花火野郎の観覧日記2024

観覧日記その9 9/21
第57回 常総きぬ川花火大会

  
茨城県・常総市

    

会場の様子

オープニング花火

メッセージ花火
8号・昇曲導付水面の輝き
野村花火工業株式会社

ワイドミュージック
スターマイン「Make It Out Alive」
山崎煙火製造所

ファイヤーアート
コンテスト
8号・昇朴付閃光キラ芯
光のアトリエ
静岡県・小口友義

ファイヤーアート
コンテスト
8号・ネオイルミネーション
山梨県・斎木智徳

ワイドミュージック
スターマイン「Hero」
株式会社紅屋青木煙火店

ワイドミュージック
スターマイン「Hero」
株式会社紅屋青木煙火店

ワイドミュージック
スターマイン「Hero」
株式会社紅屋青木煙火店

花火の巨匠
スーパースターマインの競演
「風魔〜闇を切り裂く一陣の風〜」
北日本花火興業株式会社

花火の巨匠
スーパースターマインの競演
移ろい〜「・・・この賭けに
勝ったらもう一度あいつを
愛そうと思うの。」
有限会社伊那火工堀内煙火店

花火の巨匠
スーパースターマインの競演
「バイオレットxエメラルド」
有限会社篠原煙火店

花火の巨匠
スーパースターマインの競演
「バイオレットxエメラルド」
有限会社篠原煙火店

グランドフィナーレ
野村花火工業株式会社

グランドフィナーレ
野村花火工業株式会社

グランドフィナーレ
野村花火工業株式会社

グランドフィナーレ
野村花火工業株式会社

グランドフィナーレ
野村花火工業株式会社

グランドフィナーレ
野村花火工業株式会社
    
 北陸で災害級の豪雨に見舞われたこの日、常総市もどんよりした空模様だった。現着は14時。会場入りすると既に堤防斜面に座って撮る形の自由カメラマン席には三脚が林立していた。指定枠の方はゆっくりでも場所がなくなることがないからまだガラ空きだったが、先着で好きな場所に座れる自由枠の方は競争も激しかったようだ。
 風は予報通り東風で順風。空はどんよりと17時頃からの小雨予報。その通りにそこからポツポツと降り始め。結局花火開催時間もそんな天候だった。風は強めで傘の向きを少し変えればお猪口になるくらい。
 会場には傘の花が次々と咲き、カメラ席の面々も傘を刺し、カメラをビニールで覆い、と雨対応。久しぶりの雨モード。降りは弱くてもカメラは濡れ、レンズの水滴を心配する程度の降りではあり、気が抜けない。傘をさして背後からの雨を阻止する体制だから、カメラは何台もは操作できない。もとより、1台きりで撮るつもりだつたが、カメラの画角を変えたり縦横を切り替えたり、そんな基本操作も雨中では制限される。だから全てのプログラムを撮るのは無理だろうと考えた。
 予定通りに花火が始まり、進行する。いつもながらの丁寧な花火に丁寧な演出、丁寧なアナウンスとスムースな進行。何度も見てきた愛好家にはわかる馴染みの安心さ。そこがこの大会の持ち味か、と思わせる。
 花火の巨匠3社のスターマインが、スケールアップして驚いた。北日本で、これまで縦位置で撮れていた打ち上げ空間がそれではまったく足りず、斜め打ちの星展開がワイドで、次の堀内煙火から横に構えた。やはり斜めや扇の星打ちがワイド。さくらんぼの段咲は初めて見るもので感動した。
 終盤は雨は収まったもののの、ラストの野村花火のミュージックスターマインでは、低空の雲か、8号の大玉空域は激しく靄ってしまった。残念だが仕方ない。
 手早く片付けて車を出す、帰路は有料道路を使い時間短縮で帰ったが、外環道に乗る辺りから普通に雨模様になった。打ち上げ中にポツポツの降りで済んだのは良かった。

 夕刻に機材を運び、カメラ席を見て回り、そして知り合いに声をかけて歓談した時の事、話し初めの共通の話題はというと、「写真(や動画の)愛好家は多いが顔見知りの愛好家が少ない」ということだった。昨今の花火会場、特にスチルや動画の撮影群を見るに、私もそう感じていた。
 私が花火行脚をし始めて以来、次第に増えていったそうした知り合いが、どこでもめっきりと少なくなった。この花火大会とのお付き合いは、まだ水海道市花火大会と呼ばれていた頃の1999年からで長い。ここでもそうした古くからの知り合いと毎度顔を合わせ幾度も歓談してきた。その中には常総を長いこと観覧し、もう十分見たからと、ここを卒業した愛好家もいるだろう。しかしそうではない。写真や動画を撮ろうとするカメラマンはこんなにも多い。それは世代交代というか、新しい愛好家の顔ぶれに入れ換わり、私がそれらを知らないだけだ。逆に近年に花火観覧や撮影を始めた愛好家は、スマホを中心としたSNSの時代、PCも持たない世代は、HPなんかも見ない。ゆえに私のことも知らないだろう。
 新規の世代が増えただけでなく、同時に長らく花火観覧を続けてきた同好の士が、ひとりまたひとりと、引退や休止をしていったのだろう。
 最初に花火に魅せられてから、花火観覧を趣味として、ライフワークとして、長らく続けられる人がどれだけいるだろう。5年、10年、それ以上。長い人生の中でそれぞれの生き方や暮らし、仕事がある中で、この素敵な趣味を続けられる人がどれだけいるだろう。
 幸いに私は、最初に感動してから50年近くも花火観覧を続けられてきた。単身だった私が伴侶や家族を持ち。その理解か、放逐か、恵まれて、そして仕事も色々と変わり、住処も変わり、その中で年にいくつもの花火大会を見続けられてきたことは幸せだったのだろう。
 就職、転職、結婚、子育て。引っ越し。不幸にも病気や災害に見舞われるかもしれない。そうした人生の節目に花火観覧をやめる、減らす、そうした人の方が多いに違いない、そして以前からの知り合いは、減って行ったのだろうか。
 近年それを加速させる大きな要因が「コロナ禍」か。これで花火大会そのものが激減し、その数年間に観覧から離れた愛好家も多いに違いない。この私ですら、「花火に行かないのが普通」という状況に慣れてしまっていたくらいだ。観覧再開を阻むのが昨今の花火観覧は費用が嵩むこと。交通費、宿泊費、そして高騰する有料席と花火観覧はずいぶん金のかかる道楽になってしまったのだ。それを年に10も20も観覧できる人は次第に減って当然だ。結婚して家族を持ったり、なんらかの原因で仕事の収入が減ったり、その環境が変わる。それだけで費用も時間もかかる趣味に、もう一家の主人の好みだけでは自由にならないのだ。もちろんその家族連れで観覧を続けられれば最高だけど、花火観覧は義務でも、仕事でもなく、強制もされない。無ければ行けない。行かなくても別にいいんじゃないか、そう考えても不思議ではない。
 その代わりに新しく花火に魅せられた新しい愛好家が、こんなにも会場を埋めていることを嬉しく思う。そしてどうかこの素敵な趣味をより長らく続けてひとつでも多くの大会を観覧し花火の感動に出逢い続けてほしいと願うのだ。
 

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