花火野郎の観覧日記2018

観覧日記19 8/18
第28回 赤川花火大会

  
山形県・鶴岡市

 今年も車で。走行距離が長いのでプチ贅沢で前日入りする。途中月山あたりはワイパー全開の土砂降りで、気温も17度と低かった。現着は14時頃。到着後すぐ給油を澄ませ、ホテルチェックインが15時なので会場の下観に行く。会場ではボランティアスタッフだろうか、有料席でパレットにシートを貼る作業の最中だった。夏雲と晴天が広がり今年も来られて良かったと思った。
 赤川で風向きを気にしない愛好家は居ないだろう。私も前日から新しい予報が発表されるたびにチェックした。しかし花火開始時で、北東、そして弱い東に変わる予報は揺るがなかった。結局、風に翻弄された花火当日となった
 ホテルで朝食、チェックアウト後、早めに会場入り。以降メイン会場側の撮影予定地近くで永い一日を過ごす。空は晴れ渡り日中は北西の良風で絶好の日和だった。
 会場を見回して真っ先に気がついたのは目隠しの壁が無くなったこと。客席を有料エリアと無料とをきっちり分けたのは良かった。なに昨年までも分かれていたのだが、無料エリアの客も有料区画を通って移動できたことで、有料区画の後ろで見物観客の滞留が生じ、それで打ち上げが中断するというトラブルがあった。
 今回は区画への入場導線そのものを分離し、有料エリア内は有料の客だけ、という風にした。このことで有料エリアの後ろでの一般客の見物がなくなり、それが生じないなら有料エリア背後の目隠し用の幕を設ける必要がなくなり、有料エリアはすっきり見通しが良くなった(写真参照)。有料カメラ席は有料観覧席の後ろの堤防道路上にあるので、この目隠し用の壁が前景としてはけっこう邪魔だったのだ。お席に目隠しがネットが無くなったかわりに三川橋の欄干の打ち上げ側には全て目隠しが施されていた。
 当初はメイン側で撮影、観覧と考えていて、そのようにスタンバっていた。逆風でも風速予報が1メートル程度。これでは物量の赤川としては煙が滞留するばかりで、それなら会場の様子が撮れるメインかとそう考えて。
 そして過去一番か二番かを競うほどの、開始直前の場所移動だった。もうそのままメインで撮ればいいじゃないか、とも何度も考えた。しかしそれでも予報から、過去の向かい風で写真全損の悪夢から逃れたいと思ったのだ。写真家として自分の腕じゃなくて1枚もまともに撮れないというのは堪え難い。
 しかし表から裏という大移動。距離的には2.3キロメートルくらいで普通に歩けば15分くらいなのだけれど、なにせもう18時を回っていた。三川橋を渡る観覧客も多いからすんなり行けるかどうか。裏については、天気予報から裏もアリかとこの日の早朝5時30分に車を乗り付けて用意周到に場所取りしてあった。そんな時刻でも裏には何台か車が停まり何人か場所取りしていた。しかしそれから一度も点検してないからその場所取りが活きているか不安。だから駄目だったらまたメインに戻るにはギリギリの時刻。
 裏に回ると風向き予報からか多くの花火写真愛好家が既に三脚を連ねていた。幸いに場所取りは活きていてそのまま三脚建立。この移動で大汗かいて、それがその後影響した。
 この晩は冷えたのだ。実況FMラジオでは気温が18度とか言っていたが、体感ではもっと冷えた。日中は現場の花火業者は作業がやりやすかったというくらい。そもそも前日と当日、この両日は夏にしては気温が低めだったのだ。そして当日の夜は真夏とは思えない冷えだった。裏に移った時、シャツが汗で濡れて使い物にならなくなり、下着を乾いたものに着替えたが、上着シャツの予備は手持ち無し。車には積んであったが、撮影場所に横付けしている訳じゃないし。結局下着の上にジャケットを着るだけの「防寒ゼロ」の状態。寒い。しかし風がそれほど強くなかったので耐えられた。さらにカメラバッグに常備している「使い捨てカイロ」まで真夏に使うことになるとは。手が冷たいといよりそれで暖をとっている感じか。
 短時間でちゃっちゃと準備し、撮りはOK。夕焼けが綺麗な宵だった。今回は裏もあるか、という場所だけにさすがにFMラジオを用意した。周りでも用意がいいことに複数のラジオが稼働して、進行のあてにするには十分だった。ラジオの解説には知り合いの愛好家がつき、丁寧でわかりやすい解説が良かった。
