花火野郎の観覧日記2021
観覧日記その5 11/23
第115回 長野えびす講煙火大会
長野県・長野市
地附山スターマイン
青木煙火ミュージックスターマイン
青木煙火ミュージックスターマイン
屋島橋10号割物
屋島橋10号割物
屋島橋10号割物
地附山スターマイン
信州煙火ミュージックスターマイン
信州煙火ミュージックスターマイン
4箇所一斉打ちフィナーレ
(若里、地附山、屋島橋の錦一斉)
コロナの影響で、実に3年ぶりの開催となった。とはいえ従来の形式でそのまま開催というわけではない。いつものメイン会場は観客席を設けず、堤防のり面も河川敷も立ち入り禁止。そして長野市内4箇所での分散打ち上げという変則的な内容になった。「市民それぞれの自宅でご鑑賞ください」という格好だ。4箇所の打ち上げ場所についても23日当日の信濃毎日新聞朝刊で広報という方法を採っている。
例年の日赤前のメイン会場に現着したのは午前11時過ぎ。観客席は設けられていないのだが、観覧場所であろうそこは、めぼしい場所はとっくにSOLD OUTになって三脚一本入る余地がなかった。堤防のり面や河川敷は立ち入り禁止。のり面を上がるとすぐ車道でこの晩は通行止めにしないとのこと。堤防道路には歩道はないのだが日赤前でミュースタの打ち上げの正面から斜め右方向に相対する200メートルあまりだけ歩道があるので、そこに観覧客も花火愛好家も集中した格好だ。地元の客が前日場所取りした、というのならわかるが立ち並ぶ三脚の持ち主はいったいいつやってきたのだろうと驚く。かろうじて右上流方向に隙間を見つけたが納得の場所というわけではない。
3年ぶりのメイン会場。この日久しぶりの花火開催とはいえ、そこには観客席もなく、なにより例年1キロメートル以上にわたって立ち並ぶ露天商銀座も無い。およそ花火大会会場らしい風情は何も無かった。河川敷にはミュージックスターマイン用の音響設備があるだけだ。
仮置きの観覧場所。構図としてはそう悪くないのだが、この日最大に気になったのは風向き。いくつかの天気予報サイトでもメイン側に有利な予報は全く無く、日赤前あたりの堤防道路を歩くと打ち上げ方向から面と向かって風が吹き付けて来ていた。うーむしかし、いや、これは・・・ダメっしょ。予報は西から、西南西、あるいは南西、と向かって下流側に差し込む風。思うような観覧場所が無いことより写真家としては煙に巻かれて撮影の全滅は何より避けたい事案。こういうとき、正しく確実な状況判断が重要。
苦労して努力して、せっかく確保した観覧場所は捨て難い。一般客ならともかくコンディションに敏感な撮影者は状況を把握していたかもしれない。しかし仲間と一緒に観覧したり知り合いと歓談したり、そういうことも花火開始までのそして観覧中の楽しみでもあるからだ。だから最初に取った観覧場所は離れ難い。私もしばらく考えて確保した位置にあまり未練がなかったことと、この晩の風向き予報がどうにもメイン側観覧としては納得できず、逡巡したあげく対岸に渡ることにした。
対岸の観覧は2015年以来の6年ぶりになる。現地に行って驚いたのは河川敷の木々が伸びて、打ち上げ方向下部の視界をほとんど隠してしまっていたことだ。裏手といっても日赤前の打ち上げラインの正確に反対正面、というわけではない。正面には従来から相当背の高い林が河川敷にあり日赤の上層階がやっと見えるくらい。かろうじて対岸が比較的広めに見通せる場所は下流側右斜め方向からの狙いとなる。
2015年には犀川の流れさえ見えていたのに今回は川面どころか打ち上げ筒を置いている場所もまったく見えない。日赤の建物や堤防道路の一部がやっと見えるくらい。もちろん上空に上がる花火は十分見えるわけだが、愛好家、写真家としては根元からきっちり見たいのだよ。対岸はこうして打ち上げ位置の視界が悪いというデメリットはあるものの、風向きを考慮した時メイン側に対して「クリアに見える」だろうということは何にも代え難いメリットなのだ。
事前に長野在住の花火の知り合いから分散打ち上げのだいたいの位置と内容、それぞれの担当煙火店を教えてもらっていた。それは以下の通り。
屋島橋下流(7、8、10号割物。信州煙火工業、紅屋青木煙火店)。
地附山(最大5号スターマイン。信州煙火工業)。
若里地区(ミュージックスターマイン。信州煙火工業、紅屋青木煙火店)。
安茂里地区(最大5号スターマイン。紅屋青木煙火店)。
この4箇所を全部観るには対岸方向であるとも伝えられていた。しかしながらこの時期の長野が、南を含む風向きにになるとはその時点では考えられなかった。えびす講の花火でいきなり裏手というチョイスは普通は考えられない。それは主に風向きによる。私もえびす講を観覧して四半世紀を超えるが、この季節に裏手順風など10年に一度あるかないかというくらいでほとんどないからだ。しかし当日の現地は私を対岸に向かわせる稀なコンディションだったわけだ。
