花火野郎の観覧日記2016

観覧日記その3 4/2
嵐山さくらまつり花火大会

  
埼玉県・比企郡嵐山町


  

  

  

   
 ナビの行き先をイベント指定の臨時駐車場のひとつに設定して出発。現地までは1時間足らずだが、走り始めて20分もしないうちに猛烈に睡魔に襲われてコンビニの駐車場を借りて仮眠。
 その後は順調に走って都幾川縁にある駐車場に昼過ぎに到着。入口でスタッフから花火大会プログラム紙を手渡された。そこから川沿いに2キロメートルも続く桜並木までは直ぐだ。三脚と記録用にカメラを持ってさっそくロケハン。嵐山町に来るのは初めてではないが、このイベントの花火大会は初観覧だ。昨年は同日に渡良瀬でバルーンイリュージョン&花火2015があり、そちらに出かけた。今年はそのバルーンイベントは次の土曜に開催される。
 花火当日までに咲きそろうかどうかと心配された桜も最高で7分咲きくらいまで進んでいた。せっかく桜が咲いているのに心が浮き立つこともないのは天気のせいか。いつ降りだしてもおかしくないくらいの重い曇天。陽射しのない光景は寂しい限りで、桜並木も菜の花畑も写欲をそそらない。花冷えと予報されたとおり確かに肌寒い。それでもロケハンで歩き回るとひと汗かいた。風向き予報は東風で現地もだいたい同じ風向き。事前にストリートビューでロケハンし、候補地を大まかに決めていたが、現地での閃きも重要だ。車を置いた学校橋から祭り大会本部を過ぎて上流側の二瀬橋まで桜並木のほぼ中間くらいまでざっと歩く。本部付近は露天商が軒を連ねて賑わっている。あちこちで早くも花見の場所取りを済ませた客が堤や河川敷に陣取っている。駐車場近くの河川敷にはテントやキャンピングカーも多かった。
 ただ並木を眺めて歩いたわけではなく、その根本や幹をに注目。幹にかかるぼんぼりや根本にあるライトアップ用の電球の配置を確認する。ぼんぼりは二つの橋の間1キロメートルくらいに掛けられていたが、全ての桜の木の下にライトが置かれているわけではなかった。いちばん多くライトがあったのは下流の学校橋近くでほんの50メートルくらいの狭い範囲。あとは大会本部やステージ付近のみ。厳しいな。と思った。花火との間に桜並木を挟み前景としたいのだけれど、河川敷に灌木があって見通しが悪かったり、中央付近では大会本部や仮設ステージ、露天商が並木を隠していたりで、ポイントは限られる。こういうのは現地に来ないとわからないことだ。
 会場から花火の設置は見えないが、位置は見取り図などで嵐山町総合運動公園内と判っていた。二瀬橋を渡り対岸からの構図をロケハン。この二瀬橋から上流側で都幾川と槻川が合流して都幾川となっている。右手槻川を西に1キロメートル少し入ったところが埼玉県を代表する景勝地のひとつ、「嵐山渓谷」。
 対岸は蝶の里公園という場所の一角らしい。森の中に木のチップを敷き詰めた真新しい散策路がいい感じだった。川沿いにくまなく行ったり来たり、河川敷に下りたりして構図を探す。桜並木から距離を取って花火の高さを稼ぎたい。プログラムを見れば記載されている10号玉は10発。あとは4号と5号単発とスターマイン。桜の上に高く聳えるような構図を考える。だいたいイメージ通りの絵になる辺りで三脚を置く。そこからの桜並木はもうほとんどぼんぼりしか灯りが望めない場所で桜を抽出するのは厳しいかも、と思った。タブレットで距離を測ると桜並木まで150〜200メートル。花火までだと750メートルちょっと。思ったより遠い。
 三脚を置いた場所は花火が終わるまで車を出せない場所だったが、さすがに当初の駐車場所から遠すぎるのでいったん戻って車を三脚の近くまで運ぶ。車に戻る前に学校橋側の対岸も押さえでロケハンしておく。そこからだと狭い範囲にライトアップされた桜が入りそうだったが、その桜の咲き具合が芳しくないのと花火まで1,200メートル以上と遠くなるのでまたの機会にしようか。
