花火野郎の観覧日記2008

第77回土浦全国花火競技大会
桟敷席騒動の顛末のことなど…

     

wallview.jpg 一般席を召し上げて有料席化、土浦よおもえもか……。
 河川敷桟敷席後ろの堤防斜面とその下部の僅かな河川敷部分は永らく一般席として開放されてきたが、この一般自由席を召し上げて3列目の桟敷席を造り有料席化というのが2008年度大会での観覧者側にとって最大の変更点だった。一般席の場所取り開始日時を決めることや、事前の場所取りを禁止して前日に場所取りをさせること(2007年変更点)は観覧客にとって煩わしいものの大きな変更ではない。
 しかし“それまで在った観る場所が無くなってしまう”となればそれは一般客にとって大事だ。「今年も正午の解放に備えて早めに堤防道路に行くゾ」と出かけたお客はその場に立って初めて事態を知るのである。
 花火を観に行く全ての者が、インターネットで公式HPを繰り返しチェックし、電話をかけ、現地を下見するわけじゃない。それは私どもちょいとイカれたマニアだけで、多くの一般客は当日現地にいきなりやって来る。
 私が一番主催者としての義務を果たしていないと感じるのは、新設の桟敷についての詳細を公式HPにさえ十分にアナウンスしなかったことだ。
 もちろんつぶさに公式HPの隅々まで読めば、堤防斜面に立ち入れないことは小さな字で書いてある。しかし堤防斜面にどのように新設桟敷を造るのか?そしてその結果、堤防斜面も通路でも観ることが出来ない、立ち入る事が出来ない、その詳細がビジュアルとともに省かれている。
 堤防斜面が使えないこと、通路に万里の壁を設けて通路での見物が出来なくなること(写真上)。こうした観客にとって最も影響の大きいことは一切アナウンスしなかったのだ。公式HPで詳しいのはもっぱら桟敷の販売についてで、そのうちの抽選にしたって、マス単位の販売で9,000円、18,000円という高価格な商品にも関わらず、シネコンのチケットですらインターネットから自分で席を指定して買える時代に“座る場所が何処になるか桟敷券を手にするまでわからない”などという販売方法があるだろうか?
 私は土浦を見始めて初めて9月13日と27日に現地を下見しに行った。そんな手間も費用もかかることをわざわざしたのは、要するに“公式HPなどからでは、新しい桟敷と堤防斜面の自由席が無くなったことの詳細が一切わからない”からだ。それは“わからせようと努力する気もない”のひと言だ。
 幸いに土浦は下見しに行くには途方もなく遠すぎるわけじゃない。それで噂や情報だけで想像していたその実際をこの眼で見て初めて知ることになった。その全貌については既に当HPで公開済(下記参照)なので関心のある方は再度ご覧になって欲しい。当日現地を見た方は再確認されたことだろうからここでは省略する。

