花火野郎の観覧日記2014

観覧日記その1 3/29
大洗春まつり 海楽フェスタ前夜祭花火大会
  
茨城県・大洗町

 大洗町は水戸からほど近いので電車でも行けるし、海岸までは大洗駅からも比較的近い。まぁでも今回は車だ。
 以前に一度夏の大洗海上花火大会でこの町に来たことがあり、それは冷夏だった2003年8月。お盆前の開催だったが、快晴にもかかわらず肌寒くてとても海水浴なんて気温じゃなかったのを覚えている。前夜祭花火の打ち上げ場所は夏と同じ、という情報は入っていたが、夏の場所ってどこだったっけ?もう殆ど色々忘れてしまっていた。確か2003年の時は打ち上げ場所を確認しにいった記憶も証拠写真も無い。
 今夜の開催時間の風向き予報は南。撮影位置はそれで全てが決まってしまった。なにか大洗らしい事物と組み合わせることも考えたが、南側は海のど真ん中だし、花火の根元も背景も海。らしい事物と絵を作ると風下になってしまうのだった。とくにメイン会場広場は日中から風下気味だった。
 それで北側からイベント会場を左に通り過ぎ南側の大洗サンビーチを抱く海浜公園駐車場にイン。ここ辺りは過去にも駐めた場所だ。帰り道方向に近いので脱出も楽。とはいえ夏だと出口一箇所なのでそれなりに混む。到着時にはサーファーや釣り客、家族連れの車がぽつぽつ。駐車場にはトイレやシャワー設備(無料)が完備しているので、夏には入庫するだけで海水浴には便利(ただし波打ち際まで遠い)。
 季節柄、海の家が無いので広大な浜辺がさらに広く感じる。湘南辺りの痩せた海岸に比べると波打ち際が遙か彼方になる。駐車位置からサンビーチの波打ち際まで最短でも500メートルは歩く。砂浜ではカートなど役にたたないから今日は最初からカメラザックだ。機材もデジタル一眼一台のみ。
 ロケハンすると過去にどうして打ち上げ場所を見に行かなかったか合点がいった。波打ち際に出ると探すまでもなく海に突きだした突堤の先にそれが直接見えるからだった。運搬車が何台か、それと既に荷下ろしされて並べられた5号単発筒群、スターマイン筒、10号筒の一群が見て取れた。(注・突堤近くの砂浜は立入禁止なので上の寄せの写真は望遠使用)。
 もともと車でちょっと遠出したい理由で観覧は決めていたし、場所からして担当は野村花火だろうと安心予測していた。それが事前にツイッターとかネット経由で流れた打ち上げ内容と玉名を目にして、なおさらに期待が高まった。プログラムは単発打ち中心で、19時30分からの30分間に5号10発の単発打ち10組、10号単発25玉、スターマイン3基。かつての那珂川年忘れを思わせるラインナップだ。
 打ち上場所の南側完全風上は海の中。少しでも風上側というと撮影位置は波が寄せ返すサンビーチの海岸ということになりそうだ。残念ながら闇夜に花火という位置関係。10号の玉内容がいいのでその単独狙いでも収穫は十分と見た。
 ロケハン後はイベント会場もひとまわりする。日中は陽射しも強くシャツ一枚で汗ばむくらいの陽気。この週末で都内や住処の周りの桜が急速に開花してしまったのだからもうそういう季節。
   

