花火野郎の観覧日記2007
観覧日記その18 10/20
第20回 やつしろ全国花火競技大会
熊本県・八代市
昨年はどうして行かなかったのか?という話を現地でしたら、観覧記をよく読んでいただいている方から「タイヤ交換」の話を聞いて、あーそうだった。へたった車のタイヤを全取り替えして、八代の旅費が消失してしまったのだった。さすがに九州となるとあれこれ旅費がかさむので近県に観覧に行くようにはいかない。積み立てとか節約とか長期展望で計画を立てないと、10月にもなると夏に痩せた懐具合が響く。
今回、とにかく正規ルートで一番安い価格の航空券は?とWebで予約できたのは、羽田発8時35分のほとんど朝いち便。もっと早いのもあるが時間的に厳しい。これでも暗いうちに自宅を出て始発の電車で上京しなくてはならない。しかしこんなに早い時間でも都内の山手線は混んでいるんだよなぁ。空港なんかもう早くも混み合っている。航空機で移動なんてことに縁がない私は、羽田が改装され、ANA便が第2空港ターミナルになってからは初めて利用するのでもの珍しい。
往路は向かい風が強いとかで100分ほどのフライト。向かい風といっても高度1万メートルでは時速200キロもあるらしい。その超高速なアゲインストに吹き飛ばされない航空機は凄い。
実はほとんど寝ている間に熊本空港着。航空機はいちばん熟睡できる。バスに乗り継いで八代駅には12時過ぎの到着だった。花火終了後の宿泊地は熊本駅なのでここで帰りの切符を買っておく。ついでに駅の観光案内所でプログラム誌をゲット。その間にも改札からは三脚を携えた客が次々に降りて出てくるのを見て気が焦る。まさか鉄マニアや野鳥の会じゃあるまい……。
本部席と対岸のいつもの観覧場所あたりに到着したのは1時近く。すでに場所によっては愛好家というより。地元の客によって場所取りされていた。前日入りした愛好家仲間より、昨晩現地から連絡が入っていて、この対岸の場所取りの様子を聞いていた。対岸はメイン会場ではないから、最初に風向きの関係で対岸で観た時は本当に誰も居ない場所だったのに、現在は開始時刻ともなればそれなりの観客で賑わっている。
堤防道路は午後2時過ぎまで普通に車が通っているので、どのシート類も敷かずに立ち入り禁止のロープに引っかけてあるだけ。道路にガムテープを貼らないあたりは熊本の客は行儀が良いといえる。
既に各地からの愛好家もお早いお着きで、見知った方々はもちろん、この地で初めてお会いする愛好家にもご挨拶。あちこちで話し込んでいるうち午後2時の通行規制時間にもなれば一般客もシートを展開し、我々も三脚を定位置に据えてと観覧の準備。
この頃は風向きが思わしくなく、何っ向かい風?と不安と動揺が広がる雰囲気だった。結局打ち上げ時間帯、つまり夕刻からは海へ向かってのほぼ北〜北北西の順風となった。風は充分強く、それ故に視界はクリアーで花火も綺麗に見えたわけだが、同時に「寒いっ」晩だった。うーむ恐らく八代では過去経験した中では一番の冷え込み感か。もちろん対策は怠りない。ジャケットにはインナーを付けてあるし、使い捨てカイロにマフラーまで用意。これらを駆使して寒さ対策は万全である。
レクチャー花火から始まるいつものスタートだが、進行アナウンスが良く聞こえる。かつて堤防道路に備えてあったスピーカーは無くなっているのにどうして?と思ったら中州の一番下流側に大型のスピーカーが設置してあるのだった。これ一発で対岸に充分に放送と音楽が届いている快適な音響。
5号・昇曲導付三重芯菊
筒井隆仁/高田花火工業
昇曲付四重芯変化菊
小松忠信
グラデーション光の花束
野村陽一
グラデーション光の花束