モ2008土浦桟敷席の様子(完成形態の写真など追加済)。

 私の最初の関心は、もちろん新設桟敷がどのように造られるか?目隠しの壁はどのような規模であるか?そして桟敷席はどれだけの数造られて販売されたか?だった。
 しかし私の興味は主催者があり得ない“桟敷の追加販売”を9月23日から始めたことで、別の点に移っていた。
 それは“これはひょっとすると「当日売り」が出るほど桟敷席が売れていないんじゃないだろうか?”という予感だった。予感が事実として証明されるには開催当日になるまで待たなければならなかった。すなわち「当日券販売」が在るか否かである。とはいえ結局桟敷席の総数は推察できても、どれだけ売れてどれだけ残ったのかは不明だし、知る由もない。聞いても答えないだろうしそれは大した問題ではない。自治体主催だから、赤字が出ない程度に収支が収まれば上出来という結果だろうと思う。だから桟敷券の行方や残についての真実はわからないままだ。見聞きした事実だけを並べて推察は推察として書こうと思う。
 そして当日、「初めて来た者で……今日来てみたらこんなになっていて驚いた」と見え見えにボケをカマしながら大会本部で「当日券」の有無を探る。果たして当日券はございません、と言われたが、同時進行で土浦駅では若干の当日売りが存在しいささか行列もできていたらしい。無いという言葉もあやふやだ。過去に桟敷を当日に売った話は聞いたことがない。だから売るだけの余裕があったことは確かだ。
 しかも本部のスタッフは「(公式)ホームページの方で販売のお知らせをしています」と仰るが、だ〜か〜ら〜、全ての観客がネットを必ず観ているわけじゃないって。全国紙にでも広告したのかな?
 あちこちで地元の人に取材してみると誰より地元情報に精通しているであろう現地のオバちゃんたちの口コミ情報では「たくさん売れ残っている」と聞いた。
 追加販売があり得ないと思ったのは、日にちが迫っていることもあるし、何よりも“当日現地で桟敷券と引き換え。しかもその時まで座る場所も不明”というあまりに購入者に優しくない販売・商品渡しの手段を採っていたからだ。逆に言えば日にちが迫っての想定外の売りさばきだったために、そういう受け渡し方法しか採れなかったともいえる。
 この再販はローソンチケット経由で始めたのだが、それから何日たっても「楽にローソンで買えてしまう状態」で、とうとう開催週に入ってもまだ売っていた。そして開催日まで2日ほどとなって予定数量終了と表記された。しかし一度は完売と告知しながら追加を売ったのだから、これとても全部掃けたという証ではない。しかしこの追加販売のおかげで新たに初回の抽選で洩れたり、直接販売に行けなかった人も多数購入できたようでそれ自体は良かったと思う。
 追加販売分の内訳が何なのか不明だ。こういう場合、抽選分からの辞退によるキャンセル分。予め二段階販売しようとして分けて残していた分。9/1の対面販売分、ならびに抽選販売分での純然たる「未消化分=売れ残り」。これくらいしか思いつかない。
 まず、キャンセルだが普通こういうのは本来は大量には発生しない。もし対面販売分、ならびに抽選販売分でいわゆるキャンセル待ちという購入希望予備軍が大勢いたとしたら直ぐに掃けてしまうだろう。また、日にちが迫っているのに二段階販売という手間のかかることをするとも思えない。需要があるならつまり桟敷席の数以上の希望が殺到すれば抽選で一回で全部売れてしまうだろう。
 追加販売しかも当日引換という面倒な手段を採るのは予想に反して「大量に売れ残った」としか考えられない。大量には発生しないはずのキャンセルが出てしまったのかもしれない。最初の抽選販売では一人1マスまでしか買えなかったのに追加販売では、同じローソンチケットシステムを使用していながら、今度は一人2マスまで買える事になっているのも売り急ぎを感じる。
 推察だが、抽選販売がそれを生んだのではなかろうか。抽選の申し込みを受け付けた時点で桟敷券は予定数掃けたのだろう。それで完売と告知した。しかし当選の通知をしてみると、「数を打てばどれか当たる」と考えて申し込んだ購入希望者が実際は必要な枚数しか買わずに、余分に当選した分を片端からキャンセルしたのではなかろうか。
 ここでおかしいのは当選確認するのは8/24までという点。もし当選数より実際に購入に至った数が大幅に少ないとしたら、この時点で売れ残りが確実になり直ぐに追加販売できたはずだ。いや9/1の対面販売分に上乗せしたって良いと思う。それを間際の9/23にどうして追加販売を始めたのだろう?好意的にみれば、素晴らしいオークション対策といえる。出品入札が盛んになる頃、正規価格で売り浴びせれば転売意欲を削ぐからだ。実際はローソンチケットで再販をかける手続き(予定していなかったため)に時間がかかったのかもしれない。
 そのオークションを覗いてみると、9/1の対面販売分は即日出品され、9/25前後に実券が到着する抽選分も届いたそばから早いものは22日にも出品されていた。さらには追加販売分のローソンチケットの引換券まで大量に出品されるという徹底ぶりだ。その他地元ホテルの宿泊権利や土浦駅からの特急の指定券とかバラエティに富んでいる。果ては非売品であるはずの(元は無料の)招待席まで出品されるという突っ走りぶり。招待券の渡し先を少しは考えてはどうかと言いたい。無料の招待券が金に換わる要因を主催者が生んでいるともいえる。それは金を払って手に入れた桟敷券の転売より質が悪いのではないだろうか。

