花火野郎の観覧日記2014

観覧日記その18 9/13
第2回 沼田花火大会

  
群馬県・沼田市


快晴の有料席から打ち上げ方向

イベント広場

左が有料席、植込みから右が一般席

仕掛けの様子。けっこう大きい。

グランドオーブニング

グランドオーブニング

沼田城仕掛け

沼田城仕掛けと裏打ち

第三部 沼田花火教室

第三部 沼田花火教室

第三部 沼田花火教室

第三部 沼田花火教室

第四部 沼田のひかり

グランドフィナーレ

グランドフィナーレ

グランドフィナーレ

グランドフィナーレ
  
 この日は東北の最上川ミュージック花火が気になっていたが、ツアーを扱うクラブツーリズムでは、近隣の埼玉県内発のバスツアーが軒並みキャンセル待ち扱いになっていて利用できなかったからパスせざるを得なかった。それでまだ第2回目だけれど行ったことのない沼田をチョイス。担当は東京の煙火店だ。昨年の第一回は天気に恵まれなかったようだが今日はどうかな。
 事前に公式で発表された会場図や駐車場マップで予習。会場までは関越自動車道沼田I.Cと月夜野I.Cの両方が使えるが、沼田からだと経路が複雑なので月夜野にした。ひとつ先になるが料金は70円しか違わない。往きは最寄りのインターから北関東道経由。鉄道で行っても沼田駅から徒歩20分くらいだろう。
 月夜野インターといえば、関越を走るドライバーにとっては、霧の名所の山間の地。元山ヤの私には沼田は尾瀬の玄関口という印象。つまりそれくらい山間に分け入った町だ。だから花火の時間にそういう天気になるのが心配だったが、今日に限ってはそれは取り越し苦労かな。花火のために多数用意され、早くからマップが公開された臨時駐車場のひとつに入庫する頃には素晴らしい晴天で、これは焦げるなぁとそっちを心配したくらい。駐車場から会場までは約1キロメートルちょいで徒歩20分足らずだが日陰も木陰もない歩道歩き。わかりやすい一本道なのがありがたい。
 初めての場所なのでまずは三脚だけ持ってロケハン。グーグルマップやストリートビューで道のりの目安はついていたが、公園内の会場の様子まではわからない。会場に通じるこ国道17号は打ち上げ側は既に立ち入り禁止になっていた。会場の沼田市総合運動公園近くも。観覧場所を囲むようにかっちり立ち入り禁止にされ、まだ12時過ぎだというのにメイン側ではつまり観覧場所と指定されている所以外には人が入りこめないように警備員が配置されていた。
 現着は13時前。椅子が立ち並ぶ有料席エリアや、そこから見える花火群、仕掛けの櫓。出店や無料の観覧場所など、佇まいを瞬時に判断する。風向き予報などから割り出した有料席エリアのすぐ後ろのこの辺りがいいんじゃない、と思うと、その近くでシートを持って待ちかまえている人多数。なんでも13時からその場所は解禁となるらしい。
 有料席の真後ろだから良い場所に決まっている。時計を見ると13時10分前。私も参戦することにした。といっても前から3人目くらいと余裕の位置。よういドンで場所取り完了。そのエリアの最前列、背の低い植え込みの後ろに三脚を立てる。座った人からは最初から植え込みの木があるからさほど苦情は来ないでしょう。
 それでも後から間際に来た人に「前の写真屋座れっ」と怒鳴られるのが花火大会。その時の保険にと、当日売りの有料席(3,000円也)も協賛しておく。当日売りの良いところは、「自分で位置を指定して好きな場所を買える」という点。だから私は三脚を建てた場所のすぐ前の椅子席を買った。文句を言われたら3メートル前に立て直すだけである。しかし当日券売り場では価格を聞いて止める人も多かった。
 何人か集まった知り合いの愛好家氏と歓談したあとは車に機材を取りに行きがてら遅い昼食。公園の木陰で昼寝したりで時間をつぶす。
 夕刻になりカメラをセットするも、近いと思ったが近い。一番手前の花火列全てを網羅するだけで横位置で24ミリで一杯。かつてがわからないからと、最大広角まで持ってきたが、そっちになりそうだ。
 公園内の別のグラウンドでは、飲食ブースが立ち並び仮設ステージが設けられ、午後1時から花火が始まる頃まで子向けの戦隊ものショーなど多彩なイベントが行われてそちらも盛況だった。
 風は予報通り北西くらいで、向かって左側に射し込まれる具合。だから機動力のある愛好家氏は風上狙いで裏花火、遠花火と決めてメインから移動したり、最初から裏に乗り付けたみたいだ。私の場合はマイセオリー通り、「初めての大会では正攻法メイン会場」にした。初回から写真やビデオでクリアな絵を手に入れたいがための裏花火ってそれじゃ正面から見た全貌がわからないし、大会についての感想めいたことも言えやしない。
 10号は向かって右奥の一番遠い発射位置。日中にもっと広範にロケハンした愛好家氏から位置を教えて頂いた。実際打ち上がってみるとズーム端の35ミリで全然寄せ切れないから間合いは500メートル以上とみた。
