西山の後方に落日する太陽は、ちょうど昼花火の開花する背後に位置する具合となる。これまで昼花火が逆光で見えにくい範囲は、昼花火が設置されていた上流側一部の桟敷席と金谷橋脇の一般席のみだったが、この変更により会場のほぼ半分の広大な領域で肝心の昼花火が逆光で見えにくくなってしまったのである。まずA桟敷でいうと6番ゲートから上流側は全滅だろう。今年で言うと、審査席あたりは完全に太陽が花火の裏側になっていたと思う。
 次に広告仕掛け花火の設置位置の変更。昼花火と同様に打ち上げ現場の上流側に大量に置かれていたが、やはり桟敷中央あたりの河川敷に枠仕掛けを含めてまとめて移動。大曲が例年の風向き(北西〜北北西=NHK側が風下)となると、もっともスターマインの物量がある広告仕掛け花火が夜の全ての競技花火の風上側にあるわけで、その弊害は今年ただちに現れた。2セットずつ消費する広告仕掛けが入り始めてからはその後の競技花火(とくに割物)が発煙で全滅という具合。競技と広告仕掛けのどちらを大切にしている配置なのかと言いたい。この場合競技花火と観客の間に煙が入り込む確率は、私が18年間観覧した経験からすれば恐らく7割以上あるだろう。広告仕掛けは競技花火に影響を与えない設置を考えていただきたいと願う。これで今年審査席からどれだけ割物が(まったくクリアーに)観られたのか心配。
 大会提供花火は相当なワイド設置。現在の桟敷の6番ゲートあたりは昔なら花火設置の一番右端だったが、今では真ん中に近い。大会提供花火の右端は私の目の前を過ぎてさらにずっと右まで行っていた。これはこれは最大広角でないと左右が入らないな………。

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彩煙花かんむり
株式会社北日本花火興業

昇曲付柳に煙竜
有限会社菅野煙火店

黒煙柳に竜の舞い
有限会社菊屋小幡花火店
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光の王冠
株式会社イケブン

ヤシの木
有限会社太陽堂田村煙火店

昇曲付彩煙神楽
株式会社マルゴー
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昇曲付煙柳
株式会社磯谷煙火店
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黒煙柳に遊衛星
三遠煙火株式会社
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神の舞
株式会社斎木煙火本店
    
