花火撮影テクニックHow to take a Fireworks Photography
こちらでは普通のスチルカメラ(デジタルカメラ概略含む)を使用した花火撮影の方法を解説します。
各自のレベルに合わせて選んでください。現在開いているこのページは初級編です。
省略編=一夜漬けクラス。一刻も早く撮り方を身につけたい方の超短縮版。
初級編=ビギナズークラス。現在ご覧になっているページ。花火撮影を始めたい方に。
探求編=アドバンスドクラス。より上級を目指す方への研究編。
電視編=デジタルクラス。手にした最初のカメラがデジタルだった方に。
失敗編=フェイルセイフクラス。花火撮影で起こりがちな様々な失敗例と原因と対策。
花火写真のFAQ=花火撮影についてよく質問されるQ&A。
花火写真家・小野里公成の機材とカメラバッグの中身=筆者自身はこんなものを使っています。コラムとして花火野郎御用達、観覧/撮影、これがスグレモノ=筆者愛用の便利用品紹介。
花火撮影テクニック−ダイジェスト初級編
2004.Ver10.0
制作・著作 小野里公成/FIREWORKS PHOTO LIBRARY
禁・無断転載、流用、引用
はじめに−花火写真の楽しみ
夏の夜空を彩る美しい花火の数々。ひとときの余韻とともに一瞬にして消え去る美を、写真マニアならずとも写しとめたいと思うのは、花火好きならば誰もが考えることに違いありません。しかしながらなにかしら特殊な撮影技術が必要なのでは?…と思っている方が多いのではないでしょうか。ご心配なく。実は打ち上げ花火の撮影は難しいものではありません。
その証拠に各地の花火大会では老若男女、実に多くの写真愛好家が思い思いに撮影を楽しんでいる姿をみかけることでしょう。写真には数多くのジャンルがありますが、その中でも花火写真はあまり難しい撮影テクニックを必要としない部類だと思います。それでも撮りはじめてみると、奥深いものがあるといえるかもしれません。基礎となる撮影方法自体はとても簡単なのですが、より良い花火写真を求めて独自の撮影方法を工夫して実行している人がほとんどです。撮影技術や露光データ以外の花火そのもののノウハウも多く、重要といえましょう。
基本的には以下のような器材と撮影方法で、誰にでも美しい花火写真を撮りはじめることができます。他にも、時分なりに花火撮影に取り組んでいる方で、どうもうまくいかない、と思っている方もぜひもう一度テクニックをチェックしてみてはいかがでしょう?それでは花火撮影を楽しんでみて下さい。
構成
レッスン1 撮影に必要な機材
レッスン2 撮影前の準備
レッスン3 撮影方法 基本編
レッスン4 撮影方法 応用編 おわりに
レッスン1 撮影に必要な機材
私が通常撮っているような花火の写真、たとえばこの「日本の花火」の各ページやギャラリーを飾っているような写真ですが、それらは従来からある花火のスタンダードな撮影方法によるものです。私はこれを「正統派」などと呼んでいますが、ようするに花火を観たままに撮影する写真です。実際は観たままに花火を画面内に入れた写真も様々に分けることができますし、写真に写る姿は完全に「見たまま」というわけではありません。しかしながらこの初級編では、こうした種類分けよりも、とにかくまず「花火をどうやって写すのか?」について順に説明していきたいと思います。
それでは最初に必要な機材からみていきましょう。正統的な花火の撮影では、特殊なカメラや機材を使うことはありません。皆さんが通常使っている35ミリ一眼レフなどのカメラが主役になります。
デジタルカメラでこうした従来からの花火撮影をする場合は、電視編=デジタルクラスを最初にお読みになってから、このビギナー編もあわせてご覧ください。
撮影関係で必要なもの
カメラ
35ミリ一眼レフカメラが一般的ですが、フイルムサイズ(6×7とかAPSとか)は好きな大きさで選んで下さい。
基本的にはまずバルブ撮影ができる機能が付いているもの。バルブとはシャッターボタンを押している間シャッターが開き、指を放すとシャッターが閉じる。といった機能です(大部分のスナップカメラや使いきりカメラにはバルブ機能が無いので注意)。
