花火野郎の観覧日記2017

観覧日記その3 4/15
第6回 いせはら芸術花火大会

  
神奈川県・伊勢原市


撮影場所から

市民協賛花火

クリスタルフラワー
スターマイン

メロディ花火

メロディ花火

メロディ花火

メロディ花火

メロディ花火

メロディ花火

 
   
 

メロディ花火(近くに音源がないのと、JASRAC的な著作権の都合上音はついていません)
   
 伊勢原市北口駅前のバス乗り場は大行列だった。いつもの大山ロープウェイ乗り場行きの混雑は変わらないが、一昨年来たときにガラガラだった「日向薬師行」乗り場が長蛇の列。バスが来ても積み残すほどだった。この日伊勢原市の寺院・「日向山宝城坊日向薬師」では毎4月15日開催の春期例大祭が催され、本尊が開帳されるとのこと。その参詣に向かう客らしい。今年はたまたま花火と開催日が重なった格好。
 私が乗るバスは日向薬師とは系統が違ってガラガラだった。一昨年に使った撮影ポイントに向かった。昨2016年はこの大会が休止になり、中一年でふたたびそこで撮影しようとしたが、そううまくいかなかった。
 2015の時も撮影場所辺りはそこら中でブルドーザーなどの重機が跋扈して造成中なのか土がむき出しになっているところが多かった。だから次回使えるかどうかわからないと観覧記に書いている。果たして2年経過するうちにそこは激変していた。工事の看板を見たり地元の住人に話を伺うことで何の工事かあきらかになった。宅地造成かと思ったら、第2東名高速道路、伊勢原北ICの新設工事。同時にその予定地一帯はなんらかの遺跡が在るらしく、工事に先駆けて発掘調査も大規模広範囲に行われているのだった。遺跡の調査が終わらないと着工できないから、つまり工期はかなり長いのだと思われる。この2年の間にも道路の敷設予定地にあった送電線の鉄塔をまるまる撤去し別の場所に新設して、送電経路そのものを変更するという大規模工事が終わっていた。またインターへ直結する高架道路を敷設するための高架柱もいくつも工事中だ。
 おととし使った辺りは、従来在った道路が消滅して新しい道路が上書きするように敷き直されるという変貌ぶり。グーグルアースで見ると空撮は最新の物になっているが、地形地図とストリートビューは旧いままだ。やがて料金所への流入路なりさらに増設されるのだろう。以前とまったく同じ撮影場所は足下から無くなっていてそれより視点の低い場所がかろうじて使えそうだった。さてどうするかと総合運動公園の方を見ると前方に視界が拓けていそうなポイントを見つけた。確認しに行って見るとそこは以前ロケハンした場所だったのだが、従来の細い道路が完全に無くなって新しく幅広い道路が敷設されていた。それにともない以前は狭かった総合公園方面の視界が大々的に広く拓けていたのだ。針の穴を通すような視界が三脚で2〜30本は楽勝というポイントに変貌していた。そしてそのままそこを撮影場所に決めた。足下は舗装されているし一昨年より約500メートル打ち上げ会場に近づき、間合いは約1.5キロメートル前後だった。地元の人によればこの日選んだ撮影場所の直ぐ脇が2年ほどのうちにインターの料金所になるというから、完成したら撮影には使えないほど交通量が増えるだろうか?
 場外から狙いたいのは、縦位置構図で撮り、花火の高さを出したいからだ。数少ない8号の高さを出すため、打ち上げ場所を高い位置にしたりで現場のセッティングには苦労して盆の半分は出ている。それでも至近で見上げの位置ではどうしても手前弾幕に大玉が埋没気味。それとメイン会場内では、カメラシューティングエリアが限られて(位置が固定)いるから、つまりそこにいる何十名もの写真愛好家がほとんど全て同じ画角で同じタイミングで同じ絵を撮るわけで、カメラが優秀な現在、どこで作品の差別化が出来ようか。
 現着は路線バスの運行時刻の関係で無駄に早い11時。8時間待ちか。しかし途中で知り合いの愛好家氏3名ほどが同じ場所に来たおかげで長らく歓談の時間を過ごすことができた。
