花火野郎の観覧日記2015
観覧日記その27 12/5〜
お台場レインボー花火 2015
東京都・港区
12月5日
昨年、打ち上げられるまで台船の停泊位置が変わったことを知らず、かなり焦った経験をした。花火が出る位置が明確になってはじめて構図が決まるのだから、まず構図とか撮影場所とか以前に、今年の打ち上げ位置を確認することが初日の目的だ。
自宅を夕刻に出て現着は17時30分頃。目指したのはお台場海浜公園東側の砂浜のある海縁だ。この位置はもちろん知ってはいたが撮ったことはない。なぜなら2013以前の打ち上げ場所だと、レインボーブリッジを入れようとすると花火が左側に遠く離れすぎてしまい、横位置にしても絵にならなかったからだ。しかしもし昨年の場所に近ければうまく絵になると考えた。また前の場所に戻ったとしても今日は位置を知るための偵察行だから仕方ない。事前にマップで予想される昨年の台船の位置とブリッジの位置から撮影場所を割り出しての撮影位置決め。こうして構図は計算されているから、昨年のようにそもそも打ち上げ位置が違う、なんてことになると土台から崩れるようでうろたえるのだ。
このレインボー花火の打ち上げ船が所定位置に付くのは17時30分頃と遅い。対岸の芝浦埠頭からは一部始終が見えるが、お台場側に居ると鳥の島の陰になって見えない。そう思っていたが少し視点の高い場所に立つと、打ち上げ台船は見えないが、それを取り巻く何隻かの警備艇の点滅ライトが見えて、それで出所がその辺りであることが確信できた。
定刻になって星の放射打ちからスタートすると果たして予想通りの位置だった。10数メートルの誤差はあろうが2014年とほぼ同地点と見た。昨年移動したのは驚いたが、それで風向きにもよるけどまた新しい撮影場所が考えられるわけでそれが写真家としては楽しい。
今年も内容は変えてきて、サンタクロースやハートなどの型物やスパンコール系の煌びやかな星が多く、クリスマスに向けての構成だなと感じた。その昔、点滅星で型物を、というと花火屋さんには相手にしてもらえなかった経験があるが、いまやこうして点滅ハートの型物が普通にあるじゃないか。
そういえば、どこから操縦しているのかわからないけれど、屋形船群の上空をドローンが飛行していた。ここじゃ禁止じゃないのかな。夜間に飛んでいるのを見たのは初めてだからドローンまで500メートルは離れているはずだが、機体に搭載された赤や緑のLEDがもの凄く明るいのに驚いた。なるほど花火の中を飛ばれたら迷惑そうだ。
南西の風予報だったと思ったが、打ち始めてみると北風に近く、お台場エリアの西半分はモロ風下になった。私の居る東側のビーチエリアは直撃は免れたけれど弱い風に滞留する煙で冴えなかった。昨年の台船位置ならこれくらい、と目見当で撮影場所を決めたが煙が無ければまずまず絵になるかと思われた。ブリッジもさることながら台場側をチョイスする一番の理由は背後の夜景と前面の屋形船群だろう。前面海上に集まり来る屋形船の電飾はすっかりLED系に置き換わり、その明るさも強く色彩も美しい。海上を走るイルミネーションだ。
12月12日
撮影場所から |
首都高とゆりかもめの ループ軌道 |
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夕食は海鮮丼 at 湾岸食堂 |
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初日5日のレインボー花火に向かう途中のこと。ゆりかもめの車内から外を眺めながら突然閃いた。「ここが使えるのでは!」。そんなときは出来上がりのビジュアルがバンッと頭に浮かぶ。あとは実現性の検証と実際に撮るだけだ。検証についてはストリートビューでまずロケハンする。東京湾を取り巻く埠頭等は夜間は当然ながら日中も立ち入り禁止になっている場所が多く、かなり手前にゲートなどがあって海が見えるところまで入れないことも多い。良い例が日の出埠頭、芝浦埠頭、品川埠頭で、豊洲埠頭で、お台場やレインボーブリッジがせっかく良い眺めなのに、夕刻から先、海際に出られる場所はない。だから構図とともに閃いたのだけど使えるかどうかわからず、平日の仕事帰りにコンデジだけ持って下見をした。夜になると入れなかったり、打ち上げ間際に追い出されるのでは適わないから開催時間頃に行ってみた。海側にワンボックス車の屋根ほど高い防潮壁があり、壁越しだと背の高い三脚と脚立が必要なのかな。ここからループした高架道の間にブリッジと花火を入れる額縁的構図がゆりかもめ車内で閃いたのだった。写真家としては毎回決まった同じ場所から撮るばかりじゃなぁ。
