花火写真全般のQ&A

花火と花火大会、花火写真 Frequentry Asked Question

花火写真撮影全般に関する事柄

●花火を写真に撮りたいんだけれど?難しそうで。
●なんか特別なカメラで撮るんでしょ?
●花火会場にはいつ頃(何時頃)でかけたらいいだろう?
●何秒くらい(何分の1秒)くらい開けてるの?絞りはどれくらい?
●レンズは何ミリくらいのを用意したらいいんだろう?
●ISO感度設定はいくつにすればいい?
●写真ができてくるといつも画面から外れてしまっているんだけれど。
●スターマインを撮ると画面が真っ白に。
●撮影中の不意の雨(夕立など)にはどう対処する?
●うまく撮る秘訣は?
●花火の写真集や撮影ガイドとかあるんですか?
その他のご質問もお待ちしています。

 花火を写真に撮りたいんだけれど?難しそうで。
そうおっしゃる方はとても多いんです。これもよく聞かれる質問です。ここで「簡単、かーんたん!」などと言ってしまうと「また、いーかげんな」と誤解されるので、「難しくはありません」と言うことにしています。実際、花火をカメラを使って写すだけのことは「なーんだ」というほどのものです。これから花火の写真を始めよう、花火を写真で撮ってみたい、という方はまず「花火撮影テクニック」の初級編からご覧ください。で、とりあえず撮り始めてみてください。
「花火の撮り方」というと昔から何年もそれ以上も、写真雑誌などでは繰り返し連載されてきました。残念ながらまったくこれらは進歩がない内容です。なぜならこうした記事の文章を書いている方は、相変わらず体験だけで原稿を書き、花火を知らず理解もなく、花火をまともに撮れるわけではないから、です。当ホームページの「花火撮影テクニック」では正統的な撮影方法をふまえ、私自身がまさに現在もっているノウハウを公開しています。それらは最新であり実用的で正確なものと確信しています。ぜひ皆さんも花火撮影を楽しまれて下さい。
 なにも作品を、というわけではありません。ある花火大会で脇で観ていた初老の女性に言われたことがあります。
「いいわね、そうして写真を撮ることができたら、この夜の花火大会の感動の思い出を写真で持ち帰れるのに」と、もちろん感動は心に残すもの。でもこの言葉のとおりで写真をはじめましょう。ある日の花火大会の素敵な印象を一葉の写真に込めて。その一枚はいつになってもあなたの心の日記を開いてくれます。 

 なんか特別なカメラで撮るんでしょ?
最近は花火の写真もまさに百花繚乱。なかには「特殊な撮影機材」を用いての前衛派もあります。こうした特殊な例を除けば、「花火の写真は普通のカメラで」撮っています。カメラは何でもいいのですが(デジタルカメラ含む)、バルブ撮影機構(シャッターボタンを押した間だけ任意の時間、シャッターが開きっぱなしになるという機構)が付いていなければなりません。オートフォーカスカメラはマニュアルモードで使用します。ごく普通の35ミリ(またはAPS)、ズームレンズ付きオートフォーカス一眼レフデジタルカメラでいいのではないでしょうか。シャッター速度などが自由に設定できる程度の機種である必要があります。カメラは手持ちではなく三脚に固定して撮影します。

 花火会場にはいつ頃(何時頃)でかけたらいいだろう?
それはもう早いにこしたことはないんですけれど。撮影の為に花火会場へ、ということになると「観れれば良い」というわけにはいきません。その花火大会でしかるべき「作品」を撮ろうというわけですよね。そのために適切な撮影場所を現地で検討したりする時間も必要ですから可能な限り早めに出動しましょう。目安としては花火打ち上げ開始の最低3時間前までに既にいつでも撮影可能、という状態になっているのがベストでしょう。3時間前に到着してそれからウロウロ撮影場所を探す、というのではありませんよ。もちろん何度も出かけていて、勝手がよくわかっている地元の花火大会などではもう少し余裕をみて出かけられると思います。
 地元以外の各地の有名な花火大会では、午から、午前中から、早朝からと3時間前でもはるかに遅いところもありますから要注意。
 開始1時間前くらいからの混雑のピークにかかってはもう大変。めぼしい撮影ポイントは三脚を立てるどころかに近づくのも困難になってしまいます。それに撮影場所確保は早いモン勝ちの世界。ゆっくりロケハンして、余裕をもって撮影するためにも、できるだけ早めに到着して下さい。
 え?私?私ですか?…そうですね……、花火大会にもよりますが、地元以外では午後7時30分からの打ち上げだとして、午後2〜3時には撮影場所に三脚を立ててスタンバっていますね。中には午前中から、なんてハードな花火大会もありますよ。ですから花火撮影は一日仕事になるようです。

