花火野郎の観覧日記2008

観覧日記その9 7/21
第62回 海の日名古屋みなと祭花火大会
  
愛知県・名古屋市

 名古屋までの殆どの時間を寝こけて過ぎる。連続観覧も3大会目。スタートからいきなり猛暑で疲労気味。
 むむ……聞いてはいたが、名古屋、暑いです。午後1時頃、名古屋港に着く。
 昨年は周年記念大会で物量も豊富な特別大会で内容は申し分なかった。それだけに天候に恵まれなかったのが残念でならない。今回はそのリベンジということで、とにかく普通のコンディションで本来の名古屋港の花火を楽しむつもりだった。
 到着後、JETYウエストの建物に昼飯がてら涼みに入るが、飲食店立ち並ぶそこはありとあらゆる食べ物の匂いが絡み合い、かえって思い切り食欲を無くした。しかも人が多すぎてまったく冷えていない……。
 温い冷房の中で少し休憩してからガーデン埠頭臨界緑園の海際に向かって多くの愛好家諸氏とお会いした。皆さんもちろん早朝、午前中早くと現地入りし、既にとっくに場所取り済み。台船を望むあちこちに三脚が林立して壮観だった。それから日陰となる屋根の下で涼みながら長らく歓談して過ごす。海からの風が吹き抜けて心地よい午後だった。
 本日は撮影依頼があり、あらかじめ指定されたJETY広場の建物の上に立ってロケハンしておく。むむ台船が見えない、まだ来ていないかそれともポートビルの陰で見えないのか……。
 ガーデン埠頭の先からは既にアンカーを打った花火台船が眺められた。昨年何倍にもワイドになっていた台船と比較すれば妙にこじんまり。これではポートビルに隠れて見えないわけだ。
 プログラムに目を通せば、台船上の設置と相まって今宵の全てが読み取れた。一見すると凄く文字数が多くて花火の出し物がいくつもあるように読める。しかし文字の殆どは協賛の「メッセージ」で、○○号早打ち、スターマインなどの花火の出し物だけ拾うと、意外なほど「身」が少ないことに気が付く。メロディは確かに大型プログラムだけれど「玉」で数えればそれほど大量には使っていないだろう。個人協賛のメモリアル花火は玉数そのものだし、単発打ちは多く見ても毎回100発程度。普通なら玉数を多く消費する出だしのオープニングスターマインを入れてもスターマインは6台のみ。総計はどうなるか?花火は玉数でなく質だとはいえ、さすがにこれで60分の花火大会を持たせるにはもう最初から無理がある気がする。
 もしこれで、5、8、10号の個人協賛のメモリアル花火(メッセージ付き)が無かったら、プログラムが成り立たない程だと思う。今回も10号協賛の半分が知り合いの花火愛好家による協賛。愛好家が抜けたら10号は半減する。いくら玉数を公表しない方針といってもプログラムは如実にその規模と予算を語っている。
 結局、最後のメロディ花火だけを見せるための花火大会、という状況で、かつてはこうではなかったかもしれない。それだけ企業スポンサーが大型の出し物にお金を出さなくなっているのだという現実を感じざるを得ない。
    