 徒歩で駐車場まで戻って再び三脚の近くまで車ごと移動する間に、知り合いではないが両隣に三脚が増えていた。あとは4時間近く待機。その間にも数人の写真愛好家がやってきた。近くには見事な一本桜や季節の花も一杯だが薄日すらもささない曇天では写真を撮る気にもならない。
 観覧場所からは対岸のアナウンスがよく聞こえたので進行を見失う事はなかった。協賛者名とメッセージ付きであればそれを読み上げながら進む。上がってみると思ったより右方向だった。最初の10号単発が上がるまで構図をFIXできないが、間合いから想定される画角は予定通りだった。しかし予報と全く違って風向きは西南西くらいと東予報の真逆。私の位置からは若干左側で手前に煙が流れ込んでいるが横流れ。またの機会にと見送った下流側から見ていたとすればモロ風下になっていたかも。その点は良かったし、花火の高さもレンズの画角も予想通り。想定を遙かに外したのはやはり桜が浮かび上がらないこと。ぼんぼりの灯りだけではまったく足りなかった。根本にも弱いライトアップが施されていたようだが花びらのひとひらも浮かび上がらせるパワーが無かった。並木の南側は一面の田畑。北側は都幾川と森というわけで人工光のほとんど無いロケーション。だから僅かな光でも照らし出されるかと思ったがぜんぜん。
 自宅近くの桜の名所「権現堂堤」では、大がかりなライトアップもあるが、幹に渡されたぼんぼりの灯りだけでも桜花が浮かび上がるんだけどなぁ。もっとも並木が幾重にもなって密度の高い権現堂ではぼんぼりの数も桁違いに多いのだから比較はできない。灯りの配置と量を見てもこの嵐山の桜並木は夜桜を楽しんでもらう、ということは目的ではないのだろう。
 桜に近づいて撮っているであろう写真愛好家が花火の合間にしきりにLEDライトを桜に当てているのがわかった。自家ライトアップというわけだ。昨今は強力なLEDライトの普及で前景や点景を撮影位置から光を当てて露光するというのが、花火でも普通のテクニックになっている。結果が「自然に」見えればそれもありかもしれない。これは星夜写真など天体系でも使うテクニックだ。普通は木立を入れて星夜写真を撮っても木立はシルエットになって殺風景なので、露光中にまんべんなくライトを当てて浮かび上がらせ、星空とともに夜の風景写真として撮る方法だ。
 残念ながら私の居た場所はライトの光が届かない距離。カメラザックに携帯してるものだけでなく車に積んであるLEDライトも持ち出したが光量というか射程距離が足りない。足りたとしても、両サイドに別の撮影者が居ては私の都合だけでそれをやるのははばかられる。自分一人が撮っている場所ならいいが、他の撮影者にとっては騒光、光害に過ぎずいい迷惑だろう。
 あとは多めに露光しておくくらいか。しかし花火の背景も曇天だから空が明るくなってしまうな。眼下に都幾川の流れが少し入るのでそれも花火が写り込めば多少露光されるだろう。斜め背後に公園の何かの施設があってそこの常夜灯が少し河川敷を照らし出していたから多少はデイテールが出るかも。
 プログラムを見たときはびっくりした。3ページに渡って119番まである演目はこの時期のイベント花火にしては1時間20分もの開催時間になっていた。大長編劇だなぁ。当初10号は単発と記載されている10発だけかと思っていたが、ラストといくつかのジャンボスターマインと記載されるプログラムは10号入りだった。都合20発あまりの10号が入っていたかと思う。まだ花火大会としては第4回と歴史は浅い。しかし開幕の挨拶ではこれからも発展しながら継続していきたいと抱負を述べていた。
 単発打ちが主体なせいか、順調に打ち上げが進み予定時間より10分くらい早めに終了。片づけている間に交通規制解除の20時になったところで車を出す。帰り客が道一杯に拡がって歩いている中を慎重に車を操って主要道路に出る。
 

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