シャッターまたは遮蔽紙の開閉のタイミングについて -爆芯は花火のアイキャッチだ
特に、菊や牡丹の割物花火を単独で、あるいは数発を散らして写す場合ですが、これまでは単に打ち上がったらバルブを開けて撮るだの、数発写したら閉じるのと曖昧に解説してきました。それは花火写真に容易に取り組めるという面を強調するためでありますが、もう少しつっこんで、では一発の花火について「いつ露光を始め、いつ閉じるのか」を考えてみます。
この時大切なのは、「肉眼で開花を見てしまってからでは、その花火を露光するには遅すぎる」ということです。
なぜそれでは遅すぎるのでしょうか?それは花火とは見たそばから消えていくものだからです。上空で玉が開き、それを見てから反射的にレリーズしたとします。この時点で、爆発した瞬間から、花が形作られるまでの光跡はもう写りません。消えてしまっているからです。極端にレリーズのタイミングが遅れれば、写像の上では中心部の無いドーナツ状の花に写っています。肉眼では目の残像作用で見えた気がしていてもカメラはそうはいきません。古の昔は遮蔽紙は、「気に入った花火を選んで写す」ために使われたとされていますが、「いいな」と思った時には消えている玉を選んで写すもないものです。
もちろんこの写りを変に思わない方は気にすることではないでしょう。しかもスターマインなどの連発では、遮蔽紙などでコントロールしても、全ての打ち上げ玉にタイミングを合わせることはできません。
いずれにせよ中心のない花火画像は少々締まりのない姿といわねばなりません。菊や牡丹の割物花火を単独であるいは、数発かを一画面に写すとき、その写真を印象的に見せるためには爆発の中心(爆芯)が写っていることは非常に重要なことです。それはポートレートでいえば「アイキャッチ」の様なものと考えて下さい。目の中にキャッチライトが入るだけで表情がイキイキとしますね。それどころかポートレートなら眼を閉じているか開いているかくらいの大きな違いと言えます。スターマイン等の連発で写っている花火全てに爆芯をとらえることは難しいですが、ただの1発だけを写した写真、またはその画面内で重要な位置にある一番目立つ玉でそれが抜けているものは花火写真としては、一番大事な要素のひとつが抜けているという意味で零点といえます。
したがって一発の玉の露光開始点は、筒から射出された直後から開いてしまうまでの間です。シャッターを閉じるのはその玉の全ての星が消えたあとで良いでしょう。 |
爆発の中心が抜けた場合
=レリーズが遅れた
正しく中心が入った場合 |