打上場所全景

5号単発筒、スターマイン

10号単発筒群

5号・創造花火・あんこう花火
  

創造物・あんこう花火の原型

開幕1発目10号・四重芯変化菊
    

10号・四重芯変化菊
    

10号・四重芯変化菊
    

10号・四重芯変化菊
    

10号・五重芯変化菊
    

10号・変色八方咲

10号・彩色八方咲

10号・引先緑八方

10号・錦八方黄金点滅

10号・銀八方紅牡丹
    

10号・銀山錦

10号・引先エメラルド光露
    

10号・錦青光露
    

10号・サクランポ千輪
    

10号・銀菊先変化
    

10号・錦冠蝶

10号・夜空の百花園
    

10号・冠菊先緑点滅
    

10号・大錦菊
    

10号・錦冠菊

スターマイン
大洗を彩る火の芸術

スターマイン
大洗を彩る火の芸術

スターマイン
大洗を彩る火の芸術

スターマイン
大洗を彩る火の芸術
  
 海楽(kairaku)フェスタのメイン会場は展望台のある大洗マリンタワー前広場。名物あんこう汁をはじめとした地元の食品を売るブーステントが立ち並び賑やかだ。現着はちょうど正午くらいだったが、この日の午後の「戦車搭乗員適性検査」イベントのためブーステントの一部にはアニメファンの長蛇の列。アニメの声優たちが出演する祭りのメインイベントは翌日曜だというのに早くも大変な盛況ぶり。
 この祭りに前夜祭花火を行うのは今回が初めてらしい。聖地として賑わい、その経済効果の恩恵なのか、イベントを盛り上げる花火大会が新規に開催され、我々花火好きも恩恵にあずかれるのは喜ばしい。本部テントでは、花火協賛金を募っていたのでまた来年開催されればと見物料として協賛した。引き換えにプログラム誌とアニメキャラクターをあしらったポストカードが貰えるがアニメファンにとってはこちらが目当てとなるだろう。もちろん私はプログラム誌。ネットのpdfではわからないが内側ページには打ち上げ順と玉名が印刷されている。
 マリンタワーに隣接してアウトレットの建物と地元物産を扱う「まいわい市場」があるが、その前広場ではアニメグッズ販売「ガルパンテント村」が展開し、こちらも買い求めるファンが行列していた。私は物産売場でお目当ての水戸納豆をたくさん買う。車だと手荷物を増やしても平気だから助かるなぁ。   
 昼食後は車に戻って休憩。夕刻が近づくと知り合いの愛好家の車も近くに次々に集まってきた。風予報から写真やビデオをやる愛好家の考えることは同じようだ。
 17時30過ぎ、まだ辺りの様子が見える時間に撮影予定場所の海岸線まで機材を運ぶ。当然ながら照明などないから完全に暗くなってからでは打ち上げ方向すら見えないからだ。この日の干潮は21時頃ということで、昼にロケハンした時よりずいぶん波打ち際が沖になっていた。それで波を被らない程度海際から離れた砂の上に三脚を立て、早めに画角などのセッティング。18時過ぎにはしだいに暗くなり、前後方の砂浜に位置する何組か知り合いの三脚もうっすら見える程度。ぎりぎり海際というのも考えは同じか。日没後あまり冷え込まず、ダウンも用意したが夜の出で立ちは上着はフリース程度で大丈夫だった。海風に吹かれ続けることになるのでアンダーは上下でヒートテック。
 アナウンスなどは当然聞こえないので開始は時計だけが頼り。開幕は野村花火のプログラムらしく「いきなり四重芯」。撮影者泣かせのところだ。間合いと10号ということからだいたい画角は読めるけれど、はみ出しを畏れて広角気味で打ち上げを待つ。これが出てはじめて正確な位置がはっきりする。デジタルだから写りをみて2発目の10号からは盆が適切に納まる画角に修正して以下を撮る。あとは玉の種類に合わせて微調整。玉だけでも根本から全部でも可能な間合い。私の位置で打ち上げ場所まで約550メートル。全てが形良く見えるくらいの距離。これで10号きっちりは35ミリ前後くらいの画角だった。風は後方からだが若干盆は流される。完全風上だと沖に500メートルくらい行かないと。足下は濡れているのでカメラザックはより乾いた浜に30メートルくらい離してデポし、三脚とカメラだけ波打ち際に運んでの撮り。
 絶え間ない波音が、打ち上げ中は不思議と耳から遠ざかる。ゆっくりした間合いで漆黒の夜空に拡がる珠玉の名花を眺めるのは久しぶりに充実した時間だった。
 プログラムでは5号単発に2回(合計10発)、「あんこう花火」が登場。これは町の特産である鮟鱇と、ガルパンで主人公側(大洗女子学園)の戦車チームのひとつに「あんこうチーム」というのがあり、そのトレードマークとをかけている。型物花火の形はそのマークを模している。残念ながらカメラが1台なので、型物仕様セッティングに変えられないので(面倒)バルブのまま対応。出具合はまずまず。こちらはメイン会場側ではないせいか、向きがキマるのが1/3くらいか。
 フィナーレはワイドではなく、一箇所のスターマインと7号の組み合わせだが十分すぎる内容だろう。ここで芯入り、八方咲き、銀冠、錦冠など10発の7号が入った(10号もかな?)。出だしはここまでのスターマインと同じ画角で撮り始めたが、すぐに大玉が右サイドから射出され1カット目を途中で打ちきり、画角を拡げて2カット目から撮り直している。このあたりは同じ野村花火の那珂湊でのフィナーレの経験が活きた。
 2003年の野村花火による大洗海上花火大会では、最高の芯物は三重芯までだったことを考えると(その分二尺玉入り)グレードを上げたのだと感慨深い。今回も全編を通して十分な野村ワールドだったし、とくに10号の質と量は申し分ない。単発25発中、四重芯4発、五重芯1発、八方咲き系5発。と素晴らしいものだ。四重芯も同じ配色の玉がひとつもないという贅沢仕様。多重芯だけでなく久しぶりにたっぷりの野村製10号のラインナップを楽しめた。こういうのは1〜2発だけ参加の競技会では味わえず、煙火店地元の大会ならではの醍醐味。いくつか新作ぽいのも混ざっていたので今後も目にするのが楽しみだ。とくに複雑な時間差変色系の星はそれを元によほど目新しい玉に仕上がっているようだ。花火大会のメイン協賛社として野村花火工業の名前が入っていることから、地元へのサービス分も加味されていると思われる。
 往路は節約も兼ねてゆっくり下道を走り、土浦あたりから現地まで高速走行と休憩で2時間半くらい。帰りは自宅最寄りのインターまで高速で1時間半。通行料も4月からそうとう値上がりする予定で先が思いやられる。久しぶりのちょっと長い運転で足が攣りそうだった。
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