花火野郎の観覧日記2013

観覧日記その13 8/24
第23回 赤川花火大会

  
山形県・鶴岡市

 土曜開催のせいか旅行会社のツアーのせいか、いつも利用する昼過ぎの特急「いなほ」指定席をえきねっとで事前申し込みしていたら、発売開始日に「お席をお取りできませんでした」メールが来て焦る。お取りできませんでしたじゃねェよっ、とえきねっとにアクセスして1本前のいなほの指定席をなんとかゲット。
 新潟発のいなほ、乗り込むと指定席はがらがら。なんだ、これでどうして指定席がお取りできないんだ。と思っていたら、発車間際に乗り継ぎの客(from 北陸方面?)がどっと乗車してきてたちまち指定席は満席になった。しかし特急いなほは、またまた冷房もよく効かずボーッとして揺られる。車両が悪いのか保線が悪いのか、たいしたスピードで走っているわけじゃないのに通路を歩けば、激しい横揺れに体ごと飛ばされて横の乗客の上にルパンダイブしそうになるくらいだ。なんでも常磐線のフレッシュひたち君の車両が下がって、新しい「いなほ」車両としてこの路線に投入されるらしい。少しは乗りごこちが良くなるかも(車が良くなっても道路がなぁ)。
 車内でプリントアウトしたプログラムを熟読しているような人もいたが、時間的に全部が花火客じゃないだろう。ところが鶴岡で降りる客が多いのにもお出迎えが駅構内を埋めていることにも驚く。まだまだ帰省の客が多いのだろうか。会場近くの三川橋までタクシーで向かい、堤防道路を経て会場入り。
 夕刻には撮影席の受付に全国のカメラマン氏が長い列をつくるが、あいかわらず一般客の出足はゆっくりだ。ここでは撮影・録画組は受付後は開始までずっと堤防道路の桜並木の木陰に居られるのがありがたい。初の土曜開催ということで、有料席などの売れ行きは良かったらしい。赤川らしいのんびりとした雰囲気に包まれてリラックスした待ち時間がなんとも心和む。
 カメラは2台体制で三脚も頑張って2本立てた。メインとサブという振り分けではなくて、割物競技専任とその他全部という振り分け。昨年は超接近戦、というより間合いはあるのに打ち上げ空間規模が大きいので、その時の手持レンズの最大広角でも収まりきらず閉口した。でその後さらに広角領域を拡げたレンズをお手当てして今期は挑むことになった。この撮影エリアを使うには最低でも24ミリは無くては歯が立たない。しかしそれでもエンディングなどの最大ワイドは寝かしても入りきらない。
 赤川の有料撮影区画は私が経験した花火大会の中ではもっとも快適で撮りに集中できる場所だ。全ての観客の一番後方でありながらその一般客を意識しなくてもよい双方のおジャマにならない位置なのはたいへん居心地がよい。その分画角的にそうとうハードだけれど、打ち上げ空間に対してほぼ、全撮影席が中央に相対している。もちろん撮影席を利用しなくても河川敷一般席後方でも快適に撮影できる。画角に余裕が無い場合はハス方向に離れた一般席に陣取ることも可能だ。撮影区域に立って最大広角を使うと画面内に頭上に被さる桜の枝葉が入り込む。ほぼ真上で、まさかここまで10号の盆が来るまい、と思ったが念のため枝葉が入らないようにカメラ位置を調整した。結果を先に言えば、ほぼ真上を楽に超えてエンディング等の10号が開花。まだ収まりきらないか、と呆れる。
 オープニングの前に、さらに花火打ち上げがあると聞いた。「希望の光2013」として、岩手の子供達と鶴岡の子供達が一緒に合唱するというプログラムで、その裏打ちに入るらしい。担当はマルゴーと聞いていたが、最大5号で数分の短いものらしい。しかし始まってみれば、「腕組んで眺めている場合じゃねー」と短いながらもマルゴー色全開。オープニングを控えてさすがに撮影もスタンバイ体勢だったのですかさず撮影開始。本来のオープニングの前に、ウォーミングアップというか、エンジンがかかった感じだ。
 赤川には標準玉が無いので、カメラの画角合わせに1発目の競技玉が犠牲になる(撮らないだけで観ていないわけではない)。しかしこの後の全ての割物をきつちり捉えるためには致し方ない。
 オープニングから北日本花火が緻密なワイド仕立てで飛ばす。昨年同様に幅はカメラの縦位置で収まるほどとはいえ高さが凄い。
   

特別プログラム
希望の光2013
株式会社マルゴー

特別プログラム
希望の光2013
株式会社マルゴー

オープニング
夜空のアニメモンスター
株式会社北日本花火興業

オープニング
夜空のアニメモンスター
株式会社北日本花火興業

オープニング
夜空のアニメモンスター
株式会社北日本花火興業
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オープニング
夜空のアニメモンスター
株式会社北日本花火興業

デザイン花火
サンバの踊りにムンクの叫び
株式会社和火屋

デザイン花火
光の楽園
株式会社マルゴー

昇曲導付四重芯菊先青之光
有限会社菊屋小幡花火店

昇曲導付八重芯変化菊
株式会社山内煙火店
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赤川の大柳
株式会社山内煙火店

