勝手に「こころ」de 花火ウォッチング
オリジナルコンプリート版

title.jpg なにかと話題のNHK連続テレビ小説「こころ」です。 主人公の父親が花火師という設定でもあり、花火はこのドラマで重要な存在になります。ストーリー展開やドラマの仕立て、出演者などの話題は専門ページや掲示板にゆずりまして、こちらは花火のホームページですから、「こころ」の花火がらみのシーンについて考察、ならびに情報そして突っ込みを掲載してみましょう。
注 ここに掲載してある画像は出演者の肖像権を侵害するものではありません。
      
 おおまかなあらすじ− 浅草生まれのちゃきちゃきの江戸っ子、末永こころは23 歳。お祭りが大好きで、男勝りで気風がよく、ひとたび何かあれば、モットーの「心意気」で何処へでも飛び込んでいく。こんな元気印の彼女の、波乱万丈の物語が始まる…。
 しかしバツイチで子持ちの男との結婚話に、浅草中が大騒ぎ。特に母親は、自らの結婚の失敗からも娘の幸せな結婚を望んでいたため、猛反対する。一方男の側でも、弟の母親代わりになっていた中学生の娘は、父親の結婚が面白くない。しかし、二人は愛を貫き、遂に結婚にこぎつける。
 家族4人の賑やかな新婚生活が始まる。夫は、浅草に念願の診療所を開設。こころも仕事に家庭に大忙しだ。だが、幸せはつかの間。雪山での遭難者を救助するため山に登った夫は、突然の雪崩に巻き込まれてしまう。血のつながらない子供たちと残されたこころ。子供たちはなかなか素直になろうとしないが、こころは時には悩み、喧嘩し、正面からぶつかっていく。
 新潟の山里に住む父との再会と和解。祖母、母親、女三代の恋模様。浅草での「子育て」をめぐるてんやわんや。実家のうなぎ屋の経営危機。ひと癖もふた癖もある様々な浅草の人々に囲まれ、母、祖母の生き方を見つめ、こころはうなぎ屋を再建。やがて子供たちの本当の母親に、そして名実ともに「浅草の母」へと成長していく。

  
link.jpgNHK連続テレビ小説「こころ」公式ホームページ

第26週「浅草わが町心意気」9/27(最終回)放映終了
  

 本日27日をもって無事に放映終了となりました。
 こころちゃんは匠君と幸せになれるでしょうか?今後何があっても「心意気」で全て解決してつきすすんでいくと思われます。それにしても9/8からの2週は??でした。9/6に完を打っておいても間違いではなかったか、と。
 初めて朝の連続テレビ小説を欠かさず観てしまいました。花火ファンとしては朝ドラに“花火”という要素が入ってなかったらまず見続けられなかったと思います。その意味で画期的な内容でした。半年間楽しませていただきました。
 ヒロイン中越さんの今後の活躍に期待しましょう。加えて倖役の黒川さんも今後が楽しみです。
 勝手に「こころ」de花火ウォッチング、ご愛読ありがとうございました。
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閑話休題
  

 さて9月9日と10日、6日の放映に登場した新潟県小千谷市の「片貝まつり」が開催されました。観覧の模様を「花火野郎の観覧日記・片貝まつり 浅原神社秋期大祭奉納花火」に掲載しましたので、ドラマを観て興味がある方はご覧ください。
   
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片貝まつり当日の上杉?煙火店です。
放映画面のキャプチャではなくて実写です。

第24週「めざすは女将十代目」9/10放映

新潟で、沢朗はふたたび花火づくりに情熱を傾ける決心をします。
第22週8/26放映に続き、ありがとうございます(TT)。私、小野里公成の「花火讃歌」の写真を見ながらの、沢朗さんによる花火絵描きのシーン。ちなみに参照しているのは24ページに掲載の20号玉の写真です。
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第23週「幸せ招いた大花火」9/6放映
  

 片貝まつりの当日の町中の様子がインサートされています。道ばたにやおら四尺玉が置かれていますが、これはハリボテの模型で、町内では実際に各所にこうして置かれています。それはお店の看板代わりだったりします。玉と並んで記念写真を撮ったりするのはたいてい観光客と相場が決まっていますが、誰もが実物大の四尺玉を見てその大きさに驚きます。「こんなものが打ち上がるのか?」とそれが普通の反応です。
 下の写真は、02年度収録でしょう。昼間の実際の桟敷席の様子です。ご覧のように傾斜地に段々に設けられていて、紅白の幕で仕切られている独特の空間です。これは放送席近くから録ったものですね。ここから先桟敷はずっと向こう側に続いています。桟敷席は最も打ち上げ場所に近い特等席で、花火が打ち上がるのはこの画面の正面やや右の方の上空(殆ど真上)です。
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 花火打上と仕込みのシーンも、山の中腹にある実際の打ち上げ場所で収録しています。またまた沢朗さん、重い尺玉を持つには手の位置が変、と同時に軽そうに筒に入れています。ていうか、ここでもまた、八重芯の玉名を確かめるように、見て、そうして筒内に下ろしていますね。普通は、親導を下にして筒内に入れていきます。筒内に下ろすときは沢朗さんがやっているように吊っている紐を使ってゆっくりと下ろしていきます。最初に筒口に入れるとき、左手で親導側をもって(玉の下側)、右手で吊り紐を持っている(右利きの場合その方が力が入るから)のですが、このハリボテ玉は玉名が横書になっているから(9/5放映の項参照)、それを読んでから入れるという演出なので、吊り紐を左手に持っていますね。しかも玉を横に寝かして入れようとしていますね(変=ヘン)。このシーンは監修の煙火業者が付きっきりで指導していますが、このハリボテ玉の造りじゃ、細かいことは仕方ないと思ったのかもしれません。小道具といっても花火玉は重要な役割ですから、中身に砂を詰めてでも本物の重量があるものを使って欲しかったですねぇ。本当に重ければ、人間の身体はそのように反応するのですから。それに上貼りの足りない玉です。 genba.jpg
  