 有料席はほぼ埋まったのかどうか良く見えないが、私の周りは夕刻になって大分混み合ってきた。30分前の18時30分からオープニングセレモニーとして、来賓の紹介や市長の挨拶などがあった。挨拶の後に花火を打ち上げますとはアナウンスしたが、カウントダウンイベントも音楽もなしに、いきなり打ち始めたのにはちょっと面食らった。なんか唐突だなぁ。第一部はオープニング、フルワイドのコンピュータ打ち。タタタタタ、トトトトトッと斜めの星打ちウェーブし交錯するスタート。
 第二部は「町みこし」、「天狗みこし」、「神社みこし」を花火で表現、そしてかつてこの地に在り、枠仕掛けに再現され闇に浮かぶ沼田城はとりわけ年配の観客の拍手喝采を呼び、昼過ぎに場所取り解禁の時刻から、「仕掛けは今年もやるのか」とスタッフに尋ねていたお年寄りもいたくらいだ。
 第三部は地元13校の小学校で、花火教室に参加した子供達がデザインした花火で春夏秋冬を表現するという企画。一回分の打ち上げは、小型煙火数台と小さいスターマインの組合せだ。
 第四部は、芸術玉として、玉名を読み上げながら1発ずつ披露、続いて大玉100連打。左7号中8号奥10号の三箇所打ちでワイド感と迫力は充分だ。一度盛大に過早発ずあったが、観客には扇打ちのひとつにしか見えなかっただろう。
 最後が、グランドフィナーレとしてフルワイドのコンピュータ打ち。
 メジャーで物量も費用も絶大な大会が絶対と考えている愛好家は満足できないかも知れないが、私は開催地域と等身大で長く続けて成長させていこうとしていると見られるこの大会は好印象だった。ようはそこにふさわしいサイズの大会があればいいのだ。物量やクオリティなどをもし他所と比較するならいろいろと目に付くことはある。しかし私はこの大会は良い方向に評価したい。
 昨年43年ぶりに花火大会が復活となった沼田市は、それはいわゆる地域興しなのだろうが、市を上げて市民スタッフ一丸となってこの大会を盛り上げようという気概が伝わってくる。大会の規模のわりには、十分すぎる駐車場が用意され。それは多く地元企業の駐車場や所有地を使っている。スタッフの数も驚くほど多く応対も親切だった。会場から遠く離れた駐車場まで、スタッフが地元のタウン誌を配りに歩いているのは驚いた。
 煙火業者と主催者とで、花火内容についてどう協議されたのかはわからない。しかし目に見えたものは、東京の業者がパッケージされた花火大会を一方的にもちこんで披露するのではなく、開催地の風土や生活、風物、歴史を取り入れアレンジ、真に郷土に融け込んだ我が町のイベントとして定着させようとしている姿だ。
 公式ページには「沼田市に住む人びとの〈歓び〉や、沼田市の豊かな〈地域性〉を肌で感じることができる空間を創出し、沼田の市民にとって、心から楽しみ喜んでもらえる〈笑顔〉あふれる、そして、いつまでもこころに残るような花火大会を目指します。また、沼田の子供たちによる「花火教室」や、先人達が造り上げ、そして引き継いできた沼田市の〈歴史・文化・自然〉にスポットライトをあてて、花火で鮮やかに演出するシーンなど、他の花火大会では見ることができない沼田市の〈地域性〉を存分に活かした大会を目指す」とあることから、主催側も率先して地域密着の大会のあり方を明瞭に打ち出していることがうかがえる。
 お仕着せの大会でなく、地域に根ざし、開催地に住まい生活する人々にとって愛されるイベントとして長く続いて欲しい、という主催側、煙火業者側双方の姿勢だろうか。地元は費用と場所人手さえ提供すれば、花火はこちらで用意するから黙って見物すればよい、そんな花火大会も在る中で、地元の小学生さえ参加の、開催地を広く巻き込んだ我が町のイベントとして主催者、煙火業者が共に努力して根付かせようとしていると感じる。  用意された花火を見るだけ、そしてその花火には地元のなにものも反映していないのではその土地の人々はいつまでもその花火を郷土の祭りとして愛せない。小学生児童の描いた絵を花火実現。そして今は史跡でしかない、沼田城を花火で再現などという企画は実に地元の観客の心を掴むものだと思う。これらの出し物は地元住民に受け入れられているとみた。
 この大会が長く存続すれば、この大会を観た子供がやがて大きくなって、大会スタッフになるかもしれないし、スポンサーとして協賛する立場に出世しているかもしれない。
 花火終了が19時50分。会場の運動公園出口が少々押し合いへしあいだったが、混乱もなく皆さん行儀良く退出していた。駐車場に着いて20時15分。それから5分後にはもう関越自動車道を走っていた。会場までは月夜野インターから1本道で駐車場まで5分もかからない。非常にアクセスは良好な大会だ。花火の最中に向かって左側の夜空に何度と無く稲光が明滅していたが、ちょうど前橋を過ぎる辺りから、諏訪湖の再現かというほどの超土砂降りに見舞われる。最寄りインターを降りる頃は小止みになっていた。
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