花火野郎の観覧日記2020

観覧日記その2 2/1
高崎HANABIコンクール

  
群馬県・高崎市



撮影場所から

オープニング花火
有限会社菊屋小幡花火店

オープニング花火
有限会社菊屋小幡花火店

オープニング花火
有限会社菊屋小幡花火店

審査基準玉
有限会社菊屋小幡花火店

1.天使の階段 悪魔の光

2.雨上がりの虹

3.ローマの休日

4.冬桜
   

5.花競い

6.散り桜

7.早春の夕映え

8.翔け廻る青い春

9.生命のみなもと太陽
   

10.翠玉〜エメラルドの輝き〜

11.雪夜に名残菊

12.Japonism〜幽寂閑雅〜
株式会社山内煙火店
山内祐一 山梨県

13.走馬灯 光の記憶

14.濃い色×淡色

15.夜空に煌く生命の曼荼羅
株式会社北日本花火興業
今野貴文 秋田県

16.怪火〜不知火
〜有限会社伊那火工堀内煙火店
気賀澤文平 長野県

17.しだれ桜

18.GReeeeN

19.ニュープラネット

20.冬天の光〜瞬き花飾り〜

エンディング花火
有限会社菊屋小幡花火店

エンディング花火
有限会社菊屋小幡花火店

エンディング花火
有限会社菊屋小幡花火店

エンディング花火
有限会社菊屋小幡花火店
    
 群馬県高崎市で、40才未満の若手花火師による新規の競技花火大会が開催される、というのを知ったのはわりと最近のことだ。まずはポスターが公開され、続いて開催要項とプログラムと参加花火業者が公開された。驚いたことに、審査員として日本煙火芸術協会の紅屋青木煙火店、青木昭夫会長と、日本煙火協会現会長の磯谷煙火店、磯谷尚孝社長が名を連ねていたことだ。これは本格的。大変なことになったと、早々に観覧を決めた。審査に業界の重鎮というかベテラン花火師があたる、というのは各地の競技会と比しても珍しい。というか無い。花火師が花火師を審査する、という形だから、ようするに若手からみて業界で多大な実績を有する先達である御方に評価されるなら納得である、そういう審査員を選んだということと思われる。
 観覧会場は「道の駅くらぶち小栗の里」となっており、グーグルマップなどで周囲の様子を観察すると、向いの田んぼか川縁から打ち上げるようだ。その会場は榛名町のさらに先になる。通過地点の榛名町は行ったことがあるが、現地は初めて訪れる場所なので早めの到着。行きは一部関越自動車道を使い、自宅からトータル2時間30分くらいだったろうか。高崎駅からなら下道を車で40分ほど。会場の道の駅くらぶち小栗の里のオープンは午前9時。現着は9時30分だった。
 まず道の駅を物色、買い物の前に撮影に使えそうかどうかだ。二階の展望テラスは目の前が電線で真っ先に候補から外れた。電線が無かったとしても経験則からそこは撮影には近すぎると感じた。事前にストリートビューでロケハンし、だいたいどういう場所か承知していたが、ストリートビューで見られない区域もあり、実際に歩いてみないとわからない。周囲を徒歩でロケハンし撮影場所を探す。あらかじめストリートビューで予測をつけていた辺りが使えそうだったので三脚を運び確保。しかし既に近くには先客の場所取りがなされていたのに驚いた。この場所はあとで一帯を見て回った中では理想的だった。電線は気にならないし、約400メートル離れた間合いもほどほど。花火設置列に対しやや左斜め方向からの狙いになる。
 まだ規制されていない烏川の川縁に行ってみると川を挟んだ対岸の堤防道路上で花火設置の作業中だった。この場所では毎年夏祭りに花火大会が行われているようで、川縁に在住の人に話を聞くと夏でも9箇所打ちワイドが見られるという。後で入った情報では今宵はさらに幅を広げて地元菊屋小幡花火店によるエンディングワイドは11箇所であるらしい。ということからも間合いをとって観覧場所を確保したのは正解だったというわけだ。
 それから他に良い場所はないか、とさらに徒歩と車でロケハン。なに時間だけはたっぷりあるのだ。対岸裏手は打ち上げ方向と道の駅が望める道路端の見通しの良い、三脚が立てられそうな場所は、規制線が張られて既に立ち入り禁止になっていた。安全距離がひっかかるのだろう。そも車を駐める場所もないし。
