花火野郎の観覧日記2008

観覧日記その15  8/14,15
ツインリンクもてぎ花火の祭典〜夏〜
  
栃木県・芳賀郡茂木町

8月14日(第一日)
  
「皆様にお知らせいたします。開始に向けて準備してまいりましたが、
 この先天候の回復が見込めず、明日に順延とさせていただきます。」

 
「えええーっ、うっそっ、そんなぁ、まじかよ、ひどーい、なんだよ、ありかよ、いまさらかよ………」
 順延を告げるアナウンスにこんな気持ちが入り交じった怨嗟と落胆の声が一塊りになって観客席から上がった。
 感動でもブーイングでもない、過去の花火の祭典では一度も聞かれたことのない観客の嘆きの歓声。
 さすが茂木。半端じゃないリスキーさを遺憾なく発揮してくれた。
 嘆くのも無理はない、なぜならなんと開幕以来初の“ドタ順延!”
 ありかよ。ありえないよ。私も長らく花火観覧をしているが、「さぁ開幕です、………やっぱ止めます。また明日来てね♪」。なんていうトンデモ経験はちょっと思いつかない、いや無い。花火大会は一度予定通り開催と主催者が決めたら土砂降りの雷雨でもたいていそのまま決行される。その意味では快挙というかタイミングを誤ったというか……。茂木でも早い段階での順延決定は過去にあった。それ以外は雨や霧でも平気で実施してきたのに興行そのものを“寸止め”というのは初めてで真意は知る由もない。
 同時にこれほど開始が迫った段階での決行か順延かそして、天候に対する対処の迅速な判断が求められたのは、茂木にしてもあまり経験の無いことだと思う。年間に様々なイベントをこなす場所であるからノウハウも摘んでいるようで、雷に対する避難誘導のアナウンスなどよく対処したと思う。しかし場内の照明灯にでも落雷したらかなり周辺観客(私らを含めて)被害があったことだろう。
 開始まであと50分くらいの18時30分頃。遠雷に空を見上げるといつのまにか真っ暗な雲が拡がっていた。その拡がる方向は我々の上空に向けてであり、これはかなりヤバい、といっているうちにパラパラ降りだした。
 そこでレインウェアを着込み大雨に備えたが、雨はほとんど降らずそのかわり正面左右視界の180度くらいの広範囲のパノラマワイドスケールで雷が奔り、落雷しまくるという壮絶な雷模様が始まった。相当ヤヴァい。
 同40分頃、開幕を告げていた場内アナウンスは、要約すれば「避雷針のあるグランドスタンドの建物内に避難して下さい」と内容を変えた。小さな子は雷に怯え、やがて降り出した雨に泣き叫び、かなりの観客は粛々と安全と思われる建物や地下通路に移動した。うーんそれで、「じゃ、始めますから急いで席にお戻り下さい」とでも言うんかな?と訝った。落雷警報が出ていたらしく順延宣言するなら雷に苛まれたこの時点で良かったのでは?と思う。
 やがて雷も遠ざかったが、その代わり雨は本降りになった。開始時刻が近づき、カメラを1台だけにして開幕に備える。しかし場内アナウンスで告げられたのは19時20分開始の予定を30分からとし、その時刻になるとさらに10分延ばして40分から始めますという内容。それでもいつものように今宵の花火内容の解説も入り、そして順次場内の照明が落ち始め、さぁいよいよかと思われた。あと3分とアナウンスされ、それからややたって冒頭の順延アナウンスが来たのだ。結局、開始時刻を再三ずらしたあげくの土壇場順延決定の瞬間である。この時打ち上げ現場では開始に備えてまさに点火スイッチを押す寸前だったらしい。唖然としたのは打ち上げ現場も同じだったろう。
