一眼レフデジカメの花火撮りに於けるインプレッション3
Nikon D300/AF-S16-85mm F3.5-5.6VR

●撮影データ
   
   
カメラ Nikon D300(リモートレリーズ使用)
レンズ  AF-S 16-85mm F3.5-5.6VR (VR機能はOFF)
ISO感度  200
画質モード/サイズ FINE/L(JPEG)=最大サイズ
色空間 sRGB
ホワイトバランス 太陽光
撮影モード/シャッター設定 M-マニュアル B(Bulb )
ピント AFを外しマニュアルフォーカスにした上で、ピントは無限遠に“手動で”合わせる。
F   16(基準値=花火に合わせて可変する)
自動ノイズリダクション OFF
NDフィルター 未使用
1 コマ撮り     
その他各種の設定はデフォルトのままとしている。カメラで測光しないので測光パターンなどはどれでも関係ない。ピクチャーコントロールはスタンダードまま。
必要なメモリ容量は画面サイズや画質によって変わる。上記の設定では約350カット撮影可能である(4GB CFカード“SanDisk コンパクトフラッシュ EXTREME IV 4GB”使用)。

●ハンドリング
 
 花火撮影用には、モードをMマニュアルにして、シャッターダイヤルを回していってBulbにするだけで、あとはマニュアル機と同等に操作できる。使用レンズには絞りリングが無いので、撮影中の細かな絞り操作はやはり本体のダイヤルでやらなければならないが、それに慣れれば問題ないだろう。
 写りは、まずデジタルであるから、最新機種といっても飛び、ツブレに弱い。この意味でポジを使うよりよほどラチチュードが狭いといえる。しかし高価格な機種だから高望みする部分であり、安価な機種に比べればよほど(オーバー、アンダーを)耐えている方だろう。
 APSサイズのフラッグシップモデルだけあって、何よりもファインダーの見え方が抜群だ。マニュアル機と変わりなくしかも視野率100パーセントのファインダーは快適そのものだ。液晶モニターを使用しなくてもファインダーを覗いて構図を決め、撮影するのになんら問題がない。つまり撮影構図がそのまま結果として得られるのでストレスがない。
 本体のレスポンスも快適だ。単発、連発(スターマインなど)、連発の中での素早いカット送りをしても遅滞なく反応してくれる。
 本機のISO感度は200からの設定になっているので、花火用にはNDで落とした方が取り回しがいいと思う。本体の設定で電気的に減感してISO100などにもできるが、取り説にも調子が「硬調」になると記載されているので歓迎できない。減感設定は、「やればできるけど」程度のイレギュラーな機能のようだ。
 経験から来るフィーリングとしては、バルブで夜景などを撮ると一般的なポジのISO200よりは露光の進みが速い様に感じる。花火撮影の結果はデジタルカメラ特有の特定の色の偏りが見られるが、それ以外はなかなかよい方だと思う。この傾向はこのインプレッションでもメーカーを問わずペンタックスでもキャノンでも同様なので、受光素子そのものの癖かもしれない。
 他のレンズでもよくあるが、花火撮影に欠かせないピントの無限遠設定が、ピントリング回しきりの位置になく、少し戻したところにある。従ってMFで撮るのは当然として、撮影するその場で無限遠に予めピントを取っておくことと、撮影中はそれが外れていないかを絶えず再確認する必要がある。
 一般用途のハンドリングとしては、逆光〜半逆光気味の条件では、カメラ内の露出計だとかなりアンダー目に転ぶようだ。菜の花を透過光気味に撮る半逆光の条件下ではことごとくアンダーになってしまったので補正が必要だった。まったくデフォルトのままだと全体に色調はアンバーというかRとYがでてきて僅かにオレンジぽい感じだ。これはピクチャーコントロールで多少補正するといいのかもしれない。また緑系の出が弱いのでこれも補正出来ればと思う。全体としてはポジと比しても色濃度やコントラストは充分なレベルだと感じた。
  
