花火野郎の花火撮影行日記 Restructured

1992年1月11日
車山高原 天狗の火祭り 銀嶺花火大会
     
長野県・茅野市

 1992年の実質撮り始めはこの日から。待望の初の「冬花火」。しかも雪上花火ということで気合いが入る。午前7時発で車山へ。思いのほか順調で午前中に到着するが、なんとそれでもゲレンデから一番遠い大門峠の駐車場に入庫させられた。ゲレンデに近い周辺の駐車場は満車ということで、強制的に下車を余儀なくされた格好。そこから送迎バスでゲレンデまで行ってくれという。花火の終わった後はどうするの?
 とにかく撮影機材一切を持ち、バスでゲレンデへ。この日のために新しくタイヤチェーンや防寒の長靴を買っておいたがチェーンは出番が無くなった。
 快晴。ゲレンデはけっこうな混雑。リフト待ちの長蛇の列。スキー場に来ること自体、まったくのご無沙汰で学生時代のスキー教室以来だ。私は滑走するわけでもなくひたすら夜の花火待ち。信州総合開発の事務所で情報を入手しあとはざっと歩ける範囲でロケハン。その情報によれば「子供用ゲレンデの上の方で皆撮っていますよ」というのでそこも登ってロケハン。しかしどこに花火を置くのだろう?もう置いてあるのか?双眼鏡で目を凝らしてみるがそれらしきものはゲレンデのどこにも見あたらない。
 仮眠室で2時間ほど寝てもまだ16時頃。18時頃になってなんとようやく花火屋さんが登場。車の屋号を見て担当は「太陽堂田村煙火店」と知る。ここは茅野市だから地元の花火屋さんということか。
 暇なので花火のセッティングを興味深く眺めていると、なんと花火を並べはじめたのはロッジからそれほど離れていないごく近くでメインの滑走コースのど真ん中ではないか。いや、これほど打上場所が近いとは。それでゲレンデ営業時間中には花火をセットできないわけだ。
 19時30分頃に待機していたロッジ屋内から機材を出してロケハンしておいた子供用ゲレンデの上部まで徒歩で担ぎ上げる。ゲレンデ全体が見渡せる視点の高さがいい構図と思われた。雪面に三脚を固定するのは難しい。持っていったプラスチックのお皿の上に脚を載せようとしたが、皿自体が雪面で滑って使えないことがわかり計画倒れだった。結局そのまま脚が刺さる辺りの雪をしっかり踏み固めて固定した。
 20時。松明滑降でイベントは始まる。途中いくつかステージイベントがあり花火は20時30分〜40分頃から。
 松明パレードでレリーズしたら今度はシャッターが閉じない!動作不良だ。ウンともスンとも動かなくなり三脚から下ろす。原因はバッテリーダウンか?替えたばかりなのにどうして?どうやら極性を間違えて入れてしまったらしい。とにかく再度新しいバッテリーに交換して事なきを得た。ああ、本番撮影前に空シャッターを切っておけば……。松明パレードのカットをおシャカにし、しかも危うく一枚も撮れない羽目に!
 気を取り直して花火から行く。眼下では「どんど焼き」が行われていい前景になる。後半から打上場所は2箇所に増えて圧巻だった。夜になっても快晴のままだったが少々風が出て流され気味。
 花火の内容は太陽堂田村煙火店ということで、思っていた以上に良くて楽しめた。発色も綺麗だった。全てスターマインで10セットくらいか、最大で5号、いや4号だろうか。あとは乱玉、幅の短いナイアガラ仕掛け、火輪などを加えてけっこうバラエティ豊かな内容だった。スキー客もそうとう至近距離からナイアガラやスターマインを観ている。花火は全部で20分足らずくらいの打上時間。
 機材はマミヤ6451000Sに45ミリ、55〜110ズーム。使用レンズは持っていった最広角が28ミリ(135ミリフルサイズ換算)。これで目一杯。引きが足りない感じで縦位置でも目一杯のフレーミングだ。次回は同じ場所ならさらに24ミリくらいを用意したい。ナイアガラだけのアップに135ミリカメラと望遠レンズがあれば。と思った。
 撮れないカットもあったが、ナイターゲレンデのなんとも幻想的なよい雰囲気、冬の雪上花火は素敵だ。車山は花火内容も良くシーズン中に3回(1992時点で)の打上があるので今後も撮りたいところだ。スキーなどウィンタースポーツもやらない私だがこれからの冬の季節に楽しみが増えたと思った日だった。
 肝心の帰りだが、ゲレンデから大門峠駐車場までの送迎バスが16時30分で終了しており、結局大門峠まで約3キロメートルの雪道を機材を全部持って歩く羽目になった。ゲレンデからの帰り客の車が何台も連なって脇を通り過ぎるが、無数の好奇の視線に晒されることになった。だって歩いているヤツなんか居やしないもの。だけど気分は観たばかりの花火に上気していて寒さなど感じなかった。大門峠に着けば真冬なのに汗だくだった。この点が今後の課題だ。ゲレンデ近くの駐車場に空きが出ただろう午後に、送迎バスの在るうちに空身で峠まで戻って車を近くまで移動しておけば良かったのだ。それとロケハンとゲレンデ上部からの撮影ポイント開拓にスキーが出来ればなぁ……。花火までの暇つぶしにもなるし。
 今度の事でどうやらメインのブローニー645が一台だけではもしもの時全損する恐れがあると感じた。早々に645をもう一台増やしてメイン、サブの2台体制にしなくては。
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