花火野郎の観覧日記2007

観覧日記その17 10/6
第76回 土浦全国花火競技大会
     
茨城県・土浦市

gemba.jpg 昨年は台風の影響で順延し、そのせいで観覧できなくなった客も多かったに違いない。計画立てて現地入りし、順延に涙をのんだ遠征組もさぞかし無念だったこととその心中を察して心が痛かった。なに私もどれだけ同じ経験をしてきたことか。
 正規開催日の今年はやはり観客の数が膨大と感じた。すでに桟敷下流側の河川敷において前日の5日に場所取り解禁となって、行列して待った約500名ほどが順次整然と場所取りを済ませている。
 こうした措置が初めて採られたのは、何週間いや何ヶ月、それどころか半年やそれ以上も前から、場所取りとして河川敷を大規模に占有している状況が、今年初めてマスコミに取り上げられ問題視されたことによる。現在の先進の花火大会では、自由に何時からでも好きなだけ場所取りできるというのは、とっくに前時代的な運営となっている。しかし土浦では永年こうした行為はいわば黙認されてきた。草刈りをして大面積を押さえ、杭を打ちロープを張って囲い、中には占有者の看板を立て敷物や畳まで備えた鉄壁の場所取りがなされてきたのだ。しかし野放し状態を市外県外やネット上で大きく報道されてしまい、自治体として遂に放置できなくなったのである。
 夏前にはこうした先行場所取りの一掃作業が行われ、以降場所取り行為は事実上禁止となった。それでもこうした地元の成り行きを知らずに他地域他府県から車で乗り付けては、禁止の看板をものともせず場所取りする輩が後を絶たず、周辺住民による自主的な見回りや逸脱者への注意がなされたようである。
 主催者は桟敷より下流側の河川敷ならびにのり面の場所取りを禁じて、その代わり前日に順番に場所取りをさせた。その際にも必要最小限の面積として巨大なブルーシートなどで占有することを制限した。
 桟敷後方の堤防のり面ならびにその下部のわずかな平場においては当日の正午解禁と従来通り。また以上の様な規制が為されるのは、今回は河川周辺の一部だけのようだ。

 がんばって昨年よりさらにちょぴっと早めに到着したのに、午前8時程度では堤防道路は解禁を待つ三脚を携えた撮影、録画の愛好者達ですでに雌雄が決している状態。思い切り脱力するほどに遅いのであった。
 いくらなんでもこれは………いやはや。もう今後どうしたら………orz。
 数年前より堤防道路の最前線を離脱し(桟敷後方堤防道路で少なくとも10年以上撮ったのでそろそろいいかと)、後方の田圃でのんびりやることにしているがそちらも盛況で驚いた。観覧・撮影上では田圃は堤防道路よりも低い位置にあるし、堤防前後の立木によってもある程度花火空間の下の方が隠されてしまう。だからスターマインのザラ星が根本から見えないと気が済まない、というファンには不向きだ。作画上のメリットとしては露天商の灯りや、堤防上の観客が写り込んだりする点だろうか。闇雲に私の写真を見て同じ場所に立つのもよいけれど、デメリットがあることも述べておこう。
 田圃の中には例年旅行会社向けの特設桟敷が設けてあるが、どうやらいつもより増設して大きくなっているようだった。前日ほぼ終日好天で風も良く吹いたと思うのだが、とうに刈り取りも終わった田圃はじっとりと水気を含んでいた。三脚を置く場所の一部はまだぬかるんでいる状態。
 なんとか観覧場所を確保し、それからスターマイン競技の打ち上げ場所を訪問する。早くも設営を終えた出品業者もあるが、殆どはトラックから荷下ろし中という早い時間。現在は打ち上げ現場で筒に玉を装填する業者は非常に少なく、たいていは工場で装填し防火シートを被せるところまでの仕事が終わっている。現場でトラックから運び出し、並べて配線するだけ、という段取りである。とはいえスターマインの枠も並べてただ置くだけではなく、杭打ちして固定するのでそれなりの土木作業も伴う。それにしても従来よりは手早く進み、演出上重要でかつ緻密な確認作業の必要な電気配線などにより時間をかけるようになっているわけだ。
 堤防上では彼岸花が萌える中で広告枠仕掛けの準備、木枠6枚分くらいのでっかいレンコンがセットされていた(で、広告仕掛けでいつものレンコン音頭が聴けるかと思いきや、音頭→Dance!というくらいPOPな新曲になっていた)。
 終日晴天という天気予報だったが午前中を中心に曇りがちで、その分焦がされずに済んだ。正午に堤防道路の場所取り解禁の状況を見届け、各地からの愛好家諸氏に挨拶したり歓談したりして過ごす。今日は混むだろうと14時頃いつもより早めに機材を取りに戻るとちょうど車が日陰になっていて風も涼しく、しばしお昼寝タイム。
  
