花火野郎の観覧日記2012
観覧日記その22 12/31
ツインリンクもてぎ 花火の祭典〜冬〜
年忘れ大晦日スペシャル
栃木県・芳賀郡茂木町
JRバスが宇都宮駅〜ツインリンクもてぎ間の路線バスを運行しているが、ツインリンクもてぎ場内まで行けるのは一日に一往復しかない。あとは毎時便があるものの、真岡鉄道の茂木駅止まりだ。茂木駅からはバスなら15分程度だが、タクシーを使わないとツインリンクまで行くことが出来ない。
まことツインリンクもてぎは、客全員がマイカーで来場することを前提にしているし、それしかほとんど方法がない。今はマイカーが無いので、往きはバスで向かうことにした。その一日一便の直行便は、宇都宮駅発が08時50分。真岡鉄道の茂木駅を経由して現着は10時18分だ。道は空いていて順調に走り、定刻通りに到着した。順調とはいえ路線バスなので、各所のバス停を縫うように走るのでマイカーで行くように最短距離ではない。北ゲートの外に降ろされると思ったら、バスはそのままゲートを通過してメインエントランスの真ん前まで連れていってくれたのはありがたかった。バスの乗降口を降りるとすぐそこにスタッフのお姉さんが立っていて、そこで「チケット拝見」となった。運賃は片道で1500円也。宇都宮駅からツインリンクまで乗っていたのは私を入れてたった二人。帰りの宇都宮駅行きバスは15時台に出てしまうので花火観覧後の帰路には使えない。
メインエントランス着が10時18分だから10時のゲートオープンとともに一番乗りで通過したマイカーが駐車し徒歩で相当歩いてメインエントランスにたどり着くことを考えると路線バスは一番速く入場できる手段かも知れない。しかし無駄に早すぎる。
当然ながら場内は来客もまばらで、飲食ブースも準備中。北西の風向き予報から第2ターン方面に場所取りに行く。到着時にメインエントランスに建ち並ぶフラッグは予報通り北西の風にたなびいて迷わうこともなかった。しかしなんの誉れもない一番乗り。他の三脚も一本も無く愛好家さえも誰も見かけなかった。
昨30日は一日中冷たい雨に見舞われたが今日は朝から気温高めで過ごしやすい。昼過ぎには上着のダウンを着ていると暑いくらい陽射しが暖かかった。昼を過ぎると風向きはなんと南風。第2ターンから見れば横風なのだが順風となる第3ターンが気になり何度も足を運んで変えようかどうしようかと悩んだ。
一般客が集まりだしたのは午後からで、15時過ぎから急に増えたようだ。愛好家氏も三々五々来場し、あちこちで歓談することができた。夏ほどではないがまばらだった三脚もそこそこに増えていた。結局観覧場所は変えなかったのだけれど、夕刻からまたまた風向きが変わり結局 元のままで正解だった。
日が落ちるとさすがに急に冷えてくる。昨年とほぼ同じ位置だったのでまたも照明灯の影響を受けがちだが、ものすごく広角にでもしなければ大丈夫だろう。今回は場外で、とも考えたのだが新規投入機材のテスト撮影も兼ねていたので画角が読める既知の撮影場所にした。撮りの方はデジタルカメラの2台体勢。三脚も2本。双方にズームレンズ搭載で機材は最小限に抑えた。とはいえレンズの守備範囲を考えればあとレンズ2本は追加したところが最大装備だろう。今後の撮影体勢を展望する装備だ。
風はツインリンクホテルから吹く北風になった。定時雷の煙が淀みなく流れる程度の風力がある。
ツインリンクもてぎの冬
ツインリンクもてぎの冬
ツインリンクもてぎの冬
ツインリンクもてぎの冬
Winter colors
冬空に15の輝き・15の想い
八重芯菊先紫緑
冬空に15の輝き・15の想い
八重花芯金波菊錦紫花染
冬空に15の輝き・15の想い
花の精
冬空に15の輝き・15の想い
四重芯春の彩り
冬空に15の輝き・15の想い
四重芯夏の彩り
冬空に15の輝き・15の想い
四重芯秋の彩り
冬空に15の輝き・15の想い
四重芯冬の彩り
冬空に15の輝き・15の想い
四重芯先代の彩り
火の唄・華の唄
火の唄・華の唄
火の唄・華の唄
火の唄・華の唄
火の唄・華の唄
火の唄・華の唄
火の唄・華の唄
スーパーフィナーレ
スーパーフィナーレ
スーパーフィナーレ
プログラムは冬静耀暖欒(とうせいようだんらん)と銘打った5部構成。オープニング「冬」は白を基調としたワイド打ち。
「静」Winter Colorは2箇所からの各種単発打ちから錦ワイドのエンディングへ。
「耀」冬空に15の輝き・15の想い。第3部は15周年を記念しての尺玉15発。発表された玉名を観るに血沸き肉踊ると言った内容だった。ところが残念ながらうち5発も仕込まれていた四重芯は、いずれも四重芯として組み立ててあるのか?と思えるほどそうは見えない玉ばかりだった。とくに3発目の春の彩りはどう見てもただの芯入りにしか見えず、装填ミスかと思ったほどだ。全体に花火の祭典〜新春〜の頃の干支玉として打っていた尺玉の完成度やヴァリエーションにはほど遠い。小幡花火の万華鏡系=花系の玉は凝った造りになっていて感心したが肝心の四重芯ものがこれでは「四重芯の小幡」と銘打っての宣伝を違える内容と言わざるをえない。自分の眼が変なのかと何人もの愛好家に確認したがやはり四重芯?という反応だった。そもそも5発も打った四重芯が全滅とは今時珍しい。本当に四重芯に造られていたのかも疑わしい。小幡花火というトップクラスの煙火店においてこれはどういうわけなのだろう。これは・・
・中身は芯入りや八重芯だったけど、四重芯というタイトルをゴマカシで付けたのか?
