花火野郎の観覧日記2015

観覧日記その25 11/23
第110回 長野えびす講煙火大会

  
長野県・長野市

   

対岸からの日赤方向の眺め
  

川縁の大玉筒並木
  

開幕個人協賛スターマイン
  

開幕個人協賛スターマイン
  

フラッシュダンス
7号玉8号玉10号玉100連発   

全国新作10号玉コンテスト
彩色兼美
長野 伊那火工堀内煙火店

全国新作10号玉コンテスト
虹色のグラデーション
山梨 斎木煙火本店

大スターマイン
紅屋青木煙火店

大スターマイン
紅屋青木煙火店

10号10発一斉打ち
紅屋青木煙火店

大スターマイン
紅屋青木煙火店

ミュージックスターマイン
信州煙火工業

ミュージックスターマイン
紅屋青木煙火店

ミュージックスターマイン
紅屋青木煙火店

ミュージックスターマイン
紅屋青木煙火店

大スターマイン
信州煙火工業

10号10発一斉
信州煙火工業

8号200連発と4号フルワイド
  

8号200連発と4号フルワイド
  

10号15発一斉
信州煙火工業
   
 天気予報は開催日が近づくにつれて曇り一時雨から、曇りのち雨。打ち上げ開始の時間から雨、と悪くなるばかり。これは久しぶりの雨中観覧もアリかと防寒に加えて雨対策もがっつりしなければならなかった。この10〜11月は雨の多い秋だなぁ。事前の予報で目を引いたのは風向き。ある予報サイトでは西や西南西の風。別のサイトでは南東の風。と南方向入りの珍しい予報だった。風向きもさることながら前日深夜になっても消えない雨予報に覚悟して出かける。道中は降ってはいないものの暗い曇り空。ちょっとこのところ風邪気味なのも相まってどんよりテンションが下がりっぱなしだ。
 前日22日に上信越道横川SAを過ぎた山腹に民間の小型ヘリが激突する大事故があり、上り線は5時間以上通行止めになった。そこを通りかがると通行止めにはなっていなかったが、多数の警察ほか関係車両が止まっていて現場検証中だった。
 碓井軽井沢あたりでは霧に包まれながらの走行。しかしそこを過ぎて長いトンネルを抜けると眩しい陽射しと共に、鮮やかな紅葉が目に飛び込んできた。モノクロームの世界から一気に極彩色になった気分。なに?晴れている?まさか・・・。全国的に雨模様という23日。よもや青空が見えるとは。
 高速を降りて長野市内に入ると、コンビニやGSの店周りに立てられた幟がばたばたはためくほどの風。ナビのコンパスで向きを確認。予報通りの南入りの西風だ。現着は11時過ぎ。協賛して指定エリアもあるのでのんびり到着でも良かった。車を駐めてから日赤病院前あたりまで歩いて辿り着くと既に多くの愛好家が到着済み。それぞれの居場所確保も終了という時間。地元の愛好家のはからいで場所を分けていただいたのでとりあえず三脚を建立。そこで渡ってくる風が気になった。本日は終始西から南西の風予報。南成分が入ると、メイン側の向かって左、東側に差し込んでくる風向き。つまり東側の有料席あたりが風下になる。メイン側の右手、西側の堤防道路に陣取れば煙の影響が最も少ないだろう。とその西側の端の堤防道路を見ると例年多くの愛好家の三脚が建ち並ぶ一角に、「ババン」と大量の仮設トイレが建ち並んでいるではないか。昨年まで河川敷に置かれていたトイレがなぜ上に?このトイレは前日に設置されたとのことで、トイレの真下に早くから場所取りしていた愛好家氏は仰天しただろう。
 私は風向きが気になり、予報を見てから事前にストリートビューで下見もしてあったがいちおう実際に対岸をロケハンすることにした。まずは空身で徒歩で行く。ちょちょっと行けるかと思ったが30分以上かかった。対岸堤防道路に立つと気持ちよいほど南西からの風だった。それがこのまま続くことが保証されているなら即断即決なんだけど。とりあえずシートで場所取りしてメイン側に戻る。
