花火野郎の観覧日記 2019
観覧日記その13 9/7
モエレ沼芸術花火2019
北海道・札幌市
会場の様子 客席は左手方向にもある |
モエレ山、ここより上には 登れません |
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悲鳴もあがりますな |
これでほぼ全幅打ち上げ。10号入り。 |
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初の芸術花火シリーズで、初めてモエレ沼に行ってきた。昨年はこの花火イベントのわずか2日前に北海道胆振東分地震が発生し、大変な被害があった。会場のモエレ沼公園も被災したらしくイベントは中止を止む無くされた。そしてこの2年分の想いを込めてという開催。
しかし行くにあたっては当日早朝まで悩んだ。というのも台風の余波で現地の天候が思わしくない。天気が良さそうな諏訪にするかどうか。何しろ北海道行きには費用がかかかっている。ところが直前に止めたところで航空券もホテル代も半分も戻ってくるかどうか。そして意を決して出かける。マイセオリー。「行かぬ後悔より行った後悔」。
2014年の韓国以来という航空機で千歳空港入り。そこから札幌駅経由で地下鉄やバスを乗り継いでなんとかモエレ沼公園に15時ころ到着。空港はどんよりだったが、札幌市内は陽射しがあって暑いほど。事前に買ってあった有料席は16時から入場なのでまぁいい具合の時間かな。たとえばクラツーなんかの観覧ツアーだと千歳空港からモエレ沼へ直行するみたいで便利そう。
入場するまでは会場後方に聳えるモエレ山のてっぺん付近で観覧・撮影できると思い込んでいたが違っていた。会場の図面を見るとモエレ山は規制区域でもなんでもないのに、実際は写真のように山の下部に規制線が貼られてそれ以上登らせないようにしているのだった。なんだよこれ。イベント前までは自由に登れるのになんで?
機材は「登山するつもりで」カメラザック。実際は公園内がカート使えるほどかわからなかったので背負える形態が便利と考えた。三脚も一本のみ。
次第に眼下に客が増えて行く。今日はバス停や地下鉄でこのイベントに向かう浴衣姿の女性をたくさん見かけた。北海道で9月の花火というと珍しいかと思う。開始までのイベントで時間を過ごし、いよいよ花火がスタートすると、即座にあたりから悲鳴が上がる。見えない。キリだかモヤだかわからないが小さい号数の打ち上げ玉までがほとんど掻き消えてしまっていた。暗くなってからではそういう大気状態はわからない。適度に風もあり、上空には晴れ間も。そして打ち上げ後方のどこの町かわからないが町灯り群も綺麗に見えているのに、会場上空だけが視界無し。この会場全体がぐるりと沼地に囲まれている水分高いそのせいなのか。あぁ霧のモエレ沼。
こうなると視点を上げるとよけいに条件が悪いから、山の頂上に陣取らなかったのは幸いだったわけか。しかしこのてっぺんにまで登るのは相当気合いが必要そうだ。立ち入れる場所は麓の下から1/4以下のところくらい。それでもその高さまで登るのに息が切れた。てっぺんに陣取っても、ちょっとトイレと降りてまた上がるのも大変そう。それに高度を上げるとより広角が必要になるしな。
あとはただ時間が過ぎるのを待つばかり。撮っても仕方ないし、見ても見えない。なにしろ見えなさすぎて打ち上げが2度も中断され、状況好転の時間をとったくらいだ。2度目などは打ち上げと音楽の途中でいきなりバッサリ中断、という一度も見たことが無いような打ち切り方だった。それでスケジュールは押せ押せになった。こりゃいつ札幌に戻れるだろうか、と考えた。そしてラストを迎えるのだが、気象条件抜きでモエレ沼を私なりに簡単に表現すると、
主催者 全国から凄い花火業者を揃えて花火新時代を演出します。
観 客 いやそもそもどの花火がどの花火屋さんのものか説明も無いし見てもわからないっし。
目の前一杯のワイド展開で繰り広げられる花火群。しかしどこで上がった玉がどの業者のものか、実際の打ち上げでは全くわからない。開始前には費用のかかったであろう気合いの入った参加花火店紹介のビデオまで作って、大きなオーロラビジョンで上映していた。私などそれだけ見ても楽しめた。いざ打ち上げが始まると音楽だけで花火については何の説明も無くどの業者の玉なのかもいっさいアナウンス無し。2基のオーロラビジョンに表示されるのは使用している楽曲のタイトルとアーチスト名だけ。つかそれができるなら、その時点での花火の業者名も表示したらどうなんだろう?プログラム冊子には「日本屈指の花火オールスターチームの共演をぜひ会場で目撃してください」とものものしく記載されているが上がっているその瞬間や事前に説明無しでは業者の紹介も無意味じゃないの?地元にとってただの納涼花火と変わらないじゃないか。だったら北海道の他の花火大会同様に地元の花火店だけでいいのでは。
