花火野郎の観覧日記2013

観覧日記その16 10/12
第12回 こうのす花火大会

  
埼玉県・鴻巣市


四尺玉試験玉と三尺玉(模型)

四尺玉試験玉

四尺玉試験玉

四尺玉試験玉

四尺玉試験玉

四尺筒

四尺筒と三尺筒(右)

強風でシートがぁぁ
   
 気圧配置から安定した北西の風(実際は北風だった)という予報で、これが秋開催の良いところになるかもしれないが、夏ならほぼ南風でメイン観覧席が完全風下になってしまいがちだが、北からみの予報だと順風が期待できる。
 この予報で駅から近い裏手で昨年のようにのんびり観覧、というもくろみが外れてテンションが下がる。メイン観覧席側の激戦の場所取りに参戦しなければならないのと、電車組としては鴻巣駅からも北鴻巣駅からも遠いいちばん奥まった観覧場所になってしまうからだ。午前中は仕事があり、早く現着する事は叶わず、とうに場所取りの決着が付いた頃にようやくたどり着く。
 素晴らしい快晴だが、もう10月も半ば近いのに夏のような暑さだ。風向きを考えると少しでも西寄りに行きたかったが、綺麗にシートが敷き詰められて隙間を捜すのに苦労する。糠田橋を超えてロケハンもするが、実際とグーグル空撮の違いを思い知る。良いと思われた観覧候補地には河川敷に背の高い樹木が群生、視界が無かった。陽射しも強く、こうして機材込みで歩き廻るともう汗だくだ。
 メインの有料エリアを前に見るような堤防道路を東へ西へ良い場所は?と探し回る。三脚を2本立てたかったが、周りに知り合いも居たので場所を融通してもらってなんとか糠田橋に近い堤防斜面にコンパクトに座って取れる場所を確保する。しかし便利な斜面椅子も普通の椅子も無いので、お尻の下はコンクリートのでこぼこした斜面。痛くなりそうだ。それに傾斜を滑り落ちないように踏ん張っているのも2時間の長丁場じゃ脚にきそうだなぁ。
 こうのす花火大会は2009年が初観覧だけど、ちょうどその時と同じ場所での撮影。(そういえば2009年の観覧記にも尻が痛いと書いている)。違うのはその年は三尺も鳳凰も無く、しかも現着して撮影場所を確保したのが17時だったこと。それで余裕でこの位置を確保できた。今日は周りは知り合いを含めて花火愛好家、花火写真、動画の撮影組だけど初観覧の時は地元の写真マニアだけしか居なかった。それが5年もしないうちにここまで知られるようになったのだから、鳳凰を含めた主催者の周知戦略は奏功しているといえる。
 午後をまわって現着は13時半くらい。それから14時過ぎまでは東寄りの風だった。あちこちで出会う多くの愛好家氏と歓談し天気に関してはもう変わっている頃なのだがねと言っているうちの14時30分過ぎに、綺麗にスッパリと風向きが北北西に変わった。風力もけっこうあって、堤防沿いの木々から枯れ葉が吹き飛び土埃が舞う。有料席に敷かれたブルーシートが風に持ち上げられて剥がれそうになり、スタッフがあわてて対応していた。