昇曲導付四重芯変化菊
野村花火工業株式会社

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

メロディスターマイン
あの日、いつものBARで
株式会社磯谷煙火店

市民花火
Discover Hanabi 2013
株式会社紅屋青木煙火店

エンデイング
輝け!響け!未来へ、翔れ!!
有限会社伊那火工堀内煙火店

エンデイング
輝け!響け!未来へ、翔れ!!
有限会社伊那火工堀内煙火店

エンデイング 20号3発
輝け!響け!未来へ、翔れ!!
有限会社伊那火工堀内煙火店
  
 この晩の青木煙火担当の市民花火は、想像を遙かに超えた初体感のものだった。同煙火店でも500メートルを超えてその全部で同規模に打ち上げるというのは滅多に無い(えびす講では幅は同等でも主体は300メートルくらい)。そして日本ではなかなか見ることのない規模と物量を御した、花火史に残るような瞬間に立ち会えたことは至福だった。この日この場所に居た客は幸せだ。この規模と物量、演出ではそう容易に他で再現実行することはかなわない。ただ幅を広げただけのワイドではない。オリンピックや海外でのコンクール、カウントダウンだけで見られるよう大規模で、複雑で、計算された打ち上げは、そのままワールドワイドクラスの花火パフォーマンスだった。日本でこのような打ち上げを目の当たりに出来るとは思わなかった。
 一発ずつの花火玉の妙を探求してきた日本の花火だが、青木煙火はもちろんそれをおろそかにせず、打ち上げ集合体としての見せ方に尽力し、研究し、そしてここまできたのか、と感慨深く、鳥肌の立つのが止まない状態で見続けた。
 驚いたのは磯谷煙火のメロディスターマイン。早くから開催告知にも青木煙火、堀内煙火と並んで今年度の目玉の煙火業者として名を連ねていた。しかし磯谷煙火だ。それなりのものをやってもらうにはそれなりの対価と整った現場が必要。場所に問題はないもののさすがに、せいぜいエキシビション、招待扱いの小規模なスターマイン程度と思っていた。ところが実際は豊田や袋井などのメロディスターマインにひけをとらない規模の内容だった。
 「あの日、いつものBARで」のその後バージョン。というラブストーリー仕立てだが、バーで出会った男女がめでたくゴールイン。しかしその後挙式披露宴の打ち上げが物量内容ともに凄かった。万葉華、万華鏡、光の宝石、千輪、銀錦という磯谷ワールド大展開。そして滅多にお目にかかれず、見た者は必ずや幸せになれるという(ウソ♪)スターオパールまで!これには鶴岡地元の客も驚いたのではないかと思う。というのもおよそ関東以北でこれほどの大規模磯谷ワールドが披露されたことは過去に無い。つまりはお初にお目にかかるだろうからだ。磯谷煙火を呼び、本家メロディスターマインのようなワイドとはいかないが、光の宝石3本打ちと、充分すぎる規模。
 後日談によるとこの内容での磯谷参加は昨年のうちにほぼ決まっていたらしい。オープニングの北日本花火から、青木煙火、磯谷煙火、トリの堀内煙火と要所を締める大型プログラムがいずれも超重量級。観覧するこちら側も圧倒されずに見据えるだけの精神力が要る。このどれかひとつだけでも充分に眼福を得る内容なのに赤川は本当になんだか凄いことになってきている。
 残念ながら恒例のパタパタタイムが多目のコンディション。大物プログラム多発で発煙量が多いから仕方ないものの、花火内容が凄いだけに赤川らしい少し残念な観望コンディション。
 大曲に明日なろうと追いかけてきた赤川は、いつしか独自路線の素晴らしい花火大会に成長した。主軸となる競技部門では内閣総理杯などの「権威」こそないものの、割物で、デザイン花火(スターマイン)で大曲を凌ぎこそすれ見劣りするような作品は見られない。そして開幕、市民花火、エンディングなど合間に挟まる壮大なワイドプログラムは、地権者の協力も伴いロケーションにも恵まれ、もはや赤川ならではの必見の出し物になった。ようするに気を抜いて観ている暇が全く無い大会(笑)。打ち上げ会場一杯に隅々まで使い、その中で出来る最大最高の花火を追求している赤川は、立派にオリジナルな赤川ならではの花火を見せていると思う。
 エンディングは20号6発を擁する700メートルスーパーワイド。扇に打ち分けるザラ星がほとんどレインボーカラー。このワイド面でガツンガツンと10号を打たれると本当に圧倒的。星先は頭上を越えていく有様だ。残念ながら手前で打つ10号より奥の20号が開花位置がほぼ同じで、もちろん愛好家連中にはそれと判るものの流れに埋没気味だったのが惜しいというか、20号の見せ方としては勿体ない気がした。凝った堀内の20号なのだし費用もかかっているのだから、多量の10号に紛れていましたというのは勿体ない。プログラムに玉名とともに20号と記載できない訳があるのだろうか?客にそれと告知して打つぞと宣言して見せるのでも良いのではないかと思う。
 今年は明らかにお客が多いと思う。片づけをしているうちに周りを帰り客に囲まれてしばらくその場所を動けなかった。河川敷から上がる階段も砂時計状態になっているし、駅に向かう方向の堤防道路もすたすた歩くようには行かなかった。撮影した最終カットを見ると21時20分が最期になっているが、ホテルにたどり着いたのは22時30分近くになっていた。
 来年もまた8月16日の土曜開催と、打ち上げの合間にアナウンスしていた。

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