検証!Nicon Coolpix880に搭載の
「打ち上げ花火モード」は使えるか?

880.gif NiconのCOOLPIX 880ではノーマルなプログラムAEモードの他に、いわばプログラムAE集といったシーンモードが搭載されている。
 これらは、撮影シチュエーションに最適になるように合わせたプログラムAEの集合といえる。特筆なのは、従来からどのようなデジタルカメラにも搭載されているような夜景とかポートレート、逆光などに加えて打ち上げ花火モードが用意されていることだろう。さてこの打ち上げ花火モードはどこまで実際の花火撮影に使えるだろうか。
 打ち上げ花火モードの初期設定では、フォーカスは無限遠=遠景、シャッター速度4秒、絞り広角側でF7.8、望遠側でF11.3(いずれも最小絞り)、スピードライト発光禁止の各設定に固定される(変更不可)。
 画像サイズ(フルサイズかVGAモニターサイズかなど)と画質(FINEとかNORMAL、非圧縮など)は選択できる(これはSETUP機能であらかじめ設定しておく)。また光学ズーム、電子ズームも変更可能である。
 シャッター速度が4秒だからスターマインや単発の割物を撮るには必要充分だと思う。
 取扱説明書には「打ち上げられた花火を追いながら、はじける直前でシャッターを押すときれいに撮影できる」とあるが、当然ブレブレになるので、「三脚を使用してください」の説明も記載されている。
 デジタルカメラであっても花火そのものを撮るなら、小型軽量であっても三脚は不可欠だろう。たとえ花火をバックに記念撮影をするような時も(自分自身が写るためにも)三脚はほしいところだ。こうした記念撮影の時には、スピードライト発光禁止では意味ないので、シーンモードの中でもスピードライトが同調して背景もバランス良く撮影できる「夜景モード」で撮ることになる。 

 さて基本設定だが、この絞り値でISO100相当に感度設定してあれば、花火撮影でもっとも一般的な広角側で撮影したとき、単発の割物はともかく、絞りがF7.8では、スターマインなどではやや露出オーバーになるのはまぬがれないだろう。プログラムAEなので露出補正は効かない。それでも低価格デジタルカメラに搭載されているプログラムAEよりずっとましである。なぜならフォーカスは遠景に固定されるし、絞り込まれた(光量が制限された)状態に固定されているからだ。
 これが普通のプログラムAEだと、オートフォーカスは定まらないし、測光した上でシャッターが遅くなると同時に絞りも開放してしまう(しかも開花前の測光は不可能)。
 COOLPIX 880では「打ち上げ花火」に特化したプログラムAE設定で、初心者にも手軽に(三脚を使用した場合に限るが)花火写真風に撮影出来るように設定されているといえる。
 画質、色調は334万画素で上位のCOOLPIX 990同様の自然な発色である。
 もっと厳密に色合いを綺麗に出したいとか、スターマインなどでのオーバーを軽減したいときには、カメラ側の設定を変えることで対処できないので、花火そのものの光量を落とすべくやはりNDフィルターを画角に合わせて1〜2種類(減衰率の違う物)用意して使うとよいだろう。さらに打ち上げ花火モードでスターマインなどがオーバー目にいくときは遮蔽紙や帽子、レンズキャップなどで早めに露光を遮ってしまうと良い。
 COOLPIX 880はレンズの鏡筒は沈胴式で、電源ONになってはじめてせり出してくるが、ズーム機構は内式なのでレンズ本体の全長が長くなったりしない。レンズの鏡筒の直径にあわせてかぶせ式のフィルターを自作するとベストだろう。別売りのアダプターリングを使用すれば常時フィルターを付けたままに出来る。
 COOLPIX 880もやはり広角側が(35ミリカメラ換算)38ミリと足らないので、花火撮影にはWC-E63かWC-E24のワイドコンバーターとアダプターリング(が無いとコンバーターを装着できない)はぜひ欲しいところだ。
 さらに本格的に花火撮影をするなら、マニュアルモードにすればCOOLPIX 990に近い細かな設定で撮影することも可能だ。ただし絞り羽の設定が2段階(開放か絞り込みか)しかないので、やはりNDフィルターを使って細かく露光を変えてやるとベストだ。これはレンズの口径も無いしメカニカルな絞り羽を仕込むのは無理であるためだろう。絞り値が2段階しかなくても、完成品のカメラとしては、普通に写真を撮るなら電子的に無段階にスピードが設定できるシャッター側で柔軟な露出を与えられるからだ。
 バルブシャッターモードも搭載しているし(最長60秒、リモートケーブル必須)、ステップアップが可能な機種といえるだろう。もちろん動画撮影や高速コマ録りも可能なので花火撮影の幅を拡げてくれるだろう。
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