カウントダウン

メモリアル10号

スターマイン

創作花火コレクション

スターマイン・「千の光」

スターマイン・「千の光」

スターマイン・「千の光」

大玉連続打ち上げ

メロディ花火

メロディ花火

メロディ花火

メロディ花火

メロディ花火
   
 観ての第一印象は、同じ場所で行われる冬のスターライトHANABIより、夏の大会の方が元気がない。ということだった。観客は圧倒的に多いけれど、見合う出し物になっているかというとこれは予算で苦心しているなぁと感じた。昨年のこの大会が周年記念スペシャルだったから比較は無意味だが、他の名古屋市内の大きな花火大会が消滅してしまった現在、名古屋市を代表する夏の花火大会にしてはもう少し生気が欲しいではないか。
 大会の宣伝としては地元煙火店の質の良さや芸術性を全面に打ち出しているけれど、では十二分に磯谷ワールドなのか?というと今回、「ダイヤノユユビワ」スターマインで、なかなか主題のダイヤノユビワを打たなかったように、花火大会全体でふんだんな磯谷ワールドが中盤過ぎまで出てこない。本来なら「待ってましたぁ」とお迎えするところだが、正直待ち焦がれた。
 メロディ花火は確かに素晴らしい。しかし上演時間が長いだけに豊富な玉数を打つのは厳しい。ウェイトの時間が多く、全体的にこの時間を維持するに持ち玉で埋め尽くしている感が薄い。これが一杯一杯ですという感じがする。スチルを撮っていると消費量に如実に現れる。昨年はフイルムを巻いている時間さえ惜しいという忙しさだったがそれもない。
 こうした音楽付き花火で、玉を節約する王道はスローナンバーを使うことで定石を外していない。2パート目の出だしが「ツァラトゥストラ」とは、選曲段階から節約コースを考えているのだろうか。そこは流れやタイミングという演出の妙で見せているけれど、メロディの中で大玉も少ないし、終盤以外は打ち上げ玉以外のトラなどのあしらいでタイムを稼いでいる。本当に予算なりの物量だったらもっと遙かに少なくなってしまうかもしれないのを、工夫とサービス精神でうまく調整しているのだと観た。序盤中盤での節約が最後に物量を当てるのに活きて、光の宝石〜錦冠までのフィナーレは充実して拍手で終了した。
 プログラムから次のプログラムまでの合間がけっこうあり、1分打ったら4分MCなどという「喋りが多い」大会になってしまったことも私には馴染めなかった。
 ラジオで有名なアナウンサーなのかもしれないが、この名古屋港に暑い中、昼間から集まって場所を取り今か今かと待ち続けたお客の目当ては目に見える「花火」であって耳から届くラジオではないと思う。
 メモリアル花火のメッセージを読み、次は……です。と進行する以外の余計なノリのお喋りは、進行を軽快に感じさせているわけではなくただ煩わしい。そう感じるのは肝心の花火が足りなくて喋りとのバランスがとれていないからだ。
 JETY広場が眼下に拡がる、そんな観覧場所であったから、もちろんアナウンスも音楽も良く聞こえていた。
 花火スタート前、そして打ち上げの合間にとにかく喋る。たいていの納涼花火大会だと単発打ち、小玉の早打ちなど花火そのもので場繋ぎをするが、ここではとにかく切れ目のないトークで繋ぐ。
「もうおしゃべりはいいから早く次の花火を始めてよ」。と何度も思いながら、無理もないとも自制する。量の決まった単発打ち以外にはスターマインが6セットしかないのだ。普通に考えて間が持つはずもない。
 花火が切れ目なく上がっているという花火大会らしい風景には遠く、都会の花火でこういう「間」は花火に集中する気を削ぐ。絶えず花火が見えていてはじめて飽きやすい観客をその場に釘付けにできるのだ。
 客をアッと驚かせる大玉も少なく、肝心のメロディまでの長い道のり。いくら上手なトークで……煙火店の花火が凄いの芸術のと聞かされても、それを目の前で充分に打ち上げなければ説得力がない。中座する客も見受けられた。花火を見に来ているのに肝心のそれが上がらない時間が面白いわけがない。これならトーク抜きで30分の短時間で終了してはどうかと思う。
 スターライトもトークが多いけれど、全体を通してクリスマスストーリーを語る、という出し物と関連のある物語性がある。しかも全編何処をきっても磯谷ワールドだ。しかし夏のこの名古屋港は単なる場繋ぎの時間稼ぎ。
 
 観覧・撮影場所は指定されていてそこは他にも報道関係者が大勢並んでの撮影だった(こういう皆さんは仕事というわけか誰ひとりとして歓声も上げずどんな花火を観ても拍手もしないのね。ひとりではしゃぐ私は浮いた存在です)。そこから眺める港の何ヶ所かにある強烈な街路灯が難物だった。どうしてこういうのを付けッ放しにするのか理解できない。これが撮影では気をつけなければならなず、中途半端に画面から外すと、かえってひどいフレアが画面外から飛び込むのだ。それを避けるには後でトリミングを前提にばっちり写し込んでしまった方が影響がない。花火見物場所なのだから、騒光の類はいっさいライトダウンして欲しい。
 とはいえそんな要求も虚しいほどに見事に南の風下だ。ポートタワーの建物の陰でまったく台船が見えないかと思ったが、8、10号の発射の瞬間が見えたので良かった。そのせっかくの大玉も盆の上に前の玉の煙が黒い塊となって浮いてしまって写真的は使い物にならぬ。もっとも夏期で普通に南風が吹けば、ガーデン埠頭一帯はモロ風下という気象条件なんだから仕方ない。今回も残念ながら満足のいく結果にならなかった。撮りのタイミング的に撮れてはいても発煙などで絵にならないのだ。
 イラスト花火の所では型物と読んで(スイカ、熱帯魚、タコ、カメなど)、今年から型物カメラはデジタルにしようと考え、このパートのみデジタルに載せ換えて撮る。
 風の具合か、メロディの出だしのミルククラウンが過去よりもあちこち向いて上向きに咲かない玉が多かったようだ。
 終了後片づけをして地上に降りてくると、既にメインストリートは帰り客で埋め尽くされていた。21時10分にようやく地下鉄に乗れてあとは車内で押し合いへし合いしながら名古屋まで帰る。2つ先の地下鉄駅まで歩いた愛好家仲間は、私が地下鉄に乗った時間に東京行き新幹線に乗れていたと後日聞いて驚いた。
 恐らく厳しい運営費用の中での最大限の打ち上げだと思う。絶賛、礼賛、感動、感謝の一部の花火愛好家諸氏はともすれば木をみて森を見ない。けれど私は無条件で盲目的に持ち上げることは出来ない。だからこう言える、個々のその煙火店の玉だけを評価すれば、問題なくいつものように素晴らしい。しかし花火大会全体としては残念ながら量感が足りない、と。スターライトHANABIが花火だけで見応えがあるのとは対照的だ。
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