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 工場の花火玉貯蔵庫でのシーン。一国さんと銀ちゃんの会話が良かったと思います。不肖の息子の成長に涙する一国さんにもらい泣きです。
 こころたちの奉納の前に、銀ちゃん作の還暦祝い金冠二十連発(実際は連発仕様でもっと多かった)が奉納されます。これを上杉煙火事務所で見つめる父・一国さんも良かったですね。還暦祝いの打上は毎年規模(玉数)が大きく一日のプログラムの中でも相当のクライマックスで登場することが多いです。ですからこれを任されるとなれば(奉納金額も大きいですから)責任も重い大仕事です。
 全天が金、金、金となる金冠連打(写真下)は、頭が痺れ酔ったようになる素晴らしい時間です。
 隣にいた還暦のジさま(これまた赤いちゃんちゃんこでド派手な出で立ち=こういうのも本当にあります)に思わず抱きついてしまう投網子の演技が過剰なようにも見えますが、片貝の桟敷ではぜんぜん浮いた行為ではありません。全員がハイテンションですから何でもありです。
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 急な宴会で、出発が遅れた二人。長岡からタクシーを飛ばしても実際には果たして間に合うのか(たぶんタクシーなら可能かと)?そこはドラマですからちゃんとギリギリ間に合っちゃいます。匠君と投網子が心配そうに出迎えます。桟敷に入場したとたんに番附を読み上げるアナウンス。素晴らしいタイミングですね。しかも番外も番外、番附に未記載の沢朗スペシャル奉納も突然登場して、さらに視聴者の気分が高まります。
 ちなみに番附を読み上げている女性は、この人の名調子が無ければ片貝まつりじゃない、というほどまつり進行には欠かせない有名な方です(まつり当日ももちろん読み上げます)。
 この日の放映日の番附の読み上げはイマイチ、ノリ、声の張り、ともに調子が出ていないと感じました。それも仕方ないと思います。この放映が祭り当日の実況(つまりナマ本番)だったなら、本来のアナウンスぶりだったと思います。今回は、エキストラを呼んでの「まつり当日ふう」のいわばやらせですから、いつものようにやっているつもりでもどこか違っています。まつり本番では、桟敷席の異様に高揚した雰囲気や、間近で炸裂し続ける花火の興奮が、アナウンス嬢本人にも乗り移って独特の口調や抑揚になっていくのでしょう。その意味では、名調子も、まつりの雰囲気との相乗作用で生み出されるものなのですね。
 ここでアナウンス嬢を含め祭りスタッフが真っ赤な半被を着ていますが、これもスタッフの正装?です。
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 次々に開くのは見事に八重芯です。三つ三色の輪が広がっています。万感の思いで見つめる美佐子とこころ。花火に家族の和を託した沢郎もまた、想いを込めて点火スイッチを押します。「君の所へいつかは還れる日が来るかもしれないと……」奉納に寄せられた文句が最高です。泣けました。沢朗の八重芯は、むしろ美佐子本人へのこれまで途絶えることの無かった愛情が込められているようです。8発(正味7発?)の打ち上げ全てが八重芯、という実際の片貝まつりでもほぼ「あり得ない」超豪華仕様です。最後から2発目は八重芯変化菊残輪でしたね。最後の一発は八重芯錦冠でしょうか。写真上の八重芯開花シーンは完全に真下から(打ち上げ場所あたりから=沢朗の目線?)録っています。 yaeshin_misako1.jpg
    
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「夜空に咲いた四尺玉、みんなの想いをのせて……」さてー、ナレーションのバックのラストシーンは片貝名物世界一四尺玉の開花でした。おおこれは昇天銀竜黄金すだれ小割浮模様。2002年収録でしょう。……ってこれは9/10日の打ち上げじゃあないですかー! こころたちの奉納は9/9でしょ?片貝では初日9日の四尺玉は「千輪菊」2日目10日は「柳(金冠)」とほぼ決まっています。ですからここは千輪の方でなければならなかったのです。
 ともあれ、今日9/6の放映、良かったです。花火からみでは優作のプロポーズのあった浅草での隅田川花火大会につづく全放映中屈指の内容だったのではないでしょうか。花火的にはこれほどのクライマックスシーンは今後考えられません。物語としても重要な登場人物全員の感情が高まっているいい内容でした。従って勝手ながらこの四尺玉打ち上げシーンをもってして「完」というのが相応しい気がして、写真下ではそのように入れさせていただきました。ここで終われば最高……なんだけれど……。
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冗談です。まだまだ続きます

