花火野郎の観覧日記2013

観覧日記その10 8/10
ふくろい遠州の花火 2013

  
静岡県・袋井市


創作メロディスターマイン
希望の花

創作メロディスターマイン
希望の花

創作メロディスターマイン
希望の花

創作メロディスターマイン
希望の花

全国花火名人選抜競技大会
山梨県 齋木煙火本店
レインボーフラワー

日本一メロディスターマイン
ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」

日本一メロディスターマイン
ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」

スターマイン
段咲きしぐれ〜華の舞〜
田村清治

8号・明日に咲く希望の花
野村陽一

スターマイン
いつか花咲くその日まで
野村陽一

スターマイン・桜〜日本の心〜
青木昭夫

スターマイン・桜〜日本の心〜
青木昭夫

8号・コスモ
磯谷尚孝

大空の大絵巻 日本一ジャンボ
ワイドスターマイン・纏

大空の大絵巻 日本一ジャンボ
ワイドスターマイン・纏

大空の大絵巻 日本一ジャンボ
ワイドスターマイン・纏
   
 2007年来になる。昨年も行こうとして手配したのだけれど、さすがに赤川の翌日で疲労困憊で断念した。飛行機など駆使できる愛好家は普通に移動できたらしいが、機材込みで鶴岡から袋井は電車でもちょっとしんどかった。
 昼前に会場に到着し、久しぶりなのでまだ入場規制されていない有料区画内を一回りする。何度も観てきた大会だけに、大きく変わった点があるわけではない。まだ私を知る古くからのスタッフもいらしてご挨拶する。
 14時30分の入場開始まで木陰で時間をつぶす。西南西から南西の風で、有料区画側からは順風の好条件。風が吹き抜けて猛暑にもかかわらず日陰に居れば涼しく快適だった。しかしこの風向き条件が花火開催時間まで続くことはない、というのが袋井だから日中が良くても安心できない。
 開場時間が近づくにつれ、三々五々写真や花火の愛好家が到着する。そして有料席区画入場開始とともに、撮影組は一斉に撮影可能区域に三脚を立てた。そこがカメラ専用席と決まっているわけではないが、暗黙の了解として指定椅子席の前の一部の区域が三脚使用可の撮影場所としてあてがわれている。というか現在のこの花火大会では、大部分を占める芝生エリアはとうの昔に三脚使用禁止になったし、広愛大橋上流側の有料席区画内では、事実上他に三脚を使用して撮影できる場所がない。私がしばらく観覧していない6年くらいのうちに、三脚を連ねて撮影できる場所はここだけになったようだ。撮影(録画)組とはいっても有料区画内のいずれかの指定席を購入しての入場だ。
 今回初めてプログラム紙とは別に有料の公式ガイドブックなる小冊子が作られた。プログラムはもちろん、大会の沿革をはじめ全国名人選抜競技に参加の花火師さんたちの紹介を中心に構成されている。歴代花火大会ポスター紹介のページがあって、私は1995年から都合7回ほどポスターやプログラムの写真を担当させていただいた。それはこの大会の発展期の良い思い出だ。2000年は私の担当ではないが、当時審査員長を務めさせていただいた花火写真コンテストで、せっかくコンテストの特等受賞者がいるのだからその写真をポスターにしては?とサジェスチョンしたものだ。いったん離れたが、2005年に当時の商工会議所会頭の要望で再びポスターに参加させていただいたが、いろいろあってその年は3種類のポスターになっている。
 場所取り後の永い午後は、橋の下の日陰で歓談して過ごす。そしていよいよ花火のお時間だが、本当に袋井は……花火内容は申し分ないが、どうして開催時間の条件がこんなに良くないのだろう。日中の素晴らしい順風の風向きがどうして夜になるとこうなってしまうのか。無惨。無惨。全てのプログラムが台無しだ。筒口からの煙と上空の開花残煙が正反対に流れる奇妙。溜まる煙、よどむ煙。今期こう立て続けに煙に巻かれると脱力する。
