花火野郎の観覧日記2015

観覧日記その14 8/1
古河市合併10周年記念 古河花火大会

  
茨城県・古河市


正三尺玉1発目
昇曲導大輪しだれ桜緑小割浮模様

超大型ワイドスターマイン
「輝く未来へ」

超大型ワイドスターマイン
「輝く未来へ」

超大型ワイドスターマイン
「輝く未来へ」

超大型ワイドスターマイン
「輝く未来へ」

超大型ワイドスターマイン
「輝く未来へ」

超大型ワイドスターマイン
「輝く未来へ」

超大型ワイドスターマイン
「輝く未来へ」

千輪の花園ワイドスターマイン

   
   
 古河は自宅の最寄り駅から、JR、東武線ともふた駅程度の距離でごく近場の大会だ。最寄り駅の構内にもこの花火大会のポスターが貼られているので半ば地元の大会。今年で10回となる大会の2回目、3回目を過去に観覧した。近場なのだが8月第一土曜と一番の花火大会集中日にあたることが多く毎年は見られない。今年は10回目記念というより、古河市合併10周年を記念して、「まくらがの古河に咲く合併10周年の大輪」のサブタイトルをつけた特別な打ち上げ内容になっている。
 花火は現在は栃木県の田熊火工品工場と茨城県の野村花火工業、新潟県の阿部煙火工業(三尺玉のみ)が担当している。周年記念の大会だからか、野村花火担当分のワイドスターマインが増量、グレードアップと知り合いの愛好家から聞いた。もとより通常年より玉数で増量と広報していた。なんでも例年300メートル幅ワイドで打つところを、倍の600メートルワイドというではないか。それは全国的にもかなりの幅がある方だ。それで10号入りとなると幅も高さもあってなかなかの見物だし、野村花火担当でこれくらいのワイドというと長岡の天地人や赤川のワイドくらいしか思い浮かばない。これは見逃せない。
 近年の古河には行ってないので、最近観覧した愛好家氏に状況を聞くと、打ち上げ場所をのぞむ最高視点の堤防道路沿いはかなり場所取りが苛烈であるという。それで当日では遅いかも、と事前に場所取りすることにした。この大会では堤防道路ならびに斜面は草刈りを終えた後でなければ場所取り出来ないと公式に注意書きが在る。機械で草刈りするにシートやローブが在っては邪魔だ。それでこの草刈り作業は水曜日つまり7月29日の日中に行われたらしい。作業後場所取り解禁なわけで、地元在住ならこの時点で場所取りしたのだろうが、私は草刈りの実施日は知らなかった。そして翌日の木曜の晩に仕事から帰ってその足で車で堤防道路に乗り付けた。自宅からは車で3〜40分。600メートルワイドと聞いて、大会本部や有料席がその真ん中当たりで南北に長く設置すると推定し、中央部では当然画角が苦しいとみて、斜め方向から全体が見えるくらいの位置を地図上で割り出した。ストリートビューで周辺の建物を確認し、ピンポイントで車を乗り付けた。
 では、と堤防道路に出て懐中電灯を頼りに敷き込み状況をチェックしていくと、もう最上段の道路沿いは本部席のある中央部から花火に向かって左側つまり南側に向けて延々とシートやローブで切れ目無く場所取りされているではないか。600ワイドの南側半分に相対平行する300メートル幅の位置はほとんど場所取り済みだった。前々日でこれでは当日は隙間が無いのか。車が何台も駐車中で、何人もの人が暗がりの中で黙々と場所取り作業中だった。道路上にはすでに多くの投光器が置かれていたが、もちろん点灯していない。あわてて中央部から続く最上段のシートの列の空いているところに刈り取られて間もない草を脇に退けながら敷き込んだわけだが、そこがほぼ狙いの場所だった。作業中にも左側に別の人のシートが新しく敷かれ、斜面や下一段目など堤防の上の方はかなりの数の場所取りが終わっていた。
 中一日あるので当日まできちんとシートが残っているかどうか不安だったがひとまず完了。実際の花火設置を観ながら場所を決めたいところだったが、2日前でこの状況では当日は通路上に三脚を置かなくてはならず、それが可能かもわからなかった。
   
