花火野郎の観覧日記2008

番外特別編5 12/23>25
熱海海上花火大会
  
静岡県・熱海市


オープニング

デジタルスターマイン
1223nishikistarm.gif
錦冠スターマイン

空中ナイアガラ
   
23日

   
……1年待った。
 今年08年の元日、これが観られるなら何度も観たいと感じたATAMIX花火。しかし2007年12月25日と本年元日の2度のATAMIX花火が一期一会のスペシャル仕立てになってしまった。結局一年をかけてそのことを確認しただけだった。タイトルに同じATAMIXと付けば元日と同じ感動がまた、と期待して、一度は封印した熱海に今年は何度も通った。残念ながらそれは片思いにも似た一方的な期待だった。どこかで往年の熱海を期待し1年待ったがそれは一期一会だったのだと確信した。花火は常に一期一会だと思う。一度きりの出逢いと感動しかない花火がある。もう一度と願ってそれが叶わないとしても、ただ一度だけでも観られたならやはり幸せだったと思う。だから08年の元日の15分は幸せな時間だった。
 親水公園の一角にはNPO法人熱海元気ですよ委員会提供の巨大なツリーが鎮座し見事な輝きを放っていた。アタナリエと称したそれは地上高30メートルと、名古屋港のそれよりさらに1高く他にあまり類を見ない立派なモノだった。このツリーだけで電飾は60,000個を要しているという。
 しかしせっかくのツリーを花火からみで一緒に撮るには、立派すぎ、背丈が高すぎ、さらに設置位置が最悪過ぎてまったく無理だった。このツリーに名古屋ほどの周りの余裕があったら写真的には色々と狙いようがあるのに惜しい。おそらく特設ステージの背景にツリーが来るような設置と好意的に見るが、できれば親水公園のムーンテラスの真ん中に置いて欲しいと写真屋は勝手に願う。
 クリスマスの2日前の休日。各地で花火がらみのイベントは数多い。だから花火愛好家がこの熱海だけに集結しているというほどではなかった。私も別の場所を考えていたがこれまで熱海になかった立派なツリーを実際に観て花火込みの写真にならないだろうかと検分しに来たのである。それも単純には難しいとわかり、親水公園でしばし愛好家と歓談後は、実際の観覧は駅に近いいつもの場所にした。
 23日、観光協会主催の海上花火大会の開始時には、まだNPO法人熱海元気ですよ委員会(ATAMIX海上花火大会)主催の打上日が近日中の翌24日、25日、31日新年1月1日と4回も残っているのに、「本年最期の熱海海上花火大会です」とアナウンスした。これはないだろうと他方に同情する。こういう冷たい対立はどうしたものか。同じ熱海を舞台に同じく熱海を良くしようというイベントなのに、他方はまるで存在しないかのような扱いはどうだろう?
 内容は近年のいつもの熱海。最初と最後とデジタルの3つの出し物の間を冗漫な単発打ちで繋ぐ。単発打ちに一カ所からの10号がそれも多重芯が入っていたりするのが見どころとも言えるが、そういう部分を抜き出して良し悪しを論じても仕方ない、と言えるほどこの散漫な単発打ちは時間稼ぎとしか思えない。
 4〜5号の中段域で煙が滞留してコンディションはいまひとつ。空中ナイアガラはラスト10号入りこの滞留した煙を突き抜けてその上で開いていたのでで見映えは良かった。
    
    
    
    
   

