花火野郎の観覧日記2015

観覧日記その13 7/26
2015 第33回 蒲郡まつり花火大会

  
愛知県・蒲郡市


撮影場所から

背後は綺麗に染まった

開幕10号一斉打ち

  

大スターマイン東部小
私たちのふるさと蒲郡

三尺玉・昇り曲導付
紫小花入銀閃冠菊

三尺玉・昇り曲導付
彩色小花入錦冠菊

水上大スターマイン孔雀の舞

   
   
 名古屋から蒲郡までは東海道線快速で50分足らず。朝食として駅ホームできしめんを食べてから向かう。
 観覧予定場所現着は、自分でも脅威の午前8時30分。しかしそれでは遅かった。事前にストリートビューなどで何度も検討した商工会議所前あたりの撮影予定場所は、すでにロープが張りめぐされたり、ガムテープで囲われたりして売り切れになっていた。付近をあたるが微妙にそこからの絵が希望に合わず閉口した。後で花火愛好家らしきその場所取りの本人に話を聞くことができたが、午前2時でその場所しか空いて無かったという。いや、2時って・・・無理っしょ。とりあえず近辺に妥協で三脚を置いておく。そんな時刻だが、海沿いの観覧場所には入れ替わり立ち替わり、場所取りの客がやってきて、少しずつスペースが埋まっていく。
 蒲郡はそれでも場所取りが激しいのは大会本部を中心とした商工会議所前あたりの竹島ふ頭中央部の僅かの範囲で、そこから外れるにしたがって、比較的出足がゆったりとしているし、スペースも広くなる。打ち上げ場所とほぼ正面に相対する第一希望地が無理目になったので、さらに西側で検討しておいた第二希望の場所に二本目の三脚を置く。まだ9時前だというのに、僅か30分ほどの撮影場所探しの間にも目眩がして、汗が噴き出すほどの暑さと陽射しだ。近くの市民会館がオープンするのは9時30分からでまだ間があったが、中庭の日陰になっている場所に入れさせてもらって休憩。この時点では北西風が心地よく流れ、日陰に居れば快適だった。
 その後約11時間の待ち時間はこの市民会館の中で大半を過ごした。ホールの方は冷房もよく効いていて快適。昼食は駅前の大型SCに買い出しに行った。市民会館内から中庭の旗竿の国旗を見ると風は午後からほぼ西南西から南西に変わって安定していた。この開催地では北とか東の文字が入らないと陸からの順風にはならないが、夏のこの時期陸風になることがあるのだろうか。  屋内で涼みつつ、風の様子を見ながら二つの観覧場所のどちらにするかずっと考える。風向きが夜も南西で落ち着くとどうやらメイン観覧場所の竹島埠頭一体が風下傾向になるのは免れないようだ。ときおり三脚の様子を見にいったりした際に現地で出会った愛好家氏たちは、風上の裏手や遙か遠くの山の上から観覧などいろいろ検討しているようだった。結局、風向きを考えると大会本部や協賛席に近い第一候補地より、西側にずれた第二候補地のほうが、モロ風下率が低いと見てそちらにした。いろいろ諸条件が考慮されるのだけれど、まず煙に巻かれることだけは少しでも避けたかった。最初の三脚を回収し、第二地点に二本を並べて備えた。
 屋内から機材を運んで17時過ぎにはスタンバった。市民会館が17時で閉鎖施錠するので居られるのはそこまで。中庭や駐車場での飲食ブースはそのまま利用できる。夕刻19時を挟んで、昨日の桑名に引き続いて同じような空模様からまたまた素晴らしい夕焼け空になった。構図を変えて何枚も写真を撮る。
 カメラは2台体制でプログラムにより画角と縦横で撮り分ける、といった段取りで同時レリーズは少なめ。ワイド打ちは開幕の10号10発一斉やフィナーレ特大スターマインが300メートル余り。これらが縦位置、400メートル幅で設置される途中で入るミュージックワイドは横位置と切り替えていく。他にも斜め打ち出しや水中物など横方向の画角の出し物が控えている。
