花火野郎の観覧日記2012
観覧日記その11 8/10
第22回 赤川花火大会
山形県・鶴岡市
会場の様子・上流側
会場の様子・正面
会場の様子・下流側
撮影席
当日お会いした知り合いの愛好家はその全てが「マイカー組」。まぁそうなってしまうだろうなぁ。赤川花火大会はマイカーで来ると便利とか特典があるというわけではなく、電車を利用しての観覧がおもいきり不便だからだ。開催日が平日にあたることも多いので、赤川は電車で行くことを前提に考えると大曲のように毎年でも観たい大会でありながら敬遠してしまう。
その第1の理由は、東京首都圏からは確実に一泊の距離でありながら近年は地元のホテルが確保できないこと。なぜなら鶴岡駅周辺にある名だたる大型ホテルがその花火の開催日の持ち部屋のほとんどを旅行会社のツアー向けに売ってしまうため。ゆえに一般にフリーの予約などできないし、ネットによる予約サービスにも最初から花火開催日には地元鶴岡のホテルの名前は一軒も出てこない。何ヶ月も前から一度も出てこない。 並ぶのはより遠くになる酒田のホテルばかりだ。近年は赤川花火大会の観覧ツアーもしっかり旅行会社のパンフレットに載っている。そこには個人では予約できない鶴岡のホテルがズラリとあって選び放題だ。その観覧ツアー利用をすれば片道の運賃と宿泊代だけで済む価格の安さが魅力だが、申し込みは最低2名からと優しくない。自分で運転しなければならないが宿泊の心配をしないで済むだけ車はメリットがある。
第2の理由は公共交通の便の悪さ。私のところからでも最短で4時間はかかる。とくに新潟から乗り換える特急いなほだけで2時間かかるうえ遅くて冷房も効かないので、鶴岡に着く頃にはぐったりしている。大曲が鶴岡より遠くても往き帰りの全行程が新幹線で正味3時間という速さは絶対のメリットなのだ。
ゆえにここは車で直近まで乗り付ける観覧がベストという愛好家の行動に表れている。帰りは周辺道路が落ちつく頃まで休憩、休みながら仮眠しながらのんびり運転しても間違いなく日が昇る前には帰宅できる。そうした時間の効率の良さを考えても赤川はマイカーで観覧する場所なのだろう。交通費宿泊費に費用がかかるくせに、宿も取れない遠隔地で、条件が悪ければ成果も出ないリスクも高いからだ。まぁ電車組の良いところは自分で運転しない、というそこだけだろうか。とはいえ車を持っていた時期にも車で来たことは無い。その頃は少なくとも駅前のホテルが楽に予約出来たこともある。それに現在でも鶴岡まで全て高速道路で繋がっているわけではないから、所用時間を考えると私の「運転可能距離」を超えていたのだ。
赤川は2006年が最後の観覧だから6年ぶり。昨年は行こうとして計画をしていたのだけれど、直前で天気予報を見て踏み切れず断念した。行けば良かったというものだが、前述したように金銭的にも距離的にも、気象条件的にもリスキーだから絶対の成果が見込めないと踏み切れないのだ。昨年は無理だったけど今回は地元に宿が取れたので観覧を計画できた。
実行委員会から4月中に案内が来たので、土手上のカメラ撮影席を事前に申し込んでおいた。しかし申し込みを受け付けた、というリターンがないままに当日を迎えたので、本当に申し込みが通っているのか現地で確認するままで落ち着かなかった。なんでも受領の確認の知らせを出さない方針だったらしく、同じようにはらはらした愛好家氏も無事に撮影場所を得られてほっとしたものだ。
いつからか知らないが、有料撮影席の申し込み者には、撮影者と染め抜かれたゼッケンが渡され装着するようになった。ナンバーなどはなく、○○回花火大会と撮影者とだけ染め抜かれている。お持ち帰り自由みたいだが、開催回が記載されているのと、毎年色を変えるみたいなので使い回しは利かない。
