花火野郎の観覧日記2014

観覧日記その2 4/12
4th いせはら芸術花火大会

  
神奈川県・伊勢原市

 自宅から最寄りの伊勢原駅までは電車で2時間ちょっと。会場は駅から少々遠い。とくに終了後は、昨年は車で送って貰えたものの、そうでけなければ伊勢原駅まで徒歩4〜50分か、1時間ほどのシャトルバス待ちかの選択になる。だから車で行こうかとも検討したが消費税値上がりの4月1日以降いやそれ以前も、どう経路を変えてシミュレーション計算しても、自宅から最寄りの厚木ICまでの高速通行料金がバカ高い。現在は時間や距離で算出すると片道3,000円を超え(増税前は2,000円台)、あるはずのETC休日割引も不適用の正規料金になってしまう。往復してガソリン代を考えたらゆうに8,000円近くの出費。
 それでいて静岡の浜松/掛川あたりまで乗っても5,000円(ETC休日割引適用)もしないのだから、どういう料金体系だよ(笑)。大回りすると(つまり東名高速を使わないルート)2,000円台と安くなるが、ガソリンがバカ高い時代に、何10キロメートルも走行距離を増やしてどうするよ。高速安くなった分チャラじゃないか。電車を使えば機材運びの労はあるものの、往復したって車で行く場合の高速代のみの片道分にも達しない。どころか現地で僅かなりとも花火募金をしたり、昼飯を買い食いくらいしてもお釣りがくる。車はせいぜい神奈川県内の客が下道オンリーで来るのに適しているくらいか。で結局小田急線利用。勝手がわからない初回観覧の昨年は往きにタクシーを奢ったが今回は路線バス。花火会場を通過する便は午前中は1時間に1〜2本しか無いので時刻表を下調べして、そこから逆算して家を出てきた。
 駅前にいくつかあるバス停のひとつはトレッキングで人気のある大山(おおやま)行きで、山行の出で立ちの客が長蛇の列を作っていた。快晴のこの日は絶好の登山日和でもある。その大山は花火会場で打ち上げ方向に向かうとちょうど背後の遠くにひときわ高くなだらかに横たわる。
 バスの時刻の関係で無駄と思われるほど早く現着してしまった。正午の開場待ちの列も10名にも満たない愛好家ばかり。今年も運動公園会場内外の桜は時期を過ぎてしまっていて残念。八重だけは残っている。早朝から多くの花火愛好家が会場のボランティアスタッフとして尽力していた。
 昨年は装備も軽くてカメラザックだったが、今回は帰りの長い歩きを考えてカメラバッグをカートに乗せたレギュラーの運搬スタイル。カメラはデジタル一眼が2台体勢だが、一方はサブ。万一の時の予備だ。三脚も2本と装備を多い目にした。冬場にさほど出動の機会が無かったから体がなまっているし、負荷のかかる装備で自身の体に問うためだ。夏場の最大装備には及ばないが、それに近い加重をかけて果たしてちゃんと運べるのか?ということだ。まだ涼しい季節にこの程度でヘバってはどうしようもない。
 開場ととともに一般席後方の三脚建立可能エリアはアッという間にそれが立ち並んだ。昨年以上に壁となる密度が高く壮観だった。同日開催の愛知の風まつりの方に出かけている方もいたようだが、顔や名前を存じている愛好家氏の殆どは来場しているのではないかと思うほどの多彩な顔ぶれだった。だから永〜い午後を歓談して過ごすにも楽しかった。
  

大山

開幕スターマイン
   

スターマイン
水面に浮かぶ睡蓮

スターマイン
水面に浮かぶ睡蓮

伊勢原市民花火
未来への約束

伊勢原市民花火
未来への約束

伊勢原市民花火
未来への約束

スターマイン
スパークリングジュエル

ハーモニー花火
    

ハーモニー花火

ハーモニー花火

5号創造花火
ミルククラウン

5号創造花火・椿
   

8号Art of HANABI
ウインターイルミネーション

8号Art of HANABI
光の宝石

伊勢原市民追悼花火

伊勢原市民追悼花火

伊勢原市民追悼花火

メロディ花火

メロディ花火
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メロディ花火
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メロディ花火
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メロディ花火