作り過ぎたモノは余る という道理

 思うに堤防斜面に桟敷を増設し、総数で5400人分も増えたチケットの販売は、主催者が手売りしたわけじゃないが量的にはけっこう負担だったのではないだろうか?もとより土浦の桟敷席はこんなに巨大ではなかった。最初は1列でしかもこれほどのマス数もなかった。さすがに現在それでは足りないだろうが、河川敷の2列だけとってみても3万人以上を飲み込む相当なキャパシティだ。
 例年桟敷席を購入する個人の地元民またはリピーターの花火ファンは限られている。購入するのに徹夜で5,000人も並んだなんて話は過去に聞かない。しかも団体観覧ツァーのためには毎年メインの桟敷とは別に専用席が用意されている。
 堤防斜面の自由席に場所取りしていた多くの地元以外の一般客はそこが有料席になったことさえ知らないに違いない。情報収集してまでこの花火大会を観に来ない。と色々な条件を考えると堤防斜面を率先して有料桟敷にするほどに購入希望者が殺到していたのかと訝るのだ。
 無料の招待席だってざっと2,000名分はあるだろう。そう考えると“そもそも土浦では堤防斜面の一般席を全て有料桟敷にしなければならないほど桟敷席の需要が切迫していたのか?”。有料席を買いたい人は従来の桟敷にその需要が収まっていたのではないか?
 例えば同じように一般席を召し上げた大曲では、増加する一方の団体席需要に応えるために有料席を増設したが、土浦にそのような必然があったのだろうか?唯一の必然として考えられるのは、そうした需要ではなく、各地の花火大会がこぞって有料席を設けるのと同じで、増大する警備費など予想以上に算出される運営費を補うための窮余の策だったということだろうか。私も各地の運営スタッフになんとかこうした費用を新しくひねり出す方法はないか?と聞かれることもある。どこの大会でも運営費用の増大に頭を痛めているのだ。かといってこれまで堤防斜面で観覧していた一般客が、行き場を失うことになるからといってそのままその場所に増設した桟敷を購入してくれる保証はない。それが目的としても「有料席に変えたからそこを買って観て欲しい」という広報が足らないと思う。中には進んで買う人もいるだろう。しかし一般席で観ていたのは、そこが無料だったからでマス単位で売る高価な桟敷を買ってまでして観ないという人が大部分だろう。席が保証されているのはこの上ない安心感とはいえ、家族で観るにしても18,000円は高い。
 私としては、警備費等々昨今は金のかかる花火大会運営だから有料なのはやぶさかでないとしても、堤防道路に構造物としての桟敷を造る必要があったのか?と考える。つまり例えば諏訪湖や長岡の有料自由席のように有料で自由に場所取りさせる、という方法で良かったのではないか?それなら区画を閉鎖するだけで莫大な建設費はかからず一人当たりの料金も安く設定できる。そしてこれまでのように正午解禁で普通に好きなところに場所取りできたのではないか。もし運営費捻出に少しでも目的があるなら、設営費に喰われては元も子もない気がするのだが。堤防通路の隔壁に関しては、これは万一の事を考えてスムースな通行を確保するためには止むを得ない構築だったと思う。
 追加販売はまずローソンチケットで支払い後引換券を出力し、それを当日桟敷本券と交換という不親切きわまりないシステムだったが、当日の引き換え場所が遠くて呆れるばかりだった。引き換え券には案内図も無い不親切。場所だけ記載されていた。そこはなんと6号バイパスをくぐった西側にある施設の外に設けられた仮設テントで、シャトルバス降り場を起点に考えてもそこからさらに片道500メートル徒歩で歩かなければならない。何故に18,000円も払ってこんな不便を強いられるのか?駅頭や大会本部で引き換えればいいではないか?
 しかし私の仲間がどうせろくな席の位置ではないと半ばあきらめの境地で引き換えに行ってみると、渡された席は堤防区画最前列の特等席だった。こんなに良い席が売れ残り扱いとは、と顔を見合わせて驚いたものだ。仲間が引換をしている間にそこに並べられた誰かに渡されるであろう桟敷券の束をそれとなく見ていた。するとその中には9/1に売った3区画の河川敷桟敷まであった。それは抽選分で大量のキャンセルが出たばかりでなく、対面販売分で売れ残りが生じていたなによりの証だった。
 売れ残りあるいは余分が出た、ということは需要と供給のバランスがほぼ取れた結果といえる。購入希望者全員に行き渡ったということで、複雑で手間のかかる抽選販売にした意味はなく、次回は普通に全量ローソンチケットで(抽選抜きで)売ればそれでいいということになる。
    