第23週「幸せ招いた大花火」9/6放映
  

 この奉納のシーン。驚いたことに2002年の収録ではなくて、5月頃放映の牛相撲の収録時と同様に、全てドラマのために事前に録られています。つまり本当に片貝町の人々をエキストラに使い、祭りの時と同じように盛り上がってもらい、桟敷席も、放送席も全てまつりの時とまったく同じに現地の実際の場所にセット(そのまままつり本番に使うかも)を造って収録しているのです。ドラマの八重芯花火は合成と思いますが、観客の反応や目線などの自然感を出すためでしょう。実際に花火(八重芯ではない)を打ち上げながら収録したそうです(お客の目線が低い気がするので、収録時には5号程度の小さい玉を上げたものと思われます。こころたちの奉納は当然尺玉ですが、もっと高くあがるのでお客はもっと上を見ます)。ですから本編でも全体が違和感なく流れていますね。本編ではここで歌詞付きのこころのテーマに驚き。実際の桟敷席の夜はもっと薄暗いです(仕出しも何を食べているかわからないくらいです)。
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収録時の様子

第23週「幸せ招いた大花火」9/5放映
  

 片貝まつりの番附(ばんづけ=番付ではなくて、こういう字を書きます)登場です。ご覧のとおりこの番附は新聞紙と同じ大きさがあり、花火の打ち上げプログラムとしてはかなり大きいものです。新聞紙よりずっと厚手の良い紙を使っています。しかも毎年9月9日、10日と2日間に渡って行われる奉納花火大会の全ての打ち上げ内容(奉納者名と奉納内容)を記載していますので、2002年度のもので12ページもあります。片貝町で販売され基本価格は800円です。プログラムといっても玉の大きさと種類が書いてあるだけのものと違って、片貝は奉納花火として、プログラムのひとつひとつに奉納者の名前(企業名)とそれぞれのメッセージが記載されています。いまはこうしたメッセージを託した一般協賛花火を打ち上げる花火大会も各地で増えてきましたが、片貝の花火は打ち上げるほぼ全量がすべてこうした奉納者の願いを託したいわばメッセージ花火なのです。
 
 末永美佐子、朝倉こころの連名で奉納される花火は沢朗作の「八重芯」ですね。奉納内容は「私たち家族の健康と幸せと本当の再出発を祈って ありがとう、お父さん」となっていまして、扱いは時間指定の番外です。ちなみにこれは小道具で番附とそっくりに作ったそうです。
 なんとっ番外は9日の21時50分打ち上げとなっているではないですか。片貝名物世界一四尺玉打上の10分前とは、いい場所に入っていますねぇー。
 実際の片貝まつりでも八重芯は上がりますが、わざわざ番附けに八重芯と書くことは希です。こころと美佐子が八重芯に込めた思いの深さが現れています。
 美佐子とこころは、沢朗に八重芯を上げて欲しいと片貝の奉納に申し込んだわけですが、美佐子とこころと沢朗の3人で三つの輪…………ノベライズでは八重芯を打ち上げるのは、隅田川ということになっていますが、実際の放映では片貝まつりになったようです。
 ちょ、ちょっと待ったぁ。舞台が浅草で、末永家のこの3人だけのドラマならこれでいいわけですが、これって「青春子育て日記」だったのでは?この家族の願いを込めた花火を打ち上げるくだりに、もはや倖と優太は不在なのでしょうか?(もうこの週はカンナさんに預けっぱなしですかー?)この二人も新しい家族なのでは?この二人分を入れて、四重芯(五重の輪が広がる花火)、というのがもっとも納得する展開のようですが。ここはノベライズのように片貝まつりでは四重芯を上げて話を膨らませてほしかったなぁと思います。
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第23週「幸せ招いた大花火」9/5放映
  

 浅草のきよ川を訪ねた上杉佐緒里は、美佐子に片貝まつりの説明をします。片貝では神様に奉納するという形をとって、奉納者自らの身銭で花火を打ち上げます。この佐緒里の訪問が美佐子の花火奉納に結びつくわけですね。
 写真上は片貝まつり期間中の「筒引き」という行事で、昔、打ち上げ場所に花火の打ち上げ用の筒を運ぶことが神事のひとつでした。現在では形式だけが残っていて、かつて使っていた筒が町中を練り歩くのが一種の儀式になっています。
 桟敷席の行灯の向こうに開く尺玉、片貝まつりのシーンは9/6日放映分に譲りますが、桟敷から見上げる花火はこんな風です。こころたちの願いを込めた花火はどのように咲くのでしょうか。
 片貝まつりに興味がある方は以下をご覧下さい。
   
「日本の花火」内 片貝まつり観覧ガイド
にいがた夜まつり 片貝まつり迎賓館 -地元のあだっちさんのHP

   
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第23週「幸せ招いた大花火」9/5放映
  

 こちらは沢朗さんの芯入菊の玉込めです。今回は10号玉。竹ピンセットで星の位置を調節する丁寧な手さばきに、玉皮を運んできた匠君も思わず引き込まれて見つめます(ハイ、ここが修行ですね)。
 
