花火野郎の観覧日記2016

観覧日記その17 8/14
第14回 男鹿日本海花火

  
秋田県・男鹿市


男鹿駅

駅を出てすぐの右脇になまはげ様の像

お席位置の案内板(指定席ではない)

運動場内入場待ちの列。
先頭から30メートルくらいは屋根付き。

フードエリア。かなりの出店です。好天。

海沿いの工場と寒風山
(展望台などから撮影組在り)

北側海沿いの主力花火群

北側に延びる防波堤上の
7号〜10号筒(推定)

南側向かって右の花火設置
(会場内から見える)

海上斜め打ち出し

  

  

  

  

  
   
 過去に2度計画して2度とも頓挫。それは天候が悪くなったか、遠征費が底を突いたか多分そんな理由だ。3度目の正直でようやく初観覧を果たせた。
 13時過ぎに男鹿駅に降り立つ。遠くまで来てしまったなぁ、と感慨深い。自宅から新幹線込みの電車だけで4時間半の道のり。駅前には「なまはげの里」へようこそ、となまはげの像がお出迎え。
 会場のOGAマリンパークには狭い跨線橋を越えて反対東側に向かう。駅の近くに観光協会の案内所があり、プログラムでもと思ったら、入場に必要な協賛チケットをそこでも売っていたので早々に買っておく。プログラム誌も付いて来た。ここで買わなくてもメインゲート直前にも販売テントがある。
 会場までは徒歩5分もかからない。メインゲートでチケットを渡して入場。ストリートビューで予習していたけれど、芝生に覆われた快適な公園は見事に日陰の無い会場だった。入って直ぐの本部脇に会場案内図があり観覧区画を示しているが、協賛券は指定席ではなく好きな区画に陣取る。
 海に近い(花火に近いと思われる)背の高い柵で囲われたエリアはサッカー場だかグラウンドになっていて手入れされた芝生を守るために15時まで入場できない。車椅子などのためのハートフル席もこの中。既に入場待ちの列が50メートルほど出来ていたので荷物を置いて順番に加わる。初めてなので事前の常総きぬ川花火大会の時に観覧経験者に様子を聞いておいた。撮影場所についても2〜3候補地を教えてもらったのだけれど、そのうちひとつが前方グラウンドエリアの中だった。行列は先頭から少しの間は日陰の屋根が在るのだけれど、私の位置ではもう炎天下。荷物だけ置いて少ない樹木の下の木陰を探して避難する。
 それから会場内をくまなくロケハン。少しうろついては木陰で休みの繰り返しだ。この大会で一番悩んだのは、事前に「花火の正確な設置場所がわからない」ということだ。入り口に在る案内図は方位と距離が略図になっているから、花火のだいたいの方向の絵は描かれているもののほとんどイメージ図。これだけでは正確な設置場所や方向がわからない。つまり撮影場所を決めようがない。幸い一部の花火筒は会場から見える少し小高いところに置いてあったのだけれど、それ以外はどこにどう並べられているか見える場所がなかった。事前に公式ページの写真コンテストの絵柄を見て、設置位置の予測を立てたのだけれど確信が持てない。現地で実証しなければ。
 前方エリアの開場待ちに参加はしたにもかかわらず、ロケハンしているうちに早々に、会場の一角で「ここって、いいんじゃない、かも」と撮影場所がひらめく。それは予測と現地情報から導かれる花火野郎の長年の直感てやつなんだけど、まずは三脚その1を立てておく。前方エリアも後で入ってから比較すればいい。会場の海側に寄ると、ある位置から先は安全距離に入るのかロープが張られ立ち入り禁止になっている。
 やがて15時近くになり、開場待ちの列に戻って場所取り参戦。先頭がシートを持って走り込むおなじみの光景。私も直に入場してあらかじめ囲いの外から目星をつけていた2〜3のポイントを手早くチェックしながら候補地に三脚その2を置く。そこに知り合いの愛好家氏も加わりだいたい似たような位置を確保できた。さて二つのうちどちらにするかはじっくり決めればいいかな。チェックといっても予測を元にした構図ではあるけど。
 マリンパークに隣接する材木置き場が午後半ばから大きな日陰を作るので多くの客がそこに避難。日陰は涼しくて快適。待ち時間に私は北側の海縁に出て寒風山と海沿いの工場の建物の写真なんか撮っていた。他の客も居たのでそのまま海縁を写真を撮りながら移動して行くと、大量の花火筒が一望できる一角に出た。ヤバ・・いつのまにか安全距離の中じゃん・・・。なんか間違ったとこ入っちゃいました、的なノリだが、偶然とはいえ千載一遇のチャンス。そこはちょうど北側の打上げ場所に続いていたのだ。北側の海に延びる防波堤には7号から10号の筒がずらりと並び、この海岸縁にはおそらくこの日のプログラムのほとんどの花火筒が並んでいるだろうと見て取れた。それくらいみっちりの物量だった。これでメインの打ち上げ場所は北側海岸縁と防波堤である事が判り、北側で200メートル幅と南側で200メートル幅が中央で接し直角に折れた「くの字型」に花火が置かれていることが判った。そして会場内から見える南側の小高い位置に並んでいるのはごく一部の打ち上げ列と判断した。もともとこの南側は会場内からその何カ所かを双眼鏡でアップで見ると小型煙火や小さめの筒しか見えなかったし、それぞれの物量はごく少なめだったからだ。