 続いて裏手の高台にある天文台まで上ってみたが、道の駅方向は森の木々に遮られて視界がなかった。花火が上がればそれ自体はみえるのだろうが。
 道の駅に戻ってお買い物。現着時点でも花火客じゃなく地場野菜などを買い求める客が結構来ていたので無くならないうちにお土産を買い込んでおく。
 そして次第に知り合いの愛好家が集まり始める。他にこの時期花火イベントが少ないからか、初めて行われるコンクールに各地から愛好家が集結、という感じだった。日中は冷たい風が強めに吹いていてあちこちで歓談するも野外は寒かった。
 昼食後は車で昼寝したりして過ごす。夕刻、防寒体勢を整えてから暗くならないうちに機材を運んで1時間前くらいからスタンバイ。なにせ付近には灯りが殆ど無い。機材はカメラ2台。ワイドと競技本割りを縦横で撮り分けようかとも考えたが、1台で切り替えれば済む話で、もう1台は縦専用で予備という構え。
 イベント進行を告げるアナウンスはメイン会場の道の駅に居てなんとか聞こえる程度だから、撮影場所ではかすかにわかるくらいだった。
 コンクールの打ち上げ内容はいち業者あたり、2.5号から7号までのスターマイン形式というか、打ち上げ1分間で打ち上げ方は1発ずつでも組み合わせでも花束でもよい、という感じだった。7号は1発きりだったがそのほかの玉数が指定されていたかは不明。
 17時30分より和太鼓演奏や主催、来賓の挨拶などが始まり、花火打ち上げは18時からだった。競技は完全にブラインドで行われた。会場のアナウンスはエントリー番号とタイトルのみで、製作した煙火店と花火師の名は言わない。というものだ。道の駅にはかなり立派なプログラム冊子が無料で用意されていたが、それにも競技部分は打ち上げ順とタイトルだけが記載され、それぞれの出品者名は伏せられていた。これは先入観を持たせないで審査するため、ということと思われる。純粋にタイトルと展開する花火だけを見て採点するわけだ。プログラム冊子には参加した20名の花火師の紹介が掲載されていたが、打ち上げは掲載順とは関係なく見たところまったくランダムだった。
 私は打ち上げ終了後、片付けてただちに帰途についたが、会場では審査発表が事後に行われ、それを見届けた愛好家も多かったようだ。審査は訳あって難航したらしく、なかなか結果発表されなかったと後から聞いた。驚いたのは審査発表時には優勝(1位)、2位、3位と3名だけは、業者名が明らかにされたが、他の出品者については知らされないままだったこと。関係者筋の愛好家ならともかく、普通の愛好家や一般客にとっては標準玉を打った菊屋小幡花店と入賞した3煙火店以外は、どの出品がどの業者のものか最後までわからないいままだったようだ。つまり遠路この地まで足を運んだ出品者は、もし審査員の眼鏡にかなう作品でなければ、作者名すら観覧客にも知られないまま。という過酷というか厳しいコンクールなのだ。賛否両論あるだろうが、花火愛好家としての私は競技後には知りたかった。花火を見て写真を見て類推しようにも、20名の参加者のうち、普段あまり見ることの無い業者が7〜8名参加しているので難しかった。ぱっと見でわかったのは6〜7業者。
 オープニングとエンディングを飾った地元・菊屋小幡花火店のパフォーマンスも素晴らしかったが、競技自体もいずれ劣らぬ作品ばかりでそれぞれ短時間ながらも工夫が見て取れて楽しかった。
    
 結果は
優 勝「夜空に煌く生命の曼荼羅」株式会社北日本花火興業 今野貴文 秋田県
第2位「Japonism〜幽寂閑雅〜」株式会社山内煙火店 山内祐一 山梨県
第3位「怪火〜不知火〜」有限会社伊那火工堀内煙火店 気賀澤文平 長野県
    
 最新の技術であろう時差点滅系(スライド系)の出品がひとつも評価されなかったのは残念。主催者の想定以上に来場者が多く、車も集まったようで、夕刻には駐車場難民が多く出たようだ。帰りは渋滞を迂回して3時間ほどかけて帰宅。次回は場所を変えて開催されるとも言われているが、若手中心の新規競技会、今後も高レベルの作品がしのぎを削るような内容で長く続いてくれれば、と願う。
    
    

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