 何秒くらい(何分の1秒)くらい開けてるの?絞りはどれくらい?
来ましたね。これがまさに最も多い質問です。写真の知識や経験、機材がそれなりにある方で、花火は初めて、という場合に必ず生じる疑問でしょう。全ての答えは「花火撮影テクニック」内にありますが、ここでも簡単に説明しましょう。
●正統的な花火の写真(つまり私が撮っているような)の場合、何分の1秒で代表される「低速・高速シャッター」はほとんど使いません。そのかわりにシャッターあるいは撮影モード内にある「B=バルブ」という機能を使っています。これはシャッターボタンを押している間だけ任意の時間、シャッターが開きっぱなしになる、という機構です。スナップカメラや使いきりカメラには付いていない場合がほとんどです。このバルブよって自分で(かなり適当に)露光時間をコントロールしているわけです。肝心の露光時間ですが、実は私は正確にはかっていません。それは花火が決めることです。しいていうなら1〜3秒くらいとしておきましょう。デジカメなどでバルブがなければ4秒〜10秒程度の低速シャッターを代用します。
●絞りはISO100でF11前後を目安にしておきましょう。花火イコールF11で固定ということではなく、明るい花火なら絞り、暗いなら開けるというようなコントロールが随時必要ですよ。デジタルカメラの場合は感度設定をISO100相当に設定します。100がなければNDフィルターで光量を落とす必要があります。

 レンズは何ミリくらいのを用意したらいいんだろう?
a.gif普通の、私が撮っているような正統派の花火写真では、使用するレンズは一般に50ミリ以下(銀塩35ミリカメラ換算以下同様)の標準から広角側がほとんどです。上限は70から85ミリくらいで、広角側は28ミリくらいまで、というのが平均です。もちろん場所によって、撮影意図によってさらに広角、あるいは望遠側を使うこともあります。つまり花火撮影に使用するレンズは28か35から70や85までの範囲にその使用頻度の全てがあるといえます。すなわちこの範囲をカバーするズームレンズがあればOKということですね(銀塩:35〜70、28〜85 デジタル:17〜55、17〜85ミリなど)。
 どうしてこの範囲になるか?というとこの範囲のレンズで撮れるような撮影場所(花火からの距離)を常に選ぶからなのです。逆にいえばこれが撮影のための適当な撮影範囲ということになります。これはおおむね打ち上げ場所から300〜500メートル前後になりましょう。
 いちど場所を決めたら、打ち上げ中は簡単に場所を変えられない花火撮影にとってベストなレンズは、こうした標準ズームです。もちろん光学的には単焦点レンズの方が勝っていますが、レンズ交換の時間をとらずに、無段階に焦点距離を変えられる利点はこれを補って余りある利点なのです。

 ISO感度設定はいくつにすればいい?
a.gif夜の撮影だから高感度と思われがちですが、一般的には感度はISO50〜100に設定します。花火自体は最近はとても明るいので、ISO400以上の高感度設定をしなくても十分に撮影できます。むしろISO100でも明るすぎて絞り切れない時があるくらいです。
 私はたいていISO100に設定してさらにNDフィルター減光し、実質ISO50程度で撮影します。
「花火撮影テクニック・レッスン1」でメディアついて、どれくらいの容量が必要か?などを説明しています。

 写真ができてくるといつも画面から外れてしまっているんだけれど。
花火大会の花火はある意味では生き物のように、夜空に開く位置を変えてしまいます。同じ場所にある筒から打ち出される玉は、夜空の同じ場所で開きやすい、ものです。しかしながら花火は必ず垂直に昇るわけではなく、前後左右にある程度のブレがあるといえます。ある程度風が強い時などはとくに流されて大きく打上場所からズレたりします。したがってある瞬間の花火だけをファインダーで見て、「あとはこのフレーミングでOK」という具合にはいきません。スターマインなどではいくつかの花火が画面外に出るのはあまり問題ではありません。しかし一発二発の花火を綺麗に画面に収めるには常に「何処へ飛んでいくか?」を気にしてフレーミングを微調整しましょう。「フェイルセイフクラス(失敗編)」参照。

 スターマインを撮ると画面が真っ白に。
短時間に大量の玉を打ち上げるスターマイン(速射連発花火)では、夜空の同じ様な場所で一度に、または切れ目なく花火が開きます。結果としてどうしても露出オーバーになりやすいわけです。スターマイン撮影を苦手とする人が多いのはこのためです。1〜3秒程度の短いカット割りで撮っていくのも大切ですが、多種の玉が画面を混乱させすっきりとした写真になりにくいのも問題点です。
 スターマインについては「花火撮影テクニック・上級編、花火ごとの撮影テクニック・スターマインに記載しています。また失敗の状況と対策例を掲載した「フェイルセイフクラス(失敗編)」もご参照ください。