昼花火と苦笑のトイレ事情

  
 それにしても、雲ひとつない快晴。陽射しは強烈だが、風は涼しい。ここらがやはり晩夏であり、東北だなぁと感じる。関東とはえらい違いの過ごし易さだ。日中の大半は、木陰で過ごしたが、そうしていると涼しいどころか肌寒いほどひんやりした風が通って気持ちよかった。思わずスヤスヤと………。
 大曲の会場に来てもかつてのように歩き回って愛好家諸氏と交流したり、地元の写真家を訪ねて挨拶したりしにくくなっている。それは歩行者の通行規制で堤防道路や周辺の道路を自由に行き来できなくなったからで、いったん河川敷に降りてまた上がりというのは敬遠したいのだ。
 今年は上流の新設桟敷を確認して、本部あたりで関係者にご挨拶して、とそれくらい。午後1時の指定席ゲート開放に合わせて荷物を運んだりしたのみで同じ日陰にいて過ごしていた。昨年はこの同じ日陰に居るときに会場河川敷では突風が発生し、テントが飛ばされたりした事故があったので今年は、突風にご注意とのアナウンスが繰り返し流れていた。
 昼花火まで1時間となった16時過ぎに全て機材も運び、居場所を完全にC席に移した。正面にはばっちり太陽が居座り焦げるような照りつけだ。やおら日向で撮影準備をやると目眩がしそう。
 17時、昼花火がスタート。標準玉が出て初めて打ち上げ場所が変更になっていることを知った。私は大曲を見始めてこれほど見るにも撮るにも辛い昼花火は初めてだ。私の位置からは完全逆光は避けられているけど、太陽に顔が向くことにはかわりがない。ファインダーを覗いている間は顔面が焦がされ、ほんの僅かカメラを右に振れば太陽が飛び込んでしまうという位置関係。これではカメラマン席や審査席はかなり観るのは厳しいのでは無いかと思った。
 しかしカラースモークが半逆光でトランスペアレンシーに見えるのもなかなか目新しいな、と「こんなモロ逆光で撮れるかい」と観ているだけ(も見づらいが)にしようかと思っていたのを撤回、結局殆ど撮影してしまった。撮りの工夫としては少し望遠目を使ってつまり画角を狭くして太陽の影響がドカーンと入るのを避けている点。
 昼物ではまたまた斎木煙火本店が凝った7連煙竜を繰り出して決まっていたが、審査では意外と評価されず、煙菊とか夜物をそのまま打つとか盆が大きいとウケているようだった。今年はとりどりのカラースモークが減って、私的には少し残念。色を強く出した煙菊が少なくこれも不満。昼に夜もののクロセットなんか打ってもなんだかなぁと思う。
 私は早朝に自分の入るC席の区画を下見して、え、これだけ?こりゃトイレ少なすぎ。と直ぐに大会関係者に進言した。C席のトイレが少ないのでは?「去年多すぎるというので減らしました」「なんという………」。人が順番待ちで並ぶスペースごとトイレ設置個所を減らしてしまえば、それだけC席の板をたくさん設けられるからなぁ。
 少ないと思った懸念は夕刻直ちに現実に。なぜって私の居た区画はC席だけで全部で約1000マス。5000名。それに数はわからないがP席も多数(たぶん100マスくらい200名)。その数に対してトイレがたったの14基(7基×2箇所)。トイレ1基あたり350人以上の割り当て。笑っちゃう少なさである。
 その結果私が居た側のトイレ7基には、途方もない万里の行列が続き(当前ですが)、最後尾はC区画のゲートから出てしまうほど。業を煮やした賢明な者は、区画から出て行列もまばらで豊富に設置された自由席のトイレに向かうだった。私もそこへ行くと、各有料席の札を下げた客が勢揃いで来ていた。見れば専用のトイレが豊富に在るはずのA桟敷の囲いの中も大行列になっており、つまりトイレの絶対数が足りないところに配置計画も適切でないというわけだ。だって自由席のトイレは2〜3人待ってすぐ使えるくらいなんだもの。
 面積を減らしたといえば自由席だが、やはり密集度が普通じゃなく、私は過去こういう状態はあまり見たことが無い。大曲で客が敷くシート同士が触れあうほど接近している光景は珍しい。周りのシートと距離を取ったって余裕なくらいその場所は広かったからだ。しかし特にA桟敷の後ろ、夜店群に挟まれている領域の密度は凄い。シートは重なりあい、人のシートを踏まなければ絶対に移動できないような具合だ。
 C席P席のゲートキーパーは体育会系の屈強の兄ちゃんまたはプロの警備員じゃないと可哀想だなぁと思った。ひしめく中央通路際。ゲートのひよわなバイトの兄ちゃんは絶えず凄まれていた。
 何で入れないんだ! 有料席ですと丁寧に応えていると、やおら財布をとりだし「いくらだ……」と万札をちらつかせる酔っぱらいとか、前売り完売だというと憤然とする客とか。
 可哀想なのは一部のP席。設置区画によっては座って目の前にいきなり囲いのフェンスがあり、その直ぐ外は行き来するひしめく観客と夜店いうわけで、この間合いの無い設置は気の毒だなぁと思った。設置担当者はぜひこの最前列で昼花火から打ち止めまでご覧になる罰ゲームを味わってはいかがだろうか(写真円内。こりゃあ……お気の毒)。


開幕500メートルナイアガラ

標準審査玉 北日本花火興業
かざぐるま〜風と遊ぶ頃〜

昇曲導付四重芯パステルフラワー
斎木煙火本店

光の宝石 磯谷煙火店

水面に浮かぶ睡蓮の花
磯谷煙火店

花絵巻〜memory of zipang〜
マルゴー

昇曲付四重芯変化菊
紅屋青木煙火店
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妙なる星々の変化
紅屋青木煙火店

昇曲付花に群蝶
太陽堂田村煙火店

昇曲導付五重芯冠菊先緑点滅
野村花火工業
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メッセージ〜永遠の花になって〜
野村花火工業

メッセージ〜永遠の花になって〜
野村花火工業

メッセージ〜永遠の花になって〜
野村花火工業

昇曲導四重芯変化菊
小松煙火工業

燈籠の幻想夜
小松煙火工業

冬の夢想花
山内煙火店
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煌めきの花かんむり
菊屋小幡花火店
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昇曲導付三重芯変化菊
信州煙火工業

煌めき歓喜 大曲の夜
信州煙火工業

昇曲付三重芯冠菊点滅変化
伊那火工堀内煙火店

昇曲付四重芯銀点滅
山崎煙火製造所
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雪の華
山崎煙火製造所