絶対の成果はどうか知らないが、少なくとも天気は良さそうなので予定通り出かける。往きの特急いなほはみっちり満席となるからこれだけは指定席をとっておかないと座ることもできないので事前に確保しておいた。宿は取れたら行くというようなもの。終了後に新潟行きの臨時列車が出るのだが、新潟の方が圧倒的に宿は確保しやすいとはいえ3時間以上かけての新潟着が午前1時………。まぁ夜行列車や夜行バスなどの手段もあるのだろうけど………。
オープニング「届け!!元気」
株式会社マルゴー
オープニング「届け!!元気」
株式会社マルゴー
オープニング「届け!!元気」
株式会社マルゴー
オープニング「届け!!元気」
株式会社マルゴー
デザイン花火・大いなる大地
有限会社太陽堂田村煙火店
パステルカラーの花
株式会社イケブン
デザイン花火
ブルーライトヨコハマ
大久保煙火製造所
デザイン花火
スター☆リボリューション
有限会社片貝煙火工業
ラブレター花火「愛と絆」
株式会社和火屋
ラブレター花火「愛と絆」
株式会社和火屋
ラブレター花火「愛と絆」
株式会社和火屋
デザイン花火
花ふぶき・恋ふぶき
有限会社若松煙火製造所
デザイン花火
カラフルスカイツリー
株式会社芳賀火工
デザイン花火
卒業〜桜の木の下で〜
株式会社マルゴー
デザイン花火
卒業〜桜の木の下で〜
株式会社マルゴー
デザイン花火
卒業〜桜の木の下で〜
株式会社マルゴー
曲付芯入なでしこの花
株式会社北日本花火興業
昇曲導付黄金華
アルプス煙火株式会社
彩色八方咲
野村花火工業株式会社
昇曲導付四重芯菊華の誉
有限会社篠原煙火店
昇り曲付四重芯変化菊
株式会社紅屋青木煙火店
花火会場現着は15時頃だが撮影席受付は16時だし、ここは一般客の出足が遅いのと、大曲などに比べるともし撮影席を確保していなくても一般観覧席内にそうした時刻にもいくらでも良い撮影場所が得られるからありがたい。堤防道路に入るとすぐに知り合いの花火写真家達に出会いご挨拶。陣取っている場所は上流側のハス位置だが超ワイド広角打ちの赤川では、かなりハスになる端の方の一般席に撮影場所を確保した方が画角に無理がない。今回思い知ったが、特等席ではあるものの大会本部のすぐ隣というセンター寄りの撮影席からでは、22ミリ以下の超広角レンズが不可欠であるため、そうしたレンズを持ってない(私も)か、歪ませたくない場合は画角が苦しい。
装備は今回もデジタル1発(今シーズンは全てD800)。デジタルカメラ出動が多いので「花火野郎がフイルムを捨てた!」とまで現地で言われてしまったものだが、望む機材が買える懐具合なら今すぐ乗り換えたいと言うのが本音。今回フイルムにするとレンズの画角の関係でどうしても三脚二本の重装備になってしまう。車で直近に乗り付けている愛好家氏にはどれほど機材が増えようが取るに足らないだろうが、電車でそれをやるには体調も完全でないと結構な負担なのだ。今回も前日までフイルムかデジタルかと迷ったが、色々な負担を考えると、フイルムにするとその花火大会に「行きたくなくなってしまう」ところまで追い込まれた。
それに私は「デジタルカメラに恋してる」なデジカメ大好きなんだもの。費用のかかるフイルムで撮り続けていたのは、私の望むレベルまでデジタルカメラが達しなかったに過ぎない。今ではデジタルカメラは必要十分な機能を持ち、プロの世界でも仕事はデジタル、趣味で楽しみで撮る写真はフイルムと言われるくらいだ。