 開幕はカウントダウンに合わせて4号10発(10、9、8、と数字の型物)が上がり、その後10号10発(5発ずつ2種類)でスタート。メイン側ではあいにく順風とは行かないが、風読みが奏功し、左方向で煙が浮き気味のほぼ横風くらい。私の位置より西側ほど見た目は良く、過去に観覧した分を入れた3回のうちでは一番条件的に良い方だった。
 撮りでは1発目の三尺だけ撮りをミスった。出る位置が思ったより左側で盆の1/3くらいが画面外に。たはは。防波堤で台船が直接見えないので次からは、火が入ったのをみて向きを確実に調節することにした。他にも思いもよらないほど明るい玉だった、とかのやれやれはあったが、だいたいは無事に撮り進んだと言える。
 それにしても、全体的に花火内容も打ち方も格段に進歩していて驚いた。評価云々じゃなく、純粋に打ち上げを楽しみ、開花に没頭することが出来た。近くの愛好家ともども久しぶりにその見事な開花に絶叫していた。ながらく豊田おいでんと同日開催というのは、対花火愛好家向けには不利目という印象だったが、この内容ならどちらを観覧するか悩みどころだろう。
 過去2回、煙によって中心部も定かでなかった各種単発打ちもこの晩は良く見えた。10号は種類別にまとめて打っていたのが良かった。つまり割物、千輪物、八方咲きなど細工物、芯物、といずれも多彩。特に八方咲き細工物は極めて精巧な出来で、山梨勢、野村、磯谷、片貝煙火と比しても遜色なく、素晴らしく整ったフォルムだった。蒲郡でこんな凄い玉ががふんだんに観られちゃうの?それを何発も楽しむ事が出来た。この煙火店得意の各色パステル系点滅星も相まって、この八方咲き系のバリエーション達は今後強力な持ち玉になるのじゃないだろうか。割物多重芯では盆の整い方にばらつきはあるものの、玉の種類も豊富で見応えがあった。
 水中物や防波堤からの斜め打ち出しなど、打ち方や見せ方に工夫を凝らしている。普通に上に打つスターマインと斜め打ちとの組合せ、水中ものと曲打ちとの組合せなど見た目に楽しく、意外性もあって楽しかった。
 コンピュータ打ちを駆使したワイドも次第に手慣れ、大胆な演出になっている。打ち方も最近のトレンドである扇型星ちや、半円に小玉を飛ばす曲打ちなども随所に取り入れ、挑戦的でダイナミックになっている。いちばんのワイドプログラム「愛の讃歌」は最大5号だが、400メートル幅でしかもこの幅から扇形に放射打ちをするので実際の花火空間はもっと幅広い。だから放射曲打ち展開では驚くほどの幅で小花が咲くので迫力とボリューム感がメイン観覧場所では損なわれることなく味わえる。竹島ふ頭は打ち上げ場所とほぼ平行している位置関係だが、尺列までの間合いは約400メートル。これくらいだと聳えるほどに高い尺玉が堪能でき、まさに天を覆い塞がれて降り注ぐような圧倒感も堪能できる。
 当初手探りで試しながら点火器を使っていたのが、どうどうと見せ場を作っているのに感嘆した。多彩な打ち方と、出来のよいオリジナルの星と持ち玉、これらがあれば独自な加藤ワールドが展開できているわけで、蒲郡がなんだか凄いことになっているじゃないか、と少し興奮気味に見終えたのだった。蒲郡というと、ブログラムやポスターでも三尺玉のいち押し感が強いし、それが目玉なのだろうと思うが、三尺抜きの他の出し物が十分蒲郡らしく、多彩で迫力に富んでいると思う。花火内容で充分に加藤煙火をアピールしているのではないかと考える。
 今回は普通に一般客の後方で混じって撮っていたので、打ち上げ中は周りに神経を使ったが店じまいから撤収まではスムースだった。駅構内で少し揉まれたものの、21時20分頃の豊橋行きに乗車。猛暑の二日間をなんとか乗り切った格好。

INDEXホームページに戻る
日記のトップに戻る