 昼過ぎから地元煙火店と愛好家のご親切で、打ち上げ現場を見学させていただく。今年は青木煙火のミュージック設置が観客側の前に出ていて、その後ろが信州煙火だった。どちらも筒の密度が凄くて、複雑な仰角度を伴う筒がみっちりと並べられていた。300メートル余の巾とはいえ、端から端まで歩くとけっこうかかる。だからその間を配線して行き来するだけでも大変な作業だとあらためて感嘆する。配線が集約する中央の合同点火所では両煙火店とも複数台のコンピュータ点火器を前に結線の最終点検をしているところだった。奥の川縁の道は大玉筒銀座で、久しぶりにこれほどの筒が並木の用に林立する様を見た気がする。筒が増えたというのもあるが、大玉に関しては今回は信州煙火と青木煙火の筒をひとところに集約しているのが要因か。最終の8号200連発に伴う4号のフルワイドは20箇所打ちでおよそ800メートルとみられた。
 全体の設置は例年と若干違っていて、7号以上の単発では従来信州煙火と青木煙火で打ち上げ場所を分けていたが、筒を上流側に集約して両煙火店とも同じ場所で上がる、という風になっていた。スターマインはこれまでどおり双方の現場に分かれている。またコンクールの10号筒はこれまでより約50メートルほど上流側に移動。ミュージックを除けば若干全体が上流寄りなのかな、と思う。
 打ち上げ現場を後にすると15時近く。そろそろ決めなければ。対岸の観覧では一度手痛く失敗している私にとって、再び挑むのは覚悟が必要だった。ちょうど10年前、2005年の第100回記念大会のえびす講の時だ。この日極めて珍しく南風予報だった。それで最初から直接対岸に向かい堤防道路に立つと、犀川を直角に横切る綺麗な南風でそのまま観覧場所とした。しかし打ち上げ開始とともに頭を抱えたのは、夜になって例年通りのよくある北東の風に変わったことで、成すすべ無く煙に巻かれた。
 思えばこの花火大会が善光寺えびす講煙火大会と呼ばれていた頃から20年以上観覧してきたが、花火開催中に南の風向きだったことはただの一度も経験がない。本日と良く似た風条件だったのは2011年で、やはり西から西南西だった。この時対岸に渡りたかったが、電車で日帰りという旅程だったので断念した。徒歩で渡り返し、帰りの新幹線に間に合うか不安だったわけだ。泊まり組や車で来ていた愛好家の一部が対岸に渡った年だった。
 2005年のリベンジではないが対岸からの景色で撮ってみたいとずっと考えていた。しかし風向きがそれを許さなかった。以前は対岸の河川敷にはほぼ全域に灌木が生い茂っていて、会場センターの長野赤十字病院のあたりが見通せる場所は限られていた。現在も上流側丹波島橋寄りの半分くらいは視界が無い。しかし数年前から丹波島橋、長野大橋間のほぼ中央から東側半分の河川敷や堤防斜面が工事され、灌木は伐採、河川公園でも造るのか跡地も整地して綺麗さっぱりになっている。だから堤防道路から見ると川縁までまったく遮る物無く視界良好。
 15時過ぎに意を決してメインの三脚を回収、ロケハンは歩いていったが終了後に機材込みで渡り返すのは厳しいと感じたので車ごと対岸に渡る。覚悟も要ったが、もしメインと対岸のどちらもイーブンな風、犀川に沿って吹く横風なら対岸を目指そう、とそう考えていた。メイン側はようするにたくさん観てたくさん撮ったわけで、居並ぶ三脚群の中でもはやどう凄く目新しい光景が撮れるというのだろう。少しは工夫や冒険が必要と我が身に課したのだ。それと同じような風の条件の2011年の時、メイン側での撮りの結果が当然ながら思わしくなく、この時対岸に向かわなかったことを後悔したわけで、そのことも後押しした。
 対岸ではそれほど場所取りに苦労はないし混雑も少ない。客は撮影・録画組を除けば近隣の住民がほとんどのようだ。長野大橋から西側の堤防道路は広範囲にすこ〜んと遮るものがないのでどこでも観覧可能。しかも河川敷も整備したので道路から一段下の河川敷でも観覧・撮影可能だ。下はすぐに川の方向に立ち入り禁止のネットがあり、スペースに前後の奥行きはないが前を遮る物が何も無いから視界に問題はない。緩やかに整備されたメイン側と異なり、堤防斜面はかなり急角度なので途中に座ることはできない。今回は幸いに三脚を立てた堤防道路のすぐ近くに駐車することができた。地元の人も開始間際に車でけっこうやってきた。
 観覧場所は日赤前の主要設置部分全体を右方向から斜めに見る位置。ミュージックスターマインの設置列までは600メートルほど。だから見物するなら300メートル足らずのかぶりつきで観られるメイン日赤前のエリアとは迫力では比較にならない。コンクール10号までが約500メートル。対岸で日赤の完全に正面の辺りは立木で視界が無い。上空の花火は見えるが、なにせ木々の上部に顔を出してるのは日赤の建物の上部、赤十字のマークが付いているてっぺんの辺りだけで打ち上げ根本はまったく見えない。