もちろん対岸になることも考えて、レンズ構成はどちらでも撮れるようにしてある。2015年の時の裏手での画角とかを事前にチェック済み。日赤側の視界が確保できる位置はわずかなので立ち位置を細かく修正して三脚を設置。あとは車で待機。やや遅れて知り合いがやって来た、はからずも2015年の時、一緒に裏手で観覧、撮影した同じメンツだった。さらに暗くなってから別の知り合いが数名、対岸にやって来たが、それは裏狙いというよりもう表側が満杯で観覧場所が得られなかったためだ。
裏手でもFM善光寺の実況中継のおかげで進行がわかる。というかそれを頼りにしなければ打ち上げ順がわからない。新聞などの広報も18時からの1時間とあるだけでプログラムについては不明。本番は知り合いの用意したラジオでそれを聴きながらの観覧だった。
現地では愛好家氏の協力でさまざまな情報が耳に入ってありがたい。驚いたことに青木煙火は8号玉を、信州煙火は7号をミュースタに仕込んでいるという。これまでえびす講のミュースタに7号以上の大玉が入ることはなかったのでこれは嬉しい驚き。例年なら8号や10号のワイドプログラムがあるけれどそれも今回は無いのでその分を加味した設定か。現地に来るまではミュースタは例年の青木煙火と信州煙火で同じ場所で前後して設置というのではなく、日赤前の例年の位置が青木煙火、下流側の隣の区画が信州煙火、と観客の1箇所集中を避けるためか打ち上げ場所を東西に2つに分ける、という話だった。しかし現地で実際に見ると下流側に花火を設置して準備している様子はなかったので変だと思っていた。結果としては例年通り同じ場所で両業者が打ち上げたのだった。ミュースタの設置位置がいつもより川寄りになって7号8号を打つラインと大差ない感じになった。対岸から見れば、従来よりミュースタ本体がより近づいたことになる。
公式HPには「長野えびす講煙火大会を「空」から見よう!」のコンテンツがあり、そのせいか若里地区上空には視認できただけで5機ものドローンが遊泳していた。
18時、いよいよスタートだ。ブログラムというか打ち上げ順は、
4箇所一斉打ち(地附山、安茂里、若里はスターマイン。屋島橋は7号単発)。
地附山、安茂里の2箇所スターマイン。
青木煙火ミュージックスターマイン。
屋島橋10号割物。
信州煙火ミュージックスターマイン。
地附山、安茂里の2箇所スターマイン。
4箇所一斉打ちフィナーレの順になっており、トータル40分くらいだった。
対岸からは確かに4箇所全て観ることができた。残念ながら撮影向きなのはうち3箇所で、安茂里地区のスターマインだけは河川敷の背の高い木立の向こう側で、スターマインの根元から真ん中まで隠されて、上空で開花する玉だけが見えた。
カメラは2台、ミュースタ狙いで広角ズームのメインと300ミリまでの望遠ズームのサブ。望遠は地附山と10号を担当。
地附山、安茂里のスターマインはいずれもかなり打ち上げ時間の長いもので、通常のスターマインの3つ4つ連結くらいの長さ続いた。安茂里は2箇所打ち。地附山スターマインは小さいものの、日赤の右背後というなかなか絵になる位置だった。屋島橋の単発は下方が林だか木立でなにも写る物がなく、盆の全体だけが見えた。7〜10号単発は遠いながら良い玉が揃っていて見応えがあった。
安茂里のスターマインは2キロメートル以内だが単発の屋島橋と地附山スターマインは、どちらもほぼ6〜7キロメートルも離れている。したがって寄せて撮るには300ミリ程度の望遠領域になる。もちろんこれを考えて300ミリまで持参していったのだが200ミリちょいのところで撮った。対岸の堤防道路はとにかく打ち上げ中だろうが何だろうが交通量が多い。街路灯もガードレールもない真っ暗な道、しかも対面通行。そこを相当のスピードで走り抜けていく車ばかりだ。見物客が道路脇に立ち並んでいるのもおかまいなしにスレスレを走り抜けるから怖いこともあるが、なにより体感でその振動が来るので大望遠はブレを考えると躊躇したのだ。
もっと見たい、もうちょっと長く、と久しぶりに観るミュースタはあっけないくらいに終わってしまった。4箇所に分かれた打ち上げによる開催だったが幸いにコンデイションも良く、その4箇所全てを観ることができて満足だった。翌日はまた早くから仕事なので、手早く片付けて長野を後にする。次回116回では大勢の観覧客とともに従来通りに開催されることを願って。
INDEXホームページに戻る
日記のトップに戻る