 プログラム紙を買いに行くと、本部席の一角には三尺玉の模型ととともに、なんと今宵のために事前に打ち上げられた四尺の模擬試験玉の実物が展示されていた。夏シーズン前の6月にこの現地で打上げテストが行われていたらしい。四尺玉の玉殻に中身は砂を詰めて同重量に完成した模擬玉を、実際に打ち上げて所定の高度までリフトできるか?のテストだ。模擬玉は打ち上げられてそのまま落ちるだけ。役目を終えたそれの外側は焼け焦げて、落下の衝撃で潰れて割れ目が入っていた。その姿はなかなか感慨深いものだった。
 四尺玉が計画されたのは2年前という。当然ながら本家の片貝煙火工業に依頼したわけだが、町外不出の世界一四尺玉が鴻巣市に来ることは無かった。紆余曲折して長野県のアルプス煙火工業が製造、打上を担うことになった。こうした発端から打ち上げ決定までの経緯は公式プログなどで詳しいのでここでは控えたい。
 所定の高さまで上がるか?ちゃんと開花するか?は大玉の一番のネックだ。10号までの玉で当然のことが大玉では格段に難しい。四尺玉で有名な片貝でさえ、何度も幾度もテストと失敗を繰り返して現在の安定した打上と開花が在る。打上げはテスト済みでも一度きり、まして開花はぶっつけ本番という鴻巣の初めてばかりの四尺はもの凄いリスクだ。無事に打ち上がって、とにかく無事に開花すれば万々歳、というくらいのものだ。
 メイン側堤防道路からも、双眼鏡などを使えば場所によって三尺玉、四尺玉の打上げ筒が遠望できた。今回のために新規に作られたという四尺筒は多数の大きな土嚢によって固定され、足場に作業員が乗っているのを見るとその大きさがよくわかった。
 18時30分からカウントダウンを皮切りに打上スタート。
 カメラは2台体制で1台は三尺四尺専用。筒が見えるうちに画角を決めてそちらに向けて固定。もう一台で他の全てを撮るというもの。他のといっても鳳凰乱舞以外はほとんど尺玉同時打ちくらいしか撮っていない。最初縦位置に構えていたが、どうにも尺玉同時打ちの左右の筒が離れ過ぎて収まりが悪く、途中から昨年同様に横位置に替えた。
 出だしは次々にプログラムを消化し快調だったが、途中何度か中断で長い間が空いて興が冷める。打上タイムスケジュールの無い鴻巣では開始時間は決まっているものの終わりは進行次第の成り行きまかせ。この日も結局2時間に迫る長丁場となった。進行で気になったのは、迷子の呼び出し、違法駐車の撤去の放送が多すぎる。違法駐車は警察指導で仕方ないのだろうが同じナンバーが何度も呼び出されていた。協賛社を読み上げるのが長くて滞らせる上に、読み上げ途中で打ち上げてしまう点。
 