作例 デジタル分はリサイズとトリミング以外は元データに一切手を加えていません。

結果としてデジタルの方が
露出は良かったが、
緑系の発色は独特。

ポジフィルムで撮った絵。

雪と空をバックにした
明暗差が激しい難しい条件。
カメラ任せでも人物が真っ暗に
ならない露出は見事

雪をバックにしたカラフルな風車。
プログラムモードでカメラ任せだが
雪の白さに引っ張られない確かな測光

色空間Adobe RGBで撮ったままの絵
リサイズのみ。

左と同じ絵をPhotshopで調整
リサイズ。

ポジフィルムで撮った絵
     

ポジフィルムで撮った絵
     

色空間Adobe RGBで撮ったままの絵
リサイズのみ。カメラの露出まま。
全体にやや黄赤味の傾向。
ポジと比べると黄色と緑の色の差が眠い

左と同じ絵をPhotshopで調整
リサイズ。

●問題点 純正リモートケーブルが全くダメだ。というのが最大の欠点。
   
 花火撮影には無くてはならないケーブルレリーズ=リモートケーブルだが、D300専用でニコンが純正オプションとして用意しているのは2種類、MC-36とMC-30である。しかしこの双方とも全く花火撮りには用が足りない。
 使い勝手としてはD70sなどに使用できるMC-DC1が一番で、押す、そのまま上にスライドさせると固定、という構造で、いわゆる電気的なリモコンとしてはこの方法が私としては一番花火に向いている。しかしMC-DC1はD300には使えない。カメラ本体のコネクタ形状が違うからだ。
 まずMC-36は、インターバルタイマーの設定などが出来る高機能なリモコンだ。しかし現物を店で見ると驚くほど「でかっ」で、しゃもじや液晶テレビのリモコンくらいの大きさである。とてもじゃないが撮影でただシャッターのON、OFFができればいいだけには大げさすぎる。
 MC-30は機能的にはON、OFF、固定だけで問題ないが、ストロークが長く重い。リモコンとしての形状も握るには小さいし指先では持てない微妙なサイズ。しかもケーブルがゴワゴワして太すぎてリモコンを動かすとカメラ本体まで引っ張られそうな硬さだ。このリモコンには「向き」があり、当然のように右手で操作するように設計されている。ロックするボタンが右手に持ったとき親指で操作できる位置にある。左利きの私はレリーズは左で持つのでこの仕様は無理なのだ。素早い花火撮りにはレリーズとロックを両手で操作しなければならないので、それは現実的ではなく使用は無理だった。
 ケーブルが硬い理由はなんと10芯でしかも銅網線で被覆された同軸ケーブルを採用しているからだ。これではゴワゴワなのは仕方ない。実はシャッターの操作をするには、回路上は内芯は3本在ればいいのだ。つまりGNDとシャッター半押し(速光ON&フォーカシング)、シャッター全押しの3接点だ。接続線はたった3芯あればこの動作が出来る。3芯ケーブルならもっとしなやかで細くできたのにどうしてしないか。それはコネクタ一体の10芯ケーブルをニコンが特注で大量に作り使い回しているからだと思う。より動作接点が多いMC-36用に10芯が必要で、その部品を下位のMC-30にも使っているため、無駄で使用していないケーブルが7本と網線まで不要になっている。
  
●リモートケーブル改造
  
 私はMC-30を買ったものの、あまりの使い勝手の悪さにどうしたものかと悩んだ。銀塩のアナログなケーブルレリーズなら左右どちらの手でも良いし、純正品でなくてもいくらでも選べるが、リモコンスイッチとなると何でもあるというわけじゃない。そこでサードパーティのリモコンはないものかとネットで検索して探し、購入して改造することにした。ところが本体への10ピンコネクタが特殊な部品らしく、秋葉原で同じものを探したが容易に見つからなかった。MC-30のコネクタはケーブルと一体成形になっていて分解して結線しなおすことができない。それでコネクタ近くでケーブルを切断しサードパーティのリモコンのケーブルとそこで繋ぎ直すという簡単な改造を施した。MC-30のリモコン本体を解体し、GNDと速光ON(シャッター半押し)、シャッターONが10芯中のどの色のリード線かを確認して、同様にサードパーティのリモコンの同じ接点のリード線と繋げば良いだけである。ケーブル長は約50センチとした。ハンダ付けが出来る方なら容易に製作/改造出来るだろう。純正にこだわるのであればMC-DC1を元に改造するのもいいだろう。
 このリモコンはD300用も販売されているが、ケーブルが花火用には長すぎるので短くする改造は必要と思う。
 使用結果は上々で、純正のMC-DC1と同じ使い勝手ながら手にしたときのサイズがひとまわり大きくいい具合である(写真右)。

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