土浦桟敷と大曲桟敷の決定的な違い。

 同じく大規模桟敷席を有する競技花火で比較してみると、商工会議所が主催する大曲と、役所が主催する土浦とでは桟敷の販売方法もその中味も稼ぎにかかる姿勢も違っている。どちらが優れているか劣っているか?ではなく「違って」いるのだ。大曲と土浦は根本的に客層が違うことを主催者は見落としたのか、気が付かなかったのか。
 大曲は全桟敷の9割以上が団体専用の販売席でその中味のほとんどがツアー客。土浦は全桟敷の9割近くが個人向け販売。この違いは大きい。土浦にも集団のチケットゲッターがいるだろうが、何百マスと旅行会社が早い時期に前払いで買い上げる大曲とは比較にならない。しかも土浦は一人で最大2マス(対面の場合。最初の抽選販売は1マス)までしか買えないので、桟敷券をさばくのは容易ではない。さらにいえば個人客層が殆どなのにマス単位(全マス-6人、半マス-3人)でしか売らないのも購入者が伸びないことになるはずだ。
 土浦は開催を1ヶ月半後に控えてそれから桟敷の全量を個人相手にさばくのだ。しかも販売に関しては公式HPにアナウンスする他は大々的に宣伝しているようにも見えない。これまで地元で対面販売をすれば呼ばないでも行列になっていたから宣伝する気がないのか、自治体主催だから大っぴらに商売できないかのどちらかだが、いずれにせよ日にちが迫っているわりには悠長と言える。
 主催が自治体であるため、儲けすぎず最終的な収支で赤字とならない程度にチケットが掃ければ大成功という意欲的な運営だったのだろうか。来年は来場して事態を思い知った一般客の一部は桟敷を今年以上に買うかもしれない。

案の上の混乱もなく…………

 堤防桟敷と、目隠し用の壁の存在を当日、現地で初めて知ることになる人が居るはずで、「いったい何処で見ればいいのか」と関係者に詰め寄る場面など、よほどの暴動になるかと野次馬的期待いや懸念していたが、客の動きを終日見る限り堤防通路も大会本部付近もまったく平穏で、なんと日本人はおとなしいことかと感心した。
 それではこれまで桟敷裏の一般席を占めていた客は何処に向かったのだろう?客の動きも当日の関心事のひとつ。後方の田圃にしたって前年比でそれほどひしめいてすし詰め状態だったわけではないからだ。
 当日見聞したこと、それとインターネット上の様々な関連掲示板などからの情報でだいたい見えてきた。暴動にならない要因の筆頭は分散化。多くは地続きの下流側河川敷の一般席になだれこんだ。ここは前日に場所取り済だが、その隙間に、少しでも空いていている場所に堤防通路にと当日は多くの一般客が流れ込んだ。ここが当日一番の密集地になったと思う。けしからぬのは、川縁の立入禁止区域にまで(前日の場所取り組のそのまた前)人が入り込んだらしいこと。立入禁止区域(危険区域)なのに制しなかった主催者や警備員は猛省してもらいたい。
 次にシャトルバス運行時間になってからは、バスを学園大橋で降りた時点で、桟敷券を持っている者、持たない者に分けて行き先を誘導されたこと。桟敷券組はそのまま堤防通路経由で各桟敷席へ。そうでない一般客はなんと対岸の6号バイパス方面へ強制誘導されていたのだ。バスを降りた時点で、地理の判らない土浦初観覧組は言われるままに対岸に向かわされ、多くがメイン会場側のどこにも来なかったことになる。それで田圃方面の混雑も緩和された。6号バイパスのり面や測道はかなりの混雑度だったと思われる(帰りのシャトルバスには近いが)。
 残りの群衆は我々の居る田圃一帯に場所を確保した。というのも我々の居た田圃から堤防通路に向かう道筋の至る所に警備員が立ち、ハンドマイクでさかんに客を誘導していた。それはシャトルバス降車場と同じで、「これから先の道は桟敷券を持つ方専用です」といいながら一般客を事実上の通行止めにしていた。それを聞いて駅から歩いてきたような一般客は付近の農道やあぜ道、田圃の中、またはとにかく見通しの良い所に見物場所を探さざるを得なかった。そしてほぼ開始時間までには居場所を見つけて人通りも一段落したのだった。と大きな分散はこのようなところではないかと考えるのだ。のちに電車組に取材すると例年に比して駅内外での混雑はそれほど激しいものではなかったようだ。一般の観覧客数自体が少目かまたは頭打ちになっていたのではないかと考える。

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