 対岸の堤防道路は交通規制してなかったと記憶しているが、現在は17時30分から20時30分まで通行止めだ。それまではかなり交通量が多く、歩道のスペースが全く無い道路脇で多くの観客が観覧準備をしていても相当のスピードで脇を走り抜ける車も多く危なくて気が気じゃない。だから場所は確保しても通行が止められるまでは三脚が展開できず、打ち上げ開始が18時だから準備タイムは30分ほどしかない。17時を過ぎるとたちまち暗くなり手元も見えなくなるので、カメラ側の設定やリモコン接続などはやっておき、最終三脚に載せるだけ、という段取りだ。
 周りで実況のFMなどを大音量で鳴らしている客もいたが、打ち上げ現場には花火業者方向に向けた(つまり対岸側に向いた)スピーカーも設置されているから、普通にメイン側に居るのと変わらないくらい進行の放送が良く聞こえる(FMとはタイムラグがある)。
 開始近くに近所のお年寄り夫婦が脇にやってきたが、珍しく南の風だから家から出てきた、といつもは自宅の窓から観ているらしい。それほど夜になっても南の入る風のえびす講煙火大会は滅多にない。会場アナウンスでも打ち上げ中しきりに「南の風が吹いています。降灰に注意してください」と放送していたが、対岸から観ると煙は東側に右横に流れているようだった。だから南西から西南西の風と思う。この点は終日西から南西の風という予報通りになった。強弱はあったものの長野に到着してからずっと花火が終わっても風向きは安定して変わらなかったのだ。西よりの風だと裏と言っても完全に順風というわけではなく、煙が浮かない程度の横風だ。花火は10号程度でも盆がかなり流されながら開花していた。しかし上と下では若干違い、日中の定時雷の発煙はけっこうメイン側上空を通過していた。メイン側の仲間の話ではかなり大きいサイズの玉殻も降ってきた、ということで10号開花域では南風成分が強かったのかも知れない。
 日中のフリースから夜はダウンに着替えたけど、斜め後ろから風を浴びているのにはっきりいって「暑い」。寒いと思ってアンダーも上下ともヒートテックを着こんで出てきたが暑いよ。使い捨てカイロも用意したけどそれも暑い。地元の人も今日は暖かいねーと言っていたくらい。えびす講といえばきりきりと冷えた印象だったが今夜は実に暖かかった。
 カメラは2台で縦横を撮り分けたくらい。メインは24ミリからのズームを使った一台。対岸から観ても最終のフルワイドはかなりの巾が在った。
 今回はミュージックスターマインが110回記念で、プログラム上ではひとつの枠になっている。混合で打ち上げかと思われたが、実際は信州煙火先行、後半青木煙火、と分かれて順に打つ仕立てになっていた。観ている時はそれなりだったが、現像して写真で改めて見てみると、やはり迫力とか圧倒感ではメイン会場の至近距離のそれには遠く及ばない。大玉の少ないミュージックスターマインは接近戦で観てこそかな。と思った。同時に客観的にも観られた。至近距離だと何をどうやっても近さの圧倒感で満足させられてしまうが、距離を置くと全体なりがよく見られて良かった。
 例年だと単独で行われる10号10発/10号15発一斉打ちは、どちらも前振りに特大スターマイン付きになっていて、一斉出しのタイミングが掴みづらかった。
 プログラム全体をみると時代の流れか圧倒的にスターマイン枠が増えて、7〜10号単発打ち、段打ちは数えるほどになっている。以前はこれが逆になっていて、質のいい単発打ちがえびす講の醍醐味だったことが懐かしい。
 終了後も30分足らずで車を通し始めるから撤収も手早くやらないといけない。翌日は平日なので速攻で戻らねば。20時30分過ぎに長野ICイン、そこで佐久から横川までの通過に70分という大渋滞予報が出ていて覚悟したが、そこを通過してみると何もなくて良かった。途中の横川SAで遅い夕食。高速を降りると雨模様で自宅周りも濡れていて雨予報の23日は本当だったのだと思った。長野だけ奇跡的に免れたのかどうか。予想外の天気の持ちがありがたかった。
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