花火野郎の観覧日記2008

観覧日記その21  11/23
第103回 長野えびす講煙火大会
  
長野県・長野市

 えびす講の直前になって車が入院した。ある日なにか匂うと感じて、ボンネットを開けてみたら白煙が……マジっすか……。
 うーむ、長野まで高速走行中に炎上なんてことになったら恐ろしい……というわけで懐は厳しいが修理することに。このご時世、不具合があっても大事に修理して使い続けるのが得策と考える。自動車産業にとっては宜しくないけれど、少なくともたとえ中古車だろうと新規買い換えよりは修理の方が安い。車にはお金がかかりすぎるからなぁ。
 で、タイヤを冬用に履き替えるタイミングを逸してしまった。この週になって、長野は雪。えびす講に通って長くなるが事前に降雪になったことはあまり記憶にない。車の足周りに不安を抱えつつも発進。
 暗いうちから出発したのに長野の料金所を通過するといつもの金額。本当に深夜走らなければ割引をとれないのか……ETC……複雑すぎる。現着してみると雪のかけらもなくてホッとした。直ぐにめぼしいポイントに三脚を撒いてから帰りの分の給油を済ませる。夏に高騰したガソリンはずいぶん下がったけれど、だからといってほいほい浪費する気分じゃないが「満タンね」と言えるくらいにはなった。
 早い時間帯にも関わらず各地からの愛好家が既に三々五々場所取りに専念していた。いや某所のように愛好家だけしか居ないというわけではなく、三脚列ばかりか一般客のものとみられるブルーシート類もかなりの量だった。地元の観客は既に前日以前に場所取りしているものと思われた。かつて10年ほども前は日中は一般客など誰も居なかった観覧場所が嘘のようだ。
 延々と立ち並ぶ露天商もかつては数軒〜10軒程度しか出ていなかった。区画割の前に露天商全員を集めて責任者が挨拶をやっており、「今年は1,000発増えて、6,000発の打上になります。お客も相当見込まれるのでしっかり稼ぎましょう」と要約するとこんな感じ。このご時勢、発数が増え観覧客も増えるのは歓迎である。
 前日までの天気予報の風向きは、予報の出しどころによってまちまち。北西に対して北東とかぜんぜん逆方向なんていうのもありまたまた観覧場所を直前まで迷う。どう転んでもいいように向かって左右とセンター方向の3箇所に三脚を置いてしまったものだから、それらを順に渡り歩いては悩む、を繰り返してしまった。どこか一点に「えいやっ」と決めて「あとは、成り行き次第」と英断して泰然自若に構えればいいのだがなんという優柔不断。
 しかしながらこの一年の間に一眼レフのデジカメが加わったので、それで画角を確認しながら検討できる。最初に上流側の三脚を回収したが、やはり間合いが厳しいと判断した。少しでも下がれれば良いのだが余地がない。結局、撮影となるとえびす講でこの堤防道路上ならある程度位置が限定されてしまうのだ。その限定具合は風向きより強制的だ。いつもと違う角度や方向からと考えても、花火設置場所までの距離を考えると断念せざるをえない。
 終日曇りの寒空という予報とは違って、それを見越した格好では汗をかくほどだった。お日さまはありがたい。 打上現場で川縁にスピーカーが設置されていることに気が付いた。最初は花火屋さんのモニター用かと思ったが音の出る方向は対岸に向いている。川向こうのお客さんに配慮した設置であると感心した。
 堤防から観るときに花火配置の目印にする銀杏の木も今年は落葉が早いようだ。その根本で犀川縁に並ぶ単発用の7〜10号筒がめっきり減ってしまったのも少々寂しい。これには予算もあるけれど、観客の要望あるいはスポンサーの意向、昨今の花火大会の傾向などを鑑みて、尺を中心とした単発割物の傑作を見せるよりはスターマイン重視のプログラム立てに移行しているのかもしれない。
 夕刻に車に戻って防寒の武装をする。いったん最高レベルに近く着込んだものの、「暑い……」とレベルダウンし、軽めの武装になった。えびす講が冷えるといっても近年はそれほどでもないし、花火は切れ目なく上がるから寒さを感じないでいられる。この後に控える我が埼玉県の秩父夜祭りの方が幕間も長くてはるかに冷える。この日のえびす講では気温が低いというより、北西からの風が吹き続けてそれが冷たかった。しかしその風が花火には好適な条件を維持し続けてくれて、フィナーレまで近年になく安定して良好な条件だった。
   

七号十発一斉打
信州煙火
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スターマイン
青木煙火

大スターマイン
信州煙火

全国10号玉新作コンテスト
昇り曲付銀彩の華
篠原煙火店
ぐは28ミリにしてハミ出しですか…
小口煙火の姫菊系より
盆が大きいって…どんだけ

全国10号玉新作コンテスト
昇り曲導付虹色瞬きの牡丹
伊那火工堀内煙火店

全国10号玉新作コンテスト
昇り曲導付虹色瞬きの牡丹
伊那火工堀内煙火店-D

全国10号玉新作コンテスト
昇り曲付群花菖蒲
大曲花火化学工業
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大スターマイン
青木煙火
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ミュージックスターマイン
青木煙火