一般の撮影ではこのバルブ(Bまたはbulbと表示されている)モードを使うことはあまり頻繁ではありません。夜景などを長時間露光で写すときに使うくらいでしょう。ところが花火撮影ではこのバルブ(B)モードが撮影の主体で、逆に普通の何分の1秒という高速シャッターはほとんど使いません。ここがポートレートや風景など他の撮影ジャンルと大きく違う点です。ですから手持ちのカメラにこの機能・モードが備わっているかを取扱説明書などで確認して下さい。
デジタルカメラの場合、一眼レフ型であれば高級機から実売10〜20万クラスの普及機までバルブモードを搭載しているはずですので銀塩一眼レフと同様に扱うことが出来ます。もし搭載していなければ擬似的に1秒以上の長時間のシャッター速度を選んで使うことになります。この場合露光開始はともかく終了時はカメラ任せになるので、ある程度自由な撮影は制限されます。
被写体へのピント合わせは、マニュアルフォーカス(ピント合わせが手動式)であることも最低条件です。オートフォーカスカメラの場合はピント合わせから絞り、シャッター速度、レンズ側の切換スイッチなどをすべて「マニュアルモード(マニュアルフォーカス=MF)」に設定してください。最新のカメラではバルブ露出時にはかなり電池を消耗するものがあります。カメラの予備電池を忘れないようにしましょう。
三脚
三脚なしに花火を写真に撮ることは難しいといわなければならないでしょう。普通に花火を写すには一般的に三脚は不可欠です。
それはなぜでしょう。一般に花火の写真というと、花火玉に内包された星が燃えながら飛び散っていくその「光跡」を撮影したものといえます。そしてその光の線となって写る「光跡」をいかに綺麗にとらえるか?という点が重要になってきます。風景写真など他のジャンルでも作品の質を落とす要素である「ブレ」と「ボケ」ですが、花火の写真においても星の「光跡」がブレて波うっているものはほぼ失敗の部類に入ります。
一般の百分の一単位の撮影に比べれば、花火を露光している時間は長いといえるでしょう。その間、花火が開いて消える間、カメラをブラさず固定させるためにも三脚は不可欠の機材といえるわけです。
三脚といってもその種類や大きさ(伸張時の高さ)によって色々あります。花火のために選ぶなら、携行性を考えて重すぎる必要はありませんが、できるだけガッチリとした背の高いものを使いたいところです。選ぶときのポイントは各部のストッパーを締めて立てたときにガタつきやネジレが無いことです。また自分が使用しているカメラを支えるのに充分な強度の三脚を選びましょう。このあたりはカメラ店などで相談されるとよいでしょう。
また、三脚の脚を伸ばすだけで、撮影者が立って構えたときの顔の位置にカメラがくる位の高さになるものが理想です。脚の短い軽量三脚の雲台が付いている中央エレベーター部を、最上部まで伸ばして高さを稼ぐ方がいますが、不安定なのでおすすめできません。やむなく背の低い三脚を使う場合は腰を下ろして撮影できる体勢や場所を考慮するとよいでしょう。
最近利用者の多い、カーボン製などの高級軽量三脚の場合は、素材としては丈夫ですが軽すぎる長所が逆に欠点でもあります。撮影中はカメラや三脚の足に、手や肘が当たったりしがちです。それがブレを呼ぶのですが、軽い三脚ではよりそうしたショックに弱いわけです。別売のストーンバッグなどを併用して、カメラを乗せた三脚全体が軽くて動きやすい点を補うこともひとつの方法です。製品によってはストーンバッグが標準で付属しているカーボン三脚もあります。
ケーブルレリーズ/電磁レリーズ
カメラ、三脚にレリーズを加えた3つが花火写真を撮る上で最低限必要で、絶対に欠かせない3点セットです(フイルムが入ったカメラでなければなりません)。バルブ露光で一秒以上の長時間露光になる花火写真ではブレなどの問題から、カメラボディのシャッターボタンを指で押し続けることなど考えられないからです。レリーズの長さは自由ですが50センチくらいまでが使いやすいでしょう。最近のカメラにはオプションの電磁レリーズ(電気式の遠隔スイッチのようなもの)しか使えないもの、アダプターを介せば市販のケーブルレリーズが使えるものなどがあるので、カメラの使用説明書を参照してください。