雪の華
山崎煙火製造所
  
さーて夜の部

 
 開幕500メートルナイアガラは途中で真ん中付近が切れて落ちてしまって残念。しかしこれでいよいよ大曲の夜が始まる、と思えるひとときだ。
 標準玉。割物はその名の通り標準レベルだったが、創造花火は高水準。ここでこんなにレベルが高ければ後が大変だなぁ。すでに各地でお目見えしている風車を芯に仕込んで風車芯さざ波の玉まで登場。本割りではどれだけのモノを繰り出すのやらと期待したが、そちらは残念ながら下知識の無い私には、どう集中して観ても表題、楽曲、花火の現象の3つがどう組合わさって何を見せようとしているのかわからなかった。
 今回は視認でき、判別可能だった中で、これはという出品者について独断のひとことを記してみたい。先に書いたように広告仕掛けが入ってから後の割物は殆どまともに見えなかった。
 
磯谷煙火店
 煙が浮いてしまったが、光の宝石サファイヤーは絶品。
 創造花火の睡蓮シリーズも、豊田、袋井と観てきたが、袋井は肝心の睡蓮に一緒に上げた別の玉が重なって同じ場所で開いてイマイチだった。しかしさすがに大曲ではきっちりキメてまとめた。思えばこうして熟成とカットアンドトライを繰り返して完成形として大曲のこれがあるわけで、一朝一夕にここまで来たのではないのだと察する。それに花が全てきちんと上を向いて開いているのがスゴイんです。
 クロード・モネの描く睡蓮の世界?…この花火作家は絵画の世界を再現したかったのだとは思わない。私にとっては絵画のそれよりも、かつて何度も訪れた尾瀬ヶ原で観た池塘に浮かぶヒツジグサの可憐な佇まいを思い起こさせる。風にふるふると震える花弁や、細かい池塘の波紋までもが懐かしく連想される。
 もともとスイレンは園芸上の呼び名であるらしく。和名はこのヒツジグサ(未草)。ヒツジは時刻を表し「未の刻(今の午後2 時)」に咲くといわれているけれど実際は明るくなると開き暗くなると閉じる。そういうことで漢名の睡蓮(眠りにつく蓮ですか)をあててそう呼ぶらしい。
 創造花火では、全体でひとつのイメージを描くというのと具体的で象徴的な形を実際に見せて世界を描くというのとだいたい2通りであるが、これは間違いなく後者のしかもハイエンドである。これで審査評価が高くないのだから不思議だ。BS-Hiの絵では中心のレモン色の星が再現されていなくて残念。
 
紅屋青木煙火店
 四重芯は親星の中にあきらかに青色の芯星がいくつも紛れて飛ぶという具合で芯の一部が破綻した模様。しかし全体のフォルムや芯の揃い具合は見事。2発目は引き火のような暗めの星で、延びる星の先端を末端が消えながら追いかけるという感じで拡がり、のちに紫の小花が散る。味わい深く趣のある玉だけれど、派手さが無い分素人審査員にはウケないかな。それと肉眼ではともかく撮影機器(BS-Hiですら)では視認できないかと思う(写真では殆ど写らず)。趣とか風雅、詫び寂びとかそういう表現領域に入っている感じだ。
 花火は星と造り込みで変わるわけだけれど、星造りは地道な作業が必要で、開いたときの花火の形に比すれば地味な効果になってしまう。今期の青木煙火は競技会系では隅田川に始まり、あえて一貫して花火の基本である「星造り」に地道ながら凝った仕事を施している。たとえば4号ポカ物で流れ落ちる柳ものの星先は4度変色するという手の込んだもの。10号のより大きい親星でやっても手間のかかる星掛作業を施しているのだ。
 それと途中でまったく別種の花に変化(へんげ)してしまうといういわば変わり花の星。星の変化は色から色というのが普通だが、性質も変化させている。つまり色牡丹星から錦星へと。まるで牡丹から菊花への変化というか、途中からまったく別の花の姿に置き換わるという凄さで、ああ、まだこんなことを考えつき、出来てしまう名人なのだなぁと感嘆する。
 しかし、うわー。すげーこんなことやっちゃうわけ?というような技術的な点は、多くの観光客には残念ながらまず理解できない部分だ。だから素人審査員の多い各部門審査では上位に来ず、煙火協会は技術力を評価して特別賞を出しているのだと思う。
 そんなことより、でかい、明るい、多い、音が大きいなんてことに無邪気にはしゃぎ、一番拍手するのが広告仕掛けスターマインという観光客ばかりでは、観客が花火を育てるという環境はほど遠い大曲となっている。そのことはとても残念だ。だから私は私共愛好家はきっちり各花火作家の技巧や工夫を見てとり、こうして素晴らしいと書かねば、公開しなければと思う。
  