 当日は朝から猛暑。自宅の部屋から外を見やるとギラッギラで、なかなか出かける決心がつかなかった。この日は地元の町内夏祭りの初日で、午前中から子供御輿が練り歩き、お囃子が遠くに近くに絶えず聞こえている。結局現着14時過ぎの見込みでゆっくりと出かける。JR古河駅からは会場まで1キロ半ほどで歩けば15分くらいだ。しかしここはタクシーをおごる。日陰のほとんどない道でたどりつくだけで消耗しては仕方ない。
 まずは三脚を置きに行くが、最上段は堤防道路ぎりぎりまで場所取り済みなので、後から来た撮影組の多くは堤防道路上に三脚を並べている状態だった。事前場所取りのシートはそのまま残っていたので畳んでかわりに三脚を置く。隣りが偶然に知り合いの愛好家夫妻だった。そこから初めて打ち上げ方向のゴルフ場内を眺めると、まばらな樹木に見え隠れしながらも打ち上げ筒のほとんどが設置済みのようだった。多くの花火運搬車両が打ち上げ場所中心部に集結して荷下ろし、装填や配線など準備の最中のようだ。肝心の600メートルワイドの設置列と観られる配置では、ちょうど向かって左端の筒群が目の前、という想定通りの位置だった。打ち上げ空間全体を左方向から眺める位置。どうやら打ち上げは150メートル間隔の5箇所。センターだけでなく左右2カ所にも10号筒群。なかなか厳しい設置だ。広角を使えば斜め扇打ちなどが入っても左右は楽に入るが天地がどうかなぁ。横位置で高さが足りるかしら。このワイドに備えてこの日はカメラ2台体制。一番の広角で横位置。もう一台は24ミリ広角で縦位置。どちらかで対応できるだろう。
 三脚を置いてざっと設置を確認し、日陰のあるゴルフのクラブハウスに避難する、というそれほどでもない時間でただ立っているだけのうちに大汗をかいて消耗した。この日はこの夏最高の、と連日のようにニュースは告げるが相当な猛暑日だ。冷房は効いてないが屋内に居ると風が吹き抜けて快適で、それからずっとそこで待機していた。
 17時過ぎまでは建物の中に居たのでまず快適だった。その後撮影機材を運んで観覧場所に移動してからが苛酷だった。堤防道路上のアスファルトが蓄熱しているせいで、三脚の近くに立っているだけで、足下からそして吹いてくる風も熱風でたまらない蒸し暑さ。しかし本当にうだるような暑さに見舞われたのは花火が始まってから。堤防道路上は、私の後ろに何重にも立ち見の人垣ができて、風もまったく通らなくなった。人いきれもあいまってひどい蒸し暑さが打ち上げ終了まで続いた。普通は花火が始まるとそんなことはしないのだけれど団扇を取り出して、扇ぎながら汗をぬぐいながらの我慢の観覧だった。周りを見回すと前の眼下も後ろもびっしりの観客で、すんなり帰れるのか?と不安になる。始まってからもどんどん人が増えていく感じだった。
 開幕がいきなり三尺、というのは以前から変わらない。開催回数が若いうちは19時10分打ち上げだったが、今回は20分からと少し遅くなった。晴天なら日没方向に打ち上がるからまだ空が明るいに違いない時間だが、夕刻から曇り空。しかも向かいの西側の空はその方向で降っているのかどんよりと暗く、それが三尺を際だたせる背景になったのはありがたい。ちょうど立っている位置から明るい内に樹木の陰に1本だけ三尺筒が見えたので、カメラを向ける方向もだいたいわかった。
 この日はいわゆる「大気の状態が不安定」という予報で、関東全域でいつどこで雷雨に見舞われるかわからない一日。幸いに少し暗い雲が通り過ぎたりもしたが、降られることなく打ち上げ本番になった。しかし近くを雷雲がかすめたのか、20時頃になってごく僅かにパラパラと雨が落ちた。なんでも少し離れた場所では相当降ったらしくラッキーだった。ちょうど野村花火のワイドが始まるかどうか、という時刻で、身体やカメラにポツポツ落ちる水滴に「早く打ってくれー」と願う。
 野村花火の超大型ワイドスターマイン「輝く未来へ」が始まった。すると10号打ちが入ると縦位置撮りの方は幅が足りなくて3カ所打ちの2つ分も入ってないことに気が付く。それで24ミリ縦位置のカメラは早々に放棄して16ミリ横位置だけで撮る。当然目の前の左端の10号の天地が厳しいが、画面下をぎりぎりにすることで多少の欠けで入るだろう。打ち上げ列までは400メートルはあるだろうか。やや奥目の配置になっているらしく割と無理なく画角に入って来た。このひと幕は手抜きのない素晴らしいものだった。この幅で全域がイルミネーションなどという瞬間は息が止まるかと思うほどだった。このスケールとなると長岡を除けばそうそう見られる規模じゃない。多重芯系は無い物の八方咲きをはじめとした全編野村ワールドは、幅のボリュームもあって至福の満足感だった。
 ラストは三尺玉2発連続打ちから、田熊火工お得意の、小玉から大玉までとことん千輪の花園ワイドスターマイン。ここではやはりこれを見なくてはな、と言う気になる。
 花火は良かったものの蒸し暑さに翻弄されて相当に消耗してしまった。帰りの古河駅までの道のりも、堤防から下に降りるまでがひと苦労、その後も道路一杯を埋め尽くす帰り客ののろのろ歩きの中、またまた凄い蒸し暑さで相当へばった。
 古河駅での乗車はスムースでむしろ人が減った?と思うくらい。道路を埋め尽くしていた客はそのまま自宅に帰ったのだろうか。近場だから楽ちんな観覧とあなどっていた。この晩の蒸し暑さはひどく体力を消費してしまって、翌日予定していた長岡観覧は断念した。


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