スナップカメラやデジタルカメラの中にはレリーズを接続する部分やコネクタ自体が付いていない、つまりレリーズを使用することは最初から考えられていないカメラもあるので注意してください。そうした場合は三脚に装着した上で、やむなく直にカメラ本体のシャッターを押すことになります。
カメラ、三脚、レリーズの3点はいずれが欠けても、まともな花火写真は撮れないと考えてください。撮影をしようというのですからカメラや三脚、ましてやフイルムを持たない方はいないと思いますが、ケーブルレリーズは意外に見落としがちなので注意してください。ただし記念写真などのスナップの場合は、必ずしもレリーズが必要なわけではありません。
レンズ −焦点距離の記載は銀塩の35ミリ一眼レフカメラ相当です(以下同)。
ズームレンズが理想的です。もちろん単焦点レンズの方が光学的に優れていることは確かです。すでに花火撮影をたくさん経験されている方には、特にズームでなければならない、というおすすめではありません。
ズームレンズは入門用には非常に大きなアドバンテージが備わっています。
まず携帯するレンズが少なくてすむこと、次に一方的に打ち上がる花火に合わせて、柔軟に適切な画角を与えられる点がその大きな理由となります。花火撮影では、一度決めた撮影場所を打ち上げ中に変えることはまず不可能です。それは主に混雑しているからですが、無段階に画角を変化できるズームが撮影場所を変えられない点を、ある程度カバーしてくれるわけです。また連続する打ち上げではレンズ交換の手間が無い、ということも利点だと思います。
地上の風景と花火を組み合わせる場合ならズームの焦点距離範囲は35〜70ミリあれば(花火との距離によりますが)ほとんどの花火大会でその一本で間に合うでしょう。撮影距離によってはこれに28ミリレンズをプラス、または28〜85などのズーム。花火を単発でしかもアップで撮りたいならさらに100ミリ以上の望遠または望遠ズーム(35〜135、70〜200など)を用意してください。
お持ちカメラがのデジタルの一眼レフタイプの場合で、銀塩の35ミリ一眼レフとレンズも共用しているような機種(例えばニコンD5やキャノンEOS1Dなど)では、同じレンズを装着しても銀塩とデジタルではレンズの焦点距離が変わる事にだけ注意して下さい。これは一般にデジタルカメラではフィルムに当たる受光素子が35ミリフイルムのひとコマより面積が小さいためで、たとえば1.6倍掛けの機種では、銀塩で35〜70mmズームは56〜112mm相当になります(35ミリフイルムと同サイズの受光素子を持つ高級機もあります)。とくに花火撮影で多用する広角側が影響されますので、お手持ちのデジタル一眼レフカメラの説明書を参照して良く把握して置いて下さい。
フイルム
花火撮影にはISO400などのハイスピードフイルムは必要としません。一般的なISO50〜100程度のネガカラーが発色も良く初心者でも使いやすいでしょう。使いやすさというのは失敗することが少ないということでもあります。厳密な露出でなくてもある程度はフイルムがカバーしてくれるということです。ただ皆さんが今後上達の道を考えるなら、フイルムは露光結果が的確に現れるリバーサル(ポジ・スライド用)フイルムをお勧めしておきます。リバーサルでは発色や粒状のクオリティがさらに高く、作品のグレードをより高めてくれます。その反面使いこなしには経験も必要ですし、露出のごまかし(露光の失敗を焼き=プリントでカバーする)は効きません。ネガに比べると一般にプリント価格も高いものとなっています。
デジタルカメラの露光感度は、フイルムに換算すればISO100相当のものが一般的です。カメラによってはISO400などの高感度フイルムを使用したのと同様に、電気的に感度を上げる機能も付いていますが、フイルム同様に画質に影響するのでおすすめではありません。
現在は通常の撮影ではプログラムAEなどのおかげで、写真の知識がない人でも絞りやシャッター速度を意識しなくても写真を撮ることができます。花火撮影の場合はある程度マニュアルで撮影するので、こうした感度の認識と絞りをコントロールする、という意識は必要です。