ロケハンから楽勝で車で乗り付けて脇に三脚が立てられると見たが、やはりゆりかもめで来た。ロケハン時、間近で見るブリッジへのアプローチのループ道路は笑顔になるほど素敵な光景だった。ダイナミックで都会的でそそられる被写体だ。TOKYOって感じじゃないか。これを思いついたのも昨年、対岸、台場側のアプローチ道路越しに撮影した経験が役に立ったのかもしれない。
芝浦側で自由に立ち入れる海際の地点はブリッジの芝浦側橋脚の真下、港区立芝浦ふ頭公園しかない。ここは見通しはいいけれど動ける範囲に制約があるからブリッジと花火とのバランスが悪い。なにより主橋脚の真下だから、どうしてもブリッジがでかすぎる。しかも台場側の橋脚しか画面に入らない。思い切って花火だけの構図にしないと収まりが悪い。もう少し南側に回れればいい感じになるのだけれど、という要望をこの撮影場所は叶えてくれる。ブリッジも横側が良く見え、見栄えが良く、花火との相関関係も良くなる。ふ頭公園より南側に回り込むことで、花火の背景になるお台場の佇まいもいい具合にずれてくれるのだ。
初日で台船の位置が判明したからには、距離や方角から構図や花火の出る位置は予想ができるけれど、問題ははたして花火がどれくらいの高さまで上がって見えるか?だ。ふ頭公園より離れているからそこそこ高さが出て見えるはずと踏んでいたが、こればかりは出てみないと。で固唾を飲んで19時を待った。打ち上げまで1分くらいの間際でぞろぞろと一般客が集まってきたのにはふ頭公園と同じく驚いた。近くの屋内で待機していたのだろうか。
いざ放射打ちから単発が上がると、せいぜい二段になっている上側のゆりかもめ軌道上に盆の上半分がのぞくくらい、と思っていたのが予想を大きく良い方に裏切られて、上空手前のループ軌道に届くかと思うくらいまで高く咲くじゃないか。もうこの時点で予想通り計算通りの構図に加え、花火が高く咲くので頬が緩みっぱなしだった。頭の上をブリッジが渡っているふ頭公園より離れているからブリッジの大きさもいい感じ。
この日風は北東風で若干向かって右側で煙が浮いていたが、その部分はもう画面外だ。むしろ南風だと煙が花火とブリッジの間に漂ってしまうから美しくない。今夜は良い条件だ。背後の空に雲も無く、4〜5日前は雨予報だったのだからこの条件は素晴らしい。
この場所の構図上の最大のポイントは、花火とお台場の夜景の手前をゆりかもめ線と首都高速道路が横切っている、という点に尽きる。レインボー花火でとくにゆりかもめの車両がはっきり夜空に浮かんで花火の前を横切る場所は、自由に入れる所では他に思いつかない。写真上では車内の灯りが光の帯となって横切ることになるわけだが、実際に花火が炸裂する前を車両が通過する光景には興奮した。ゆりかもめはほぼ5分間隔でしかも上下線だから比較的頻繁に前を通過する。高速道の方は側壁が高いので普通乗用車のヘッドライトやテールライトは見えづらいが、大型のバスやトラック、重機など特殊車両は光の帯を残してくれる。
終了後は人気が無くなった後もしばらくこの素敵な光景を場所を変えながらしこたま撮影してから帰途に付いた。近くはコンビニも多いから便利だし、ちょっとよろしい食べ物屋「湾岸食堂」も発見できて収穫大であった。
余談だが、お台場海浜公園で陣取っている知り合いと電話で通話中、「ヒルトンホテルの前に居る・・」と撮影場所を言われて え??え???。お台場にヒルトンなんてあったっけ?それであとで調べると、なんとホテル日航東京がヒルトンお台場と名前を変えていたのだった。しかも今年の10月1日から、と真新しい。いや・・知らなかったわ。
12月19日
