花火野郎の観覧日記2008

番外特別編3 3/22〜
マザー牧場夜まつり
  
千葉県・富津市

daishamen.jpg マザー牧場を初めて訪れたのは15〜6年前。花火関連ではなく単純に家族連れの行楽ドライヴだった。当時は房総半島の付け根から先は下道でほぼ海岸沿いに南下するしかなく、私の前の住処からは車でトータル5〜6時間もかかった気がする。その後牛や羊で喜んでいた子供も大きくなって出かける機会も無く足も遠のいた。現在は首都高速に接続する館山道やアクアラインなど高速道が延伸して整備され、最寄りの君津インターまで90分もかからない。ちょっと春景色を楽しみに房総方面に行くのも便利になったものだ。
 以前出かけたときもちょうど春先で桜はまだだったが、菜の花は楽しむことができた。その膨大な菜の花畑は印象的でそのうち再訪してじっくり撮影したいと思いながら、この間花火にのめり込むことにもなってずいぶん経ってしまった。
 久しぶりに来てみるとだいぶ施設が増えていて驚いた。花火に夢中になってからは情報を集めるとこの牧場でも花火イベントが開催されるようになったことも大分前から知っていた。今回花風景プラスちょっと花火ということで午前中から閉園まで撮影を楽しんだ。ちょうどこの時期は、菜の花はもちろん水仙、梅、桜と春の花々が満喫できる。
 関東最大級を誇る菜の花の斜面は見事なままだ(写真右・東側の花の大斜面)。月日が経ってあちこちで立木の背丈が延びて以前と同じアングルというわけにはいかないが、新たな構図も考えられたりして楽しい。牧場全体ではかなり面積があるのと、その中で起伏に富んだ地形が伴って撮影のためには三脚を担いで登ったり下ったりを繰り返すことになるのでなかなか体力が要る。菜の花の斜面ひとつでも上から下から横から、太陽の動きと共に半逆光から順光へとアングルや光線具合の変化でいくらでも撮影できる。
 車で出かけると駐車場料金と入場料がかかる。近くに住んでいて繰り返し来られる人は入場料については2年間パスを買ってしまう方がお得かもしれない。    
  

菜の花大斜面・西側
   

菜の花大斜面・東側
   

満開の梅園を散策する道
   

菜の花の小径
   

ライトアップされた菜の花畑
   

ライトアップされた菜の花畑

見下ろしの斜面と谷底から
上がってくる花火という
厳しいロケーションで一発撮り

二重露光

西側山斜面上部からの撮り
  
 夜まつりイベントのメインは菜の花や桜のライトアップと和太鼓演奏。通常17時の閉園を19時30分まで延ばし、宵が迫る中、しばし夜の花見が楽しめるという趣向。ライトアップは牧場全体でやっているわけではなく、この時期の一番の見どころである菜の花の大斜面とその上部にある桜並木を中心に大規模にライトアップしてみせている。あとはゲートからそこに至る桜並木のみ。これに花火が華を添えるが最大で3号玉程度、玉数は50発ほどなので物量花火目当ての人には向かないと思う。18時20分頃から和太鼓演奏が始まり、演奏曲目にもよるが15〜30分くらいで演奏終了後に花火打ち上げとなる。
 千葉県には高山が無いわけだが、それでもマザー牧場のある鹿野山は標高で350メートルほどと、いささか高台にある。その標高差のせいで暖かい南房総といっても牧場の各所に咲き乱れる花々の見頃は、東京都内よりやや遅れ目となる。スタッフの話では桜の満開時期も東京で満開になるとさらに1週間は後になるという。確かに日中は陽に焦がされて動き回って撮影していると汗だくになるほどだが、18時前後にライトアップも開始され次第に暗くなると、標高も相まってどうにも寒くなってくる。曇り日や風が強めの日にはダウンなどを着ることも必要だ。牧場ということで新鮮なソフトクリームも人気なのだがこの時期は野外で食べるにはちょっと肌寒い。
 さて花火はどこから上がるのか?というのが私などの最大の関心事。案内所のスタッフに尋ねてみると、打ち上げ地点を教えてくれた。「近いんじゃね?」と言うと、保安距離をとってお客には予めそのエリアから退出してもらうため大丈夫ということだ。
 打ち上げは牧場エリア内で2つの高台の中間の谷底のような場所からでかなり近い。日中は散策路になっている所で、だいたい17時頃から進入禁止にしてセッティングしているようだ。一般客が観覧するメイン会場は、ライトアップされた東側の花の大斜面の上部で、ここに和太鼓の舞台や飲食の仮設テントが並ぶ。しかしその場に立つと打ち上げ地点方向に前へ落ちていく斜面で、その底の方の至近距離から打ち上がるため、よほどの広角でないと菜の花を下方に配したまま(ここまで来て花火だけ撮るのは意味がないっしょ)一発撮りは不可能だ。私もいちおう百戦錬磨なので、ロケーションを見ればその不可能さかげんが判る。こりゃまぁ、やるとすれば無理矢理だな。
 菜の花ライトアップはやはり黄色い花という反射率が高いせいか、それほど強力照明とも(被照射面積が広すぎる)思えないが、花火露光の時間くらいでぐんぐん写る。だから露出的には一発撮りには苦労しないが、画角的にはかなり無理があるのだった。それで一発撮りと普通は滅多にやらないが合成(二重露光)による撮りも試してみた。
 玉は小さいけれど近いので高く上がるように見える。見ている位置と打ち上げ位置の標高差はややあるもののそれでもそれなりの高さで開く。メイン会場からの正攻法ではまずレンズは24ミリ以下の大広角が必要になってくる。初回(初日)に比べそれ以降では花火内容がやや良くなっているようだった。
 もちろんメイン会場以外のロケハンも怠りない。メイン側で苦しい画角の解決策としては花火を挟んで反対側の西側山斜面上部からの撮りで、行ってみると感触としてはいい感じだった。打ち上げ場所とその周りのロケーションさえ把握できれば確実な構図の撮影ポイントは想像できる。しかし反対側に行くには起伏のある場内をけっこう歩くのでそれを確認するだけでもけっこうキツいのだった。夜まつりのために時間延長で開いている駐車場は低い方、ライトアップされる東側の花斜面に近いゲートにしかないので、帰路は下りになるもののやはり同じ距離を歩いて戻らなければならない。反対側の山斜面は花火保安距離のため立ち入り禁止区域なので立ち位置には注意が必要。
 反対側からの撮りでは最低でも28ミリくらいは必要だ。かといって広角過ぎるとライトアップされた菜の花の部分も画面全体からすると小さな面積に写ってしまうのでその辺のバランスが肝心だろうか。同時にメイン側より距離があるので花斜面が十分に写るには少々露光を掛ける必要があるが花火を打つピッチに合わせると足りない傾向。しかしライトアップ用の主に3基の照明塔がモロに入り込む形になるので掛け過ぎも要注意だ。
 花火打ち上げが18時40分くらいだが、3月中旬〜4月上旬と日一日と陽が長くなっていく頃なので空が暗くなりきるかどうか微妙な開催時期と開始時刻。 花火の方はけっして物量が上がるわけでも、名人の名花でも多重芯の大玉でもない。でも菜の花や桜との競演という舞台は写真屋にとってはそれら以上の魅力があるのだ。
(菜の花の大斜面・東西の写真以外は全てデジタルカメラ使用)

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