 陽が落ちるとやはり冷え込んでくるので上着を着て本番に備える。風は予報通り東方向から。正面の堤防道路はもうぎっしりの立ち見客で埋まっている。幸いに今回の観覧場所には堤防道路を通らずに入れるので混雑に巻き込まれることはなかった。しかし田圃だからカートを使えないので足下の緩いところを機材を抱えて運ばなければならない。
 この日は朝から、NHK、日テレ、TBS、フジその他と、何社ものテレビ取材クルーが打ち上げ場から観客席に至るまであちこちに出没していた。夜に備えて準備をしていると、某テレビ局(の下請け)のアポ無し突撃取材を受ける。どういう番組内容にするか絵を録りながら決める、という超激アバウトさだったが、インタビューをお受けした。ふふん、私は慈悲深いのである。しかし相手が告げた番組と後日の放映日にそれを確認したら綺麗サッパリとボツになっていた。あちゃー。ふ、これだからテレビ屋は信用できない。
   

恋って楽しくて!!切なくて!!
須永花火

ふるさとの四季
関口煙火工場

ふるさとの四季
関口煙火工場

白い世界
山内煙火店

秋の情景
伊那火工堀内煙火店

無限の彼方へ
ファイアート神奈川

さみだれより移りゆく景色
斎木煙火本店

昴〜遙かなる旅路へ〜
野村花火工業
4号で昇り小花4個付き……

It's aワンダフルワールド
筑北火工堀米煙火店

土浦STAND BY ME
丸玉屋小勝煙火店

土浦STAND BY ME
丸玉屋小勝煙火店

ようこそ日本へ
田熊火工
.gif
奪われた宝石
糸井火工

奪われた宝石
糸井火工

Acrobatic Fire
和火屋

ゴッドファーザー in the sky
芳賀火工

美しい国・日本の花
菊屋小幡花火店

花火七変化
紅屋青木煙火店
ザラ星もポカ玉も四度変化……

華麗なる舞姫
山崎煙火製造所

スターマイン・花
マルゴー
marugo_s3.gif
スターマイン・花
マルゴー

スターマイン・花
マルゴー

スターマイン・花
マルゴー

スターマイン・花
マルゴー
ザラ玉も千輪も点滅小花……
   
 プログラム誌で好感が持てたのは、今年から大会提供花火と広告仕掛けが競技の中のどこに挿入されるかが明記されていたこと。この点は大曲のそれより各段に親切だ。
 序盤でやや風が弱含みで、下層中心に煙が停滞したがそれもしばらくの間で、あとは良好に煙を流し、ほぼ下から上までクリアーなコンディションだった。
 スターマインはいまや土浦のメインとなる競技部門。いくつかの業者を除けば、やはり極めてハイレベルなことは間違いない。普通の花火大会なら締めを飾るようなスターマインばかりだ。しかも使用玉やその構成、演出は各業者とも練りに練られ、細部まで計算されたものばかり。端から順に焚いているだけ、というような作品はほとんどみられない。こうしたスターマイン群を続けざまに観られるのはなんと素晴らしいことだろう。
 それだけに欲と無理を承知でいえば、似たような部品、玉が多すぎて、玉そのものにオリジナリティのある作品が少なくなってしまったかなぁと感じる。野村花火ばりの白キラを仕込んだ千輪小花と、八方咲き(万華鏡系)が業者が違えど非常に多く登場し、どの業者も研究しているなぁと思った。
 この部門、今宵はまさに千輪合戦。千輪好きには絶叫とともに何度気を失っても許される。とくにマルゴーの「花」では和火系の入りからやがて極彩色の千輪花畑へと誘う、至福のひととき。次々に打ち出される千輪絵巻に気を失う暇さえ許されない。そしてこのマルゴーがスターマインの部で優勝し、長らく茨城県勢が守り抜いてきた、部門優勝、ならびに内閣総理杯の牙城を崩したことは素晴らしい成果だったと思う。同社は土浦に参戦して以来、我々愛好家共の評価は高いものの、毎回工夫されたパフォーマンスでありながら審査結果に恵まれなかった。今回遂に当初の目標を達成したことは心より賞賛したいと思う。