 上杉煙火店に納品した玉を手にとって思わず見つめる沢朗さん。たくさんの想いが込められていると感じられるシーンです。相変わらず軽そうに持っています。玉名は八重芯変化菊と正統派ですね。
 うおー、この八重芯、親導(導火線)が横についていましたね(右手側)。ていうか竜頭、親導が北極南極の位置だとすると、赤道周りに玉名が書かれていますねー(90度横向きということです。あまりありえねー。NHK小道具制作部の作品でしょうか)。普通は竜頭で吊ったときに縦に正しく読めるように書きますが……。
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 中島煙火店の不肖の息子、銀ちゃんも、上杉煙火店ではまじめに修行したみたいです。先の匠との花火対決では、情けないハートの型物を出していたかと思ったら、ここでは割物10号ですよ。成長したんですねぇ。
 ここでは還暦祝いに打ち上げる尺玉二十連発の金冠の玉込めを任されています。これは尺玉=10号玉。金冠は構造は単純で、八重芯ほど難しいわけではありませんが、丸く大きく開かせるのはやはり丁寧な造りが必要です。この放映シーン、作りかけの花火玉の親星の大きさを見ると金冠ではないようですが、まぁご愛嬌ですね。
 還暦の親父さんへの思いを込めて造る、という台詞でしたが、片貝の花火はみなこうして奉納者の思いを込めて、願いを載せて、花開くのです。
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第22週「ひょんな恋でも恋は恋」8/29放映
  

 隅田川の花火を任された匠君は、中島煙火店の工場で、熱心に花火造り(玉込め=組立)の最中です。製作しているのは5号玉でしょうか。これは花火を割って星を飛ばすための割火薬を入れているところです。
「いい出来じゃねェか」親方の一国さんが暖かい言葉をかけています。
 ありゃまぁ、なのはこの前後。匠君はまるで事務所の机の上で片手間に花火造りをしているかのように見えます。なぜなら、匠君の背後には製造には関係のない別の従業員が、花火大会の打ち合わせという事務的部分の真っ最中。こともあろうに、製作中の匠君に打ち上げ順やら玉の組み合わせについて話しかけています。修業先の親方であり、煙火店の責任者である一国さんが居合わせているのは当然(製作指導者として)、としても他の2人がいて打ち合わせなんかをやっているのは変です(こんなことは浅草事務所で済ませて下さい)。ここは NHKのセットだから監修の花火屋さんのチェックが及ばないのかもしれません。なぜなら、花火の装填をやれるのは工室あるいは作業室であって、匠君が製造をやっている限りここは火薬類を取り扱う工室です。そこでは花火製作(組立)以外のものは置かないものです。それ以外の作業はしませんし余計な人員は入室しません。これも安全のためです。この二人が居た方が場面に活気が出ると思ったか、あとの堀田さんとの台詞(匠が他の者と仲良くやってる、云々の)との整合を考えたものと思います。けれど、製造をやっていないだけに変ですねぇ。全員で玉込めをやっているところなら自然だったと思います。

 中島煙火店で息子の仕事風景を見届けた堀田さんは、実家に戻ります。工場の玄関を出たところまで、匠君とこころちゃんが送りますが、こころちやんの「私、車を呼んできます」という台詞が入って、ここで初めて工場がタクシーなどでしか行けない場所という説明がなされます。これまで、あたかも浅草事務所の隣にあるような場面展開が多かっただけにようやく納得のいくシーンです。
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第22週「ひょんな恋でも恋は恋」8/26放映
  

 8月25日に「こころ」の収録も無事にクランクアップしたようです。
 さてこの日の放映では匠と匠の父との話し合いをとりもつこころちゃんです。
 中島煙火店を訪ねるこころ、「匠さん、ちょっといい?」
 匠君は、隅田川での花火をまかされて、どういう花火にするかを夢中で考えています。そして中島煙火店の2階に上がる二人。匠君が広げっぱなしの2冊の本を片づけます。
 さて、ここで。広げてあったのは花火の写真集。それらを見て隅田川で上げる花火のアイデアを練っていたのでしょうか。
 写真集の一冊目、ありがとうございます(TT)。これは私、小野里公成の「花火讃歌」でございます。
 もう一冊は玩具花火会社経営の恩田弘一氏の「満天百彩 華美」です。 
花火讃歌

第18週「愛は奪うというけれど」8/1放映
  

 競技会に出すであろう八重芯(これは10号玉かな)を思いを込めて見つめる沢朗さん。とその様子を背後からうかがう佐緒里。
 沢朗さんっ!、花火玉を“ひょい”とそんなに軽々と手にしては、ハリボテが見え見えになってしまいますっ。花火玉は同じサイズのスイカくらいの重さがあるんです。その高さに置いてある花火玉を手に取るなら、もっと「ふんっ」と腕や腰にリキが入らないと変ですぅ。
 八重芯というのは、夜空に丸く3重の同心球を描いて拡がる花火です(八重芯の開花の例・右中写真)。芯が2つに親星という一番外側の花弁が1つの計3つ、3色の丸が拡がるのですが、この3つの球の中心が一点で揃い、くっきりと別れて色バランス良く、形も綺麗な丸に開かせるのはとても難しいとされています。沢朗さんは完全な八重芯の完成、この3つの調和を、自分と、美沙子、こころの3人の親子関係になぞらえ、八重芯にこだわっています。離ればなれに暮らしてきた親子3人が、絶妙のバランスと調和の家族を家庭を再び築き上げる日はいつになるのでしょうか。
  