 撮影中の不意の雨(夕立など)にはどう対処する?
a.gifえーと、まず傘をさします。…………(^^);;;。それよりまず花火だけに夢中にならずに、風向きや、雲行きなどにもたえず注意しましょう。で、ヤバそうな(降りそうな)感じを早く掴むことが大切です。そのうえで必要な雨具は早めにバッグから出して用意しておきましょう。よく何時間も前から三脚にカメラをのせてスタンバっている愛好家を見ますが、待ち時間にも雨が来ることを考えるとあまり感心できないようです。
 傘じゃ済まないような夕立ふうドシャ降りの時は、撮影の上では、まずカメラを守ります。こうした不意打ちの雨の時の私の対処は以下の通りです。これは撤収せずに様子を見て撮影を続行する場合です。
・まず傘をさすのが第一。レンズはすぐキャップをしましょう。カメラを守りながら・・・。
・カメラを三脚にのせたまま、用意してあるゴミ袋(家庭用のゴミ出し用)を逆さにすっぽりかぶせます。
・カメラバッグは口を閉じて、とりあえずビニールシート等を全体にかけます。こうしたレジャーシートは敷物にするのと別に余分に持っています。
・撮影者本人はビニールのレインコートを着ます。これは安物で十分です。セパレートになっているものより、合羽の方が着やすいです。ズボンの方をはくのが大変。
 さてこれで様子をみてあがりそうなら続行できますし、本降りなら撤収にかかります。器材とフイルムを濡らさないように注意しましょう。連れが居るなら、傘をさしてもらって素早くできます。
 こうした雨対策用具は常に持っています。

 うまく撮る秘訣は?
場数と経験です。というのも不親切ですね。もちろん場数と経験だけで、有る程度上達することが可能です。しかしある時点で、向上の壁にあたり、特殊なテクニックや機材に走るアマチュアが多いのです。そういう方たちは「写真技術の上達」ばかりに没頭し、肝心の被写体を見ていない、という点が共通しています。花火を撮ろうとしているあなたは花火に感動したのですか?花火が好きなのですか?花火に関心や興味がありますか?まずそれを自問してみて下さい。花火という題材の中である程度良い作品を撮りたいならそのことはとても大切なんです。場数や、「花火の写真はこういうもの」という固定観念で撮っていた花火の写真はもう旧すぎる概念です。花火の写真らしい作品は撮れるでしょうが、感動する作品にはなりません。
 写真技術的には、まず、ネガカラーでやっている人は、ポジを使ってみて下さい。今のネガは優秀ですが、同時プリント等では露出の過不足があっても「まともに見えるように」機械が自動補正してプリントしていまいます。これではいつまでも適正な露出を掴むことができません。オーバーな時、アンダーな時、できた写真にそれが反映して初めて次はそれを生かせるわけですから。
 現在は花火撮影もデジタルカメラ全盛の時代です。その場で結果が観られるデジタルカメラは適正な露出についての成功不成功もただちに次に反映させることができます。ですからデジタルカメラは圧倒的に上達が早いといえます。
 なによりも撮り始める前に自分の目指す写真をイメージしてください。自分はどういう風に撮りたいと思っているのか?は大切なことです。出来上がりのイメージを描いて初めて、撮影場所や距離、方向を選び、画面構成を考えるという段取りになるわけですから。
 「写った」が「撮った」になった時、あなたの写真はずっとステキな一枚に上達しているはずです。
 場数と経験だけでなく、花火そのものを観る目や知識を身につけましょう。被写体への理解や正しい知識、情報なくしてはレベルの向上もありません。花火を良く観ること、良い花火をたくさん観ること、が近道のようです。そしてたくさん撮り、失敗の山を築いて下さい。

 花火の写真集、撮影ガイドとかあるんですか?
はい、けっこう出ていますよ。一応私の作品集は礼儀上最後に紹介しますね。以下のような作品集が出ています。また花火写真付きの花火解説書も参考になると思います。発行日などは不明なモノがあります。現在手に入るかはFPLでは確約できません。ただし古いものは絶版の可能性があります。なにやら昔一万円以上の写真集もあったのですが私の手元にはありません。このうちいくつかは「花火関連メディア紹介」で案内しています。
 撮影のテクニック解説については「花火撮影テクニック」をご覧下さい。初めて花火を撮る方から上級者までを対象に解説しています。
    
タイトル 著者/写真家 発売元 発行年
心にひびく-ふるさとの花火 早津明彦 早津明彦写真事務所 2004
夜空に咲く幻想の花-花火 2000
Hanabi 後藤芳次 株式会社グランドストアー
カネトク発行
1994
心が躍る花火と夏祭りの撮り方 泉谷玄作/小野里公成/
冴木一馬/井上 明
世界文化社 2000
日本の花火 小野里公成 筑摩書房 2007
土浦全国競技花火大会写真集 土浦市 2003
長野の花火は日本一 信濃毎日新聞社 2001
花火百華 丸善株式会社 2000
大花火-CD-ROM写真集 シンフォレスト 1999
花火大会に行こう 新潮社 1997
ドン!と花火だ 三空出版 1994
花火讃歌 光村印刷株式会社 1992
   
自慢になりますが(自分のページなので何でもアリ、です)花火大会で目にするままに写した花火だけの写真集は、私が世界で初めて出版したものです。
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