フイルムはどれくらいの量を用意すれば「安心」か
ひとつの花火大会にどれくらいのフイルムの量が必要かは、その花火大会の規模や撮影者の撮り方の個人差にもより、一概には特定できません。目安としては5000発程度の大きな大会で、相当多くても200カットくらいでしょう。36枚撮りで5〜6本あれば十分だと思います。もちろん撮り方の個人差もあるので万が一のために多めに持っていくと安心です。
余るくらいなら何も問題はないですが、花火大会後半、もっとも良い花火が集中して打ち上がっている時のフイルムぎれは、ほとんどヤケ酒フテ寝ものです。
デジタルカメラの場合も同様にファインモードでも100〜200枚程度撮れるように、必要に応じた容量のメモリ(96MB 2枚程度、256MB)と予備電池を用意しておけば良いでしょう。デジタルカメラ使用時は、余裕があればプログラムの合間等に、液晶モニターで撮影済みのカットをチェックしてみましょう。あきらかな失敗カットなどはその場で即座に消去して(メモリーをクリアー)残りの撮影可能カット数を確保しておくことも大切です。
その他必要なもの
懐中電灯
必携品。撮影中の残りフイルム数、絞りなどの確認やレンズ面のチェック、片付けるときにも欠かせない存在です。撮影中はペンライト程度で良いでしょう。またヘッドランプも両手が使えるので便利です。撮影用とは別に光量のある懐中電灯を持っていると帰るときに重宝します。いずれにせよ数種用意していると便利です。
予備電池、予備のレリーズ
最近の電子化されたカメラでは、電池がなくなればいっさいがまったく動作しなくなるものが多いので、携帯していれば安心です。とくにデジタルカメラでは不可欠で、銀塩のフイルム交換並に電池交換は大切です。レリーズは、撮影中もっとも力のかかる道具です。握力や指の力が一気にかかるのでかなりの確率でぶち壊します。そうした破損に備えてできれば2〜3本、予備を用意したいところです。
ストロボ
撮影意図によっては必要。たとえば画面手前に浴衣の見物人や季節の花などをあしらい、花火と組み合わせる場合などです。花火を露光中、または別々に対象物にストロボを発光させます。当然ながらカメラの内蔵ストロボではなく、外付けのストロボのことです。
遮蔽紙
バルブ露光中に片手に持ってシャッターがわりに使います。(レッスン3参照)ボール紙、段ボール、黒い下敷き、帽子、黒っぽい布、あるいはレンズキャップなど人によって様々な物を使います。
レンズクリーニング道具一式
撮影中でもブロワーブラシなどは使用頻度が高いものです。人の多い野外なので土埃や花火の燃えカスなどで意外とレンズは汚れてしまいます。また、レンズ面の結露による曇りにも注意したい点です。撮影中でもこまめにレンズ面をチェックをしましょう。その際に、レンズにむやみに息がかからないようにします。気温変化や湿気などにより曇りを生じているときはレンズクリーニングペーパーなどで繰り返し丁寧に拭い去ります。
花火大会のプログラム
たいていは大会本部などで手に入りますが、小規模な花火大会では最初から存在しないこともあります。有料・無料いずれの場合も花火大会全体の流れを知り、次を予測して余裕を持って写すためにもできるだけ手に入れたいところです。花火写真は行き当たりばったりではなく、実は次を知った上での待ちの撮影術なのです。もちろん花火撮影を何度も経験されている方なら、こうした予備知識無く撮影に望み、「次にどうなるかわからない」スリルを味わってみるのもおすすめです。
あると便利なもの
レジャーシート 携帯椅子 双眼鏡 傘 筆記用具 虫避けスプレーなど
酒(酒?)
レッスン2へ続く
花火写真家・小野里公成の機材とカメラバッグの中身
一般論でなく、そういうオマエは何を使っているんだ?何を持っていくの?にお応えする仰天企画。私の撮影機材と常時携帯の品はこのような物です。
おおっなんと意外に質素なラインナップです。きっと皆様の中にはより立派な道具をお持ちの方ばかりいることでしょう。
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