野村花火工業
 直前に直ぐに上流側で物量の多い広告仕掛けスターマインをぶつけられて、相当に煙が停滞する不利な条件で打ち上げざるを得なかった。優勝候補はなにかとハンディを背負わされるというわけか。しかし割物の安定度はさすがでこの部門優勝は妥当。いずれの玉も私の所からは煙に邪魔されて半分がクリアには見えなかった。五重芯は見事に縦一線に合わせ目が出てしまっていた。ほんの少し角度が変わるだけで良い具合に見えたのではと思う。星先のキラキラ前にチラリと紫を入れて手の込んだ親星。
 創造花火は今期各地で見慣れているせいもあるが、打ち終わっての印象は野村さんとしては「普通だな」と。しかし全体の完成度というかまとまりは高レベルの普通さだ。ここは選曲の勝利といえる。しかしこれもセンスなのだ。昨今ベストセラーで万人が歌から目に入るイメージを重ね易かったかなと思う。前年の夕日玉のようにとりわけこの日のために特別に用意したものはなかったが、水 色に見えたりするのは新しく銀から青へのグラデーション星?緑とエメラルドがはっきり色の違う所を視認できるのも素晴らしい。
 
イケブン
 競技会系では確実な割物を繰り出している。今回も盆も大きく綺麗に丸く出てなかなかの作品だった。2発目ね緑キラの星は相変わらず綺麗である。
 研究熱心だなぁと感嘆する。今期各地で既に新色として披露しているものを合わせれば、レモン、水色、オレンジ、紫と得意なパステルカラー各色での点滅星を実現させている。明るく透き通った発色はジュエリーな輝きで、今後どう自社の花火に活かすか楽しみだ。
 
小松煙火工業
 内閣総理杯奪還プロジェクトの旗手、地元の真打ち登場である。せっかくお膳立てしてもらってベストな舞台となったが、ここで1発キメなければならない、その時になんと1発目五重芯はこの日一番の崩壊玉になってしまった。大曲チーム涙目。
 私も長らく様々な10号割物を観ているが、ここまでぶっ壊れた菊花は初めてで原因に興味がある。多重芯がうまく出ないときはたいてい芯が偏ったり、破壊されたりはしても親星だけは丸く出るものなのに、親星込みでグシャグシャ。近年の小松煙火による多重芯物の高い完成度からすると考えられない。あとで写真で見てみると半分はどうにか出ている。つまりパックリで合わせた片方の半分がなぜか崩れてしまったらしい。2発目四重芯は良く出ていたので、両方キマったらきっといい勝負だったと思う。
 ランタンはいろいろヒントがあったと思うけど、それを進化させ独自のものにしている。動きの変化のある玉なのでスチルでは再現が難しい。灯火(ともしび)としての表現なら中心から外に球状に明るさの拡がる表現にするのが感覚的に理にかなっていると考える。これをやると八重芯以上に造るか、マジック星でもやれるが造りが複雑になってしまうので、考えたかもしれないが面倒でやめたのかもしれない。
 
小幡花火
 四重芯は出具合もまずまずでパステルカラーの素敵な配色。今年見た同社の四重芯では初めて見る組み合わせだ。色合いで新しい見た目の四重芯なのだと感じる。2発目も上品な出来映えと思う。
 創造花火は得意の扇と、手鞠を模した割物の和風な組み合わせ。手鞠のカラフルな模様を色星で表現していたが模様の連続具合がイマイチよく判らなかった。最近はクラフト、手芸の世界で今風の生地を使った手鞠制作なんかもあるけれど、ここで表現しているのは色糸で縛りながら模様にする昔からの民芸としてのそれだろうから実物を見たことのない世代には連想が無理かなぁ。
 
山崎煙火製造所
 四重芯銀点滅はキマった。
 創造花火、雪の華は素晴らしいまとまりだった。楽曲もいいけれどとっておきの青点滅や、雪の結晶を思わせる可憐な雪の華の風情も良かった。古河で見た雪の華より各段に良く、やはりこういう出来は競技会スペシャルなのだろうか。
   