ミュージックスターマイン
青木煙火

ミュージックスターマイン
青木煙火
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ミュージックスターマイン
青木煙火
18music9.gif
ミュージックスターマイン
青木煙火

ミュージックスターマイン
青木煙火
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ミュージックスターマイン
青木煙火
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ミュージックスターマイン
青木煙火

ミュージックスターマイン
青木煙火
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スターマイン
青木煙火

十号十発一斉打
青木煙火

大スターマイン
青木煙火
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10号割物今宵のハイライト
青木煙火
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大スターマイン
青木煙火

7号10発一斉打
青木煙火

7号10発一斉打
青木煙火-D
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ミュージックスターマイン
信州煙火
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ミュージックスターマイン
信州煙火
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ミュージックスターマイン
信州煙火
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ミュージックスターマイン
信州煙火

ミュージックスターマイン
信州煙火
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ミュージックスターマイン
信州煙火
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ミュージックスターマイン
信州煙火
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ミュージックスターマイン
信州煙火

ミュージックスターマイン
信州煙火

ミュージックスターマイン
信州煙火
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ミュージックスターマイン
信州煙火
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8号玉五発
青木煙火
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8号玉五発
青木煙火

10号割物今宵のハイライト
(信州煙火)
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10号割物今宵のハイライト
(信州煙火)
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大スターマイン
青木煙火
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大スターマイン
青木煙火
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大スターマイン
青木煙火
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大スターマイン
信州煙火