「チケットは明日も使えます。無くさないように。順延だからといって払い戻しはしません。」
と必要なことは繰り返し告げて、また明日ね。と放り出しになったのである。
 日が変わればそれで休みの都合も変わり、観覧できなくなる客もいるだろう。貴方の都合で観られなくなっても、興行自体が行われる限り払い戻しの必要はない、ということだ。
 今日一日は暑かった。日中は好適な南風が吹くものの焦がされるだけ焦がされ、夜は雨(もしかすると雷雨)という最悪な天気。しかしこれも予報通り。予報の天気が悪ければ茂木は本当にそれ以上に悪くなる場所である。だから機材も最低限にして雨対策の方を完全にした。
 9時30分の開門と同時に入って場所取りをするつもりが、既に開門待ちの車列が南ゲートから周回道路にまで達していた。甘かった。早朝暗いうちからゲート前には開門待ちの車が並んでいたのだ。それは中央エントランスに少しでも近いところに駐車するという理由のほかに、先着順で貰える様々な特典プレゼント(数量限定)をゲットするという目的があるのだ。場所取りのあと中央エントランスを通ると特典プレゼント目当ての超長蛇の行列が出来ていた。特典の中にはB席指定券もあるから意味がある。観覧の席取りよりも無料配布の特典優先の早朝ダッシュなのだった。それでも早めに列に並んでいた愛好家仲間の好意で撮影場所確保は問題なかった。
 昨年話題になった納涼提灯は健在で、結局それが途切れた第3ターンのほんの一角に昨年同様に針山のように三脚が立つ。
「どうしてここにだけカメラマンが?」と茂木スタッフが不思議そうに言うので、「ここにだけ要らない提灯が無いからですよ」と暗に提灯撤去を進言。
 買い食いして腹を満たしたあとは風通しの良い木陰にずっと避難していた。夕方からひどくはないものの雨が繰り返し降り、遠雷も重低音で聞こえていた。各地からの愛好家諸氏と輪になって歓談しながら暑さと雨を耐えてようやく辿り着いた花火開始時間だった。しかしそれも徒労となった。
 20時10分頃には車に戻って直ちに出すが、50メートルも走らずまったく動かなくなった。普通に開催されれば、直ちに帰る客もどうせ混み合うからと時間差で帰る客も居るが、肝心の出し物が取り止めで荒天となれば「帰るしかする事がない」。駐車場の案内図にはスムースに退出を計るため駐車場によって使用するゲートが指定されていたがそんなことお構いなし。一斉に帰ろうとする客の車は我先にと好き勝手に車を出し、たちまちめちゃくちゃな混雑になった。ドタキャン過ぎて場内整理や誘導係りの配備も不完全な気がした。
 動かない車のフロントグラスに水滴が付かなくなったのに気が付いて空を見上げると晴れ間が拡がっている。順延宣言から約4〜50分後のことだ。それから約1時間で南ゲートを抜けて帰路に付くが、「この先回復の見込みがありません」という空は星も綺麗な月夜になっていた。22時30分ころ仲間を宇都宮駅まで送ってそのまま帰宅。
hanarai.gif
四重芯