 写真下、銀ちゃんが結構まじめに取り組んでいるのは、なにやら押し切りで切断する作業ですね。これは完成した花火玉の外側に糊貼りする上貼紙(下の四尺玉の玉貼り参照)を短冊に切り分ける作業ですね。これも地道な下準備です。とはいえ、完成した花火玉ひとつに何十枚も貼るので数もたくさん必要なんです。短冊の大きさからして四尺とかそんな大きい花火玉用ではなくて、10号くらいまでに使用するものでしょう。普通はこうして切っている時点ですでに糊がついています(内側にね)。もっと大きいサイズのクラフト紙に糊を敷いて、それを小さく切り分けます。

 

 

第18週「愛は奪うというけれど」7/28放映
  

 今日も監修の花火屋さんの工場でのロケシーンが連発です。
 お、これは同工場の打ち上げ筒の倉庫内でのロケですね。ここにはスターマイン(連発)用の筒が並んでいます。現在は花火打ち上げを電気で遠隔点火します。昔のように一本の筒から何度も打ち上げないので、玉の数だけの打ち上げ筒が必要です。ですからどこでも花火屋さんが所有する花火筒は大小あわせて膨大な数になります。
 花火に関係ないですけど、事務所の外で匠君とこころが語るシーンで、こころちゃんの背後に揺れているひまわりの花。ロケが5月頃ということを考えなくても、モロ造りものの花、という感じです……(^_^)
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 おお、一国さんと共に手伝いで上杉煙火工業に駆けつけた銀ちゃんが、下っ端らしく工場内の掃き掃除をしているとそこで見かけたものは、人との相対的な大きさからすると四尺玉の玉貼り作業ではないですか。これは中身の装填が終わった花火玉に、上貼り紙を何重にも糊貼りしては乾かして、強度を高める作業です。人と比べると大きさが分かりますね。これが打ち上がるなんて本当に信じられません。
 目を輝かせて見とれる様子の銀ちゃんの「俺もいつかやってみてぇ」、そんな雰囲気が感じられる演技がいいですね。
 
 ところで、一国さんと沢朗さんが、事務所で語らうシーンで…
 沢朗が手がけている、という八重芯(花火)を「大曲」に出す、という台詞が交わされるのですが、大曲、というのは秋田県の、大曲全国花火競技大会のことでしょう。この大会は主催者による指定枠制です、つまり実績によって主催者側が出品者を決めるので、ある年度に突然出品したいと思っても叶いません。出品には末永煙火店の名前であるいは世話になっている上杉煙火工業の名前で既に何度か出品実績がなくてはなりません。このドラマの筋立てからするとこうした点の取材は省略されているようです。ただ競技会、ということだけで台詞に使っているのでしょう。それに現在の大曲では八重芯程度での参加は、かなーりハンデです。
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第17週「山里の夏うたかたの恋」7/26放映
  

 上杉煙火の事務所はセットだと思います。壁の大きな花火の集合写真は豪華にバックライトですね。その前にぶら下がっている10号花火玉の模型に四尺玉と書かれているのが……、なかなか立派な事務所です。入口の造りなんかは、ロケで録られた花火屋さんの本物の事務所とうまく整合しています。
 匠君がパソコンで夢中になっているのは、監修の花火屋さん開発の業務用の花火シミュレーションソフトかと思いましたが、単に花火のお絵かきのようです。沢郎さんが黒い紙によく花火のイメージ絵を描いていましたね。匠君はそれをパソコンでやっている、という設定でしょうか。なかなか思い通りに描けないようです。

第17週「山里の夏うたかたの恋」7/23放映
  

 久しぶりの再会でこころと父沢朗が工場で語らうシーン。こころは父を理解するために、花火のことをもっと教えて欲しい、といいます。
 沢朗さん、割物・八重芯の玉込め中です。競技会に出すためで、頼まれて作っているわけではない、といっていました。これは7号玉とみましたが、7号で競技会????んーどこかなー?。競技会クラスでは10号玉が普通ですが。竹ピンセットを使って丁寧に星を込めているあたりは忠実な演技ですね。工室のシーンなので、沢朗さんの周りにある花火造りの部品をそれとなくカット的に挿入して雰囲気を出しています。円内は「親導(おやみち)」という花火玉に必ずひとつは付いている導火線です。玉のサイズに合わせていくつかの長さが瓶にささっています。
 ちなみに7月25日にノベライズの下巻が発売になりました。これによると、沢朗は八重芯どころか三重芯、はては四重芯まで造るそうです。しかも三重芯を打ち上げる花火大会というのが……ど、どぇぇぇぇーっ? 本当かい? 沢朗さん、そこでそれが玉名どおりにできたら花火の「神」間違いなしです。さらに四重芯にいたっては……残る2ヶ月(9月27日最終回)が楽しみですっ。
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 匠君が、こころと会話しながらやっている作業は、吊り物のパラシュートづくりにも見えますが、どうでしょう。これは割薬と星とが玉殻の中で直接触れ合わないように仕切る間断紙づくり、と思います。沢朗さんの込める八重芯の中で星とともに白い紙が一周(八重芯だから実際は五重に)入っているでしょう?コレですね。匠君がつくっているのは直径がかなり小さいので3号か4号玉用か芯物の中芯用でしょうか。花火づくりは星や割火薬以外にも組立に使うこうした部品ひとつひとつをあらかじめ作っておく地道な作業が欠かせません。
 このあと匠君がやっているのはできあがった玉を乾かす日乾(にっかん)作業や星掛け(写真)です。丸い星の周りに火薬をまぶして、タライを廻しながらだんだん星を大きくしていく作業です。匠君は手作業でこれをやっていますが、普通はもっと星掛けの初期段階でやります。これくらい星が大きいと通常は増粒機というモーターで回転する専用の機械を使います。そうしないと星はかなりの種類とサイズで作るので製造が間に合わないし、手でタライでは均一に仕上がらないからです。きっと監修の花火屋さんで色々やって見せた結果、NHK側でこのタライを振る作業の方が、テレビの「絵」的に花火をコツコツ手作りしている感じがでて相応しいと考えたのでしょう。もっとも、機械が無かった頃は、十分に星が大きくなるまでこのやり方で星掛けをやっていたことでしょう。
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第17週「山里の夏うたかたの恋」7/22放映
  

