風向きと撮影時の位置取り
花火撮影において、花火会場現地で真っ先に考慮しなければならない点は風向きです。それがもっとも事前に予測できない要素であり、また撮影の度毎に変化する条件であるからです。
ここで打ち上げポイントを中心とした、撮影場所の位置取りを考えてみましょう。花火に対して完全な風上に立つのは当然であり、理想といえますが、地形や立ち入り規制などの諸条件により常にこうしたベストポジションが確保できるわけではありません。また構図作成上、花火とともに写したい何かしらの地上物(点景)と花火の位置によっては撮影場所は下図のようなエリアにならず、狭い一点になってしまうこともあります。
それではどの程度の範囲でなら撮影に支障をきたさない(作品に煙の悪影響を与えない)といえるでしょうか?下図を参照して下さい。
花火に対して本当に好条件の撮影場所は風上の120度くらいの範囲(青色)です。ここを含む黄色までの240度くらいの範囲がほぼ撮影可能なエリアといえるでしょう。この範囲でも黄色からピンクに近づくほどに煙の影響を強く受け始めるので、できれば横風となる90度地点、つまり風に対して直角の位置から風下に向かってはなるべく避ける方が無難でしょう。
完全風下のレッドゾーンに近づくほど、花火の前面に煙が浮き、撮影不能(観覧も不可)になっていきます。
風を考慮した撮影の位置取りは以上のように基本的な許容範囲は比較的広く、この中でどこに三脚を置くか?が撮影の決め手となります。風向きと打ち上げ場所、撮影場所の相対的な位置関係を常に把握し、風に相対する角度を自由に選ぶことで、全く風を避けたり、在る程度沸いてくる煙を活かしたりといった作品作りにも幅が出てくることでしょう。
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