 カメラは2台用意したが、縦横、というか、ワイド系と割物デザイン系と分けて撮った。しかし裏、というのは風向き良好のメリット以外はリスクが在る。花火の前景は灯りのまったくない水田。つまり暗闇に花火という条件に加えて、立ち位置の向かい角度以外の写真の個性が全く出ない。スターマイン時のタイミングくらいだ。しかも初めから表を捨てて裏に集結しているのはアマチュアでもハイレベルな写真愛好家ときては、そのタイミングすらも大きく外さないだろう。私にしても、そういう猛者とどう差が出せるかというと難しい。
 ドラマチックハナビで、昨年と同じマシューの立体型物が再登場とわかっていたので、2台あるカメラの一方はそれ用のセッティングでスタート。
 そうしたらオープニングの出だしでワイド型物シリーズがあったので、そのまま撮ることができた。もちろん型物セッティングはドラマチックハナビ終了時に戻す。ああペンタの645Dを使っていた時は「セッティングごと切り替えられるボタン」が付いていて、あらかじめMy設定を(飛行機モード、ポートレートモード、野鳥モードとか)記憶させればボタンひとつで代えられて便利だったのだが。ニコンも搭載してほしい。
 スタートから順調に撮っていたが、市民花火に至る頃それは起こった。レンズの結露。市民花火を終わってレンズ面を確認すると白くなっていた。暮れてから気温が下がったのでもちろんそれまでも何度かチェックしていたのだけれど、そのタイミングで曇った。近くの知り合いにも曇り注意と促す。
 ただちに結露対策。こうなるとレンズ面を拭いても拭いても曇る。メインに居たなら結露は免れたかもしれない。しかし裏農道は前後を水気の多い田んぼに挟まれた気温が下がれば結露誘発の環境。過去の経験からもそうした条件では三脚やカメラがびっしょりになるとか猛烈に結露する。すでに外に出していたプログラム冊子も湿気てヘロヘロになっていた。幸いに冬に使っていたレンズヒーターとモバイルバッテリはそのままカメラバッグに入っていた。レンズヒーターは2つあり、モバイルバッテリは2つのUSB出力が可能で2本のレンズをまかなえた。カメラ2台にレンズヒーターをかまし、効いてくるまでやや時間があったが後は効果は抜群。以降レンズ面の曇りを心配することはなかった。使い捨てカイロともども備えあれば憂い無し、といったところ。
 ところどころ、おなじみの「パタパタタイム」で、煙がはけるのを待ったりしていたが、消費トラブルはほぼ無くて無事に終了を迎えた。風向きは結果としては2016のように明快に裏順風というわけではなくて、川に沿って横流れという、表裏にどちらもそこそこよく観られるコンディションだったようだ。しかし地表と上空では真逆の風となり、中空で煙がくの字に折れ曲がるような風。
 終了後はいったんホテルに戻ってから花火愛好家達による飲み会に参加。楽しい時間を過ごす。
 翌日はホテルで朝食後、午前8時過ぎに出発し途中のSAでの仮眠も挟んで帰宅は14時をまわった頃。往復で860キロメートルくらい。
 録画してあったBS中継は花火画像に関しては残念な内容だった。末端の現地中継スタッフは、早朝から深夜まで本当によく働いていたのをずっと見ていたがいちばん画として活躍していたのはドローン?。花火全体の画もどこか遠くの建物の屋上か。今後はドローンだけ飛ばせばいいんじゃね?
 プロのテレビ屋が本当によくやりたがるのだけれど、花火の部分大アップは「全く要らないですから」。黙って全体を録ってくれるといいんだけれど。画面の片隅に意味なく寄せた割物競技の構図は何?。とはいえ、業務命令で出張させられているスタッフにそんなことをいっても仕方ない。花火が好きで赤川に来ているのでは無く単なる仕事なのだから。花火を中継してそれなりの番組にしたいなら、トップの企画責任者から現場の末端のスタッフまで「真の花火好き」「花火通」で揃えなければ無理なんだろうな。だって天下の某公共放送ですら、大曲を四半世紀も実況して花火中継で花火を録ることにはまったく進歩がないのだもの。愛好家のYoutube動画の方が遥かにましという現実。
    
    

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