・四重芯に装填したけれどひとつも出ないほど技量に問題があるのか?
このどちらにしても有料の花火興行としては観る価値があるのだろうか?一般客にはわからないだろうが我々は納得しない。そうして観覧条件が悪いことが多い茂木では櫛の歯が抜けるように愛好家の足が遠のくのだ。
「暖」火の唄・華の唄。万華鏡系の玉を主体に様々な斜め打ち、扇打ちが繰り返し絡む。今回では一番華やかなパートだったと思う。
「欒」スーパーフィナーレは扇打ちトラに引き柳が絡む出だしからお馴染みの錦冠ワイド、銀一斉。変わっていたのは銀冠先点滅一斉に追い被せるように銀千輪一斉を放ったことでこれは確かにスペシャル。ただ双方が被りすぎて千輪が勿体ない感じだった。
各パートの終わりには自然と拍手してしまうような全体としては昨年の大晦日に比べれば遙かに本来の小幡花火らしい出来だった。実験的な玉も含まれているのかどうか、肝心の尺玉が一発事に感嘆の声を上げる程ではなかったのが残念。要所に扇打ちの様々なヴァリエーションを入れて変化を付けているのが新しい。
「小幡の四重芯が観たい」かつてはただそれだけの理由でツインリンクに足を運んだ。その後観るたびに何か驚きが、意外性が、新しいことが待ちかまえていて飽きなかった。今年は4回公演にもなったのに、結局この日の一度を観ただけになった。それまで毎年3度の公演のうち2回は観るほどだったのに。どうして5月の春公演は来なかったのか?と考えたら天気が最悪だったのだ。人の多い夏は避け、秋は自分が風邪ひきで来られなかった。夏は避けというが毎年ほとんど観てきたのに昨年の大晦日以来かつてのようなどうしても!という気持ちが薄れているのだと思う。驚くほどのことが起きない、というのは単に私が見慣れ過ぎているのかもしれないが、1発の四重芯も見られないというのは期待はずれでその点についてはひどくがっかりしてしまった。先代の魂を引き継いだはずなのにこの四重芯は哀しすぎる。この体たらくで先代の彩りとは玉名が嘆かわしいではないか。
それでも昨年のことを思えば満足して帰路につくことが出来て良かった。次の2013年もまたまた大晦日設定だが、せめてクリスマス公演か新春公演に戻してもらいたいと願う。帰りは知り合いの愛好家の車で宇都宮駅まで送って貰えてありがたかった。昼過ぎにはお客が少ないなぁと思っていたが、南ゲート方面は予想外に駐車車両が多くて驚いた。思いの外順調で19時50分には駅に到着。
暮れに早々に2013年度の花火の祭典開催スケジュールが発表されたが、花火愛好家をして驚嘆せしめたのは、なんと秋公演の担当煙火店が茨城の野村花火工業になっていたことだった。これまで頑なに他の花火店の参入を拒み、菊屋小幡花火店の名で集客してきたのにどうしたわけか。日程も今年の11月24日から9月22日にシフトしている。
早くも愛好家の間では秋公演だけは見逃せない、という声も聞かれ、野村花火工業がこの舞台でどれほどのパフォーマンスを見せるのか期待で胸が膨らむばかりだ。しかしとうとう他の煙火店の参入を許したとなると他の3回も当然ながら安泰といえるのだろうか?
私が経営者なら春夏秋冬やるなら4つの煙火店に任せた方が変化があって面白いと思う。この日の場内アナウンスで2013の花火の祭典について繰り返し宣伝していたが、菊屋小幡花火店にならぶ日本の名工野村花火工業が担当、とアナウンスしていた。この時点で小幡と同等とみなしているわけだ。この起用がピンチヒッターなのか出来によっては指定席になるのか?それも関心事である。
名人クラスの珠玉の花火が観せられるなら花火屋にこだわらない、となれば今後のツインリンクの展開が見物である。
この日、野村社長の姿を見かけたという愛好家情報もあり、担当煙火店として舞台の下見なのだろう。意欲満々である。
先代小幡清英氏はこのだだ広いサーキットでどう花火をみせるのか、永年苦心してきただけに、野村花火の打上がどうなるのか今から本当に楽しみだ。迎え撃つ小幡花火店としてはぜひ最大限のパフォーマンスで拮抗して貰いたい。
15発の尺玉の玉名は以下の通り。
1 青芯菊先ピンク紫銀乱
2 ピンク千輪
3 四重芯春の彩り
4 八重芯菊先紫緑
5 八重芯スパンコール錦青花染
6 四重芯夏の彩り
7 ピンク銀変芯錦先銀乱
8 八重花芯金波菊錦紫花染
9 四重芯秋の彩り
10 花の精
11 モノクロームの花
12 四重芯冬の彩り
13 青白点滅変芯菊先雪錦紅銀乱
14 八重芯ローマンピンク花冠菊
15 四重芯先代の彩り
この大会で2012年度の観覧を締めくくりました。
観覧日記に未掲載の分を含めて25箇所の花火大会、花火イベントを無事観覧できたことは、この激動の年によくぞ贅沢な時間を過ごさせて戴いたと感謝するばかりです。思えば、普通に花火観覧ができることの歓びと贅沢さを噛みしめる一年でした。
新年度もまた無事故の消費とともに素晴らしい花火に出会えることを期待しつつ、新たな観覧に胸を躍らせる年末年始です。観覧日記2012をお読みいただきありがとうございました。
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