花火野郎の観覧日記2017

観覧日記その4 4/28
第16回 国際花火シンポジウム 
大曲の花火〜春の章〜「世界の花火 日本の花火」

  
秋田県・大仙市

 
 秋田行。日本では2005年来12年ぶりの国際花火シンポジウムが開催され、それに伴う花火打ち上げを観覧。同シンポジウムは今回で16回目を数える。会期が全て平日のため、金曜と土曜の2日間だけの取材だ。前回日本で開催され参加したのは滋賀県大津市での第8回大会の時だ。私はこの時やはり終盤の2日間だけ取材と観覧を果たしている。
 専門的、学術的なシンポジウムは参加や聴講には有料チケットが必要で、今回は6日通し券が57,000円と、2005年に75,000円だったのに比べると安くなっている。よりどり2日間だけなら20,000円というチケットもある。そもそも花火を観る、撮る、録るのが趣味という程度の愛好家には、新しい技術や知識を公開して世界的に花火に関わる全てを進歩させようというシンポジウム部分は縁遠い。花火製造、打ち上げやその流通、研究、演出を生業としている専門家でなくてはほとんどお呼びじゃない。普通の愛好家には各国から集まった出席者のための花火打ち上げを観るのが楽しみどころというところか。
 最終29日はシンポジウムとトレードショーの予定はなく、参加者のためのオプショナルツアー(最終日は打ち上げ現場見学や花火工場見学など)以外は夜の花火打ち上げだけだ。
 28日は大宮駅を午前7時前に乗り込み、大曲着は午前9時45分。トレードショーはこの日の正午までなので、撮影機材を駅のコインロッカーに詰め込んで急いでタクシーで交流センターへ。最終日ともなると、もう商談や見学のヤマは過ぎていて人だかりも少ない中でゆっくり見学できた。午後はブースの撤収日に当てられており、28日午前中が最期の閲覧となる。
 会場となる大曲市民会館や交流センター付近では、道路に大分桜の花びらが落ちていたが花はけっこう残っていて、桜の写真を撮る外国人参加者も多かった。この日は晴れていたが少し風が冷たい日だった。
 駅に戻り機材を取り出す。居合わせた愛好家氏達と歓談後コミュニティバスでメイン会場付近へ。風向き予報から対岸にしようかとも考えたが、一度はメインから観てみないと、というわけで有料席観覧。この日の花火観覧チケットは当日現地販売なのでゲートのテントで開門待ちして17時から入場。椅子席の有料チケット購入後、夏はC席やカメラマン席が設けられる堤防のり面に陣取る(エリア内で場所は自由)。そこが撮影、録画のためのエリアになる。
 開始待ちの間にここでシンポジウムに参加している15年来のドイツの友人と初めて直接会うことができて感動した。
 携行機材を少なくするため使用するカメラは1台だけで、持参した三脚も1本だけ。今回もコンデジで動画(10号割物中心)をテキトーに録っている。
 19時スタートだが、地元業者によるオープニンスターマインが終わるまではまだ空が少し明るい時間だ。途中から煙が面と向かって流れる風向きになり、直撃はしなかったものの、立ちこめる煙に有料椅子席入口付近の付けっぱなしの投光器の灯りが反射して視界が真っ白になる時間もあった。
 日本勢の打ち上げからは、外国の花火/シンポジウム関係者を前に「下手なものは見せられない」という気概を感じた。採算度外視とまではいわないが、レベルの高い出来の玉で揃えてたという感じだったし、10号割物単発もいずれも良い開花だった。世界の花火勢は、とにかくマイン、コメット、トラ類、小型煙火と星打ちがやたらに多く、発煙も凄く、打ち上げ空間の下の方は分厚い煙の塊が居座り続けた。その煙の塊の中にさらにこれでもかと星打ちを猛烈な数とスピードで繰り返すものだから何も見えない場面が多かった。それというのもワイドスターマインプログラムでは日本の花火の時だけ、センターに10号打ちが入っているが外国勢はそれが無い分物量で勝負という傾向になったせいもあるのではないかと思う。
 日本の花火では設置位置の関係で10号ラインは一番奥の堤防道路際で、それよりずっと前のメインの打ち上げラインからは距離がある。そのことで手前で4号5号を打ってしまうと、10号と開花位置が接近してやや埋没気味なのがバランス的に少々勿体ない気がした。
 現在の日本の花火打ち上げ技術では、外国勢と交互に披露しても、多彩な打ち方においてはいずれもひけを取らない。それは日本が諸外国並みにコンピュータ点火器に習熟し、それを駆使するようになったからだ。前回の日本でのシンポジウム当時では、ショー的な打ち上げ技術は外国勢が一歩秀でていたが、海外の最新の演出や打ち上げ方法、またそれに伴う特殊な打ち上げ筒などの機器やセッティング方法が充実した現在の日本では、日本製の高品質な花火玉や複雑な変色星を使って構成できる分、全体の完成度は海外に比して相当高いといえるだろう。
 特にトラ打ち、星打ちでの難易度の高いセッティングは海外のそれを凌駕している業者もあり、スピーディで音楽によく乗っているがどこか単調な海外のそれに比べると、複雑な曲打ちが、二重三重に織りなされ、寄せては返す様は唖然とするくらいの密度だ。
 ラストには紅屋青木煙火製の20号玉「八重芯錦大冠」が放たれて見事に開花しこの日の打ち上げを無事終了した。残念ながら20号筒までは有料エリア中心から約8〜900メートルとたっぷり目な安全距離。やや遠かった。20号の迫力が外国のお客に伝わったかどうか。
 夏の大会のような大曲駅頭の混雑も方面別乗車も迂回乗車もなく、普通に構内に入って乗れた。宿泊地は各停で片道970円。50分離れた秋田駅近く。半年とかずいぶん前に宿を取ったのだけれど、とうとう事前のキャンセル放出まで大曲駅近辺の宿は取れなかった。そもそもシンポジウム出席者を優先に割り振ればほとんど余裕がないと思う。主に花火だけを観覧という贅沢な身分だからそれも致し方ない。秋田の宿も、2017に入ってから当初の半額のホテルが出たので予約を取り直したもの。連泊だから少しでも安い方が良い。わけで。
    

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