メロディ花火

メロディ花火-D800

メロディ花火-645D

メロディ花火
  
 開始は19時10分の予定だったが、その時刻にちょうど違法駐車の移動要請の呼び出しが入り数分遅れて始まった。開幕は近隣の飼育農家に配慮して時間をかけて小玉の単発打ちから入る。
 進行アナウンスがやや冗長に話が長いのと、7番目の新規プログラム「ハーモニー花火」ではアナウンスの前に先走って打ち上がってしまうなどして間が空いたり、若干ずつ遅れていき19時56分打ち止めの予定が、カメラの最終カットの時刻は20時7分とやや終了もずれこんだ格好。
 日中は南から南西の好風だったが、打ち上げ時は北風に変わった。完全北だと向かって左から右流れで、右方で若干手前に射し込んでくる。だから単発打ちは問題ないが、物量がくるとややクリアさに欠けたか。ラストのメロディは昨年より増量して時間も長くなったと聞いていたが、逆に短く感じた。それは充実していてアッというまに感じたのかも知れない。
 撮りはメインカメラががんばる脇でサブにもたまに働いて貰う、という体勢。ラストのメロディだけは同時撃ちにしてみる。完全に思い通りに切るメインと、同時といいながら若干ずれていくサブのアバウトさがたまに逆にいいタイミングになったりするのだ(その真逆も)。2台が2台ともデジタルという環境になった。銀塩スチルカメラでポジを使うことは、シャッターを切る度にその内に「完成された作品」を得るものだ。しかしデジタルカメラはそれだけじゃない。銀塩とデジタルどちらにも一長一短があるけれど、撮っただけでは未完成というデジタルに私は可能性や創造を感じる。花火もデジタルに合わせた撮り方が必要だと撮るたびに痛感している。
 物量は昨年比で500発増とアナウンスに聞いた。躍進していて喜ばしい。新しいプログラムのハーモニー花火が設けられたが、私にはとくに目新しいとかは感じられなかった。なにより使用玉に磯谷色を消しているし、打ち方の意図はなんとなくわかるのだが、それならこれは10箇所以上に打ち上げ地点を増やし、ラストのメロディに比してももっとアップテンポの曲でめまぐるしく打ち位置を入れ替えなければ「効果的」じゃないのでは?しかしそうすると玉数が必要だし、3分持たせる打ち上げが15秒になってしまうだろうし。
 花火内容はいつもの安心、安定の磯谷煙火の持ち玉ラインナップであり、期待通り美しく品質が高い花火群だった。お膝元の豊田や名古屋などで見られる持ち玉が寸分違わず披露されるのはファンにとってはたまらないだろう。凄いでしょう?綺麗でしょう?もう芸術そのものです。一発ずつがそう訴えかけてくるほどに感じられ、一般客の多く座るエリアも感嘆の声に包まれている。特に増量された8号玉は揺るぎない存在感だった。昨年、スターマインやメロディ時に前列の弾幕の後ろで上がる8号はそれに埋もれてあまり存在感が感じられなかったが、今回は打ち上げ位置が変わっているのか風向きの関係か、盆の半分以上も突き出て聳えており見応えがあった。
 この大会では完成された煙火店のレパートリーをそのまま見せているので、完成してからは字幕以外手を加えられることのない映画作品を上映しているようなものと言える。スクリーンに対してお客が見ているだけという距離感がそのままだ。花火はもう少しコンサートのようなライブパフォーマンスに近いと思うのだ。いい意味で、開催時元に阿る、迎合する部分が在っても良いのでは。どの瞬間も愛好家や磯谷ファンにとっては素晴らしいけれど、よそ者の私から見ても開催地の伊勢原市の何かと目に見えるかたちで関連している花火はひとつもないようにも感じられる。とはいえ磯谷煙火店1社が全てを担当する花火大会そのものが珍しい上にもそれが関東圏で、となれば比較する場所すらないから、稀少な花火大会には違いない。
 3月末の大洗町では、型物の「あんこう花火」が打ち上げられ、町の特産である鮟鱇を内外にアピールするとともに、アニメ関連イベントが目当てだった町外からのアニメファンの心も掴んだ。伊勢原には大山独楽のゆるキャラで「くるりん」というのが居るらしく、開場にも着ぐるみが巡回していた。たとえばその型物はどうか?と地元の愛好家も言っていた。型物ひとつで地元観客が親近感を感じれば、それでこの芸術はよりいっそう身近になりそうだ。芸術、というだけで身構えてしまうのに馴染もうとしてくれないとなると、それはちょっとよそよそしい。
 カメラ2台立てていたから店じまいに時間がかかり、開場を出ると幹線道路近くはもう帰宅客の渋滞になっていた。帰路はのんびり歩くことにした。通行に困ったのは、道路の両脇には広めの歩道があるのに、自転車を押して歩く歩行者がものすごく多く混じっていたこと。伊勢原じゃ自転車は車道を走れないのかしら?押して帰るならなんで自転車で来たっし?それほど長く歩いた感じはなかったが、駅に着くと会場を出てから50分も経っていた。幸い運動公園から駅に向かってはしばらく下り坂なので負担も軽くて助かった。

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