「スターマイン・ゴールド&シルバー」の撮影ノート
金と銀、実際の星はそれぞれ明るさが異なるため単独で撮ればその露出はまったく別になります。出来あがった写真上では、金と銀(白)に写っていなければなりませんから、同時展開のこの打ち上げでは双方がトビもせずツブレもしない折り合いのつく露光をすることがポイントになりました。ある程度錦冠の方は絞りを(銀に対しては)開けることで救済しなければなりません。そこで全体として白トビを押さえるために玉があまり重ならない内に早めに次のカットに送るという操作もしてバランスをとっています。ベイブリッジはライトアップがあるのでなんとか写ってくれたようです。
花火の場合はどんなときでも、同じ玉を撮っている最中に絞り値を変えて何カットかおさえておくことは不可能です。ですから最初の設定で決まってしまいます。スターマイン等の場合は打ちはじめで様子を見ながら、次のカットに送る(巻き上げ時)時に絞り値を修正する事が普通です。この作品はこうして全体で4〜5カット撮った中からのセレクトになりました。スターマインの常で、次第に大きな玉を打ちますから巻き上げ時にズームでフレーミングも修正する(次第に引く)ことになります。風景やポートレートと違って花火写真ではトリミングは不可欠である、というのが持論ですが、撮影時にトリミングする(つまりフルフレームで撮る)にこしたことはありません。この作品も左右は殆どカットしていません。
この撮影場所、臨港パーク内からは概ねベイブリッジは真横の向きとなります。アクセントとしてベイブリッジを入れるなら、臨港パークは打ち上げ面に対し左右に幅があるので、打ち上げ台船つまり打ち上がる位置に対してブリッジをどこに配置するかが作画上のポイントになります。打ち上げ台船の位置は風向きや潮の流れ等で変わる場合があり、必ず毎回綿密に撮影場所を割り出さなければなりません。同じ場所で打ち上げる神奈川新聞花火大会では二尺との相互関連もあり臨港パーク内からでは絶対にブリッジと花火が組み合わせられないような位置に台船を置く場合があります。
撮影場所選定時は二つの台船の位置、風向き、ベイブリッジの相互の位置関係そして打たれる玉の最大号数などを考慮しています。花火の星の流れに方向性が生じるくらいの風がある場合は、風向きは重要で撮影中常に頭に置いておかなければなりません。とくに風に対し直角の位置に居る時、画面上で左右どちらかから真横に吹いている場合はなおさらです。画面に方向性が出るならそれを考慮してフレーミングもまたずらす必要があります。。玉が良い位置で開花してもその星先は画面外に出てしまう、ということを避けるためです。
by 小野里公成
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