 中 略
  

17. 尺玉同時打ち

40. 音と光の合同スターマイン
はじける笑顔をキミに!!

52. Red Splash

56. 尺玉同時打ち

65. 銀柳大瀑布

70.音と光の合同スターマイン2
願いを込めて

76. 尺玉同時打ち

77. 尺玉同時打ち

82. 黄金柳大乱舞

鳳凰乱舞

鳳凰乱舞

鳳凰乱舞

鳳凰乱舞

三尺玉

鳳凰乱舞 三尺玉入り

鳳凰乱舞

鳳凰乱舞

鳳凰乱舞

鳳凰乱舞 四尺玉入り

四尺玉
    
 プログラム83番の鳳凰乱舞は、それが打上げを告げられた塗炭に1発も打たないまま中断、しばらくして前触れもなくいきなり音楽も何もなく始まったのには面食らった。さすがに再開のアナウンス無しに本体を打ち始めたものだから、いったん緊張の糸を解いた私を含めて周りのカメラマン氏達もあわててファインダーを覗く。最初の一群が開花してその小ささにまた驚いた。「ありゃ、こんな遠かったすか」前座の5号集団かと思ったくらいだ。どれほどメリメリ来るかと最大広角クラスの画角で待ちかまえていたが拍子抜けした。広角のせいで小さいのではなく、肉眼でも小さく遠い。鳳凰は初めてメイン側でしかも有料席の真後ろという真正面特等席からの観覧になったわけだがこれほど全体形がコンパクトとは思わなかった。カメラやビデオの映像はレンズマジックで引き寄せることもできるが肉眼ではなぁ。体感としても距離を感じる。
 プログラム後半、背後の木々からしきりに枯れ葉やらゴミが飛んでくるので、風が強いのかなぁと思ったが、斜面にいて堤防自体で遮られているせいか居場所はそれほど風を感じないでいた。翌日のテレビ番組でこの大会が紹介され、鳳凰直前の長い中断は強風により、警察か消防より「待った」がかかったらしい。そうした経緯は会場では準備をしていますとだけアナウンスされ、いかなる理由で中断していたのかわからなかった。
 昨年裏手から見た時は、鳳凰以外の全ての出し物がその設置ラインより遙かに遠かったので、つまり鳳凰が一番大きく見えるプログラムだった。しかしメイン有料席ではその逆。しかも観客は今の今まで目の前に高くそびえ立ち視界一杯に開く尺玉同時打ちを何度も見ているだけに、同じ尺玉を使いながら三尺と同じ保安距離、ワイド中心部で倍近くも遠い700メートル以上離れた鳳凰の尺玉群は、いくらワイドといっても迫力も高さも激減して眼に映る。全てが遠く小さく低く狭いのだ。
 結局川沿いに設置し、真に1000メートル取れて、しかも西中の土手からは十分に近い距離で見ることが出来た最初の2011年の鳳凰を鳳凰自体が超えられないジレンマ。世界一スターマインと喧伝し大会最大の見せ場のとっておきの出し物。メイン会場、せめて有料席からはもう少し「力(りき)」が欲しいところだ。先ほどまで目の前でやっていた4号5箇所ワイド打ちと高さも幅も大差を感じるわけではない。尺玉300発に三尺も四尺も入っているから世界一。物量はそうだろうけど、それまでの82本のプログラムのどれよりも大きく、幅広く、高く圧倒的というわけてはない。もっとも川幅のある位置で幅を稼いでいるから、有料席に近づけると現在の幅では打てないが、迫力は出るだろう。両方解決して玉数も増やす方法もなきにしもあらずだが。
 多重芯が入ったわけではないが玉の構成や打ち方は格段に良くなっていた。メイン側から見る限り玉同士の開花が重なってしまうことが少なく、しかも同種の玉の一斉出しで全ての開花が同種で足並みが揃っていて良かった。それぞれの持ち味が発揮され、次々に入れ替わる玉の内容が十分に鑑賞できるほどだ。タイトルどおり鳳凰が一列に飛んだ瞬間も良かった(一瞬フェニックスのラストかと……)。
 途中で入った三尺は三色の小割り入りだったが、盆の上部が潰れた?たために、前後の10号より開花した高さが低め、という見映え。いったん左右の10号ワイド打ちを中断して単独で見せる演出は良かった。西中の土手から間近に見た2010年の三尺の迫力を覚えているだけにいささか小ぶりに見えた。
 全ての10号群を打ち終えてひと呼吸、夜空の火の粉が全て落ちるのを見計らうように最後の最後に四尺が放たれた。担当煙火業者にしても初挑戦の四尺玉は、無事にリフトして無事に開花した。難しい大玉をとりあえず初挑戦で上昇開花させたことは賞賛したい。
 しかしこれも強風の順風のせいか全体に小ぶりで、まったく瀑圧を感じなかったし、音も吹き飛ばされてそれほどに聞こえなかった。