十号十発一斉打
信州煙火
 
 最初の7号10発一斉打ちにして、その10発分の爆発振動で近隣に駐車された車のあちこちからピヨピヨと警報音が聞こえてきたのには苦笑した。
 もともと10号のコンテストを除いてプログラムに玉名やスターマインのタイトルを記載しないえびす講煙火大会だが、単発打ちには珠玉の逸品が宝物のように含まれている(多重芯だけでなく)。それがプログラムのどこでどの種類の玉が出てくるかわからないので緊迫感と共に観るのを楽しみにしている。多重芯では今回青木煙火で、三重芯→四重芯→四重芯→四重芯→五重芯。信州煙火では八重芯→八重芯→八重芯→四重芯→三重芯錦冠と打たれた。もちろん多重芯ばかりでなく、いつものように5発全部万華鏡系とか千輪系とか見どころは多かったと思う。
 私共の好みにすぎないが両煙火店の気合いの入った10号ラインナップをひととおり観るのがこの大会の醍醐味と考えている。だからそれが減った、あるいは10号で観られていた玉が8号、7号とサイズダウンしてしまっているのはいささか残念だ。花火愛好者としては、かつてのえびす講で感じたように凛とした尺玉の逸品の数々を観たいとは思うのだが、最大の目玉プログラムとなった「ミュージックスターマイン」を中心に連発傾向になっていくのも時代の流れと客、そしてスポンサー様のニーズなのかもしれない。プログラム誌を見れば時勢が影響しているのはやむをえないと感じるが、逆によくぞこれだけの内容を保っていると感嘆する。大スポンサーから小さなスポンサーに至るまでその協賛には感謝申し上げる。おかげさまでよそ者である私どもも仏都の素晴らしい花火を堪能させていただけ、幸せな気持ちで帰れる花火大会だ。
 青木煙火のミュージックスターマイン(プログラム18番)は、いきなりなにかのトラブルで時間通りにスタートできなかった。昨年はいよいよという段になって風向きが変わり残念なコンディションだった。今年は先行し、プログラムもまだ序盤という極めて好条件だったので力が抜けた。電気系でトラブった時、単発打ちや単基のスターマインなら手作業で直に点火する事も可能だが、コンピュータ点火器で結ばれ複雑に演出された花火群はオール・オア・ナッシング。すなわち全くひと粒も打ち上げできなくなってしまう恐れがあるからだ。
 復旧時間をしばらく機転の効いたトークで繋いでいたがそれもネタ切れになり(えびす講の沿革とかそんな長い話しを……)、結局復旧にしばしの時間を要しプログラムを飛ばして先に進むことになった。こういう間が長すぎると、退屈になりしびれをきらした客がこの間にトイレだとか、買い物だとかわらわらと席を立つのが心配なのだ。自身もこの間テンションを落とさないように気を使う。難点は、ミュージックスターマインのスタートに合わせて、カメラ2台のフィルムが1からスタートするように消費を合わせたのに、後のプログラムが挟まることで微妙にフィルム残弾が狂ってしまうこと。まぁそれも適当に撮りながら再調整して……。
 後の出し物をいくつか先行して打ち上げた後、トラブルが復旧したようで、プログラム28番の後で仕切直しとなった。ここでもまた一瞬出遅れたが無事にスタートして良かった。
 しかし楽曲とともに始まったとたん速っ。とにかく速い!しかも正面に近いエリアでは、幅、高さ、物量ともに圧倒的に迫ってくる。何かをやっている時には次の何かが既に始まっているというシームレスな演出に呆気に取られてしまう。
 打上空間の上中下の各位置で展開する花火類の多さ、速さが凄くてこれは部分を見ていては追随できないな、とすぐさま視野を拡げて、全体をボーッと視る感じに切り替える。撮りのタイミングを計るには部分に集中する事が多い。例えば筒口の火だとか下層で開く花火とかだ。今回は全体を全身で感じていないとどこでレリーズして止めたらいいかわからないほどの全速力。
 花火の全てが連続しているようで、スチルではどこかに中途半端に出ているとか、開きかけているとか、途中で切れるとかになってしまうのは仕方ない。もちろんそれは撮影に限ってのことで、観るには素晴らしい構成だった。
 扇状に打つ仕掛けもバラエティに富みかつ大きさにも出し方にも変化があり効果的に使われている。20方向くらいに打ち出しているようで華々しく見事。ちょっとした小型煙火など完全に凌駕するダイナミックさはもはや青木煙火オリジナルといってもいい仕掛けだ。
 変わったところでは、より観客に近い位置にTDLなどのテーマパークでも多用される「フレイムキャノン(砲)」を一列に並べて吹き出す炎の演出もやっていた。効果のためには何でも取り入れるという前向きな姿勢に驚く。これは多少ハス位置で見ている客には花火列とずれて存在が判りやすかったと思うが、正面辺りだと背後の花火が大きすぎて凄すぎて埋没気味だったかも……。設置するなら夜店の直ぐ後ろくらいに客に近くないと。
 信州煙火のミュージックスターマインは39番と後半の目玉。こちらも互角というか楽曲や演出の違いで別の世界を見せて素晴らしかった。3回目にして演出もこなれて持ち味を活かせているなぁと思う。青木煙火のスピードとダイナミックさに対し、マイン系の打上箇所をより細かく多く並べた演出で意外にも丁寧で繊細な印象だ。明瞭な色を配してよりカラフルな見栄えだった。
 花火は充実していたが、集中力がブツ切れの晩で撮りの上では不満が残った。客の出入りが多い中央付近だから、何があっても平静にと最初は考えていたが続かなかった。最大限気持ちが集中していたのは「ミュージックスターマイン」だけで、あとは乱されてダメダメな撮りだった。ブツ切れるのはとにかくひっきりなしに観客が堤防斜面を出入りすることで、わかっていたことだけど打上の途中だろうとなんだろうとおかまいなしだ。上映中の映画に普通に座っている客の前を過ぎって出入りするようなことをしますかね?
 場所取りしたシートに向かうならわかるが、懐中電灯も無しに当てもなくびっしり座り込んだところに入り込み、うろうろ座る場所を探すとか、あげくやっぱり引き返すとか、何を考えてか途中で帰る最初から来なくて良い客とか、三脚を蹴り飛ばされるとか……。だから、絶えず周りから背後から誰か近づかないか気を配ってなくてはならず落ち着かない。一番苦笑させられむしろ和んだのは、かなりの数のおばちゃんたちの団体さんが一斉に私の三脚の脇からなだれ込もうとしたときだ。みると皆さんの手には有料席券が……。いや、ここは違うの。有料席はもっと先ですって……。
 散々観覧場所を迷ったあげくは接近戦となり撮りには厳しい間合い。ど真ん中というわけじゃないが昨年と位置的に20メートルも変わらない左方向からのセンター寄り。「ミュージックスターマイン」で最大幅でザラ星が出た時に縦位置にした28ミリ相当の画角の短辺みちみちだったのには髪が逆立つ思いだった。打ち出しの根本がそうだということはもう打上空間全体の中心部分しか画角に入ってないことを意味しているのだ。
 2台体勢のカメラは24と28ミリと広角シフト。それ以上のレンズは用が足りない。常用は28ミリで、これでも離れた青木煙火側のスターマインにさえ10号が乗るともう上が入らない。10号単発を撮るに28ミリと工夫の余地もないのけぞりの至近距離なのだ。近い方の信州煙火の10号が上がればカメラは完全に真上を向いてしまうほど。
 撒き散らした三脚を回収しての3本立て。1本はデジカメ君に振り分けたがメイン2台のフィルムカメラにかかりきりで(えびす講はまったく余裕がない)、わずか2回シャッターを切っただけの放置プレイ状態だった。贅沢だけどポラ代わりというか写りのチェックにはこれほど重宝する機材はない。縦に長い画面比率と広角が効くズームのおかげでこの至近距離でも使い物になる。
 終わってみれば、寒さを忘れていたほどアッという間の出来事のように感じる。それは観客への配慮かどうか、ミュージック〜のトラブルを除けば、打ち終われば直ぐに次のプログラムに入る、と多少急ぎ過ぎの感はあるが合間を空けない進行にあるようだ。
 仲間内では飲み会の席もあったのだが、本日不在中にカレンダー群が着弾しており、さっそく翌日出荷しなくてはと泊まりは断念してそのまま帰る。連休中だが帰路はスムースだった。途中仮眠したり飲食したりでのんびり走る。
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