花火野郎の観覧日記2013

観覧日記その8 8/2
長岡まつり大花火大会 2013

  
新潟県・長岡市


カメラマン席

右岸桟敷船の様子と指定区画

中州打上現場

フェニックスの一カ所分

フェニックスライン

右岸無料席とフェニックス席

大手大橋滝ランスと星打ち

大手大橋ナイアガラ

天地人
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天地人

天地人

フェニックス

フェニックス

正三尺玉1発目

この空の花

この空の花

この空の花

正三尺玉2発目

匠の華
マドンナブルーの輝き
紅屋青木煙火店
   
 長岡まつりは、住処の県外の花火大会の中では古くから観ている大会だけれど、2日間連続で観覧したことはない。それはその古くから長岡市内には宿が取れなかったからだ。私が見始めた1980年代でさえ、観光協会や旅館組合ですらどうにも手出しができないくらい「永代予約」状態で、まったく宿を取ることができなかった。
 その後、マイカーでも何度か観覧した。9月の片貝まつりでは経験があるけれど、真夏の長岡で車中泊などとんでもないから考えたこともない。そして新幹線でなんとか日帰りできるという利便性もあって、どちらかの日を観覧するだけというのが普通の旅程になった。昨年も3日の方の観覧を予定して切符など手配してあったけど直前に腰を傷めて断念した。
 今回は両日とも宿泊地は新潟駅近辺。8月2日はけっこう早くから予約したけれど燕三条の宿すら取れなかった。新潟も同じ宿ではない。長岡を2日とも観たことが無いので迷って3日の方は後から決めた。
 しかし自信がない。体力と気力と。今年から有料化した右岸席について全ての指定席に外れてしまったから、例年通りの炎天の開場待ちが確実となれば、それを連続2日間もやる元気があるのだろうか?と。だから調子を見て2日目はいつでもキャンセルして近場の大会に行こうと考えていた。
 長岡行きは出だしから躓いた。さぁそろそろ家を出るかなというまさにその時、テレビの画面を見ると「東北、上越、長野、山形」とJR東日本エリアの全新幹線が運行停止中。原因は停電らしいが、まさにこれから乗ろうとしている時にっ。
 とりあえず向かった大宮駅はカオス状態だった。ホームにはこぼれ落ちるほどの客がひしめいて、やってくる新幹線を待っていた。運行再開は午前7時だったが、すぐにまともに動くわけもない。とそこに最初にやってきたのは上越新幹線だった。自由席は殺到した客が入り口にあふれ。駅員も指定席でも何でもいいから乗ってくれと叫んでいる。予定していた列車じゃないが、とりあえず今そこに来たのに乗ってしまう。予定より早い時間だったが乗れて良かった。乗った新幹線はこの時点で70分遅れとなっていた。
 平日だからビジネス客が多いのか、臨時停車という本庄早稲田でどっと客が降りたので以降長岡まで快適に座っていった。結果オーライか。帰りの新潟までの新幹線の切符を長岡駅で買って驚く。2900円か。2往復だよな……。在来線なら1200円程度だが、新幹線なら25分のところを1時間20分。
 予定より早めに着いたが、他にすることがないからさっさと堤防道路の有料自由席開場待ち行列に参入すべく向かう。
 撮影に良さそうな区画の列にはすでにシートが敷かれ、泊まり込み組なのかテントが何張りも連なって50メートルほどの長さになっていた。最後尾にシートを敷いて場所確保。やれやれますまずの第一歩。有料化したことで抑止効果はあるようで、「金を出すならそこでは見ない」という地元客も多いのだろう。以前の同時刻頃より列は遙かに短い。
 場所を押さえた後、大手大橋下流側の右岸無料観覧エリアをロケハンするが、右岸有料自由席よりはるかに多くの客が列を作っていた。
 私より前に並んでいる客を観察して、一般客か撮影組かを判別する。三脚の本数で激戦具合が判るからだ。しかし2010年に参戦したときに比べれば少ないと感じた。さすがに平日だからな。それに、運良く並ばずに済むカメラマン席をゲットした方もいるのかもしれない。しかし平日だからか列に知り合いがほとんど居ないのは驚いた。有料席、指定、抽選、再販、オークションと居場所の確保に手間がかかりすぎる。そこまでして観たいわけじゃない、という気にもなるのもわかる。