野村陽一
15号・三度変化芯菊先紅銀世界
青木昭夫
昇曲付四重芯菊花の誉れ
篠原茂男
昇曲導付三重芯菊先光露
山内 宏
スターマイン・雨に歌えば
塚本典利/塚本花火工業
15号・彩色の千輪菊
青木昭夫
ミュージック花火
ページェント
〜幻想的世界への旅〜
ミュージック花火
ページェント
〜幻想的世界への旅〜
ミュージック花火
ページェント
〜幻想的世界への旅〜
ミュージック花火
ページェント
〜幻想的世界への旅〜
ミュージック花火
ページェント
〜幻想的世界への旅〜
昇曲付四重芯変化菊
小幡清英
ひよこの可愛いあんよ
今野正義
昇曲導付三重芯変化菊
今野正義
昇り曲付き四重芯変化
青木昭夫
5号・睡蓮の花
磯谷尚孝
昇曲付三重芯変化菊
磯谷尚孝
しかしこの進行アナウンスといったら。「呼び出し」が多すぎる。しかもこの「それではお呼び出しです」を入れてくるタイミングが絶妙というか、何度も苦笑してしまった。「さぁ、いよいよ……の始まりです……ここでお呼び出しです」「さぁ競技に戻りましょう……ここでお呼び出しです」とか肩すかし、というかフェイントというか、ずっこけるというか。こちらもいざ、とレリーズを持って気持ちを集中させて出を待っていると、テンションが高まったところで「呼び出し」。おっとっとっと、打ち終わったら直ぐに呼び出しすればいいじゃないか。それをどうしてこれから打ちます、と言う前に入れるんだ(泣)。
……さん、本部までお越し下さい……とか自力で本部に来られるくらいなら呼び出されてないって。いくらツアー客が多いからって、「北海道の皆さんペンライトを振って下さ〜い」とか自らの言葉に酔いしれているのかこのアナウンス嬢は。と嗤いながらも観覧は進む。
有料席にはペンライトが配られたらしいが、アナウンサーの呼びかけで全員がそれを点灯して振ると、対岸からみればそれは凄い数だった。そういえば夕刻には下流の新萩原橋を渡るとりどりの観光バスが数珠繋ぎになっていた。そしてその橋に繋がる国道にも数珠繋ぎの大型バス。たいへんな数だ。それだけお客、しかも各地からのバスツアー客が増えたということか。かつて表彰式の挨拶で「(大曲のように)ツアー客を呼べるような大会にしたいっ」、と八代市長が切に願ったその通りになったわけで目出度し目出度しと。
10号割物は最大で四重芯ということで成功率が高まりなかなか接戦だった。残念ながら野村花火は滅多になくキマらなかった。しかし小松煙火、篠原煙火、山内煙火、菊屋小幡花火、紅屋青木煙火、北日本花火興業の三重芯、四重芯はいずれも綺麗に咲いて見事だった。なかでも篠原煙火は久しぶりにキマった四重芯で嬉しく眺めた。
青木煙火謹製の15号はいずれも素晴らしく、とりわけ2発目の千輪はその小花の散り具合の広範なことで感動的だった。会場からも大きなどよめきが(それ以上に此方の愛好家共の絶叫がより強く)沸き上がっていた。
ミュージック花火は、凄い技術と演出だが、(我々が多く観過ぎているせいもあるけれど)少々拍子抜けだった。期待感が凄かったせいもある。なにしろ昨2006年のここでのミュージック花火は相当良かったらしく、その勢いのまま長野えびす講のミュージックスターマインに繋がっていった。昨年の八代は観ていないけれど、同青木煙火店によるワイドはえびす講で体験済である。それと同等かそれ以上のものが観られた、となれば此度の八代も期待しないわけにはいかない。
しかし全体として少々色味に欠けていた。そしてやたら点火の数は多いものの中盤はフラッシュやトーチばかりの部分が長すぎて高揚感が飛んでしまった。閃光の往復、その繰り返し繰り返し、その間ひとつの打ち上げ玉もザラ星(マイン)すら飛ばない。そのスピードや楽曲とのシンクロ具合は絶妙で視覚的には斬新だけど天下の青木煙火、こういう仕掛けものじゃなく打ち上げ玉を観たいのだ。
