花火野郎の観覧日記2015
観覧日記その3 3/15
第4回 海楽フェスタ花火大会
茨城県・大洗町
観覧場所の三脚群 |
打ち上げ場所をのぞむ |
10号・四重芯変化菊 |
10号・紅八方咲 |
10号・夜空のイリュージョン |
10号・錦千輪 |
10号・青緑変化牡丹 |
5号・フラワーギフト |
10号・イルミネーション |
10号・錦冠菊 |
10号・錦冠チョウ |
10号・夜空の百花園 |
10号・四重芯変化菊 |
10号・銀冠菊 |
5号・タコ花火 |
10号・錦冠八方菊 |
10号・黄金点滅 |
10号・時間差変色八方咲 |
5号・光の七変化 3枚合成 |
10号・光の波紋 |
5号・あんこう花火 |
10号・銀冠菊 |
10号・変化牡丹八方咲 |
10号・五重芯変化菊 |
スターマイン 大洗を彩る火の芸術 |
スターマイン 大洗を彩る火の芸術 |
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朝からどんよりした天気だ。昨日に引き続き再び水戸方面へ。今度は昨晩の帰路を往路に使う。4号バイパスを北上し、宇都宮上三川ICから北関東道という半分高速費節約のルート。これで1時間40分くらいで大洗ICだ。
正午頃に現着すると、マリンタワーのあるイベントメイン会場はすでに大にぎわい。たいへんな人出だった。イベントの臨時駐車場にとりあえずインする。みれば全国各地からの車両ナンバーが勢揃いだ。
先日下見をしたわけだが、風向きにもよるけれど観覧できそうなポイントは本命のサンビーチ以外は、花火からの距離がけっこうある。とくに北風になるととたんに距離が伸びる。イベント会場からマリンタワーとのコラボもいいけど混むだろうしなぁ。車から降りようという時、海際を人が歩いているのに気が付いた。ここは普段は駐車場ではなく埠頭の一部だからイベントのない時に港湾関係者以外で立ち入れるのかどうかわからない。見に行くと埠頭の尖端が東屋のある広場(公園ほどではない)になっているのに気が付いた。釣り客が10人ほど居た。そこから観ると打ち上げ場所の突堤はすぐ右隣からまっすぐに延び、右正面に打ち上げ筒が見える。夜ここに入れれば風向きが良ければ使えそうな観覧場所だと思った。しかし今自由に入れても海際というのは暗くなってからの落水事故を避けるためか立ち入り規制されることが多いから使えるかどうかこの時点ではわからない。
イベント会場に入るとちょうどステージでガルパンイベントの真っ最中。そこをとりまく観客の数はもの凄かった。これは昨年より遙かに多い気がする。その脇をぬって商工会テントにて協賛金を納める。同時に打ち上げプログラムの載ったパンフとガルパンカレンダーをゲット。協賛といってもひと口500円なのだから大きなことは言えないが、昨年同等となれば野村花火工業製のそれなりの花火が観られるのだから安いものだ。前日はこのパンフがどこにも無かったが、どうやら観光協会の作るそれと2種類あることがわかった。観光協会の公式HPでは打ち上げプログラムが掲載されているこちらはアップされていない。
アニメの聖地のイベントに隣は水戸市の野村花火工業による素晴らしい花火打ち上げが伴ったことで、アニメにまったく興味がない花火ファンをもこの地に呼ぶことになった。昨年に引き続きまたこの花火が開催されることは嬉しい。簡単に聖地となったアニメについて解説すると、大洗町が舞台の作品は「ガールズ&パンツァー(ファンの間ではガルパンと略されている。2012年10月〜12月、2013年3月放映済。全12話+総集編2話)」。戦車を使った武道「戦車道」が華道や茶道と並んで大和撫子のたしなみとされている世界を舞台とした作品で(だから流派もその家元もある)、女子高生たちが戦車に乗って他校の戦車チームと対抗戦を繰り返す。という内容だ。戦車道を通じて少女たちが絆を深めていく姿を描いた物語。 対戦では戦車数台で1チームとなり、主砲を撃ち合うという派手さと、戦術戦略の面白さ、世界の往年の名戦車が勢揃いと萌え+ミリタリーという希有な組み合わせが受けた。作品としては近年けっこう人気を博したものではないかと思う。