 私もカメラマン席の抽選に参加したが外れた。堤防道路での開場待ちは過酷なので、指定席が確保されていれば楽と考えたからだ。一時は指定席が買えなければ今年の長岡観覧は無いとさえ思った。それくらい堤防道路での待ち時間はきつい。2010年は炎暑で呼吸をすれば肺が火傷をしそうなほど空気が暑かった。
 今年は右岸の主要部は全て有料化され、つまり右岸有料自由席に関しては「例年と変わらぬ苦行の待ち時間なのに、しかもそれを有料で体験」という仕様になったわけでそうとう萎えた。
 撮影する者にとっては大山鳴動したくだんのカメラマン席はどういうものか、初の設置だけに見物しに行く。しかしこれは……。
 確かにロープで縦長に区切った区画は広くて快適だ。総数は100マス。縦に三段に分けて三脚が立てられそう。しかし区画の優劣が相当に在るのだった。区画によっては真横に仮設トイレが鎮座し、三尺玉方向にカメラを向けるとトイレが立ちふさがるといったとんでもない場所もあった。100マスのうち1/4はまともな写真愛好家なら苦情を言うに違いない。オークションで落とそうかとも思ったが、新設の区画だし実際の場所がどこになるかわからないので止めた。そして実際を見ると区画を選べないのに使えない場所が多すぎる。
 こういうのは、実行委員会はプログラム冊子やポスターなどに写真を提供する地元の腕のいい写真家、写真愛好家に実際に「その場での撮影を前提に」位置などを監修してもらったらどうかと思う。実行委員会の思惑だけで区画を切って、「さぁ、存分に撮影して下さい」と言われても……。この地で永年長岡花火を撮影しているような写真愛好家なら、使えない区画は即座にわかるだろう。このカメラマン席を現地検分して次回からは安心して「買わない」「無駄な抽選に参加しない」選択が出来ると思った。トイレ脇の区画に当たって有料自由席も買ってなかったら途方に暮れる。写真家としてはやはり、あてがわれた場所より行列しても自分の好きなアングルで撮りたいのだ。
 場所取りを済ませると右岸が風下になる安定した西北西風に参って、対岸をロケハンしてみることにした。しかしこの日は「こんなに歩いちゃって大丈夫か、俺」というくらい歩いてしまった。明日もあるのにバテてしまっては元も子もない。しかし久しぶりの陽光を浴びて嬉しく、しかも比較的快適な気温だったせいもある。
 片道800メートルの大手大橋だけで2往復半。対岸の無料観覧席、フリーエリアを全てロケハン。途中で打ち上げ現場も遠望する。左岸には畑エリアを含めた広大な河川敷があり、本当に花火は両堤防の中央で上がっているのだと実感する。それだけ差し渡しが長い(約900メートル)ことになる。打ち上げ現場の下流側にはフェニックスラインの打ち上げ場が点在しているのも見える。欄干にはナイアガラを掛ける木材が用意され、午後には滝ランスや乱玉が設置された。
 主催者は右岸を「正面」と考えているのか、左岸の堤防道路や斜面、河川敷の一部はほとんど全て無料エリアなのに驚く。有料席は右岸にはない広大な河川敷に設けてあるためだ。無料観覧席は14時開放と、有料自由席より1時間早い(実際はどちらも30分繰り上げて開放)。
 右岸に戻り、14時30分、順に区画に入って場所取り争奪戦だ。なんとか希望の場所をゲットしたが長い待ち時間だった。くしくも前回と同じような位置なのかまたまた放送用スピーカーが頭上にどっかり……。
 昼頃には風向きは北西。左岸に順風の場所を確保したが、その後、終了後の行程を考えると無理っぽいことがわかる。直近の大手手大橋は22時を過ぎないと渡り返せないのだった。荷物込みで駅までの混雑を考えると時間的に難しい。通行止めの大手大橋をやめて、長生橋を大回りするのは遙かな道のり。もっと長生橋近くの無料観覧席なら渡り返しても帰りの列車時刻に間に合ったかもしれない。しかし後の長岡駅の入場規制を考えると確実とは言えない。しかも次回は右岸観覧席のキャパが増大する予定なので、フェニックスを中盤に持ってきてもなお駅頭の大混雑を考えると次回はどうなるか読めない。
 長岡市内に宿があるか車で左岸の駐車場に乗り付けていれば左岸の選択肢は余裕。だからこの日は終日安定した西風という右岸からは風下の悪条件なのを了解していてなお右岸で観覧せざるを得なかったのだ。夕刻に左岸の場所取りを回収してきてきたがさすがに歩き疲れた。
 西日に焦がされながら日没を待つのも右岸の恒例行事のようだ。堤防道路とを仕切る鉄パイプの柵に腰掛けて撮るような格好だけど、尻が痛い……。電車だと椅子の類も持ってくるのを躊躇してしまうが、長岡じゃ不可欠だなぁ。