 おっと、驚きました。監修の花火屋さんの工場がいきなり登場です。佐緒里の父・上杉栄造は江原真二郎でしたか。片貝(かたかい、ね)にあるという上杉煙火工業の工場のシーンは、片貝の花火会社でそのままロケしているようです。録りは5月くらいでしょうか、緑が綺麗です(写真下は夜のシーン)。工場入口に巨大な打ち上げ筒が立っていますね。左二尺から四尺の打ち上げ筒です。おっ、ちゃんと上杉煙火工業と筒に書いてありますね。上杉だけ上から貼ったですかね。芸が細かいです。ちなみにその場にあるものをそのまま収録しているので、この打ち上げ筒はセットではなくて本物で実際にそこにあります。しかも看板代わりのモニュメントではなくて現役で打ち上げに使用してます。だから9月の片貝まつりの時などに工場に行くと、筒が居なくなっていたりします。
 ところでこの週のこころちゃんの髪型……ムーミンのリトルミィ?
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第16週「頑固は店の守りなり?」7/19放映
  

 隅田川花火大会です。収録は2002年度でしょう。きよ川の鰻職人さんたちが花火の「音を楽しむ」という台詞は粋ですね。
 はい、このシーン(写真右)。打ち上げを終えた花火職人達が、打上台船の上でトーチ(高速道路などで作業や事故の時点々と路上に置くヤツに似ている)を振っています。これはドラマだけの演出ではなくて、実際に全部打ち上げが終わったあとにこういうシーンがあります。各地の花火大会で同じ演出が増えていまして「エール交換」と呼ぶところもありますが、観客と花火師が想いを交わす唯一の心温まる時間です。演じ終わった舞台で役者さん達が勢揃いして挨拶するように、カーテンコールに応えるように、早朝から華々しい打ち上げの最中まで、黒子に徹した花火職人達が観客にはじめてその存在をアピールする時です。
「歓声と拍手をありがとう」「たくさん見に来てくれてありがとう」そんな花火職人たちの気持ちが、それぞれの手にするトーチの明かりに込められています。
 観客もまたこうしたとき、ペンライトや懐中電灯を灯し、松明(?)を花火師さんたちに向かってうち振るって感謝と労いの気持ちをそれに託して伝えましょう。「ご苦労さま」「いい花火をありがとう」「来年もまた会いましょう」。
 隅田川花火大会では、比較的客と花火代船は近いので、職人さん達は観客から直接こうした声をかけられるそうです。
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第12週「生意気喧嘩(けんか)は江戸の華(はな)?」6/19放映
  

 さて花火フアンにとってのこの週のヤマ場、匠と銀の花火対決勝負。
 匠(玉木 宏)と銀(阿部サダヲ)は賢明に勝負玉を製作(於、中島煙火店工場)。二人とも玉貼りの手もおぼつかない感じが微笑ましいですね。
 その対決場所は……こころと子供達が気軽に駆けつけられるほどの距離でやっているようですね(対決日は01年5月7日……。優太クン、5月に ダ ウ ン ベ ス ト ?)。中島煙火ご一同様の背後には首都高速が映っていることから、荒川べりあたり(荒川区か墨田区)のロケと思われます。東京および近郊在住の方以外には分からないと思いますが、浅草(台東区)からもっとも近い隅田川も首都高速沿いなのですが、河川敷がほとんどありません(詳しくは花火野郎の観覧日記2002隅田川花火大会参照)。ですから隅田川花火大会の打上も台船の上で行われます。ひるがえって、荒川べりだと、千住の花火として有名な足立花火大会が行われるだけのそこそこの河川敷の幅がありますから場所としてはそちらでしょう。でもそこだとしても、浅草界隈から子連れで歩いて行ける距離ではありません。
 中島煙火ご一同様のシーンとこころたちが土手の上に現れるシーンとを比べると疑問が生じます。ポイントは一国さん達の向き。中島煙火一行のシーンでは全員が点火用の囲いの方を向いています。すると首都高があるのは、こころたちが見下ろしている土手の方角、ということになるのですが、こころたちが最初に土手の上に登場するときにはそうはなっていません。一国さん達の向きが合っていて、背景も同時に録ったとすると、これは対岸の足立区側でしょうか。こころたちが河川敷を眺めているシーンが一発取り(合成なし)だとすると遠景の夜景の距離感から、間に川を挟んでいると思われます。
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 点火、射出までは一連の収録、開く花火は別録りでしょうか。もっとも実際に江戸川河川敷で打ち上げたとしても、許認可の上では問題在りません。夏には花火大会も行われる場所です。ただしここでは匠と銀と5発ずつ、計10発の打上で、玉は4号玉。これくらいの数ですと花火大会ほど多方面へ許認可届けを出す必要はありません。
 匠は、実に慣れた手つきで点火器のスイッチを入れ、発射ボタンに移ります。沢朗さんの元でも電気点火で打上の場数をこなしているのでしょう。前回4/18の隅田川花火大会のシーンの時より克明に点火器(小道具でなく本物)が描写されています。
 匠は正統派の割物、銀はハートの型物で勝負です。匠の5発目はわざとやってもなかなか出来ないほどの失敗作です。銀の方は一発目は形、向きとも良くていい開きです。2発目は向きが悪く、残りは形そのものが怪しくなっているみたいですね。
 意地をかけての花火対決勝負ですから、ここは銀にも、まっとうな割物で、つまり同じ種類、同じ製造条件で勝負してもらいたかったところです。向きが悪ければそれと見えない型物は、方向での優劣が生じてしまうし、丸く開く割物とでは技術的にもちょっと比較にならないと思います。ま、銀ちゃん……こころへの一途なハートはこもっているようですが。

