割物花火・小割物・ポカ物・昇り曲付き

 日本の伝統的な花火の技はやはりこうした単発の割物(わりもの)打ち上げ玉に凝縮されているといえます。なかでも直径30センチの尺玉(しゃくだま) =10号玉は代表的な存在です。芯を入れるなど複雑な細工をするには7号玉以上の大きさが必要とされます。またこの伝統的な割物花火ほど花火師の技能や特色が表れる花火はありません。幾重にも芯の入った精巧な菊花型割物になると花火師なら誰でもが作れるというものではないようです。
 割物は菊や牡丹に代表される分類、半割物は割物ほど強い割薬を使わない場合で、冠菊などがそうです。小割物はより小さな花火玉を内包している場合で千輪物がこれにあたります。ポカ物は割薬の量も少なく、また大きな号数の玉もあまり作られません。蜂や飛遊星によく見られます。
 スターマインの賑やかさ華やかさに対し、単発の割物には凛とした美しさには独唱の、一輪插しの重厚な存在感があります。こちらではこうした割物のほか半割物、ポカ物花火の基本的な種類と、これらを打ち上げる時に目を楽しませてくれる「昇り曲(のぼりきょく)付き」について解説します。

菊と牡丹はどう違う?をより詳しく知りたい。
割物に付けられる、玉名(ぎょくめい)の法則?
昇り曲付きのいろいろ  
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割物・菊
最も古典的な花火で割物といえばこの菊花型割物花火のことです。星がオレンジ色の尾を引いて飛ぶことから「引き」とも呼びます。
割物・牡丹
星が尾を引かずに、色や光の点で形を描きます。構造的には菊と変わりません。牡丹にはこうして芯が入るのが基本です。
割物・芯入り菊
内側に芯が入り、二重の同心球になるものです。変色星を使用した物は花弁の色が変わり、高級品といえます。
割物・八重芯変化菊
(やえしんへんかぎく)
全体で三重の同心球を描く菊花型割物花火の逸品。全て球の中心は一点で揃うのが理想的。
割物・三重芯変化菊
(みえしんへんかぎく)
三重の芯を持ち、全体で四重の同心球を描きます。日本の花火の最高技能。製作も難しくいわば芸術品といえます。
割物・雌雄芯変化菊
(しゆうしんへんかぎく)
中心の星に打ち星などを混ぜて、おしべ、めしべがあるように開く菊型花火です。
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大葉入り・トケイ草
(おおばいり)
星に外側の花弁に達するほど大きな打ち星を混ぜた物は、大葉入り、トケイ草などと呼びます。
割物・錦菊
(にしきぎく)
金色の星を使った菊型花火です。冠(かむろ)と違って星は長く落ちません。
割物・錦変化菊
(にしきへんかぎく)
菊と比べるとより明るい錦の引きから色に変化する菊物花火です。
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半割物・錦冠菊
(にしきかむろぎく)
金色の星が長くゆっくりと枝垂れて落ちるのが特徴。消え際に「ピカッ」と光露を入れた物が多い。俗に「しだれ柳」ともいう。
割物・芯入り銀牡丹
(しんいりぎんぼたん)
銀色の星を使った割物花火です。冠(かむろ)と違って星は長く落ちません。
割物・芯入り銀冠菊
(しんいりぎんかむろぎく)
白銀の花弁が長く垂れて落ちていくのが特徴です。
割物・半割物の続き

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