昼時なので立ち並ぶ飲食ブーステントから釜上げしらす丼をチョイスって昨年も同じだったような……。あちこちで立ったりすわったりで思い思いに飲食しているファンたちで溢れている。私も地元がアニメの有名な聖地のひとつだから、こうして多くの来訪者で賑わって、町が活性化している姿を見るのは喜ばしい。昨日のうちに土産の類は買ってしまったので、あとはただ花火のことだけ考える。
到着時からすでに風向きが微妙でどの予報とも合致しない。どうしたものか。その後いったん昨年と同じサンビーチの駐車場に入れてみるものの、あれ、風向きが……北東風か。風下気味じゃないすか。それに打ち上げ場のある突堤からサンビーチ側は砂浜から波打ち際近くまで広範囲に工事中で、そのエリアには立ち入れなかった。もちろん昨年くらい離れて渚まで出ればば平気だけど風向きが問題。
再び元の駐車場に戻して、天気予報や地図で細かく観覧場所を検討する。予報通りなら今居る場所は風下。しかし実際は昨日と同じような北東風。そのうちにパラパラとひと雨来たがほんの僅かの時間だった。結論が出ないままとりあえず昼寝。
起きてみると海際の柵沿いにいくつか三脚が立っているのを観て、とりあえず遅れじと場所を確保する。それまで釣り客が並んでいた場所が三脚に変わっていく。ここはメインの道路からも離れているのでこういう場所があることすらわからなないと思うのだが、次々に花火愛好家がやってくるので驚いた。そしてご挨拶しているうちにたちまち三脚の壁になっていった。その頃には晴れた空に変わり沈みゆく夕日も綺麗な好天。風は相変わらず北東風。フェリー埠頭に着岸しているサンフラワー号の煙突からの排煙もそういう向き。夕方になっても変わらずに来たか。ここで決めようか。運搬距離が減るように車をより海際に駐め直した。付近を埋め尽くしていた車もイベントが進むに連れて次第に少なくなって午に到着したときの半分くらいになっていた。タブレットで現地で地図を観られるわけだが距離を測るのはだいたいにならざるをえない。それでここから一番奥の10号の打ち上げ場所まではおおむね530〜540メートルくらいとみた。
車で待機している時に、すぐ隣に入ってきた車をふと見ると、担当煙火店・野村花火工業の野村社長の車じゃないですか(ご本人が運転)。降りて三脚群の方へ向かっていった所を話しかけてご挨拶し、しばらく歓談させて頂く。野村氏も「観るならここが一番だよ」と言ってどうやら後ほどこちらで観覧するらしい。各地からの愛好家も集まり野村氏の周りにまた輪ができる。私も多くの愛好家の方々と歓談できて楽しい時間だった。暗くなりすぎないうちに機材を運んでセッティング。写真的にはここは、どう高感度で露光をかけようが闇夜に花火だけ、の場所だ。前景も無くひたすらに花火玉のみ鑑賞となる。だから花火前後にそれなりの大洗的風景を盛り込みたい撮り手には向いていないかもしれない。
あたりが暗くなる頃、打ち上げに備えて消防車と署員一行が埠頭の駐車場先端部に待機するべくやってきた。のちに署員が三脚を建てている我々に、海沿いなので注意して下さい。と声を掛けてまわったが立ち退きとかは無くて観覧、撮影は晴れて続行だ。
開始が近づくとメイン会場からの音楽が途絶えて静かになった。定刻どおり19時30分に1発目。後はプログラムを読み上げるアナウンスが聞こえて、タイミングが掴みやすかった。