   
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 疑問なのは、こころの実家、中島煙火店の浅草営業所、対決の打上場所、中島煙火店の製造工場の4箇所の位置と距離関係です。こころたちは対決開始には徒歩で土手に現れ(一国さんたちとは別に来ている)、対決終了後はただちに工場の事務所で一国さんが、二人に対決結果を言い渡す場面に居合わせています。これではこの4箇所全てが徒歩で回れるくらいに隣接しているように、視聴者には感じられるでしょう。花火工場は人里離れた場所にあるのが普通なので(浅草営業所の近くにはあり得ない)、打上終了後ただちにワープしたとしか思えません。工場事務所の隣に転送室があるのでしょうか。それとも撤収する一国さんの車に同乗したのでしょうか?すると、工場事務所で結果を聞くのはかなり夜遅くということになり、子連れでいいのか?と首を傾げます。このドラマ、花火がからむシーンでの監修は花火業者がきちんとやっていますから、個別の場面は安全上の問題を含めて描写にはまず、嘘偽りはありません。しかし局側が各シーンをつないでドラマにしてしまうと、「そんなのアリ?」という部分も出てきてしまうようです。
 それに一国さんと旧知の仲?とはいえ子連れで工場にフラフラと入りすぎ。部外者立ち入り禁止。
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第12週「生意気喧嘩(けんか)は江戸の華(はな)?」6/19放映
  

 こころの職場で誰かの忘れ物。ん?これは、小道具として作った情報誌?。隅田川花火大会特集として、花火特集が組まれています。中身はどんなでしょう。Froppishなる誌名は意味不明です。対決前後の話としてこの情報誌が発売されたのは、4月下旬か5月の対決までの日の間。この時期に“絶対に花火特集を掲載している情報誌は出ません”。
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第9週「父の背中の温もりは」5/30放映
  

 前日放送分で、こころが尻餅をついたと思ったら、翌日は、「い き な り 遺 影 か よ」と叫びたくなるような急転直下の展開に驚きましたが、花火ファンの見どころは優作の手向けとなる弔いの花火を打ち上げるシーン。玉は4号の銀牡丹でしょうか。この地方だと銀山というやつかもしれません。単に弔いのということで、白菊、ととらえるのが妥当でしょう。うちの小さなテレビでは多少色づいて見えてしまいます。
 打ち上げ場所にこころが駆けつけると、沢朗はちょうど打ち上げ筒を片づけて引き上げるところです。5本がひと組になった連発用の3号(筒は3号?)ステンレス筒ですが、紅白の点火用の電気コードが束ねてあります(沢朗さんコードをまとめてました)。このシーンでの打上は12発(映像は6発登場、開花音は12回)と半端でした。数にどういう意味があったのか…。小玉で少ない玉数でありながら、ちゃんと電気点火で打ち上げたのでしょうか。沢朗さん、きちんとした性格のようですね。
 沢朗は自分の花火をほめてくれた優作へ心をこめて花火を作り、自分にしかできない自分なりの手向けをしたのですね。
 ところで日本語の誤用でも話題にこと欠かないドラマですが、この5/30放送分の最後のナレーションも変でした。
誤 沢朗の花火は優作にはお別れの、そしてこころにとっては新たな始まりへのエールでした。
正 沢朗の花火には優作への別れと、こころの新たな始まりへのエールが込められていたのでした。
 死者への別れに声援を送ってどうする?

