花火野郎の観覧日記2014

観覧日記その11 7/26
第100回 足利花火大会

  
栃木県・足利市

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 初観覧だ。8月第一土曜日は全国でも最大の花火大会集中日。どこにしようかと考えたが、費用のかかる遠征を避けて近場にしようとは思っていた。極近の古河、板橋、江戸川、高崎その他その他といくらでもある日だ。
 当日、栃木には雨予報も出ていたので、より予報が良く、自宅に近い古河と迷った。足利にしたのはまず「行ったことが無い」という点と、100回記念というスペシャル性。さらに後押しとなったのは、5月くらいだろうか日本煙火芸術協会から、この足利に初に出品する話を伺ったことが大きい。記念大会ということで特別に芸術協会玉の出品依頼があったらしい。同時に出品内容の一覧を見てかなり観覧の気持ちが固まった。5号5発が5組。10号2発ずつが15組。5号は5種類、10号は都合30種類ということだ。芸術協会玉はこれも特別らしいが、群馬の菊屋小幡花火店と福島の菅野煙火店が打ち上げを担当する事になった。
 小山から両毛線経由で足利駅のルート。現着は午後2時過ぎ。関東圏はほぽ全域が「高温注意報」にさらされている午後だ。熱中症に気をつけながら初めての場所なので、まずは足でロケハン。しかしこれは……。地方の大会と舐めていたわけじゃないが。立錐の余地もなく場所取り完了済。堤防道路も芝斜面も見事に場所取り済み。いったいいつから……。打ち上げ場所の位置と範囲を確認。まずは双眼鏡で10号筒を探す。在った。お目当ての芸協玉はそこか。公式ホームページには交通規制図と危険区域の表示だけで、打ち上げ場所の位置関係がわからない。グーグルマップなどで想像していたのと違って、実際は花火の設置は下流側(駅から離れる方)だった。風向きは北西予報と違って北東の風。とりあえず打ち上げ場所全体を右方向から斜めに見る位置に三脚を仮置き、つかそこしか空いて無かった。花火設置はかなりワイドでしかも川のこちら側の河川敷。超接近戦か。
 直ぐに気が付いたのは河川敷に延々と張られたナイアガラ仕掛け。プログラム紙に書いてあるわけではないが、長さは300〜400メートルくらいか。これはなかなか豪華だな。開場全体の様子、花火設置の様子がだいたいわかったところで、近くの公園の木陰に避難して永い午後を過ごす。
 プログラム紙は最寄り駅にも無く、目につくところで配布しているわけでもなかった。大会本部にもらいに行けば手に入るという風で、他の大会のように積極的に配布したり販売したりしていない。だから会場でそれを手にしている客はほとんど居ないのだった。進行はきっちりアナウンスしたので不要といえば不要といえるのだが。プログラム紙を見ると参加煙火業者は、須永花火、田熊火工、関口煙火工場、戸沢花火工場、大吉エンタープライズの地元栃木オールスター勢と、特別参加の菊屋小幡花火店と福島の菅野煙火店。
 夕刻に地元愛好家と落ち合い、そのご親切で同じ堤防道路上でもっとゆったり撮影できる観覧場所を分けて頂いた。最初の仮場所から三脚を移動し、他の愛好家ともども一緒に観覧することになった。
 19時スタートは未だ明るいので画角のチェックなどをしていたが、その間にうーむこれはヤバい。近いなー。出がけに最大24ミリの広角ズーム1本で済ますつもりが、初めてだから万が一と16ミリからの広角も持ってきて良かった。開幕の最初のワイド(フルワイドは最初と最後だけ)の前に16ミリからの広角に付け替える。そして開幕ワイドが始まると果たしてそのレンズじゃなきゃ入り切らないじゃないか。結局全編16〜35ミリの広角ズーム1本で撮りきった。
 100回記念だからかどうか、見渡す限り堤防も河川敷の有料エリアも観客で埋め尽くされている。なんでも新設の観覧席は即日完売で、キャンセル待ち扱いになったほどだという。
 観ている間の印象としては、とにかく「スターマイン(の時間)が長い」。「ここは普段から長いよ」と言う地元愛好家氏も驚くぐらい100回記念で各花火会社の力が入っているのか、1基のスターマインが5分近くあってなかなか終わらない。普通のスターマインの3台分以上か。終わるかと思いきやまだまだ、というのが5〜6回あってようやく終了、というのが毎回だから驚く。しかも芸術協会の特別出品以外の20あまりあるプログラムの全てが最初から最後まで「(仕掛け付き)スターマイン」。分厚い、まったく分厚いぜここは。だから番号から言えばそれほどたくさんあるプログラムじゃないのに、ひとつひとつが時間的に長いのでトータルとしてはかなりの長丁場になった。19時スタートで21時終わりと、2時間の花火大会は昨今では長い方だ。しかし終わりは21時20分を過ぎていた。途中で中断したわけじゃなく、打ち続けての延長。しかも7〜10号の単発10発打ち、などというプログラムに記載されていない番外があちこちに挟まるものだから、延長も止む無しか。玉が多すぎてずれ込みました、というなら許せるではないか。