一般客には不親切だけれど愛好家の我々ですらそれぞれの煙火店の特徴在る提供玉についてはそれが上がればわかるが、小玉やトラや星打ち曲打ちの部分なんかどこの花火店が判別できない。
これだけ有名花火業者を前面に出すなら、この玉はどこの業者です、というのをアナウンスしなければ目の前の花火と業者が結びつかないじゃないかと思う。共同参加で金にはなっているのだろうが、出した花火玉を紹介も無く混ぜ混ぜで打たれたのではその花火屋はそれでいいのかな?「花火新時代」を詠うなら、どのパートにどの業者の玉が登場するのかまでちゃんとアナウンスすれば良いのだが、演出側としては、せっかく花火と音楽で構成しているのに、よけいな台詞や説明の喋りは不要と考えているかもしれない。だったら立派なプログラム冊子があるのだから、もう少し細かい花火プログラムを掲載し、この楽曲のパートでは何々煙火店と何々煙火店が担当とか、見た物と知識が結びつくような情報を入れればもっと花火と煙火業者が観客にとって身近になるのではないかな。ただただ花火屋とその特色の紹介をするだけではもったいない。
ラストは野村花火の10号を15発連続で上げて終わった。このころようやく10号域でも視界が良くなって、この野村玉はすっきり綺麗に見えた。それだけが救い。しかし、10号単発で終わり、「以上を持ちまして・・・」おいおいいきなり打ち切りエンドか。終了間ゼロじゃないか・・・。
これとて「内閣総理杯をいくども受賞した茨城の野村花火の芸術10号玉をご覧下さい」と玉名までは要求しないが、一般客向けにそれくらい注目させてはどうなんだろう。野村花火が凄くて感動しても野村花火ですよといわなければ一般客には認知されないし、ファンを増やすこともできるのかな。
全プログラムの中でひとつふたつミュージックスターマインがあるのと違って、最初から最後までそれをやる大会なので、この音楽付ものの弱点というか、飽きの入るポイントに気がついてしまった。
一つの楽曲の中でサビのところなど同じフレーズが繰り返される。すると同じパターンの打ち上げが繰り返されるケースが多いことに気がついた。そこのところだけ同じ玉や星打を使ったきまったプログラムをコピーしたように繰り返している訳だ。そこが飽きる。繰り返しが印象づけに効果的なのは多くて続けて3回まででその3回目すら「まだこれやるの」とたった3回でそう思うのだから、人というやつはものすごい速さで馴れてしまうのだと思う。
どういう場所かわからなかったから、レンズは16ミリから用意した。結果としては全ての打ち上げ場所を横位置で入れて、10号まで画角に入れるには16〜20ミリくらい在れば良かった。全幅で打つのは最後くらいで、あとは主に左のプレイマウンテン、センター、右側ワイドと3箇所くらいを順に振り分ける。なのでそれぞれをアップで撮るならそんな広角は要らない。
湿度はやはり高めだったようで、レンズの結露は(予防したせいもあるが)なかったが、終了後撤収にかかると三脚が結露で濡れていた。この日の気温は、イベントの司会者が「昨年は長袖でしたが今年は半袖でOKですね」と言っていたので本来はもう肌寒い時期か。モエレ公園は吹きさらしの広大な空間なので風を浴びていると待ち時間はこの日も寒いくらいで風を遮れる上着が役に立った。ライトダウンとか軽い防寒装備が本来は必要な時期と思う。
終了後は東口のシャトルバス乗り場に近い側に居たおかげでスムースにバス待ちに参列し、それで最寄りの地下鉄の駅往きのバス乗車が21時過ぎ、札幌駅着は22時だった。場所が場所だけにマイカーやバスでないと往復できない。マイカー側の西出口から先も相当渋滞していたみたいだ。
翌日は晴れ予報だったが、千歳空港では小雨。順延しても大差ない天候だったか。気象条件は仕方ない。今回は下見の偵察飛行と考えたが、しかし次回クリアな視界が保証されたとしてまた行くのか?というと。うーーーん。芸術花火というが、芸術玉が芸術玉としてそのように紹介されないというのはどうだかな。芸術花火シリーズってどこのそれも同じなのかな。
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