五重芯

jiware.gif
20号

四重芯3発同時

最終銀ワイド
   
8月15日
(第二日、順延開催日)

 順延日も初日と似たような予報が出ている茂木町。しかし予報は参考にはなるけれど、当てにはならないということ、それと茂木町とツインリンクもてぎでは別世界の天候だということをあらためて思い知った。
 もう今日は遅めに出ようと決めていたが同じ場所に二日続けて二度、というのは気持ちが挫ける。仲間の多くは15日は別の観覧予定があってそちらに向かっていった。
 意を決して出発するがまた同じ様な天気だったらと思うとけだるい。それでも出かけたのは、やはり稀少な小幡花火の20号が観たいという切なる想いに他ならない。昨日と同様に雨対策はフル装備で、撮影機材は最低限で出かける。もし降られれば傘を使いながらではどうせ扱えるカメラは一台だけだからだ。 
 14時過ぎに現着すると案の定駐車場はガラガラ。順延日にはもう先着プレゼントもないからだ。
 北東〜北北東の風予報が出ていたのでとりあえず昨日と同じ場所に三脚を置いてから、第2ターンのD自由席方向も見に行く。その時点ではなんと北西の風で第2ターンから吹く順風だった。それが夜まで続くわけもないが、1年のうち第2ターンの奥まで観客を入れるのは(客が入ることができるのは)今では夏の花火の祭典だけなので、こっちから撮れるならまた面白いかと一応三脚を置いておく。茂木特有のオーバルコースだがそれを使用するインディカートレースでは、右回りの周回となり、グランドスタンドを過ぎて南側の最初の大きなカーブが第3ターンと呼ばれる(右図参照)。グランドスタンドの左右で、花火に対して観覧場所はシンメトリーで間合いも等距離のようだが実際は違う。第2ターン側のオーバルの半径の方が小さいためで、オーバル内の花火設置列は一部グランドスタンドに対して向かって左側が近い斜めになっているのだ。したがって第2ターン方向では反対側に比べると、斜めハスから見る設置列はより角度が付き距離もやや近くなる。
 昨日以上の猛暑日だった。荷物を置いて三脚だけで反対側に来たのに、駐車場からのそれまでの炎天下の歩きと昨日の疲れと落胆もあるのだろう。ここで気分が悪くなって、日陰に逃げ込み大休止。熱を取るためフラッペを買って少しずつ食べながら身体を冷ます。しかしこのフラッペ屋さん、氷をかいて容器に入れて渡すだけで、シロップは「セルフ」。シロップかけ放題とはまた豪気なサービスのようだが客にシロップをかけさせて350円とは良い商売だ。容器が空になるまでシロップかけちゃうぞ。
 体調が戻ったところで最初の三脚と荷物の所に戻る。北からの涼しい風が吹きぬけて心地よく日陰で座って長い午後を過ごす。この風が雲を南下させているのか、上空は綺麗に晴れて今夜は持ちそうな予感。
 夕刻になって風の流れが変わり東風となった。これでもしかするとまた雲が増えて積乱雲発生かも。この日も最初は多くの三脚が第3ターンの一角にあったのだが、昼間の風向きのせいか、また携帯で見られるピンポイント天気予報を信じてか、櫛の歯が抜けるように三脚が減っていった。夜になって北寄りの風に変わると言う予報だったらしい。ふぅーん。北側つまりツインリンクホテルから風が吹けば、第3ターン側は風下。東風なら第2ターン側が風下。微妙な風向きの違いで被害地が変わるからまぁ慎重に判断せざるを得ない。過去にホテル側からの北風が無かったわけではないから(第2ターンからの西風は無い)選択肢としてはあり得る。どちらを選ぶかは自己責任。
 私も一応迷ったが、新春に、夏に、秋にとツインリンクとのつきあいも9年に及ぶ。その経験から最初の位置を動かずとも大差ないと判断して第2ターン側の三脚を回収した。
 結果はほぼ真ん中をとって東北東の風。東方向が混じると茂木では最悪の向きで、オーバルを横切ってグランドスタンドを煙が直撃してしまう向きだ。つまり両ターン側に斜めに居ればまぁだいたい直撃は避けられる。しかしグランドスタンドは第2ターン寄りに建っているというところが明暗を分ける。
 お客が集まりだしたのは涼しくなった17時過ぎからと思いっきり遅い。早く来たとしてもサーキットコース上で昨日行われた様々なモータースポーツイベントも本日は一切無し。本当に花火だけの順延といっていい。それと、昨日一日で自前の飲食物を消費してしまったためかと思う。茂木は特にファミリーが花火の祭典で一日を過ごすには好適な場所だ。トクトク券で入れば安上がりだからだ。他の花火イベントと違って既設の飲食ブースも臨時の飲食販売車も豊富で食事にはまったく困らない場所だ。しかし単価はけっして安くないからファミリーが朝から晩まで居て好き勝手に買い食いすれば膨大な出費となるのも事実。だから駐車場から大きなクーラーボックスで自前の飲食物を携えてくるグループも多い。