私が花火用に常用しているポジフイルムもあと1年余でディスコンと言われている。買い占めたとて賞味期限があるフイルムはいずれ失う。フイルムに固執してる時間は限られている。フイルムの発色がいわば花火野郎の、小野里公成の花火写真の色を創り出してもいたのにこの世から消えるとなればどうしようもない。さっさとデジタルで同様のカラーを生み出さなければならない。私はとりあえず、過去の遺産というかポジに遺された発色に近づけたいと思っている。それにしてもデジタルで一度のフィルムチェンジやレンズ交換も無しで、切れ目無く撮り続けられるのだけは快感と言うほかない。花火方向から眼を逸らさずにいられるのは実にありがたい。
暮れなずみ、まだほんのり空に明るさが残っているが、やや涼しい快適な気温の中で花火は19時15分にスタートする。ねっとり暑い関東圏から比べれば楽なのは東北だからか、たまたま今日がそういう気温なのかはわからない。まぁ道すがらの車中は十分暑かったし。
オープニングは山梨県の株式会社マルゴー。丁度私の正面から5箇所打ちのワイド。縦位置で幅が収まる程度のワイドだが、高さは出ていて広角ズームの端まで使い切る程だ。おいおいこれで24ミリ縦なら今後どうなっちゃうの?こんなに近かったっけ?ワイド系に10号を放り込まれたら縦も横も目一杯になってしまいそう。しかしなんという至福。贅沢なのだ。3日の長岡が腰痛でずっこけたので、久しぶりに観るマルゴーのパフォーマンスを心底堪能できた。競技の部は冒頭からいきなりデザイン花火(スターマイン)の3連発と全開だ。
競技は以降何のトラブルもなく順調に進行した。予報では北西から西と開始早々の風も好条件だったが、それで終わるほど赤川は甘くないのはよく知っている。中盤以降は地上から5号玉領域までは南側つまり下流から横流れに吹く風と、上空10号域では西北西の風とミックスになった。それで10号は大半が煙の向こうに咲く感じになって残念だった。さすがにワイド系では大量に発煙し、一時期は地上付近の風は風下気味だったので、恒例の煙待ちが何度か行われた。デザイン花火の各社の設置はプログラムそれぞれが煙の影響を受けないように、打ち上げ場全体で上流側、下流側、中央と3箇所に分散してある。打上ごとに右方をごらんくださいと、アナウンスで案内するのが親切だ。この配置の妙のおかげかほぼ全作品を鑑賞することが出来た。
市民花火 Symphony of Fire
〜未来へのメッセージ〜
有限会社伊那火工堀内煙火店
市民花火 Symphony of Fire
〜未来へのメッセージ〜
有限会社伊那火工堀内煙火店
市民花火 Symphony of Fire
〜未来へのメッセージ〜
有限会社伊那火工堀内煙火店
市民花火 Symphony of Fire
〜未来へのメッセージ〜
有限会社伊那火工堀内煙火店
市民花火 Symphony of Fire
〜未来へのメッセージ〜
有限会社伊那火工堀内煙火店
市民花火 Symphony of Fire
〜未来へのメッセージ〜
有限会社伊那火工堀内煙火店
市民花火 Symphony of Fire
〜未来へのメッセージ〜
有限会社伊那火工堀内煙火店
エンディング
野村花火工業株式会社
エンディング
野村花火工業株式会社
エンディング
野村花火工業株式会社
エンディング
野村花火工業株式会社
エンディング
野村花火工業株式会社
エンディング
野村花火工業株式会社
20号1発目
20号2〜3発目下流側
桑名の時もトラブって、二尺を何発か撮りもらしたのだけれど、リモコンケーブルのひとつがダメになっていたみたい。レリーズしてロックをかけると、ややたって勝手にオフになってしまうのだ。レリーズしている時は、私の場合かなりの力が指先にかかっていると自覚している。柔な構造だから破壊しても不思議はない。早急に買い換えねば。