 長いだけではなく、スターマインによっては(業者によっては)、手前スターマインの奥で7〜10号を合わせ打ちするという一幕もあり、物量も内容も立派だった。しかも全てのスターマイン(つまりはプログラムの全部)が音楽付き。いや……ミュースタではない。BGMを流しながらの打ち上げというレトロな形式だ。BGMも最新の「Let it go」は日本語版と英語版の両方を流した。かと思えば「木綿のハンカチーフ」とか「365歩のマーチ」とか懐メロな(いや……久しぶりに聴いたぞ)楽曲もあったりしてバラエティーに富んだ選曲か。それはいいとして、スピーカーが真正面の河川敷にあり、大音量に閉口した。時に耳を塞ぎながらの撮りだった(苦笑)。なにしろ一回の打ち上げが長いから音楽も長い。歌も付いていると歌詞の1番から3番まで間奏入れて全部歌うとか(苦笑)。時には音楽終わっても打ち終わらないとか。たはは。
 ラストは河川敷、観客のすぐ目の前に仕掛けられた二段掛けナイアガラと、ワイドスターマインの競演だ。会場幅フルワイド6箇所打ちだが、1社で6箇所ではなく、参加煙火業者6社で6箇所という仕様。とうぜん見るからにそれぞれが思い思いのスターマインというわけだが、これもまたにぎやかでいい。
 芸術協会玉はプログラムに4回に分けて盛り込まれていた。うはぁ一度に打ってくれれば、と思ったが、これも特別な玉を大切に見せる配慮か。こちらも最期まで緊張が途切れないで済むというもの。10号は10発ずつ3回に分かれていた。いずれ劣らぬ名品を観られて良かった。出荷時のミスか青木煙火の「マドンナブルー」が実際は万華鏡だったのと、山内煙火の2玉目の芯入千輪で小割玉のほとんどが未着火だったことが残念。
 風は北東から北くらいには変わったけれど終始順風の好条件で見られた。背後に流れる煙が町明かりを写して発光状況になることもあったが、良好な条件だった。だから一回の物量が相当に多いスターマインでもほとんど煙ることはなく、最期のナイアガラもすっきりと見られた。
 炎天下でロケハンしている時はよかったのに、木陰の公園で休んで夕刻に堤防道路に再び出たあたりから無性に蒸し暑く消耗してきた。やはりアスファルトの堤防道路は蓄熱で、いつまでも暑く、足下からいつまでも熱気が上がってくる感じ。観覧中もこまめに水分を摂るが、背後から風を受けているのに、どんどん消耗していく感じだった。花火が長いこともあり、今日は満足もさることながら、暑さにぐったりした感じだ。
 終了後は堤防道路から降りるのに砂時計状態で時間がかかった。その後も道路は帰り客や夜店を冷やかす客で埋まり、スタスタとは歩けないほどの混雑になっていた。一計を案じて空いている裏道を抜けると駅までは15分ほどで到着したが、ちょうど来ていた電車には機材三脚込みで乗れる余裕が無いほどぎっしりで、次のを待つことにした。がそれは無駄に30分後……。
 東武線の足利市駅も利用できたが、観覧場所からはそうとう歩くので断念。ちょっとそこまで歩けないほど消耗していた。
 さっきのに無理矢理乗ってしまえば、と後悔したのは、小山からの上りがあるだろうか?と不安になったからだった。ああ、タブレットでもあればちょこちょこ調べて安心できたがなぁ。足利発両毛線が22時15分。小山着が同56分。乗り換えがまた距離がある。ようやく上り宇都宮線の発車時刻を見ると終電が23時8分、となんとか間にあった格好。花火内容が厚くて時間が押したわけだが、もっと早く帰れると思ったぜ。「しばらく動かないよ」と地元愛好家に言われたが、時刻表を気にしてはらはらするなら車で行けば良かったと思った。
 両毛線は臨時で増結していたみたいだが、車内はぎっしり。小山まで乗っていた客は少なく、途中、東武線への乗り換えのある佐野で一番多く客が降りてガラガラになった。会場を埋めるのはほとんど足利市内の地元客かと思われたがそうでもないようだ。
 帰宅後トラブルに見舞われる。撮影データをHDDに移そうとした。メインのCFカードをカードリーダに差した時点でデータ消失。なんじゃこりゃ。見るとカードリーダ側のピンが何本か折れて、まともにメモリに刺さってなかった。それで接触不良か短絡でデータが一瞬で飛んでしまったのだ。「撮影データがありません」。あはは、いやいや。まぁこういう時のための保険だからな。D800はメモリを2枚差せるスロットがある。カードの役割の設定はいろいろできるが、私の場合はRAIDでいう「ミラーリング」。2枚のメモリカードに同じデータを同時に記録するという設定だ。スロット2のSDメモリに同じデータが記録されているのでことなきを得た。長いことPCに関わっているとデジタルテータなどいつ逝ってもおかしくない、と信用していない。そのための保険が活きた格好。
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