  
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第3週「愛の誓いは花火のように」4/19放映
  

 序盤の山場、ラストの優作のプロポーズらしからぬプロポーズの直前、二人が抱き合うシーンの向こう、浅草寺上空に上がる花火は、なんと尺、尺でございます(絶叫)!。私どもマニアはヒロインの見せ場でも背景の花火に注目しております。なぜに絶叫かと申せば、本当の隅田川花火大会では絶対に打ち上がらない尺玉の映像が使われているからです。実際に許可されるのはポカ物で5号、割物で4号までです。でも浅草で尺が上がるなんてぇのは東京者(モン)の理想ですね。これも新潟ロケ時(02年片貝まつり)の素材合成と思われます。実際にこの位置と距離で尺が上がったら見かけはもう少し大きいと思います。下の4号和火の時と上がる高さが同じなのはご愛嬌でしょう。
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第3週「愛の誓いは花火のように」4/18放映
  

 さてこの週のクライマックスは隅田川花火大会の打上シーン。ここでは万人が思い描くような、花火職人が直接火を点けるような打上シーンではないことに気が付いたでしょうか。肝心の点火は、離れた場所からスイッチひとつで花火を打ち上げる、という最先端の電気点火でやっています。監修の片貝煙火工業ではこうして最先端の安全な消費、という現在の花火そのものを見せることに努めています。見せるだけではなく、自社が行う花火大会では同じように電気点火で発射します。当然ながら実際の隅田川花火大会もこのように電気点火です。一国さんは花火コンクールの打上で、沢朗の出品作の点火を、沢朗自身に託します。過去を振り払うかのように思いを込めて押し込む点火ボタン。点火器は多くの花火業者に実際に使用されている国産の本物です。
 ちなみに花火師さんが登場するたびに思いますが、皆さん半纏がいつもおろし立てのようにまっさらで綺麗ですねー。もうちょっと年期が入るとリアリティが出たと思います。
 この00年隅田川花火大会のシーンは、NHKドラマガイドによると、片貝煙火工業のセッティングで冬の新潟の河原でロケされたそうです。役者さんはTシャツに半纏という真夏のいでたち、寒かったでしょうね。放映では、実際の隅田川花火大会の台船からの打ち上げシーンとうまく編集で繋がれていて、流れるように自然な発射シーンを再現しています。
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第3週「愛の誓いは花火のように」4/18放映
  

 浅草寺で父の作った花火を見上げるこころ。ここで登場する和火は、花火関連の監修をしている新潟の片貝煙火工業の製造。昨年の晩秋新潟で打上げし、ロケ(収録)したものだそうです。実際にこの位置と距離ではもう少し小さく見えると思います。
 沢朗が前日分(4/17放送)で隅田川の4号出品玉を丁寧に梱包していますが、玉名は「柳華和火」となっています。しかも書体は印刷したような見事な勘亭流なのがびっくりで、普通は肉筆の筆文字などです。スミマセン。花火マニアの性(さが)でしょうか。このシーンでも気になってしまいました。丁寧に梱包している玉ですが、よく見ると親導(おやみち=導火線)が上になっているような……。普通玉名に対して、上は竜頭で下が…………いえいえ細かいことは申しますまい。
 りゅうか…りゅうか?……だいりゅうか!(大柳火)と連想された方は、かなりの花火通。同種の玉は同じ片貝煙火工業が担当する「片貝まつり」ではおなじみの玉(大柳火)です。地元でも少し暗めでしっとりとした引きの和火となるこの玉はとても人気が高い花火です。片貝まつりでは必ず登場しますからナマで見てみたい方は是非足を運んで下さい。片貝まつりではさらに大きい10号玉で打ち上げられます。
   
→和火「大柳火」を見る
   
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第3週「愛の誓いは花火のように」 4/15放映
  

 ちなみに、末永沢朗(寺尾 聡)の花火工場は片貝煙火工業の旧工場でロケされたそうで、最初に登場した時は従業員の方が、エキストラで出演したそうです。どうりで、中島煙火店のセットがどうもそれっぽい(いかにも花火屋さんの事務所っぽく-事務所に筒まで置いてあるよー)セットなのに比べるとちょっと汚れていますが「本物の」年期が入っています。ちなみにそれっぽい中島煙火店のセットですが、花火玉の模型や、写真、花火絵、花火大会ポスター(小道具の00年用隅田川花火大会ポスター-末永煙火店入り-は除外)、額装された花火ビラなどは煙火業者からの借り物と見られます。よく見ると業者名(円内-中島煙火店ではありません。大画面テレビでご覧の方は読めるかも)が入っています。
 末永煙火の工場のシーンでは、天気が悪いことが多いのですが、これはロケ収録時に天気が悪かったのが影響しているようです。
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第3週「愛の誓いは花火のように」 4/14 放映
第8週 5/24 放映 など
   

 応接テーブルの上にやおら花火玉が…。ドラマの中で、中島煙火店の事務所で一国さん(竜雷太)が時折つまんでいるのは、越後製菓株式会社の「花火玉あられ」(1,500円)と思われます。5号玉大の花火玉の中に煎餅が入っています。一応打ち上げ筒の上に乗っかっている、という形態で、全体が化粧箱に入っています。他にも似た製品はありますが、ドラマの舞台のひとつが新潟、ということもあるのでまずコレだと思います。ときには肝心のあられのパッケージを盆栽で隠して、商品を特定させないあたりはNHKの本領発揮でしょう。これは新潟県片貝町の定番おみやげですね。片貝まつりの当日も特設物産販売所などで入手可能。越後製菓は長岡市なので、長岡駅でも買えます(写真下)。ちなみに相手が佐緒里(かとうかずこ)、美沙子(伊藤 蘭)のときは、話の展開からして一国さんはバツのわるそうな雰囲気が漂い、それを隠すかのように花火玉あられに手を伸ばしています。小道具として効いていますね。とはいえ花火屋さんが自社の事務所で新潟製の花火玉あられを食べますかねー。ここは浅草らしく人形焼きかなにかにした方が自然な気もします。
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ありました。@長岡駅

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