主体は圧倒的な量のピンク点滅ものと、終盤の銀、銀、銀の白、その2色しかない印象。打ち上げ玉の殆どをそこで大量に出してしまって他が単調に感じられた。
撮影の上での新しい出来事は大きめのカメラザックを新調したこと。かつてのカメラザックは小ぶりすぎてカメラ1台が限界でそれ以外のものは着替えも入らない。航空機利用の観覧になるとカメラバッグ、カート、三脚、着替えなどを入れたデイパック、ウエストポーチなどと分散するいくつもの荷物をザックと三脚だけにまとめたかったのだ。
元山ヤとはいえ、ブランクを経て全てがひとつのザックにまとまっているのは現在の緩みきった年齢ではなかなかに重い。まぁ慣れればもう少し詰め込めるだろう。
撮りはカメラ2台。ワイドを付けて15号向けのサブを追加している。立ち位置は対岸の正面というのを避けて下流側に距離をとったハス位置。これは15号が対岸の正面では300メートルちょっととかなり設置場所が近くて画角的に厳しいからだ。
誤算でもないけれど予想外に「お月さま」がうまい具合に昇ってきて10号割物とからむ位置に鎮座したこと。しかし雲がかかったりして全て影響したわけでもない。ちょうど半月くらいで、月として画角に入っても絵として許せるフォルムだ。
八代の内容は相変わらず良いレベルだ。九州とその近県の花火ファンにとっては、競技という名のいわば出張公演になるこれらの打ち上げは、インターネットなどで見知っている噂の名花を実際に目の当たりに出来るまたとない機会だと思う。本州の各作家による三重芯以上の多重芯、北日本花火興業の型物、磯谷煙火の睡蓮、野村花火の変色の種類が増えたグラデーション星、最先端のコンピュータ制御のワイドスターマインなどは、知ってはいても本物を実際に観る機会は九州ではなかなか得られないと思う。観たければその作家の地元の大会まで足を運ばなければならないが、それは実際は容易くないからだ。同時に九州の煙火業者のレベルアップも素晴らしい。いくつかの業者はそのスターマインを土浦で披露しても見劣りしないであろう演出とタイミングで放っているし、5号玉のレベルも高いと感じた。
帰りは正攻法で八代駅に向かったら、延々と迂回乗車の折り返し行列にはまってしまった。「いったいどこまで続いているんだ」と周囲のお客からも悲鳴があがる。行列がスムースでない理由はようやく駅構内に入れたところで判明。そこにいた各停の列車は、東京モンからみれば「ゆっるゆる」の車内。
最初にホームからこぼれるほどに客を入れさせて、ぎっちり乗せれば行列なんかぐんぐん進むのに、列車が来てはちょこっと入場させ、「まだ乗れるかな」でちょこっと入場させ、その繰り返しで最終的に新聞を拡げて読めるほどのゆるゆるで発車。つまり効率が悪い。
その列車内では観覧に来た中年婦人(俗称・オバちゃん)が満足そうに話していた。「たまには感動するモノを観なくっちゃ。心の栄養剤ってものよ」。うんうんそうだなぁ。花火を観て感動できる、というのは素敵な人生の楽しみだと思う。まー我々愛好家は栄養過多といいますか。多分心はメタボ状態?
そんなこんなで熊本駅着は22時36分。駅を出て何か食べようとしたらどこも看板という状況に泣く。仕方なく駅近の飲み屋に入ってつまみとご飯をとって遅すぎる夕食だった。どうせこんな時間だし適当なモノが出てくるだろうと思っていたら手抜きのない美味しさで満足。
INDEXホームページに戻る
日記のトップに戻る