花火野郎の観覧日記2013

観覧日記その11 8/15
第30回 榛名ふるさと祭り 商工祭花火大会

  
群馬県・高崎市


開幕10号・四重芯変化菊

7号・三重芯変化菊

庭園スターマイン

10号・涼風の花

大スターマイン

10号・八重芯金冠青紅点滅花冠

10号・四重芯変化菊

超特大スターマイン

超特大スターマイン
 
 開催されているのは知っていたもののようやく初観覧。本当に田舎のほのぼのとしたお盆の花火大会だけれど、花火担当が地元の菊屋小幡花火店ということで観覧済みの多くの愛好家からよさげな話は聞いていた。しかしなにぶんよそ者には交通の便が問題。高崎駅から路線バスで約40分はいいけれど帰りの足が無い。だからマイカーでないと難しい。
 既に何度も観覧済みの小幡ファンに事前に色々教えていただいて、とりあえず当日は15時近くに現地榛名支所の駐車場にパーキング。しばらく運転していないのでカンを取り戻すためとこの大会観覧のためにレンタカーを利用して訪れた。
 初めての場所なので空身でロケハン。飾り付けられた納涼提灯を辿っていくとそれに道案内されるように烏川縁の祭りメイン会場の烏川公園に誘われた。川縁の細い道路を埋めるほどに地元の観覧客の場所取りシートが敷かれていた。公園に隣接する綺麗な芝生と木陰を有したグラウンドの一角では既に到着した愛好家たちが休憩中で色々と大会の様子を教えていただく。
 打ち上げは対岸のはるな中央グラウンドで、木々に隠れながら準備の様子がうかがえる。スターマイン群とやや離れて10号筒。まだ用意されていなかったが庭園花火もワイド仕様で設置されるらしい。
 メイン会場からでは相当に近いと聞き、実際に頭上開花になりそうな間合い。それでいくつか他の観覧ポイントを伺い、また事前にグーグルマップで候補に考えていたポイントをロケハンしにいく。南北はさほど標高は高くはないが山に挟まれたような地形で、その中間に川や町並みがある感じだ。山肌にも段々に多くの民家が建ち並んでいる。
 地元の写真愛好家は車を駆使して、風上なり、裏側なり自在に動くらしいがそこまで土地勘もないし、歩ける範囲で散策していく。幹線道路沿いは見晴らしが良かったが歩道が無くつまり三脚の立つ予知も無しでNG。川縁を少し離れればさほど歩かなくてもたどり着ける山斜面もあり、あちこち少し登っては下りてロケハンする。機材を自力で上げるのが困難そうだけど、少し斜面を登ると打ち上げ場所全体を眼下に納めるような素敵な観覧場所がいくつか探し出せた。あとは風向き次第でそうしたところが使えればよいのだけれど。
 到着時は東風で、メイン側風下と宜しくなかったが、何度か観覧している愛好家によれば夜はまた変わりそう、ということで風を含めて天気予報に振り回されっぱなしの今期はなかなか判断が難しい悩ましい。
 ロケハンから戻って16時を過ぎると大会本部ではプログラム紙が配られていて入手。町のお盆花火という形だが、出し物は44番まで数え、3〜5号早打ちに、7〜10号。スターマイン、花束、庭園花火など、玉村や新町などの小幡花火を観覧している者にはおなじみのプログラム立てだ。10号には最高で四重芯まであることが記載され、本番が楽しみになる。
 観覧場所を決めると、そこは駐車場からけっこう遠くなることがわかったが、車を駐め直すのも面倒なので歩きで頑張る。17時過ぎに機材を山斜面の下まで運ぶが、カメラバッグと三脚と何度かに分けて荷揚げ(しかも休み休み)しなければならなかった。最初から背負えるザック型にすればよかったが、登山(大げさ)しての観覧になるとは思わず………。
 この日は関東圏は朝から「大気の状態が不安定」の指定付きの予報だったので、群馬という雷雨のメッカに居ては花火が始まるまで空を見上げては気が気じゃなかった。ときおり空の一部でピカピカされると緊張する。気象レーダーを見るとここからほど近い長野との県境で相当降っているようだ。しかし榛名では曇っているものの雨の兆しはない。このままいけそうかと、開始間際に2本目の三脚を立ててカメラも2台体制にしようかと考えたが、立てたとたんに目の前の打ち上げ空間の背後の空がぱっと明るくなるくらいにピカピカしたのを見て、「やっぱり止めておこう」と三脚を畳む(意気地なし)。今期のゲリラ的な豪雨が万が一来ることを考えると、店開きは最小限にとどめた方が無難。
 で、機材はデジタル一眼にズームと最小限になった。愛好家仲間によると10号まで間合いは400メートル程度らしいが、初めての大会で初めての場所、上がってみないと画角の感じが掴めない。最大広角寄りのズームを装着して開始を待つ。
 開幕スターマインからその締めに10号四重芯が入る、という豪華な幕開け。木々を背負う山斜面のため、風の抜け具合が良くわからない。結局打ち揚場の煙は向かって左の西風に乗り、上空の開花は東風とどちらも横風で流されるような向きだった。おおむね花火の後ろ方向に煙は流れて視界は良い方だ。しっかりと暗い夜空に凛と映える花火は心に染みいる存在感だった。
 お盆の花火というのは特別な感じがする。進行も花火内容もシンプルだけど、厳かで、やはり慰霊とか供養とかそうした想いが乗っかっていくからだろうか。自分のご先祖とはまったく関係のない土地での盆花火を見ているのだけれど、この土地の人々の思いに同調するというか、凄く綺麗でしかものんびりとした進行でありながら同時に厳粛な気持ちにさせられる。ロケハンの時も近隣のお寺さんで、入れ替わり立ち替わりに墓参りをする人たちを見かけた。そうした光景もオーバーラップして普段の花火観覧より少し背筋が伸びる。
 メイン会場からの進行アナウンスも、花火の開花音も山間の町に響きわたってよく聞こえてくる。画角は序盤で最大広角で24ミリあれば余裕とわかり、レンズも付け替えて以降を撮る。久しぶりにのんびりゆったりした気分で、花火に相対できた晩だった。
 予想より早く20時30分過ぎに終了した。街路灯ひとつない辺りはもう真っ暗。機材込みなので懐中電灯を頼りに注意しながら斜面を下る。21時過ぎに出庫。久しぶりの運転だからか渋滞ノロノロも楽しい。高崎インターから関越道。心配されたUターン渋滞は無く普通に流れていた。しかし関越の電光掲示板に中央道の情報が表示され、岡谷インターなどが雨で通行止めと表示されていた。高速道が通行止めとはどれだけ降っているんだろう。とそういえば今日は諏訪湖湖上祭。岡谷は諏訪湖花火会場の対岸とはいえ影響は少なからずあるのでは?と思いながらの帰路。
 帰宅してBSで録画しておいた諏訪湖湖上祭花火大会を見ながらビールと思いきや、なんと豪雨で中止の顛末が録画されていてびっくりした。過去に雨でも決行の諏訪湖は知っているが、途中で中止というのは私ははじめて聞く。テレビ画面からは激しい落雷の音や光が聞こえ映し出されて、私は隅田川の悪夢を思い出すのだった。

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