花火野郎の観覧日記2008

観覧日記その11 7/30
第51回 逗子海岸花火大会
  
神奈川県・逗子市

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 先週末は近場で観覧しようと思ったけれど、なんとなく不安定な天気に取りやめ。土曜は家から見える2つの大会を観ていたけれど、ちょっと遠い鴻巣市は最初10号は見えていたけれど、近い方の花火大会は5号が雲に触れるほどに低空に雲が流れていた。翌日曜は大勢が愛知方面に流れる中、長野あたりでと思っていたものの、雨か雷雨の予報が出ていてまたまた取り止めに。
 逗子に向かう車窓から見ると夕刻になってどよ〜んと重い曇り空に少し不穏な感じ。仕事帰りで開始まで約50分ほどという間際の到着となった。JRの逗子駅を出たところで、「ハハハ……こりゃぁ見通しが甘かった?かな」平日の花火大会、混んだとしてもたいしたことないとタカをくくっていたが。どうしてどうして、目抜きの商店街も海に向かう狭い道も自分のペースでぐんぐん歩けないほどの混雑だ。殆どは地元客と見たが盛況だなぁ。
 そういえば湘南新宿ライン、池袋や新宿、渋谷あたりでも浴衣の女性連れが乗り込んできていた。今日この沿線での花火はこの逗子のみ。遠くから観に来る客もいたりして(まぁ自分もだけれど)。
 隣の鎌倉市の花火はそれなりの回数を観てきたが、逗子はたいてい平日になるのでなかなか来にくいせいもあって初観覧。もっとも鎌倉も明石の事故以来、土日開催時の途方もない混雑回避指導のために今では平日開催が基本になって、それからあまり行けなくなってしまっている。逗子は数年前に担当煙火業者が変わって、その後どんな風か気になっていた。というか初めての花火大会でこんな遅いお着きでいいのか?俺。
 今日は人混みをすり抜けてひた走るにはいつものようにカートを引いていてはまず無理とみて、カメラ機材も背中に背負えるコンパクトなザックの中。ようやく国道をくぐって観覧場所の逗子海岸に行き当たるも、既に砂浜はぎっちりの観覧客が座り込んでいてそこから先がどうにもならない。この時期、砂浜のかなりの部分をとりどりの海の家が占めているからさらに余地はなくなり、その海の家と観客が座り込んだ観覧エリアとの間の僅かな通路は行き交う観覧客でひしめき合っていた。海岸を左右に移動するのもままならず、開始時刻も迫って思うような位置まで動けず焦った。国道の縁から観覧しようと思ったが連なる海の家の屋根が視界を塞いでいまいちな景観。
 押し合いへし合いのなか知り合いの愛好家と出逢うが、まずは場所を確保しなければ。
 いったんは砂浜観覧エリアの一角に場所を確保したものの、こんな間際の時間に来て贅沢はいえないが、そこからの絵が納得行かない。観るだけで済ますならともかくカメラを据えて「撮る」となったら何でも写っていればいいわけじゃなく細部のディテールにこだわるのだ。それこそ砂浜に座る観客のひとりひとりの佇まいさえ気になってしまう。
 結局開始間際で波打ち際に移動。体育座りで三脚を一番短くして抱きかかえるような格好で低くコンパクトに構える。まだ人が座っていないような場所はつまり波に洗われて湿っているからで、海は穏やかだったけれど何十回かに一度は、それなりに大きな波が寄せて来る。暗いし、気を付けていないと座り込んだお尻までびっしょりになるからドキドキ。
 風は予報の南方向とは違って間際に北東に変わったらしい。弓形に湾曲した逗子海岸の西側から沖合に向かって順風で吹く良好な風向きだった。そのせいか観覧場所に座るまで大汗かいてどたばたしたが、観覧中はなんとなく肌寒ささえ感じる快適な温度。ここの大会ではたいていは南風で浜から見て左からの横風になることが多いはずだが、今夜の風なら撮影の候補地が拡がるのだがなぁ。
 台船は3隻、ほぼ正三角形の形に並ぶ。底辺を観客に向ける形で前に小玉用2隻、奥に大玉用1隻という配置。完全正面だと3隻が均等に並んで良いが、手前2隻が浜から撮るのでは離れすぎで画角的に厳しいかなと考え、それで少し東側から斜め位置とした。台船の配置と距離感から28ミリ相当横位置と読んで、結果はそれ一発という撮り。
 カウントダウンしてのスタートは前2隻の台船からシンクロしてのオープニングスターマイン。全体構成は5部構成だが、45分間の開催時間のうち正直35分間、第4部までは僅かな2箇所同時スターマインの他は、手前2隻同時の単発早打ちが殆ど。奥台船は7〜10号の大玉担当だが、こちらからも号数の大きい単発打ち、といささか単調な流れ。このまま終わったらなんだかなーと思うところだが、これもラスト10分間に向けての「タメ」の時間であるとしよう。
 ラスト10分。ここでわざわざ再度カウントダウンをしてまで、第5部グランドフィナーレの開始。ここで「5500発の花火をわずか10分間で打ち上げる、日本最大級のクライマックス」と謳った終幕劇が始まり、タメた分を一気に放出だ。「発」というのは無理があるものの、とにかくこの10分は3隻の台船からの絶え間ない一斉掃射であることは確か。これで終わったかと思うとさらに、まだまだと続き、トラや小型煙火系も多用しているいつものコンピュータ打ちだが、物量は半端じゃない。最後の最後は、銀冠を3隻から山ほど打って終了。さすがに浜全体からどよめきと拍手が沸き上がる。
 拍手して片づけているところで、普通なら「本日の花火は終了しました」と来るアナウンスがこともあろうにそれに続けて「JR線はただいま事故で運転を見合わせて(止まって)います」と告げる。ぐはぁ……この人混みをかき分けなければ帰りの電車に間に合うかどうかというところになんという狙い打ちしたかのようなバッドタイミング。海岸に来る途中も、道の狭さと人の多さで、帰りは駅まで迅速にたどり着けるかと不安になったが、もはやそれ以上の危機感。
 ここで現地で会った鉄分の濃い見巧者氏の先導で、急遽京浜急行で新逗子駅から帰ることに。JRしか考えてなかったから駅にたどりつくのも人の後を付いていき、押し合いへし合いの中たいへんだったが、おかげで日付が変わるまでになんとか帰宅できた。
 海岸で撮影する私のすぐ隣では中学の同級生グループといった一行が、携帯電話のカメラで繰り返し花火を撮りながら和気藹々と楽しんでいた。友達同士で観た今夜の花火は夏休みの良い思い出になるだろう。そうした姿にこちらも楽しい気持ちにさせてもらった。そして鑑賞眼も初期状態にリセットされてまた純粋に花火を楽しめるようになれる気がする。それぞれの大会に工夫された良さがあり、それぞれの大会でそれを満喫する観客が居る、という当たり前の事を思い出させてくれる。
 今の花火観覧というと各地のビッグネームの大会ばかりを梯子する、という風潮になりがちだが、そうそうそんな贅沢ばかりができるわけでもない。それに凄いものばかり味わいすぎるのも観る目を見失いそうで怖い。いやむしろネットで花火大会情報が全国的にクロスオーバーする現在、各地のホームページやブログ、掲示板などで地方の小さな花火大会の思わぬ素敵な花火画像に出逢うことがある。私が未だ行ってない場所にいくらでも風情のある花火大会がありそうな気がしてならない。
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