 比較しても仕方ないが、キロメートル単位で遠い片貝の四尺は、境内から遠く離れた関越道方面の田圃で見ていても、一瞬だが身体を押されるほどの瀑圧を感じることを考えると、鴻巣での「今のが、ひょっとして四尺?」という周りの一般客の反応もおかしくはない。四尺が消えて、アナウンスが成功だとか終了とか何か絶叫していたが、会場の拍手もまばら。三尺より大きい四尺、今まで目の前に見ていた尺玉より何倍も大きいのだろう、空を埋め尽くす程か?と想像し、期待し、目を輝かせて身構えていた観客にとっては、「で、四尺玉は何時やるの?」それが既に過ぎ去ってしまったことをにわかに信じられなかっただろう。四尺をやるからと西中近辺の堤防を大規模に立ち入り禁止にしたが、その必要がないほどの大きさだった。西中近辺から見ればもう少し迫力があったかもしれない。
 翌日のテレビを見ると、結構力の入った映像で、四尺の筒近くにビデオカメラが横からと見上げ方向つまり筒の根本と2台も別方向から狙っていた(まぁ無人なのでしょうけど)。それはともかく四尺の筒口からの大量の発射煙が凄いスピードで流されていたのを見て、相当な風力だと感じた。それで四尺はもちろん三尺も冠星だから風下方向にかなり盆が流されたのだろうか。かつて土浦でかなり風の強い日に完全風上から観たことがあるが、10号割物の上部は今回の三尺のように削ったかのごとく薄くなっていたのに似ている。もっとも未着火なのか発射により星の密度が変わったのか風に流れたのかは風上方向からはよくわからない。それでもメイン側からこれら大玉が2発とも小ぶりに見えたのは強風も影響していると思う。これが程良い風だったら、鳳凰乱舞やその中の大玉の見かけは幾分かは大きかったのではと考察する。風力はともかく風向きは絶好だったので全体を通して最後まで星の発色は美しく、煙の影響を一切受けなかったのは素晴らしいコンディションだった。あの土浦の後だけにこの点だけは溜飲が下がった。
 鳳凰は、28ミリ横位置でもまだ余裕。それで昨年同様に横位置のまま三尺も四尺も写せてしまった。近くから見上げているのならともかく、10号との高さの違いが出ないのは大玉の高度が低いのだと思う。少なくとも四尺で800メートル上昇していたら10号群の開花のその上にそびえ立つ。
 鳳凰迄の長い試練の道のりで唯一楽しみにしていた尺玉同時打ちなのだが、昨年あれほど魅了される玉が多かったのに、今年はどうしたわけが残念な内容だった。同じ玉似た玉が多いし、凝ったものが少なくて残念。鳳凰乱舞と四尺玉に吸われた恰好かもしれないが、多重芯も無くした鳳凰や尺玉同時打で「この玉を見れて良かったなぁ」というものが少なかった。鳳の中の三色染め分けや彩色千輪はとても印象的で綺麗だった。
 さて、片づけて堤防道路に上がった時点で、とんでもない突風が吹いているのに初めて気が付く。こんな風がいつから?風速10メートルの予報も出ていてまさかと思っていたが本当にこれは10メートル以上だ。もっと早い時間にこれだけ吹いていたら後半は中止になっていたかもしれない。ちょっとよろけたら堤防下に吹き飛ばされるかと思うほどだった。そんな風を耐えながら大勢の帰り客とともに長く堤防を歩く。
 帰りは鴻巣駅からだったが、例年以上に周辺も構内も大混雑だった。誰が最初のひとつを捨てたのか、階段から改札に続く長い通路の端が大規模なゴミの山と化していて駅が気の毒だった。こんな通路の途中にそもそもゴミ箱なんか無いのに、誰かが、最初の小さなゴミ袋を捨てるとたちまちそこがゴミ捨て場になる。通りがかった誰もが「ここで捨てられるんだ」と喜んで手に持ったゴミを放棄していく。ゴミはお持ち帰りくださいで、花火会場からは持ち出したものの、鴻巣駅がとんだとばっちり。
 乗った電車が大宮を過ぎても鴻巣からの乗客があまり減らない。以前より格段に遠くから地元以外の客を集客しているようだ。
 四尺玉を今後もやるかどうかは未定らしいが、やるとしたら関東唯一、関東一、世界一級(クラス)などと言うのは良いが、後追いの鴻巣が世界一の称号を名乗るのはいかがか?と思う。世界一は世界にただひとつということなのだから、世界一四尺玉の肩書きと実力は相変わらず、片貝町に在るのだと思い知る結果だったのではないだろうか。いずれにせよ住処の同県内しかも隣市にこれだけ世間の耳目を集める大会があるのは喜ばしい。眼を引く企画の立て方も巧い。さて世界一級四尺玉までやってしまって、今後はどうするのか?が楽しみだ。
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