市民協賛や終幕のどちらのワイドも10号が入れば縦位置で24ミリで目一杯。あれぇ、こんなに高さがあったっけ……当然ながら24ミリ程度では横にすれば根本は網羅できるものの高さは3/5くらいしか入らず結局縦にして、ワイド打ちの真ん中当たりを切り取るしかなかった。
エンディングが終わってから、ラストプログラムに記載されている特別プログラムの花火が放たれるまでが少々待たされた。煙が履けるには良かったけれど、震災からみのスピーチが少々長かったし、しかもその後の花火打上をやることを明確に言わなかったためここで本当にゾロゾロと雪崩を打ってお客が帰り始めてしまった。
もちろん二尺に続いていく特別プログラムは素晴らしかっただけに、きちんとそういうのをやるよ、と告示してもよかったのでは?どんな大会でも思うけれど、サプライズも前振りをたいがいにしないと、花火も終わったみたいだから帰ると本当に帰っては驚きもなにもない。帰りかけた客は「損した」と感じるし同じ事を伊達の競演会でも思ったけれど、主催者の思い入れが普通の観客には伝わりにくいと思う。事前情報でここで何が行われるか知っていた私にも待ち時間を感じた。
特別プログラムは左から、折り返して右からと会場をフルワイドで素早く何度も駆け抜けるトラと星打ちの壮大なウェーブから、中央で二尺玉・万華鏡。次いで左右対打ちで二尺玉・八重芯錦冠先点滅が打ち上げられた。さすがに最大ワイドの対打ちでは、私の位置からは昇りを見たとたんに二発一緒に撮るのは無理な画角と判断し、確実に画角に入る向かって右側遠い方の1発だけを撮った。カメラ2台あるか、会場でもっとハス位置に陣取っていれば問題なかっただろう。今回の結果としては、フイルムで来ていても画角的に無理。同じ位置で手持ちのレンズでは撮りきれない。しかしデジタルには今後の追加機材の可能性があるので今後が楽しみになった。
かつて苦言を呈したこともあったが、素晴らしい花火内容でしかも完熟した運営の大会に成長したと思う。花火内容は競技会としての大曲の背を追いながらも独自路線で発展し赤川スタイルを築きあげたのは賞賛に値する。ここに内閣総理杯は無いものの、出品される花火は手抜きのない素晴らしいものだ。それは主催者の永年の熱意が出品業者に伝わったものだと思う。
大型のワイドプログラムだけでも、オープニング、市民協賛花火、エンディングと3回もあり、それぞれが大曲大会提供クラスの力の入った打上げで各社各様の工夫と持ち玉が披露されており見応えがあって素晴らしい。そしてこの大会の観覧環境は、現在の壮絶悲惨な大曲の比ではなく、有料桟敷や特別席が無くても花火大会本来ののんびりゆったりとした観覧ができるのがなんとも嬉しくありがたい。それは花火大会本来の当然のことなのに、有名になりすぎた多くの大会でそれが失われたのは残念なことだ。
他地域からの鉄道利用者はつまりツアー客が殆ど。だから花火が終わり私もホテルに引き上げるのだが、同じように行動する愛好家は殆ど居なくてどうにも、まるで不公平感のような一抹の寂しさを感じる。
翌日のJRのダイヤも新潟行きの特急いなほは、午前6時台、7時台そして次は9時と利用しづらい。今回はたまたま早く目が覚めてしまい、7時4分発に乗ったが旅立ちの支度をしていると朝飯を食う暇もない。しかも車内販売も乗らない時間帯だ。どこかのSAや道の駅で土地のものの食事が出来る車で来たいと思ってしまうのだ。
翌11日は鶴岡を発つとすぐに曇り、新潟近くで雨になった。関越トンネルの向こう関東圏は晴れて暑くなっていたが予報は良くない。疲れていることもあり土曜観覧はお休み。夕方からは自宅周りは雨になった。
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