 ようやく会場の佇まいと打上げ場所の位置と規模、方角など全てが把握できた。あらかじめグーグルマップからプリントした会場のMAPに筒の位置や会場内の事物を書き込んで観覧場所を割り出す(右MAP参照・拡大あり、打ち上げ場所の一部は見ることができないので想像含む)。そうそう風向きも重要だ。予報では北から北北東の風だった。しかしこの日東北の太平洋側を台風が通り過ぎつつあったので、そこに引き込まれて若干西成分が入るのでは?と読んだ。午後の風は北方向で、くの字に折れた打上げ場所では、メインとなる北側は風下になってしまう。この大会で全てが順風になるには完全な西風でなければならないが、それは見込めなさそう。しかし初めての場所では正攻法という私のセオリー通り、メイン会場のどこかで見る事を決めていた。直感で決めた観覧位置は打ち上げ列に正対していたが立ち位置を細かく微調整した。夕刻になって風は西成分の入った北北西くらいになった。私は間合いがより近く、より風下傾向の前方グラウンド内の三脚を回収。最初に決めた撮影場所にすることにした。迫力は出ても曲導が斜め打ちになるほどの接近戦にはなりたくなかった。そして脱出が速そうなことも考慮した。椅子兼踏み台を持ってきたので、三脚は目一杯高く設営。
 結果としては、10号などの出る位置、や北側防波堤からのワイドスターマインなどのバランスからまずまずの場所ではなかったかと思った。最終の400メートルワイドにしても広角は使っているものの、画面が歪むほどの超接近戦でもないので自然ではなかったかと。
 打ち上げが始まると、案の定北側海岸縁がメインで、2箇所、3箇所、5箇所などワイドのスターマイン打ち上げも全てそこだった。少し斜め方向から見る位置なのでそこに7〜10号打ちが加わってもそれらが全て縦位置で収まった。とはいえ10号まで400メートルほどの間合いだがそれが入ると縦で24ミリという引きは取っていてもかなり近場で観覧しているのは間違いなかった。
 カメラは2台。縦位置はズームで24ミリ固定。もう1台は横で約20ミリくらいの固定。そうこれほどの遠征地はもう何度も来れないかもしれない、とカメラがもう一台あれば、〜ミリレンズがあれば、と後悔しないように三脚も2本のフル装備だ。広角はよく見かける男鹿のワイドの打ちに備えたものだが、それは結局プログラムの最後から2番目の400メートルワイドの一度きり。それまで南側の打ち上げ場所は何をしているかというと、左北側に合わせて、小型煙火などを打ったりするのがメインで、他にはミュージカルスターマインと称してワイドで星打ちと小玉を少々。
 近くには露天商が立ち並んでいたので観覧中絶えず何かの食べ物の脂臭い匂いが充満していた。そこからの油煙が来る事を警戒していた事が幸いした。油汚れは来なかったが、そのかわりたくさんの露天商が並ぶエリアだけに、買い物客が行き来するそこからは大量の土ぼこりが舞い上がりそれが降り注いでいたのだ。打上げ開始後早くそれに気がついて良かった。レンズ面は土ぼこりが相当付着して白っぽくなっていたがクリーニングペーパーで吹けば落ちる程度。しかしブロアーで吹き飛ばすのは無理だった。1/3くらい進んでそれに気がついてからは以降、プログラムがひとつ終わるたびにレンズ面をクリーニングすることになった。カメラボディやレンズの外側、三脚などは土ぼこりで真っ白になっていたがそこは構っていられない。風は北西方向で地上近くはけっこう煙を流していたが、大玉開花域はゆっくり目の流れで滞留して見えづらい時間もあった。
 花火内容はさすがに北日本花火興業が全てを仕切る打ち上げだけあって、花火も打ち方も多彩で全編に行き届いた内容だった。それが毎度のことなのか判断できないが今回はミュージカル仕立てで、演劇や映画の音楽とともにドラマチックに花火が演出されていて、楽曲とともに楽しむ事が出来た。変わったところでは北側の海縁から海に向かって斜めに打ち出す水上開花仕掛けが盛り込まれていた。
 全てのプログラムが終わると、実は「アンコール花火」というのが恒例で用意されているとアナウンスされた。私の周りではそんなことに構う事無く、プログラムの2つ3つ前からどんどん客が帰って行くのだった。私も後で駅でどうなるか知っていたら、アンコール花火などにつきあわずにさっさと駅に向かっていただろう。しかしそこは初観覧なのでとことん見てしまう。それは多分にちょっとのおまけの花火だった。21時10分頃終了。
 真っ白に汚れたカメラも三脚もそのままに、急いで片付けて駅に向かうと、花火後に発車する最初の電車まで20分以上あり楽勝で乗れると考えたら駄目だった。駅前は折り返しの入場規正にはなっていたが、列も順調に進んでいたのに、あと少しというところで予定の電車が駅員曰く「もう満員になりましたので乗れません」と入場そのものを打ち切られてしまった。いやいや東京都内の通勤電車からすれば「緩っ緩じゃないか」という程度の混み具合だがそれはゆるゆるの乗車のまま発車して、望まない次の臨時列車にさせられてしまった。次と行っても35分後。その後は終電。必要十分なのか花火後は都合3本しか無い。
 秋田まで戻る予定が大幅に遅くなってしまったので、ホテルにチェックインが遅れる旨の電話をしておく。やれやれ駅員の手際がよろしくない。その男鹿線も遅れてホテルインは23時30分になっていた。

    

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