 野村花火、和火屋、田熊火工と独自の千輪を必ずあしらうであろう業者も、お約束のようにやはり出してきて、「待ってました」と受け止めるのも楽しい。
 嬉しかったのは芳賀火工。アナログ点火全盛の時代、スターマインを素晴らしい点火タイミングで御していたのは芳賀火工だったといっても過言ではない。来るときに来る、長くもなく短くもない絶妙の間、被せ打ちの息もつかせぬ間。緩急を使い分け、観るうちに知らずに芳賀火工の打上のリズムに引き込まれてしまうそれは快感と呼べるほどだった。
 デジタル、つまりコンピュータ点火器が席巻しようという現在、他のあらゆる分野でもそうだろうが、アナログの資産をデジタルの数値に置き換えるのは容易くない。勘や塩梅、さじ加減といった微妙なそして人によって違う分量を正確に数字で表すのは簡単ではない。私が携わるデザインの世界も写真の世界もアナログからデジタル化されたからとてもよくわかる。
 花火においてのタイミング、つまり間(ま)とかも、どれくらい空けるのか?どれくらい待つのか?それを点火ボタンを押す人の呼吸でやっていたものを、ではその呼吸はコンマ何秒なのかをその煙火店独自の資産として残すのは難しいに違いない。
 だからアナログ点火でスターマインをまさに神業のような呼吸で打ち上げていた業者が、そのままコンピュータ点火器を導入してもなかなか直ぐにはアナログの呼吸が再現されないものだと思う。専用コンピュータ点火器のプログラミングは計算でするのではなく、入力はアナログ的な操作で出来る。しかしそれを実行した時やはり人が順番にスイッチを押していくのとは微妙に違うのだろう。
 今夜の芳賀火工はアナログでやっていた時のまさに絶妙といえる点火タイミングが見られた。いやデジタルの中に再現されていた。デジタルを導入してしばらくは、うまくかみ合わなかったかもしれない。感じたのは、芳賀火工の玉であることもさることながら、「ああ、芳賀のタイミングだ」ということ。おそらく演出、プログラミング担当者は才能もさることながら、過去の芳賀火工の打上をビデオなどで何度も見て研究したのではないかと思う。
 優れた者がデジタル技術を手にしたとき、新しいステージでより優れた仕事が出来る。アナログで駄目だった業者がコンピュータ点火器を手にしてもその機械でできること以上のパフォーマンスは無理なのだ。素晴らしい打ち上げタイミングはマシンの中ではなく、操作する人の内にある。
    

昇曲導付三重芯変化菊
山内煙火店

昇曲導付三重芯変化菊
和火屋

昇曲導五重芯変化菊
小松煙火工業

昇り曲付八重芯変化菊
赤城煙火店

昇り曲導付三重芯変化菊
臼井煙火

昇曲付四重芯銀点滅
山崎煙火製造所

昇曲導付五重芯変化菊
菊屋小幡花火店

昇り分砲付四重芯菊先黄銀乱
伊那火工堀内煙火店

昇り小花付姫菊
小口煙火

昇り曲導付四重芯変化菊
紅屋青木煙火店

昇曲導付四重芯銀彩の華
篠原煙火店

昇り雄花四重芯変化菊
太陽堂田村煙火店

昇り曲導付八重芯変化菊
一福煙火店

昇曲導付三重芯変化菊
イケブン

昇り曲導付四重芯変化菊
野村花火工業
kakigori.gif
いちごの味のカキ氷
静玉屋
tiara.gif
昇曲付光のティアラ
イケブン
mirrorball.gif
昇曲導付ミラーボール
豊橋煙火
medaka.gif
メダカの学校
六葉煙火
kani.gif
かに・カニ・蟹
信州煙火工業
>xmastree.gif
煌めきのクリスマスツリー
海洋化研