開幕はおなじみとなった「いきなり四重芯」。最初の10号が開花して驚いたのは、「上と下で違うかよ……上空は予報通りか……」。なんと10号開花域は南東くらいのやや向かい風。しかし5号域は北よりの風と、真逆に近い風。だから冠系では途中まで落下した星が反対方向に押し戻される様な感じで向きを変えて折れて行き、なんとも全体の形が奇妙に崩れてしまう風条件だったのが惜しまれる。
カメラは2台でのぞんだ。サブの方で固定写しにしようとしていたが、当初予定していた撮影場所(サンビーチなど)と違って間合いが詰まり、画角がやや厳しかった。
メインの方は広角側に余裕があり、追い写しなので画面から逃げる事はないのだけれど固定の画面だと、今回けっこう冠系など引きの長い玉は、妙な形に風に流されたので余裕の画角にしておかないと、盆の大小、玉の高低や左右のブレで画面内に収まらなかったり、外れたりしがちだった。
10号の位置では風の流れが遅く、煙が滞留し開花の前面に浮く。クリアな条件にならなかった。いくつもの素晴らしい玉が少々霞んで惜しかった。だから撮影も事後処理も煙浮きが気にならない程度に抑えている。
型物のあんこう花火は、サブカメラで撮る。ペンタックスの方は撮影設定が2つ記録できるので、つまり通常花火撮影設定と型物設定とがワンタッチで切り替えられる。新しい645Zだとこれが4パターンに増えている。普通なら、通常花火専用、型物専用とカメラ2台必要だが(実際にそうしていた大会もあった)1台で済むので便利。しかし設定は変えられても向きや画角は10号撮りの時と違うので、次にきちんと元に戻す、というのも忘れてはならない。
そのあんこう花火は向きがなかなかこちらに正向きに決まらず難しかった。ちょうど私の背中側ずっと後ろがメイン会場だから、多くのガルパンファン達と見ている方向はほぼ同じ(なぜ「あんこう」の型物なのかは 昨年の観覧記参照)。野村社長いわく、タコも特産だから、とタコ花火も依頼されて追加したらしい。ちなみにタコはアニメと関係がない。
今回も、星掛けに手間を凝らした玉が多く見られ、時間差変色系の星は5号にも10号にもいくつものパターンで盛られた。昨年はただ、「四重芯変化菊」とだけ記された玉はのちに「光の波紋」と命名され多くの愛好家の評判を呼んだ。今年はプログラムに最初から「光の波紋」と明記、しかも配色を変えたバリエーションだった。青色の引きに緑の波紋が拡がるこれまでの玉の緑色部分をピンク系に変えた。波紋を水面の波紋に連想しこだわるとなると、違和感があるかもしれないが、バリエーションとしてこれはありなのじゃないかと思う。こうして光の波紋が試し打ちされたように、今回も実験的あるいは試験的と思われるものが盛り込まれたように思う。一番秀逸と感じたのは、変化牡丹八方咲きで、芯入八方菊を時間差変色のイルミネーションの星で組んだ物だ。途中の四重芯も形良く決まり、最近はさすがに絶叫系ではなくなった私だが思わず何度が感嘆の声が漏れる。野村花火も本当に玉の種類が増えたなぁ。夏でも茨城県内の野村花火担当の大会にでも来ない限り、やはりこれだけの10号の種類をまとめて見られる機会はほとんど無い。希少なひとときを楽しませてもらい感謝するばかりだ。
花火は20時7分が最終カットになっている。気象条件などはともかく、四重芯、五重芯を含む尺玉26発というこの打ち上げ内容で満足しない花火愛好家は少ないだろうと思う。この場所以外で大洗町のあちこちで、それぞれの思いを込めた観覧場所で心が満たされていることだろう。私もまた撮りの上ではああすれば、こうすれば、というのが多々あれど、花火そのものは味わいきって満足の心で帰路に付いた。駐車場から出るにもスムースで、来た道を引き返すルートで22時30分頃帰宅。 次はどこから観ようかと、終わったばかりなのに早くも来年の開催を待ち望む私が居る。
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