 私も18時をまわってようやく準備にかかる。昨日林立していた三脚は殆ど無くなっていた、元は居たのだけれど皆第2ターン側に移動してしまったのだ。共に2日間参加の近隣の愛好家と三脚を2本ずつ並べての陣営で、あとは見知りの愛好家もカメラマンも居ない。夕方、風が変わった時点で察して少しは引き返して来るかと思ったが、三脚は寂しがりやで、より多く集まっている方にさらに集まるという習性がある。その三脚群から一人再び抜け出すのは勇気が要る。
 そして昨日ほどではないが、観客席に再び客が戻った。少しずつ場内の照明が落ちる度に期待が高まっていく。
 開幕はカウントダウン無しに、ナレーションからミュージックスタート。パドックで一斉に星打ちという大がかりではない静かなイントロ。しかしこの最初の打ち出しに観客からは大歓声が上がる。そう二日間待ちに待った開幕の時間なのだ。いつものようにパドック裏からワイド一斉の開幕を予想していたので、撮りは思いっきり外した。
 第2幕では5、7、10号と単発打ちをゆっくり見せるものだったが、最初の花火の説明で、意外と20号のことも、四重芯が見物です、とも言わなかった。このパート終盤の10号打ちで何か用意していると読んで待ちかまえたが、四重芯、五重芯が含まれるという豪華さだった。本日のメインのお題は「オリンピック」。今年は各地の大会でオリンピックをあしらったプログラムが多いが、茂木でも各種五輪や五大陸からみの出し物が披露されたというわけで、五重芯の「五」も五輪の「五」に因んだものらしい。
 撮影は荒天時を想定してデジカメ君と一緒だが最低限の機材。レンズも広角側の1本のみ。降れば真っ先にデジカメはしまい込まれる運命だった。けれど雨の気配はなく同時撃ちプレイ。
 最終パートは約12分間打ちっ放しという仕様。ここで入る名物の地割れスターマインにも“サプライズが”、とアナウンスしていたが、旬な用語を使えばサプライズは「段違い平行棒」。いつもの地割れ設置ラインの奥、やや小高い位置に別に一列と、前後2列、高さを変えて設置されていた。そして奥の列点火、消費後前の列に点火という趣向。面白いが分けたことで大玉が無くなってしまったのが残念。奥は遠すぎるしつまり全体に迫力に欠けた。ショボかったのと次の20号に備えていたので地割れは撮らず。これに続いて20号の位置から10号錦冠先クロセットを5連打。続いて20号錦冠小割浮き模様。20号は思った以上に高く上がり、28ミリ相当のフィルムの方は上が見切れてしまった。幸いにより広角気味にセットしていたデジカメ君がフォローしてくれて全体像が納まった。
 20号に見とれる間も一喜一憂する間もなく、これからさらに加速してフィナーレ。まだ地割れスターマインの煙が眼前に沸き上がる中で、この間に10号3発同時打ちが入る。これがなんと四重芯3発の同時炸裂。隣の愛好家ともども悲鳴のような歓声だ。1発ずつや対打ちの多重芯は体験してきたが、これは目も眩む豪華さである。
 イベントとしてはパート間のおしゃべりが長く、合間を詰めて打てばもっと短時間に終わってしまうだろう花火の物量。これほど集客し稼いでいながらそれが花火の量に反映されていない。20号など3発は楽に打てるだろう。しかし量でなく質で魅せるという小幡花火の良心を見た。四重芯がワイドで同時開花とは大盤振る舞い。その後全幅ワイドで錦冠と花雷入り銀一斉打ちというお馴染みのエンディングまでアクセル全開で駆け抜けるのだった。
 向かい風気味だが、風はあってまずまず花火は良く見られた。なにより天気予報通りにはならず雨に遭わないで良かった。二日間待ちに待った観客もこの花火に満足したことだろう。でもこの二日は消耗し疲れた。
 南ゲートは少し渋滞したが昨日ほどじゃない。同じ栃木県内の西側や群馬あたりの本日の大会ははどうなっているかと思うほど西方向の空には激しく雷が踊っていた。
 昨日の走行距離から換算してまたまたきっちりの量しか給油していない。順延して日にちがずれたので帰路はUターン渋滞にはまると踏んで、東北自動車道でなく下道のバイパス道を南下して帰ることにした。しかしこれがなんと高速道を使うより片道当たり20キロメートルも走行距離が短く、とんでもなく節約ルートなのだった。時間にしても倍もかかると思ったら10〜15分程度しか変わらないのだった。んなら、通行料金のかかる高速道は今後利用するのはばかばかしいと思った。

INDEXホームページに戻る
日記のトップに戻る