 週初めより暖かくなって一日ほぼ晴れ。午後は各地で雷雨と大気状態が不安定な予報だったが、花火の時間まで伊勢原市現地は崩れる事無く過ぎた。日中の風はやや強めだが一日中猛烈な風が吹き荒れて、花火の開催そのものが危ぶまれた前回ほどではない。その時マイカーでくれば良かったなぁと痛感したから今回は、と思ったけれどこの辺り、厚木とか伊勢原とかは、マイカーだととてもお金のかかる場所。全部下道ならともかく、高価な圏央道が入るので小田急線で来る何倍も交通費がかかるのだ。JRと小田急とバスの往復交通費が車では片道分にもならない。
 開始の19時が近づくと4人しか居なかった観覧場所には、次々に見物の車が乗り付けて賑やかになった。この場所に気が付いた時は撮影では誰も来ないだろうと思っていたのだが地元の人はよくご存じなのだと思った。
 愛好家氏の一人がラジオをONにすると、前回はサッカーの中継ばかりだったジェイコムの実況放送は、会場で聴くのとおそらく変わらない内容で行われたので進行がよくわかった。私はその時のサッカー優先の実況に懲りたので今回はラジオは持ってこなかった。
 風は終日南西から西南西方向で、ほぼ花火の後方に煙が流れてクリアなコンディションだ。電車とバスと徒歩が多めなので機材は絞ってカメラ1台、三脚も1本きり。今回もコンデジで動画を録った。花火の背後の空はモロ厚木市中心部なのでけっこう明るく浮かび上がる。露光多めにすると周りの地上部のディテールより夜空の方が明るくなるから注意。運動公園で観ると横位置広角が基本の構図になるが、離れると打ち上げ幅は無く縦展開。だから縦位置構図になる。
 一番のみどころのメロディ花火ではスタジオジブリのとなりのトトロの曲に合わせて、そのトトロの型物が打ち出されたが、小トトロやドングリの型物フォルムが見事に決まっていた。ハーモニー花火とマリオは花火的には意味がわからなかった。特製8号玉も最高が八重芯とここも控えめだ。
 メロディは約3分間なのだが、この中でもまたプログラム全体でも小型煙火が多用されている。これは点火したら打ち終わるまでなりゆきまかせ、という商品の性格上、時間のコントロールができない。途中で始めるのも途中で止めるのも不可。だから緻密な点火プログラムの中では一番融通が効かないものだ。そしてどの種類も地味に打ち終わりまで長いのでそれが流れを乱しているなぁとは思った。
 花火は正味40分くらいだろうか。有料席の一般客がどれほど有料で見るに値すると満足したかどうかは判らないが、私が見たところ減ったといわれた一昨年よりさらに物量は厳しくなっていると感じた。ひとつひとつのプログラムもあっという間に打ち終わるくらいだ。それでも磯谷煙火の花火玉の品質が落ちることはないが、ボリュームの低下は否めない。そんな数の制約の中で万華鏡や光の宝石、クリスタルフラワーを筆頭に同煙火店の持ち玉ラインナップをひととおり網羅している全体構成は素晴らしい。関東圏でまとまった同煙火店の花火を見られるのだから愛好家としてはありがたいことだが、一般客が同じくらいありがたいと思っているかは不明。新しい至近の有料観覧場所も設けたが運営費が地元企業や商店、個人からの協賛金、募金、有料席収入とこれだけで賄われているのはなかなか厳しいと思う。せめて市なり商工会なり、観光協会なりがまとまった助成金を出してくれればもう少し花火内容が物量的に充実すると思うだけに。
 帰りは便の多いバスルートまで1.5キロメートルほど歩き、そこから伊勢原駅行きのバスに乗車、21時前くらいに伊勢原駅着。そこから自宅まではまだ長く、帰宅は午前0時。長い一日だった。
 この一日、現地でもう終わったと思っていた花粉を思い切り無防備で浴びて、眼がかゆくて真っ赤だった。


    

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