 しかしながらおなじみのプログラム群はどれもが相変わらず素晴らしい。これまで時間をかけて無駄を削ぎ落とし、良質なエッセンスだけが残っている感じだ。全国名人選抜は、形こそ競技形式だが、もとより良い花火を披露してもらうという「エキシビジョン」という考えで設けられた。凄い多重芯は数多くないものの、どの出品者も他の競技会に比しても手抜きのない作品を披露して、この出し物の部分だけでも十分な見応えだ。各出品者は来る大曲や土浦でのテストや前哨戦と考えているのかもしれない。
 しかし全般を通して風向きなど条件に恵まれず、良い花火の魅力も半減したのは残念。銀の星は茶色に変わり、色も姿も見て貰いたい姿とは違うだろう。ラスト前のナイアガラ富士は猛烈に発煙し会場を覆い隠した。しかしここで煙が掃けるまで待つという裁量ははまったく無しにそのままラストのワイドに続いてしまったのは勿体なく残念な消費だった。全体にそうした「花火をより良い状態で見てもらうための」時間は設けずただスケジュールどおりに進めるところにもう少し余裕があってもいいのではと感じる。おかげで見せ場の最終スターマインも煙の中。あとは真っ白だ。発射音、ビリビリと響く連続炸裂音の凄さ、そして煙幕を通しても伝わる熱量がその単位時間当たりの物量を物語っていた。
 残念ながら有料区画ではそこしか選択肢がないとはいえ、「目の前が通路」の撮影場所は不都合すぎる。それというのも料金を払った有料席のはずなのに、花火開催中にとにかく人通りが絶える間がないのだ。どうして打ち上げ中にも花火も見ずにひっきりなしに大勢の客が往来しているのか理解できない。そして目の前に立ち止まられる。両手を揚げてスマホ(時にはiPad!自分の席からいくらでも録ればいいじゃないか)で動画撮影、なんていうのを繰り返しやられてうんざりした。三脚を立てる場所が通路より高いわけではないから、人に前に立たれるとどうしようもない。かといって後ろは椅子席だから脚立を使用したり三脚を高くして立ちはだかるわけにもいかない。お手上げだ。花火が始まったら落ちついてそれぞれの席で大人しく座って見ているのだろうと思ったが甘い見通しか。
 この撮影可能エリアは現在のキャパのまま、通路の反対側、つまり芝生有料区画の後端にカメラ席として有料でもいいから場所を移して貰えないかと願う。椅子席最前列に座っている客から見れば目の前にカメラが並んでいるより、通路の向こう側の方が気にならないと思うのだ。
 中には打ち上げ中にその通路を歩いてきたかと思ったら、我々の目の前の通路際にやおら三脚を立てて撮影しようという輩まで出る始末で、なんのために我々が決まりに従って早くから撮影場所を確保しているのやら。
 電車組の私は帰りがまた大変だった。宿泊地は掛川で愛野駅からひと駅。会場で1時間ほど時間を潰し30分近くもかけてゆっくり愛野駅に着いたはずなのに、駅頭は南北どちらの入口も過去に経験したことのない凄まじい大行列になっていた。
 駅前ロータリーの両側入口に大勢の客が群がり行列する様は、まるで人を貯める大規模なダム湖のようで、高架の駅舎を備える愛野駅は、巨大なダムの如くそびえ立っていた。そして下流への放水=駅ホームへの乗客の誘導はというと、安全を気にし過ぎてのことか、まことにちょろちょろ細々とした放流でダム湖の水が一向に減る様子がない。それどころか貯水量が増えるばかり。改修工事で使えない袋井駅が捌く分の観客まで一手に引き受けた恰好の愛野駅は、処理能力が追いつかない様子だ。いくら花火会場の方で時間差退場などを整然と行い、観客がそれに従っても肝心の駅がスムースに客を入れないのでは空回り、駅頭に無駄に溜まっていくばかりだ。
 この様子を同じくひとつ先の掛川まで行く愛好家と茫然と眺めていた。これは壮観なと感嘆している場合ではなく一体何時乗れることやら。本当に幸いなことに一緒に退場してきた一行に車で来ている愛好家が居て、ご厚意で帰る途中に隣の掛川駅まで運んで貰えることになった。車にたどり着けばスムースに出庫できて全く渋滞無しに掛川駅に到着。
 袋井駅の工事は来年も継続するので、次回も同じことが繰り返される懸念。電車組は要注意だ。

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