 今年から指定業者がいくつか入れ替わり、また参加者総数も26業者に微減した。株式会社マルゴーと有限会社伊那火口堀内煙火店の新規参加2業者は、充分なパフォーマンスを見せ実力の程を披露したと思う、それが嬉しい。
 どうか各煙火店様は栄えある大曲の指定業者なのであるから、凛として最高の物を、と今後も期待したい。大曲では毅然としてスペシャル仕様で。それを地元の一般向け納涼花火大会用に使用するとき、廉価版にアレンジすれば良くその崩し具合、採算のとれ具合は業者さんの裁量でアレンジすることになると思うけれど、少なくとも大曲では何に迎合するではなく、最高で最良の技と匠を披露して欲しい。それを観光客や専門家でない審査員に理解できないのはもう仕方ないのだろう。
 
   
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大会提供 BEEAT OF PASSION
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大会提供 BEEAT OF PASSION
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大会提供 BEEAT OF PASSION
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大会提供 BEEAT OF PASSION

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大会提供 BEEAT OF PASSION

大会提供 BEEAT OF PASSION
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大会提供 BEEAT OF PASSION

大会提供 BEEAT OF PASSION

大会提供 BEEAT OF PASSION

フィナーレ
   
 大会提供花火は、これは私が大曲で知り学んだ大会提供とは既に別物になっていて、いわゆるよくある「コンピュータ点火器による音楽シンクロ型ワイドスターマイン」になっていると思う。与えられたテーマは在るけれど、その中に短編映画の様なストーリーはなく、音楽の流れに沿って多量に用意された打ち上げがあるだけだ。いまや何処でもこの種の打上があり、何処でもどの業者もワイドプログラムに工夫を凝らし大曲に習いそれを越えようと必死なのだ。その中で規範となり模範となる大会提供はこの姿では他に凌駕されてしまうだろう。しかし大曲の強みは、地元複数煙火店の総力戦であるところ。良い持ち玉を有する業者が協力しあい使用できる花火の種類が豊富なところだ。それを適所に配置して活かすのは演出というわけで今後はそのへんが見物だろう。
 従来コンピュータ点火器を使用せず、アナログ点火を指揮者の号令でコントロールしていた頃と打ち上げのやり方も違う。アナログ時代には絶対にこのスピードでは花火を打てなかったが、その分人の感覚のスピードに合致していたのだと思う。一つ一つの玉を見る間もなく次が塗り重なっていくというのも少し勿体ない感じがする。
 矢継ぎ早に大量に打つ、というそのこと自体にも現在の観光客が大部分という大曲では、充分にそのお客を満足させる事が出来ていると思う。大会提供は主催者側からの花火による最大のもてなしプログラム。おそらくこのプログラムにおいては、最大限お客のレベルに合わせて迎合が許される出し物なのだ。それは過去の大会提供を知る私には少し寂しい。「大量の一連の花火で何かを表現する、物語る」というコンセプトはもう見る事が出来ないのだろうか。
 今回は出だしの和火ものは尺が長すぎパッションをかき立てるにはしんみり暗く永く渋すぎたが、真ん中からセクションを左右に分けて大玉とポカ物を打ち分けるあたりから良いテンポになっていた。色彩も豊かだったし、やはり玉の豊富さが武器になっているところだろう。色牡丹各色を順に右から左にサーッと流して打つのは点火器の能力そのもので、ここはビートを効かせるというテーマからすれば、楽曲に合わせて全体幅の各所からアットランダムに打ち出した後、一斉出しにした方が動きに意外性が出てなによりリズミカルだったのではと思う。終幕の畳みかけはなかなか良いと感じた。素晴らしいトロピカル千輪一斉が他と交じってしまったのは惜しいけれど贅沢。
 全体に煙待ちで少し進行が遅れたとはいえ、エントリーが昨年より少ないのに時間が掛かりすぎた。大会提供のスタートも引っ張りに引っ張って遅らせた、という印象。大会提供が済むと、バナナ大通り出口にはまだ打ち上げ中なのにばっちりUFOバルーンが点灯、バスの戻り予定時間があるためか例年にもまして凄い勢いでツアー客が引き上げていた。