あでやか銀の華
篠原煙火店

かざぐるま
北日本花火興業
  
 堤防道路だと混雑で動けない状態になってしまうが、後ろの田圃だと撮影中はフィルムを換えたりなどで結構数歩だが動いている。それで足下を踏み荒らし、結果として泥田状態。靴も泥だらけ。
 割物はいずれも、曲導の昇り先を固唾を飲んで見守るような、相変わらずの多重芯が勢揃い。その中で、ちょ……ま……おいこりゃ出来過ぎだろ、というのが赤城煙火と一福煙火。多重芯がズラリ並ぶ中での出品作は控えめな八重芯だが、それは完璧な八重芯。きちんとキマれば、八重芯はこうも美しいのかと驚く。
 イケブンの三重芯も競技用スペシャル玉なのか大曲に続いてキマる。しかも盆も大きい。青木煙火の四重芯は近年に観た中では一番の出具合だったと思う。
 野村花火は手堅く必ず決まるであろう四重芯だった。開花して直ぐに「優勝だぁぁ」と叫んでしまった(まぁ割物部門トップだったから間違いないわけで)。印象としては少しこぢんまりだったのと、いつもの配色だったのと力強く雄大に開くという野村花火の割物としては元気がなかったかな、と感じた。星の飛ぶスピードが弱々しかったと思う。しかしそれ故にか芯の出具合、揃い具合、丸さはやはり抜群。総合点でみればもちろん、多重芯において玉名どおりに開いてそのように見える、ということだけでも他と一線を画している。どうしても芯部がいびつだったり、上を向いたり、瞬時に消えたりと多重芯出品作がことごとくそのように造りながらもその形に決まらない中で、野村花火がいくつかの鑑賞チェックポイントでどれもが水準以上というのはやはりなかなか誰もが到達出来るわけではない高みなのだなぁと思う。
  
taikai3.gif
ワイドスターマイン・土浦花火づくし
taikai7.gif
ワイドスターマイン・土浦花火づくし

ワイドスターマイン・土浦花火づくし
taikai11.gif
ワイドスターマイン・土浦花火づくし

ワイドスターマイン・土浦花火づくし
taikai15.gif
ワイドスターマイン・土浦花火づくし
taikai18.gif
ワイドスターマイン・土浦花火づくし

ワイドスターマイン・土浦花火づくし
taikai20.gif
ワイドスターマイン・土浦花火づくし

ワイドスターマイン・土浦花火づくし
taikai22.gif
ワイドスターマイン・土浦花火づくし
  
 「ワイドスターマイン・土浦花火づくし」は昨年度より一箇所増え、またトラものの5方向扇打ち7箇所などが加わり、一箇所あたりの玉数も増えて見応えのあるプログラムに成長してきた。一箇所あたりは複数の業者が担当しているが、ひとつの業者で全箇所揃えて打つので玉が混ざる事は無い。打ち方としてはワイドとはいえ、大曲や各地の大会で観られるような派手な動きはない。各所から揃えて淡々と打つ感じは、玉の大きさは違うけれどいわば長岡のフェニックスのような出し方だ。派手な演出はないものの複数業者により玉の種類は豊富だからバラエティにとんだ光景が見られる。現場を見て一箇所増えていることを知った時点で、予定した撮影場所とレンズでは左右が入りきらないと思ったが仕方ない。昨年はちょうどよい収まりだったのでもっと広角をなんて考えもしなかった次第。
 下流側8号打ちに始まり、上流側でも4号単発打ちも交え実に素晴らしく充実したワイドプログラムだった。この内容であるなら、インターバルとしてひとつの名物プログラムになりうるだろうと思う。競技大会はともすれば一般客にとっては出し物が単調であるので、こうした豪華なワイドは目に新しく競技とは別の感動を与えるに違いない。
 
 創造花火では今年は型物系が非常に少なかったと思う。撮影は例年通りカメラ3台で、うち1台は型物用だがほとんど出番がなかった。この部門優勝となった「かざぐるま」は一般客の反応が抜群で、評価は文句の無いところだろう。それで、「燈籠=ランタン」はどう反応するかと背後の客に注目していたが、これはやはり下から上とか一定の向きでないと現象を理解できないようで静かだった。というかランタンって何?という客も多いのではないかと思う。これは凝っていてうまく出している、と私ども仲間内で好評だったのは「クリスマスツリー」で、輪郭でなく立体になってるところが感心した。
 終了後は、仲間と歓談してからそれぞれの車に戻る。学園大橋は例によってシャトルバス乗り場となっているが、何台も連ねたバスの乗車口を一斉に開けていっぺんに大勢の客を乗車させる、つまり電車のような乗せ方をしているので効率が良い。これもこの花火大会が永年培ってきた迅速な観客輸送のノウハウなのだろう。机上の空論で失敗したどこかのグランプリも参考になるのではないだろうか。今年はバスのUターン地点をバイパスより手前にしていた。こうすることで一般車両のバイパスへの昇り口へ向かう車線をひとつ潰さないで済むので、より退出がスムースになっていると思われる。バイパス道路は昨年より混んでいるようだったが、車を出してからは25分で常磐自動車道にイン。快走して帰宅。
INDEXホームページに戻る
日記のトップに戻る