再びここだ。同じ場所ではなるべく撮らない、としているわけだが、そこで納得のいく作品が撮れるまでは同じ場所にこだわって撮る、ということでもある。今回はブリッジを入れての全景じゃなく、花火の出る部分だけ縦位置アップで狙うというのが目的。前回カメラ2台でそれをやれば良かったのだが、花火の高さが不明だったのでそこまでフル機材で来る気がしなかった。機材はまたカメラ1台でカメラザックという出で立ち。
ロケハン時に誰も居なかったからここでは写真愛好家の類は来ないかと思っていたら、前の12日もそして今日も多くはないが、入れ替わり立ち替わり写真を撮りにやってくる。ブリッジの夜景だけスマホで撮って帰る人も居れば、知り合いではないが花火込みでずっと一眼レフでスタンバる人も居る。
風向き予報は北西でやや強めの風。今回も芝浦や竹芝側がよろしかろうと判断。台場だと西のヒルトン側は風下というわけだがこの風なら煙の捌けもいいだろう。このところ暖冬と呼ばれるにふさわしい陽気だったが、木曜の晩あたりから本来の気温というか冷え込んで今日は風も強めで寒い。もちろんダウンの真冬仕様だ。それでも待ち時間にじっと立っているとフードを立てていても寒い。このイベントは強風であっけなく中止するからハラハラした。事実過去に強風で中止を食らっている。メイン会場の台場から離れているし、19時に予定通り花火が出るまで気が気じゃなかった。それで無事開催されたが、風は強めで花火が流されて行く感じだった。そうなると高さも削られる感じだから残念だ。構成は前回とまた変わり、今日はハートや雪ダルマなどの型物パートが長めだったかなー。全体にスパンコール系が多いのは統一されている。
予定通り縦位置のみでの撮り。今回は花火ではなくこの場所のループ高架道全景を撮りたくて、より広角のズームを1本増やして持ってきた。花火終了後はまた場所を変えながら気の済むまで撮影してから帰る。花火は19時から10分くらいだが帰途に着く頃には20時近くになっていた。次回はまたお台場にしたいが風向きが許すかどうか。
12月26日
風向きが南西と南入りの予報だったので、再びお台場に舞い戻る。天気は快晴でこれなら今夜の開催は大丈夫そう。現地には13時過ぎに着いたが、まずは夕方までシネマメディアージュで映画鑑賞。洋画の話題作、土曜の午後回だというのに私を入れて28人しか客が居なかった。
撮影場所はちょっと風にやられた初回と同じと決めていた。その初回はその場所に三脚を立てたのが18時近く。それでも私の両脇には1本の三脚も無い一番乗りだったのだが今日は様子が違っていて、映画館から現着するとまだ16時過ぎなのに、すでにたくさんの三脚が連なっていてびっくりだった。空いている場所に差したらそれで売り切れ状態。ちょうど隣が知り合いの写真家さんだったので開始まで歓談におつきあいいただいた。
待ち時間に他の台場側のポイントを見て回ったけれどあまり知り合いには遭遇しなかった。しかしデックスのテラス側とかズラリズラリと三脚が建ち並んでいて壮観。聞くところによると午前中や昼過ぎには三脚を立てるめぼしい定番ポイントは埋まっていたとのこと。いやはや。デックスのポイントから撮ると、背後の夜景に、目の前のイルミにクリスマスツリーに屋形船、レインボーブリッジ、観客と満漢全席状態の要素が花火以上に写り込むので私としては遠慮したい。
さすがに12月も終わりに近いと、待ち時間は充分に冷えた。定刻に花火がスタートすればやはり南西の風か、花火の煙がちょうどレインボーブリッジの2本の主橋脚の間の上空を抜けていく感じ。言ってしまえばブリッジがケムケムだぁ。それでも予報より風力があったので煙の捌けは良好。
12月もクリスマスを過ぎていることもあるのか、18時を過ぎても前面海上の屋形船の集まりが悪く、今夜は寂しい全景になるかもと覚悟していた。もう忘年会の時期も過ぎているし致し方ない。しかしながら開始直前30分くらいの間に急に船が増え始めて、初回に劣らないくらいの光の賑やかな海上になった。
終了後は少しブリッジとか夜景を撮ってから帰る。さすがに台場側に居ると、ゆりかもめは2〜3本待たないと乗車できないくらいの混雑だった。コンディションに恵まれて今年のレインボー花火は4回の皆勤賞を達成。
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