オープニング

デジタルスターマイン
1225niagara.gif
空中ナイアガラ
    
25日  

 予報通りの強風だった。昼間から待機中の愛好家によると午後はもっと突風だったらしく少しは収まって良かったと言っていた。とはいえすっ飛ばされる風強の晩。ぴぅぅぅぅぅぅと花火の星も軽やかに飛ばされていく。
 時間短縮型のATAMIX。構成は正味、開幕一斉、デジタル、空中ナイアガラの3本だけが見どころと言って良い。開幕こそ全て錦冠のATAMIX仕様だが、途中何度か小型煙火の歳末総棚ざらえ一掃セールやスターマイン、10号対打ちなどもあるがデジタルの内容は23日の観光協会主催日とまったく同様だし、同じ内容を合間を縮めて消費しているようなものだ。
 この日は進行アナウンスが皆無だった。かろうじて5秒前からのカウントダウンは聞こえるもののあとは、いきなりデジタルが始まり、いきなり空中ナイアガラで終わった。終了しましたのアナウンスも聞こえない。考えていた段取りも吹っ飛ぶほど進行が読めなかった。
 ……なにか当初は通常の熱海海上花火大会とは一線を画した凄い打上だったATAMIX花火だが、短時間で打つというだけで内容は観光協会主催とほとんど変わらないものに成り下がってしまったのは残念至極。中味の薄さを競うだけになってしまっては共倒れである。返す返すも一年前のパフォーマンスは一期一会だったと思い知らされる。ご時世を考えればより以上になるはずもないし、しかもこの冬の消費に関しては花火よりコンサートの方に費用を割いているかのように思える。
 1年前の25日も凄い花火にもかかわらず閑散としていたらしいが、今夜もまた恐ろしく客が居ない。23日の観光協会主催日には露天商が出ていたが、それも1店舗も無い。賑わっているのは親水公園の特設ステージがある広場だけで、他にはほとんど観覧客が居ない。平日とはいえひどすぎる。観る者の居ない花火のなんと寂しく見窄らしく痛々しいことか。我々愛好家はともかく、広報が足りないのかどうか一般客は存在すら知らないのだろうか。もっともチラシの類も配布を制限されているようでポスターもどこにでも貼ってあるわけではない。知ろうとしなければ知ることの出来ない範囲の花火大会なのだ。
 私の住処からは熱海観覧は1万円近くの交通費がかかる。なにかのついでに通りがかりに観るならともかく、わざわざ行くとなるととてもその見物料に見合う出し物ではない。私はこの25日を観て同等の内容という元日観覧を見合わせようと思った。ボーダーラインを越えないのだ。1万円払ってでも観たい、か1万円払うに見合わないか、の。「もういい……」私は待ったのだ。再び心が踊るような熱海の花火を。1万円あれば家族揃って外食ができる映画も観られる。しかし私一人で1万円消費して、しかもその見返りもないとなれば考える。少なくとも私はその費用で家族の笑顔を見たい。かつて最盛期に家族に熱海の花火を見せた。けれど今はとても「どぉよ」と見せられる内容ではないのが悲しい。
 不況の折り、近場の好適な温泉地として再び熱海は注目され、客を呼んでいるらしい。夜景を見ると旅館やホテルの部屋にはそこそこ灯りが点りそんな人気を反映しているようだ。その反面、居住用等として売り出されたであろう多くのマンション群には墓石のように灯火が無いところが多く対象的だった。旅館やホテルをつぶした更地には未だいっこうに着工に至らない場所も多く、中断されたであろう工事も見受けられる。強風にせかされるように立ち去る熱海は妙に暗かった。
 現在の熱海の花火は、一般の観光客が宿泊したついでに花火が観られればラッキーという程度の内容だと断言できる。花火ファンが費用と時間を費やして花火だけを観て、投資に見合う内容ではないとはっきり言える。かつてはそれに値した。今は全く無理だ。それは打上場所の遠近でなく、花火内容そのもので。そう断言せざるをえない私は泣き濡れている。煙火店は努力している。煙火店のせいではないのだ。熱海の花火をどれほど素晴らしいと伝えたかったか。でもできない。心で啼きながら訴える。ひとつの熱海に二つの主催者。予算も限られた中で開催日ばかり増やし、どちらがどれほど見窄らしい打上をするかを競ってどうする?握手をすれば倍密度の打上ができるのに。時世と景気を鑑みれば今後の期待もできないのが悲しい。
INDEXホームページに戻る
日記のトップに戻る