花火野郎の観覧日記2014

観覧日記その3 5/3
ツインリンクもてぎ 花火の祭典〜春〜

  
栃木県・芳賀郡茂木町


開幕スターマイン

100箇所同時打ち「千輪桜」

100箇所同時打ち「千輪桜」

第3幕「君想う夢」

第3幕「君想う夢」

胡蝶の舞い

二尺の型玉「蝶の親玉」
水滴が……

フイナーレ
これはこれで幻想的とか
  
 まるで花火が打ち上がっている時間をドンピシャリで狙ったかのような1時間足らずの雨だった。
 GWとあってゲートオープンの9時30分から行楽客が一斉に入場したようだ。花火目当てというよりは一般の客だ。午前中はそれほど多くの花火愛好家にはお目にかからなかった。
 場内のロケハンで驚いたのは第2、第3ターン側両方の仮設スタンドが全て撤去されていたことだった。老朽化による取り替え工事なのかわからないが、スタンドがあるとその上部の柵が丁度目線の高さで視界を遮るので撮影には限られた場所しか使えなかった。しかし今回は「視界良好」。仮設スタンドだった場所は立ち入り禁止になって入れないが、その最上段のどこでもが撮影場所として使えるのだった。
 しかしこれも夏の祭典までには新設の観覧席が設けられるだろう。そうすれば視界良好どころか様々な制約もまた生じるかもしない。その時どんな状態に変貌するか見物だ。夏は観覧しないから秋の祭典が楽しみだ。
 春の花火の祭典では、茂木ならではの出し物として、100箇所同時打ち「千輪桜」、二尺玉の二つが用意された。二尺は「蝶を模った花火(胡蝶の舞)」で日本最大の型玉となる直径500mの「蝶の親玉」の打ち上げに挑戦、とある。想えば小幡花火は先代の頃より茂木ならでは、この場所を活かしたここでしか見られない出し物でながらく私共愛好家を惹き付けて来たのだ、だからあらためてこうした目玉プログラムを掲げてくれるのは嬉しい。何の目玉も無い2013年冬の祭典に比べれば相当な楽しみといえる。なりよりここは「有料」なのだから、ただで見られる納涼花火大会以上の出し物が無ければ割が合わない。まして年4回が4回とも見逃すと相当に惜しい内容でなければ、いくら愛好家といえど皆勤賞は難しい。内容もさることながらコンディションのリスクがあるからだ。そのリスクを遺憾なく発揮された晩になった。ふ、これだから茂木ってやつは……。
 日中は焦がされるような好天。日陰で寝こけていたが、それでも陽に灼けるくらいの陽射し。しかし夕刻から北側に雲が拡がり、18時を過ぎて風は北寄りに変わった。風向きが変わるのは予報通りだったが、予報を超える強風でしかも冷たい風だった。いつしか雲は空を覆い、北側の空にはときおり稲光。おいおい大丈夫かよと居合わせた愛好家同士顔を見合わす。気温も体感温度も下がってすっかり防寒体勢を取らざるを得なかった。こういうときは車組はさすがに用意がいい。ライトダウンくらいは装備。私もまさかとは思ったが出がけにもう一枚、冬用のフリースジャケットを持ってきて助かった。おまけに使い捨てカイロも投入。寒くて居られない。
 プログラムは全4幕構成だが、内容は直前にアナウンスされるまでわからない。入口でたくさんのチラシや案内を渡されるが、花火のプログラムはこれらにも公式ホームページにも記載されていないから毎度いささか不親切に思う。100箇所同時打ちや二尺玉のような目玉が何時何処で打ち上がるか、撮りの段取りってものがあるから事前に知りたかったのだが今回もそれがわからない。結局開始15分前くらいのアナウンスでようやく以下のようなひと幕ごとのテーマや打上内容が放送された(ステージタイトルは音-おん-だけの聞き書きなので間違っているかもしれない)。このアナウンスを聞いてからカメラをセッティングし直す。