 プログラム誌はロケハン中に左岸の販売所で購入。おなじみのレギュラープログラムが並ぶ。良い意味で安心感。同時に「期待されたものは裏切らずに見せるけれど、期待を超える感動はない」。何度も観ている愛好家にとっては、他の大会にしようかと考えるくらいのおなじみ度ではある。たとえば正三尺玉だって、以前は4発とも内容が違っていたけれど、今はどれもほぼ同じ。プログラムやポスターで見せているそれをそのまま再現、ということでは観光客向けには意味があるけれど、違っていたっていいじゃないか。私は千輪の正三尺玉をまた見てみたい。
 長岡まつりの直前、長岡を豪雨が遅い、残念ながら犠牲者が出てしまった。開幕は追悼の白菊の献花打ち上げだった。
 もうこの時で既に見事なまでの向かい風。菊花の残煙がまっすぐに向かってくるのを見て覚悟を決めた。この安定した西風は変わらないだろう。
 慣れているのになぜか長岡で見る10号はでっかい。そしておなじみのプログラムが続く。その全てをもう撮るわけじゃないけれど、ワイドものやフェニックス、天地人、この空、正三尺玉など要所は押さえていく。
 フェニックスがプログラム上で例年と違うのは、最終に放っていたのを中盤に移動させたことだ。これは混雑回避を考慮したものと思う。始まった当初の感動は薄れたけれど、相変わらずフルワイドで眼前一杯に展開する様は圧倒的で心に響く。
 初日の天地人は野村花火工業。2010年に初めて観たときと変わらない質と安定感だった。全ての玉が野村花火の珠玉であり、構成も流れも申し分ない。ここには現在の野村花火の最高がある。言い換えれば一度好条件でこの天地人を見ることができたなら、繰り返し見なくても充分ではないかと思う。
 機材はデジタル一眼一発。フェニックスがあるので広角側ズームを1本余分に持ってきている。機動性を重視して三脚も1本。背負うと腰に負担がくるので移動はカートを使用。初日は向かい風も相まって見かけ以上に盆が迫ってくるので、普通に長岡で撮るよりも広角側(20〜24ミリ)が必要だった。
 私は「この空の花」の映画を観ていないのだけれど、それをテーマとしたこのワイドスターマインには感銘した。前回2010年観覧の時には無かったプログラムなので初対面だ。そして両日を通して最も心が震えた一幕だった。目の前に展開する花火群の信じられない美しさもさることながら、たちまち引き込まれて陶然となっていた。天地人を担当していた時より、花火そのものも打ち方も進化しているのでは?と感じた。もちろん残念ながらほとんど煙の中だったがこれは観られて本当に良かった。
 本当に久しぶりに最期のプログラム「匠の華」まで観てから片づける。そう急ぐことはないかもしれない。以前は21時30分頃の終了だったが、今回は21時07分(予定)。日帰りでも楽に間に合うくらい終了が早くなっている。以前はフェニックスが最期だったが、それを観て速攻片づけ、匠の華は駅に向かいつつ振り返りながら観る、といった慌ただしさだったからだ。
 長岡駅がカオスだった。行き先別の列に従い正直に新幹線の行列に着いたのが失敗だった。駅の北口で扉1枚分しか開放してない入り口に砂時計状態。やっと改札を抜けると、今度は階段とエスカレーターで止められてホームに上がらせない規制。
 現在ホームに居る客が新幹線に乗り、それが発車するまで上がらせないというのだ。長岡まつり後の対応なんか何年もやっているはずなのに、いまだにこんなやり方か?最初は従っていたがばからしいので別ルートでホームに上がると、客はほとんど居ないがらがらじゃないか。しかも到着した列車がそこに居る。さっさと乗って22時20分に長岡を後にする。この日はまたまたトラブルだったようで、その乗った列車は途中の大雨かなにかで40分遅れだった。これで下に居る客を新幹線の終電までに乗せることが出来るのか長岡駅? 
 終了が21時15分ほどで、駅前に着いたのが50分。そこからホームに立つのに30分もかかっているから最期まで観てからでは東京に帰る最終新幹線に合わせるのは相当難しいとみた。とくにこの日の規制でくそ真面目に新幹線方面に並んだら絶対に間に合わない。駅での入場規制を考えると、東京日帰りなら2発目の三尺を観たらそのころはまだ堤防から出る道も空いているし、速攻帰るのが確実だ。
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