 風は一貫して例年どおりの北北西〜北西だっだが、夜の部開始後は、またまた低空、中空、10号開花域とで全部風向きが変わるなど大曲らしい混迷ぶり。10号開花域は風力はないものの一定していたのだが、下の方は上と逆に吹いたり、また戻したりとめまぐるしく変わる。打ち止め後はC席は火薬の匂いが立ちこめるなど毎度のことながら安定していない。
 撮影はカメラ2台並べていたが、競技は割物、創造花火ともメイン1台のみ。もう1台は24ミリ相当の広角を着けて横位置に据えてつまり大会提供と最終の10号30発に続く3箇所ワイド打ち専用。メインの方も大会提供の時に28ミリ相当に換えて、2台同時撃ちとした。おそらく大会提供は25カット前後(実際は28カット)になるので、カウンター1からの新品のフィルムが装填されているのが理想だけれど、競技を撮っていてどこに挟まるかわからない大会提供では(特に今年は)うまくフィルムを新しいロールに換えられるか確実ではない。だからサブの方では1枚目から撮り始められるように備えた。それにしても大会提供は充分ワイドで28ミリ相当の方は縦、横とも収まりきらなかった。今回の設置ではだいたいカメラマン席あたりがど真ん中といえるだろう。私はそこから100メートル程度しか横にずれていないのでいつものようなハス位置ではない。かつてはこれでも大会提供の右側の端くらいだっだが、下流方向にA桟敷が倍も延び設置幅を拡げざるを得なくなっている。
 せわしなくフイルム交換していると、カメラバッグの周りをちょろちょろと動き回るのはコオロギ。夏も終わりだなぁと思ったりした。撮りの結果としては、やはり全般に煙にまみれて特に10号割物はぜんぜんだったが大会提供は比較的クリアーで豊作だったから、ま、いいか。
 仲間と三脚を連ね、言いたい放題言いながら観て撮れたことが楽しい晩だった。大曲の一日は永い。この一日の長さだけじゃなく、お席の確保、宿泊や新幹線の指定席の確保に始まり(ツアーを除く)、大曲観覧は早くから計画を立て周到に準備する必要がある。その上で一日を会場周辺で乗り切るのも実に長い。だから他府県の者がその週になって急に思い立ち、下調べもせずふらりと観覧しにくるというのは、現在の大曲はもっとも相応しくない花火大会だ。
 昨今は観客の増大により駅頭の混雑も凄いもので、一刻も早く駅にと考えてしまう。それでいて地元に宿も取れる状況じゃない。かつては宿も無いまま来て、河川敷や駅で寝たりもして花火が終わって静けさが戻り、人気も無くなり、やがて露天商達も三々五々片づけをおえて引き上げていく、保安のた大曲の会場が闇になることはないけれど、人気(ひとけ)はなくなっていく。
 かつて最後に残るのは桟敷席の灯りだけだった。そんな頃まで堤防斜面にに座っていたこともあった。最後の露天商が帰ったのが午前3時頃。でも午前5時には、河川敷でのオートキャンプ組が起きだして、水くみだの朝食の支度だのが始まる。
 大曲の晩は短いなぁと思った。花火が終わってからだとアッという間に朝だ。
 自分の中の興奮した気持ちや感動のさざめきが収まって、夜の空気のようにひんやり冷たくなっていく、そんなクールダウンの時間が心地よく、物寂しく、でも充実していて、河川敷に残っている者など殆ど居なかったからそんな空気を独り占めしているようで満足だった。
 今はどうやらそんなのんびりした空気じゃないようだ。大会はその頃より格段に大きくなってしまったし。それでもここにキャンプなどすれば、終わった後の時間にゆとりもあり、またあの素敵な時間が味わえるのかもしれない、などと少し魅力的に思えるのだ。
 戻ってからNHK、BS-Hiの実況録画を観る。もちろんハイビジョン録画である。我が家もようやく40インチ以上の大画面液晶とハイビジョン放送を受け止められる設備が揃った。
 そして視聴した結果だが、録画で画質が低下しているとはいえ「肉眼でナマで観られるということはなんて恵まれていて、素晴らしいことなんだろう」という感想しかない。前の晩に観たばかりの花火のいくつもが見る影もない。アップになっても微妙で繊細な星の変化や色合いなど、ハイビジョン放送と大画面をもってしても殆ど再現されていない。人の眼って優秀で都合がよくて良い物だなぁと思った。16対9の9の方の天地に地上から開花まで収まるようなロングショットで割物を録られてもなぁ。現在のどれほど優れた機器で収録しようとも、それは遠く実物とは離れているのだ。
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