 第1幕「春待ち人」のフィナーレにまず100箇所一斉。開幕するとほどなく雨が落ち始めたので、傘の用意だなんだとバタバタと雨対策を交えながらの撮り。雨はすぐに本降りに。サブは縦で100箇所中央部を切り取るようなフレーミングにしておいた。つまりそれ専用。出だしの一斉打ちやスターマインを撮ったところでメインはワイド横位置に切り替える。当然ながら日中に100箇所打ちの筒の位置や幅を確認済みで、開始前に場内が暗転してもどこからどこまで、という打上幅がわかるようにしてある。オーバルコースのほぼ直線部分一杯に使ったけっこう幅がある100箇所打ちだ。設置場所の関係か途中で途切れているがそこを挟んでシンメトリーに50本ずつではなく向かって右半分が多い。
 打上が途切れたところで「せーのっ」とレリーズして100箇所打ちをゲット。既に花火スタート直後に降り出した雨が勢いを増していたのでこれを撮ったところで「価格が高い方の(笑)」カメラをまず撤収。雨にならなければ同時に撮るつもりだったがワンカットのみでお役目終了。2台立てていると雨中で撮影はもちろん片づけさえままならないから残す方には、まずすっぽり大きなビニール袋で覆ってからサブ機をカメラバッグに収納。バッグの雨よけを施してからメインで続きを撮るというわけだが、この撤収作業のため第2幕「咲きふる花」はまるまる潰してしまったのでほとんど見ていない。
 第3幕「君想う夢」から撮りを再開するものの気分は「撤収」。片手で傘を支えるには手が震えるほどの風で、傘をさす左手は利き手なものだからカメラのレンズや向きの操作が十分に出来ず、フレーミングが超テキトーになっていく。3幕目は珠玉の菊花連打という素晴らしいプログラムだが、盆は風に流されて残念なひと幕だった。レンズに水滴がどんどん付いてくるのがわかるが降り続く中ではどうしようもない。幕間にレンズを掃除するが焼け石に水。
 4幕目「胡蝶の舞」。日中のツインリンク場内の新緑を連想させる鮮やかな緑の蝶の乱舞は見応えがあった。錦冠の連打から銀一斉というお馴染みのフィナーレを使わない小幡花火を茂木で見るのは初めてかもしれない。新しい展開を見せようと工夫しているようだ。最後に二尺の「蝶の親玉」が放たれ親玉・子玉の揃い打ちと相成った。残念ながら向きの関係で蝶の形には見えなかった。それと今回の観覧位置、北側の第2ターンからだと20号までの距離があるため、手前で打っている10号蝶の方が大きくて、二尺の大きさを感じられなかった。最後に桜花を連想させるピンクの小花一斉が上がって打ち止め。これまでにない鮮烈なフィナーレだった。
 挨拶もそこそこに雨の中を撤収し、傘をさして車に戻る。照明灯に浮かび上がる雨はけっこうな降り。しかし駐車場から出る頃には綺麗な三日月が出ていた。雨で早めに引き上げた客が多かったのかどうか、南ゲートを出るのもまったく渋滞が無くて拍子抜け。20時30分にゲートを通過。花火開始時間から丁度1時間だ。まさに花火が打ち上がっている時間をドンピシャリで狙ったかのような1時間足らずの雨だった。
 帰路は驚くほど順調で4号バイパスまで通常1時間くらいかかるのを50分。家まで2時間といつもより30分も早く着いた。
 さっそく濡れた機材の手入れをしてここで初めて写真をチェックしたが終盤はレンズが雨滴まみれで使えないカットばかりだった。傘で防いでいるつもりだったが左斜め前からの雨。完全に防げば広角レンズに対して傘が確実に写り込んでしまうからそれを避けると、傘はほとんど雨避けにはなっていなかったのだ。100箇所打ちはおそらく何カ所か欠けて出ていない筒があった。
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